ほそかわ・かずひこの BLOG

<オピニオン・サイト>を主催している、細川一彦です。
この日本をどのように立て直すか、ともに考えて参りましょう。

IMFが衝撃のレポート~高橋洋一氏

2018-10-30 09:35:20 | 経済
 嘉悦大学教授の経済学者・高橋洋一氏は、我が国のバランスシートをもとに財政の実態を明らかにして財務省を批判し、財政再建のための消費増税は必要ないと主張しています。
 先般公表されたIMFレポートは、氏と同様に、我が国の財政が決して悪くないことを明らかにしたもので、財政破綻を説く学者・官僚にとっては、衝撃的なものとなったでしょう。高橋氏は、IMFの衝撃のレポートを、10月15日の記事で紹介しています。

 高橋氏によると、このレポートでは、主に一般政府(General Government)と公的部門(Public Sector)のバランスシートが分析されています。一般政府とは中央政府(国)と地方政府を併せた概念であり、公的部門とは中央銀行を含む公的機関を含めたものです。

 高橋氏の解説によると、IMFレポートでは、日本の公的部門のネット資産対GDP比はほぼゼロということが示されています。高橋氏は、次のように言います。「ここから出てくる話は、「巨額な借金で利払いが大変になる」というが、それに見合う「巨額な資産」を持っていれば、その金利収入で借金の利払いは大変ではなくなる、という事実だ」と。
 このことは、宍戸駿太郎氏、菊地英博氏、田村秀男氏、三橋貴明氏らが明らかにしてきたことです。

 高橋氏は、IMFレポートが一般政府バランスシートでのネット資産対GDP比も分析していることを紹介し、「ここでも、日本は若干のマイナスであるが、ギリシャ、イタリアと比べるとそれほど悪くない」と述べています。また、一般政府でのネット資産対GDP比とその国の信用度を表すCDS(クレジット・デフォルト・スワップ)レートの関係の相関についても触れ、「CDSのデータからその国の破綻確率を計算し、日本は今後5年以内に破綻する確率は1%未満である」と述べています。

 高橋氏をはじめ、財務省におもねらないまともな経済学者・エコノミストが主張してきたことの正しさを、IMFレポートは、あらためて裏付けています。財務官僚が省益を拡大するために虚偽のデータをもって政治家や国民を欺いてきた財政破綻という論理は、もはや使えないことは明らかです。しかし、増税派は、今度は財政破綻の回避のためではなく、「将来の年金など社会保障のために増税すべき」と言い方を変えてきています。この点について、高橋氏は次のように主張しています。
 「何より、社会保障財源として消費税を使うというのは、税理論や社会保険論から間違っている。大蔵省時代には、「消費税を社会保障目的税にしている国はない」と言い切っていたではないか。そんなデタラメに、まだ財務省がしがみついているのかと思うと、心の底から残念で仕方ない。
 社会保障財源なら、歳入庁を創設し、社会保険料徴収漏れをしっかりとカバーし、マイナンバーによる所得税補足の強化、マイナンバーによる金融所得の総合課税化(または高率分離課税)といった手段を採ることが、理論的にも実践的にも筋である。
 それらを行わずに、社会保障の財源のために消費増税を、というのは邪道である。さらに、景気への悪影響も考えると、いまの時期に消費増税を行うというのは尋常ではない」と。
https://gendai.ismedia.jp/articles/-/57978

 安倍首相は、もう一度、財政のデータをしっかり読み直し、来年10月の消費増税を考え直すべきです。

関連掲示
・デフレ下では積極財政を取るべきと説くエコノミスト、宍戸駿太郎氏、菊地英博氏、田村秀男氏、三橋貴明氏らについては、下記のページの拙稿をご参照下さい。
http://khosokawa.sakura.ne.jp/opinion13.htm


最新の画像もっと見る

コメントを投稿