ほそかわ・かずひこの BLOG

<オピニオン・サイト>を主催している、細川一彦です。
この日本をどのように立て直すか、ともに考えて参りましょう。

米大統領選挙6~待望される”一貫した指導原理に立った筋金入りの指導者”

2020-10-31 08:37:16 | 国際関係
 10月29日から30日の掲示のまとめです。

20201029
 米国が大統領の座をめぐって大揺れの最中、中国では共産党の重要会議である第19期中央委員会第5回総会(5中全会)で、終身独裁者の習近平が、毛沢東以来の「党主席」を復活させて、個人独裁を極度に強化しようとしています。そのために自分を絶対化する規則を作って、制度的に不満分子を取り締まる方策。「赤い皇帝」の誕生間近と、見られます。
 米国には、こうした習近平に対抗できる強い指導者が望まれます。一貫した指導原理に立った筋金入りの指導者です。

20201029
 バイデン一家の複合疑惑。本日、ツイッター、フェイスブック、グーグルのCEOが上院委員会で召喚され、バイデン一家の疑惑に関する掲示文を検閲したことについて、厳しい質問を受けたとのことです。山中泉さんのFBポストを紹介します。

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 本日、シリコンバレー大手テックカンパニーのツイッター、フェイスブック、グーグルのCEOが上院委員会で召喚され厳しい質問を受けた。
 ツイッターの最高責任者のジャック・ドーシーは、上院議員のテッド・クルーズから、「君は誰から選ばれて国民に対して、この報道は見ることを許し、別の報道は見るが出来ないという検閲を行う権限を得たのか?」という厳しい質問をした。
 これは、ニューヨーク・ポスト紙のジョー・バイデンがウクライナや中国と多額の金銭疑惑があるとの報道を、ツイッターが全て削除したことへの追求である。
 連邦法230条にあるネットメディアが自分の意見を明確に出せる出版社と違い、第三者の意見を改竄したり取捨選択せずに掲載するプラットフォームであることを条件に、出版社よりずっと緩い法律で保護されている優遇措置を剥奪するという警告が後ろにある。
急激に巨大化したこれらプラットフォーム独占テックカンパニーは自らの傲慢によって大きな代償を払うことになりそうだ。
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20201029
 バイデン一家の複合疑惑。ハンター・バイデンのビジネスパートナーだったトニー・ボブリンスキーは、ハンターたちのビジネスにジョー・バイデンが深く関わっていたのは確実だと述べたとのことです。

・ボブリンスキーが最初にジョー・バイデンと会った時に、ハンターは父親に対して「彼は我々が中国で行っているビジネスに力を貸してくれる人だよ」と言って、ボブリンスキーを紹介した。
・ジョー・バイデンは、ボブリンスキーに「息子と弟は君のことを心から信頼している。だから私も君を信頼する。一生懸命頑張ってくれ」「息子と弟の面倒を頼む。わが一家の面倒もな」と話した。

 本件の詳細を伝える朝香豊さんのFBポストによると、ボブリンスキーは、フェイスブック社、グーグル社、ツイッター社の誰からも、電話であれ、メールであれ、手紙であれ、メッセージであれ、問題のメールが本物かどうかを尋ねる問い合わせが1つも来ていないと語っているとのことです。
 ウォール街の国際巨大金融資本は、今回の選挙でも民主党の候補を大統領に押し立てようと、巨額の資金を提供しています。新興の巨大資本であるフェイスブック社、グーグル社、ツイッター社は、ウォール街の国際巨大金融資本と肩を並べる存在となり、カネの力で利権の維持と拡大を図っています。その際に、彼らが使う手法は、彼らが財を成した情報通信のテクノロジーそのものです。高速・大容量の情報通信で自由な言論・表現を拡大し、世界を変えたその技術で、自分たちの利権を脅かす通信内容をブロックする巨大テック・カンパニーに制裁を加え、姿勢を正させる必要があります。

20201030
 2016年の大統領選でトランプの勝利を予測し、1984年から現在まで9回の大統領選の勝者をすべて的中させてきた「大統領選のノストラダムス」ことアラン・リクトマン教授(アメリカン大学、歴史学)。
 リクトマンは、1860年から120年間の大統領選を精査して、現職の大統領か与党が勝つ時と、負ける時の共通点をチェックし、「ホワイトハウスへの13の鍵」を列挙。

1の鍵 与党の支配。与党が下院議会を多数支配しているか?★
2の鍵 与党内に対立候補がいない。
3の鍵 与党の候補者は現職の大統領か?
4の鍵 集票力のある第3党がいない
5の鍵 短期経済は好調か?★
6の鍵 長期経済は好調?★
7の鍵 政策的に大きな変革を行ったか?
8の鍵 社会的不安はないか?★
9の鍵 スキャンダルはないか?★
10の鍵 外交政策の大きな失敗がないか?
11の鍵 外交政策の大きな成功があるか?★
12の鍵 現職大統領候補にカリスマはあるか?★
13の鍵 対立候補にはカリスマ性がない

 リクトマンによると、過去に13項目中6つ以上がノーで当選した者はいないとのこと。リクトマンは、今回のトランプは1、5、6、8、9、11、12の7つがノー(★をつけたもの)。それゆえ、トランプは再選されないと予測。
 ただし、トランプが勝つ場合は2つあると言います。ひとつは投票抑制。すなわち、郵便投票に影響を与える郵便業務の縮小と、当日の投票妨害。もうひとつはロシアの介入。すなわち、インターネットでの票の操作だとのことです。これでは勝っても、正統性が疑われますね。
 リクトマンはトランプは13の鍵のうち7つがノーだと言いますが、5の鍵の短期経済は、昨日発表の米国の7~9月のGDP伸び率がプラス33.1%という記録的な数字。これは客観的なデータゆえ、確実にノーではなくイエスに変更。これによって、トランプのノーは6つになる。よって、トランプは再選されるという、反対の予想が出てきます。また、私見を加えると、11の鍵の外交政策の大きな成功として、イスラエルとUAE等のアラブ諸国の歴史的な和解を実現したことを挙げるべきで、これもイエスに直すとノーは5つのみとなります。

20201030
 バイデン一家の複合疑惑。FBIがマネーロンダリングの疑いで、ハンター・バイデンの捜査を進めているとのことです。
 本件を鋭く追及している朝香豊さんは、「大統領選挙前にハンター・バイデンの逮捕、さらにはジョー・バイデンの逮捕もありうるのかもしれない」と書いています。
どこまで証拠固めが出来ているのか分かりませんが、仮に投票日前に逮捕となると、前代未聞のスキャンダルになりますね。逮捕が投票日後に延びて、開票・集計が進む数週間のうちに執行となったとしても、同様です。

20201030
 習近平は、米国の政権を転覆し、米国を完全に乗っ取る陰謀を実現するため、600以上の組織を米国に潜伏させていることが最近の調べで分かったとのことです。
 各種の商会、同郷会をはじめ、文化交流団体、教育団体、様々な形でアメリカの隅々まで巧妙に浸透して潜伏しており、政治界では元大統領、元副大統領から、FBI、CIA、下っ端の職員まで買収している。その対象にジョー・バイデンも入っているとのことです。
 クライブ・ハミルトンが、オーストラリアへの共産中国の工作について著書『目に見えぬ侵略』『見えない手』に書いたことが、米国ではもっと大規模に、もっと巧妙に行われているということでしょう。
 中華共産主義の侵攻を許すものは何か。人々の心に潜む欲望でしょう。中国共産党は、人々の富や権力、地位や快楽への欲望につけ込んで、人々を罠にかけ、親中派や協力者を増やしていきます。
 人間の過剰な欲望を悪と呼ぶならば、共産党幹部の悪の力が人々の心から悪を引き出し、それを膨らませ、社会に広げていく。自由を一元的な価値とする、極端に自由主義的な資本主義は、欲望の拡大再生産のシステムであるがゆえに、こうした悪の力に浸透されやすいのだと思います。共産主義と資本主義は、全く別のものではなく、根底においては通じています。人類が自滅の危機を回避し、新たな文明に飛躍するためには、これらの主義を共に超える指導原理が必要です。私は、その指導原理が日本文明に伝わる精神の中にあると考えています。

************* 著書のご案内 ****************

 『人類を導く日本精神~新しい文明への飛躍』(星雲社)
https://blog.goo.ne.jp/khosogoo_2005/e/cc682724c63c58d608c99ea4ddca44e0
 『超宗教の時代の宗教概論』(星雲社)
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仏教74~中華民国の大陸時代・台湾時代

2020-10-30 11:02:14 | 心と宗教
●中華民国(大陸時代)
 
 中華民国は共和制国家として樹立されたが、袁世凱は独裁政治を行った。袁が死去すると軍閥の群雄割拠となった。孫文は、1919年に秘密政治結社の中華革命党を中国国民党に改称し、大衆政党とした。シナの共産化を目指す中国共産党が1921年に成立すると、国民党は共産党と連携し、第1次国共合作が行われた。孫文の死後、蒋介石は、1926年に反封建の目的を果すため北伐すなわち北方軍閥の討伐を開始して、ほぼシナ全土を支配していった。この過程で国共分裂となり、蒋介石は1928年に正式に国民党政府を樹立して、シナを統一した。蒋介石は総統独裁の体制を作り、姻戚の宋一族とともに政治・軍事・経済を掌握した。
 日清戦争で清に勝った日本は、1910年に韓国を併合し、大陸に進出して、1932年に満州国を建国したが、国際社会の非難を受けて、国際連盟を脱退した。1937年に中国共産党の謀略によってシナ事変が勃発した。わが国は収拾に努めたが、容易に解決できず、事態は泥沼化した。蒋介石は、第2次国共合作により、共産党と協力して、日本と戦う路線を取った。
 日本は大陸での戦争が長期化したまま、1941年12月、英米との戦争に突入した。大東亜戦争は、日本の敗北に終わった。米ソの援助によって抗日戦争を継続した国民党政府は連合国側に所属していたので、戦勝国の立場に立った。
 だが、国民党と共産党の対立が激化し、共産党が国共内戦を制して、1949年10月毛沢東が北京で中華人民共和国の成立を宣言した。大陸から撤退した国民党は台湾に移り、中華民国の政府を台北に置いた。
 ここで大陸時代の中華民国における宗教について記すと、仏教では、中華民国が成立した後、天童寺の敬安が中華仏教協会を設立して寺院の保護を訴えた。その弟子・太虚は、僧侶養成のために武昌仏学院を設置したり、雑誌『海潮音』を発行したりして仏教界に大きな影響を与えた。
 次に、儒教は、清朝の滅亡とともに、皇帝を中心とする国家体制を支える思想としての存在意義を失った。それに伴い、儒教の政治倫理は、民主主義・社会主義の思想によって批判を浴びることになった。ただし、シナ文明の精神的な中核であり続けて来た儒教は、近代化=欧米化の進行の中でも、シナの民族文化であり続けた。また、孝を中心とする儒教の家族的・氏族的な倫理は、民衆の間に根強く保たれた。

●中華民国(台湾時代)

 清朝の時代に、台湾は清朝の版図に組み込まれていた。シナの歴代王朝と同様、「化外の地」という扱いだった。日清戦争で敗れた清朝は、この地を日本に割譲した。以後、日本は51年間統治し、台湾の開発に努め、目覚ましい経済発展を実現し、民生は大きく向上した。だが、大東亜戦争の敗北により、台湾を失った。
 日本の敗戦後、台湾は中華民国の台湾省となり、間もなく中華民国の統治下に置かれた。中華民国は、台湾において、今日まで存続している。三民主義(民族独立・民権伸長・民生安定)と五権分立(行政・立法・監察・司法・考試)に基づく共和制の民主主義国家である。だが、中華人民共和国の側では民国は消滅したとし、台湾は中華人民共和国の一部だと主張している。
 中華民国は、米国の援助のもとに台湾で政権を保持してきた。また、国連安全保障理事会の常任理事国であり続けた。米国は共産中国の国連加盟を阻止していたが、中国の軍事力の増大を見て、加盟賛成に転じた。1971年に国際連合が中華人民共和国を加入国とすると、台湾政府はこれを不当として国連を脱退した。中国の国連加盟の翌年、米国は電撃的な米中国交回復を行った。その後、1979年に米国は中華人民共和国との国交を樹立し、中華民国(台湾)との国交を断絶した。ただし、同年、台湾関係法を制定して、中国から台湾を守る安全保障体制を維持している。
 1988年に李登輝が総統になると、中華民国(台湾)では民主化が進んだ。2000年の総統選挙で民主進歩党の陳水扁が当選し、国民党の長期政権は終焉した。しかし、中華人民共和国と親和的な勢力、現状維持の勢力、独立志向の勢力等のせめぎあいが続いている。
 2019年6月現在、台湾と正式な国交を結んでいる国は18国であり、世界各国の10分の1に満たない。この状態は、中華人民共和国の国際的な影響力の大きさによるものである。

 次回に続く。

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 『人類を導く日本精神~新しい文明への飛躍』(星雲社)
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米大統領選挙5~最終盤の情勢と混乱の予兆

2020-10-30 10:46:08 | 国際関係
 10月27日から28日の掲示のまとめです。

20201027
 シカゴ在住、滞米30年、元ウォール街トレーダー、国際ビジネスコンサルタント、山中泉さんがFBポストに次のように書いています。小見出しは、一部ほそかわがつけました。

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◆バイデンが石油産業について痛い失言
 先日(ほそかわ註 10月22日)のディベートでバイデン候補の大きな失点と言われているポイント、「Fracking(石油&天然ガスの水圧破砕法)は行わない」との発言
アメリカが世界最大のシェールガス、シェールオイルの産出国になっていることはよく知られている。これはFracking(水圧破砕法)という以前はなかった新しい工法によるところが大きく、これによってアメリカはエネルギー輸入国から輸出国に転じた。
 現在巨大な産業に育ってきたこの業界は、テキサス州やペンシルベニア州などを中心に、約1000万人の職を提供している。しかし、この工法は環境保護団体から自然を破壊するという議論が起きて、まだ明確な証拠はないがそれを理由にニューヨーク州やヴァーモント州などでは禁止されてきた。
 現在まで、バイデンとカマラ・ハリス副大統領候補は、このフラッキングの是非を記者から聞かれていつもその質問に明確に答えてこなかった。しかし、ディベートで、バイデンは司会者からのこの質問に「今までフラッキング禁止など一度も言ったことはない」と語った。これはもし、フラッキング禁止を行えば、ペンシルベニア州やテキサス州等の1000万人近い人たちの職を危機に陥れることになり、その有権者の票を意識した自身の過去の発言に反する虚偽発言だ。バイデンもカマラ・ハリスも現在一番力を持ってきた民主党左派に配慮して、フラッキングの禁止を過去幾度も発言してきた記録が残っている。ここをトランプはついた。現在、民主党はこの発言の弁明に大わらわだ。
 民主党の左派グリーンエネルギー主唱者のサンダースやAOC(ほそかわ註 急進左派のアレクサンドリア・オカシオコルテス)たちはこの工法に絶対反対の立場を取っているため、バイデン&ハリスは明確な返答が出来ず言い逃れに終始している。バイデンはグリーンエネルギーへの転換を当選後に約束しているが、既に多くの職を供給しているエネルギー産業労働者に具体的な代替案を提案できていない。これは、スウイングステーツのペンシルベニア州やオハイオ州の投票行動に大きな影響を与えるだろう。

◆「金権バイデン」対「草の根トランプ」
 このフレーズは、国際政治学者の藤井厳喜氏が命名された素晴らしいフレーズだと思う。
 バイデン陣営は既に$582Million(約600億円)の寄附金が集まっており、これはトランプ陣営を$250 Million(260億円)以上上回っている。バイデン側はこの資金をスウィングステーツのTVコマーシャルに使って広告爆撃を行なっているところだ。
 これについて、日本の一部大手メディアは何もわかっていないのか、バイデンがアメリカ人一般の人たちから人気があるので、それだけ寄付が集まっているという無知な報道を行なっている。実質はこの寄附金の中身を見ると全くそうではない。これら民主党の大口寄附金者はウォール街のゴールドマン・サックスを始めとする巨大金融会社、シリコン・バレーの Google, Facebook, Twitter, Amazon をはじめとするテックカンパニー大手やその創業者たち、何百ものサブアカウントを使って資金を長年民主党に供給しているジョージ・ソロスなどだ。
 市井の人や個人からの寄附金が中心なのはトランプの方である。トランプ自身は大金持ちであるが、2016年の選挙も同じくヒラリー・クリントンとの資金の差は4倍以上ヒラリーが上回っていた。
 つまり今回もそれらウォール街、シリコンバレーの独占テックカンパニーや大金持ちはバイデンを応援している。どちらが草の根の支持を受けているのかは一目瞭然だろう。
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20201027
 バイデン一家の複合疑惑。善人の顔をした悪人、人格者を装う犯罪者。ジョー・バイデンをドンとするリベラル・エスタブリッシュメント(既存エリート集団)の一族の実像について、吉野一道さんはFBポストに次のように書いています。
 「バイデン氏の売りは人柄と清潔さである。彼は今回の大統領選を『両候補の人格をめぐる選挙であると同時に米国の国柄をかけた選挙だ』と訴える。ところが今回のメールにより、決して清潔ではなく、人柄も極めて疑わしいバイデン氏の正体がバレてしまった。そうだとしても、反トランプの米メディアは徹底して無視するだろうから、米国民の認知度はまだまだ低い」
 また、バイデンの認知症疑惑について、吉野さんは次のように書いています。
 「過日、屋内で行われたバイデン氏の選挙演説の際、彼は「外は雨がひどいので、マスコミの方はどうぞ中へ」と誘導した。ところが、その日は晴天。暑くて外には誰もいない。雨音が聞こえるのは認知症の典型的な症状でもある。その場にいたマスコミは、彼の認知症をはっきりと確認したのではないだろうか。しかし、バイデン大統領が誕生しても、認知症を理由に辞職することは民主党では想定内とされている。黒人女性で極左のカマラ・ハリス氏を副大統領候補として、適当な時期にハリス大統領を誕生させる目論見である」

20201028
 産経新聞の黒瀬悦成ワシントン支局長は、トランプの再選には4つの鍵があると、現地からリポート。黒瀬氏は、第1 終盤での圧倒的な勢いの選挙運動、第2 投票日が近づくにつれ重要州で共和党支持者の有権者登録が増加、第3 過去4年間に黒人・ヒスパニック系の切り崩しが進んだこと、第4 隠れトランプ支持者の投票行動を挙げます。
これらのうち、わが国であまり伝えられていない第2と第3に関するコメントの部分を引用します。

 第2の鍵 「トランプ陣営によればフロリダ州やペンシルベニア州で、投開票日が近づくにつれ共和党の有権者登録数が民主党の有権者登録数を上回っているとされることだ。米国では投票の際に事前に有権者登録を行い、支持政党を申告する(無党派での申告も可)。登録有権者が必ず投票するわけではないが、有権者の動向を探る指標にはなる」
 第3の鍵 「これまで民主党の支持基盤とされてきた黒人とヒスパニック(中南米系)の有権者について、トランプ陣営がこの4年間で着実に切り崩しを進めていることだ。統計分析サイト『ファイブサーティーエイト』によると、18~44歳の黒人有権者のトランプ氏支持は16年の10%から今年9月現在で21%に上昇した。中南米系でも45歳以下の有権者の支持は16年比13ポイント増の33%となっている」

 黒瀬氏が第1の鍵として挙げるように、トランプ陣営は、終盤で熱気あふれる選挙運動を展開しています。その運動の勢いが、第2の鍵、第3の鍵を働かせ、また、第4の鍵である隠れトランプ支持者の投票行動を促進するかどうかに、再選の鍵があるのは、間違いのないところと思います。

 次回に続く。

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米大統領選挙4~トランプは負ければ破産・訴追

2020-10-29 10:36:40 | 国際関係
 10月22日から27日の掲示のまとめです。

20201022
 バイデン一家の複合疑惑。トランプ大統領がバー司法長官に捜査を要求し、投票日までの解明が必要と述べたとのことです。一方、主要マスメディアは、疑惑の報道に消極的です。

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●産経新聞 10月21日

 【ワシントン=黒瀬悦成】11月3日実施の米大統領選まで2週間となった20日、共和党のトランプ大統領はFOXニュースの番組に出演し、米紙が先に報じた民主党候補のバイデン前副大統領と息子をめぐる疑惑に関し、バー司法長官に捜査を開始するよう求めると表明した。下院では共和党議員らが疑惑捜査に向けた特別検察官の任命をバー氏に求める一方、情報特別委員会のシフ委員長(民主党)は疑惑を「ロシアによる偽情報工作」と断じるなど、大統領選の投開票日を前に両党のせめぎ合いが激しさを増している。
 トランプ氏は番組で「司法長官は迅速に行動する必要がある。誰かを(特別検察官に)任命すべきだ」と述べた。同氏はまた「これは大規模な汚職だ。投票日までに解明されなくてはならない」と強調した。
 米紙ニューヨーク・ポストの報道によると、バイデン氏の次男のハンター氏は2015年、当時副大統領だった父親を、汚職疑惑のあったウクライナの天然ガス会社「ブリスマ」の役員に紹介。このことを示す電子メールが、ハンター氏のノートパソコンから見つかったとされる。
 FOXニュースはこれに加え、ハンター氏と父親が中国のエネルギー企業から取引をめぐる見返り報酬を得る取り決めがあったことを示唆する同氏のメールを入手したとしている。
 ポスト紙の報道を受け、共和党の下院議員11人は「偏向のない、独立した特別検察官」の任命をバー長官に要求。上院国土安全保障委員会のジョンソン委員長も、一連の報道の真偽を見極めつつ、調査を始める意向を明らかにした。
 また、米情報機関を統括するラットクリフ国家情報長官は19日、シフ下院情報特別委員長ら民主党勢力が疑惑を「ロシアの偽情報工作」と主張していることに関し、「ロシアの工作であることを裏付ける証拠はない」と全面否定した。
 一方、米メディアによると共和党主導の上院司法委員会は、ツイッターなどのソーシャルメディアが同紙の報道を拡散するのを制限する措置をとったことに対し、ツイッターのドーシー最高経営責任者(CEO)に加え、フェイスブックのザッカーバーグCEOを召喚する方針を固めた。
 一連の疑惑に関し、バイデン氏および陣営は「中傷攻撃だ」として黙殺する構えであるほか、社説でバイデン氏支持を表明した米主要各紙は抑制的な報道を維持している。
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20201022
 バイデン一家の複合疑惑に、またも爆弾情報。バイデン側のチャイナ疑惑の文字通り鍵を握る人物、元海軍大尉のトニー・ボブリンスキーが疑惑について証言したとのことです。ニューヨーク・ポストがスクープしたハンター・バイデンに関するメールは本物、ロシアから流されている偽情報などではない、そのメールは自分も受信していることを明らかにし、メールの中の 「ビッグガイ」 はジョー・バイデン、「JB」 はジョーの弟ジェームズ・バイデンのことだと明確に認めたとのことです。
 バイデン一家のチャイナ疑惑は、様々な情報のピースがつながり、鮮明な絵が浮かび上がってきました。現地時間10月22日に行われるトランプとバイデンの対面討論会で、トランプは、全米の視聴者の前で、バイデンの疑惑を暴くメガトン級の爆弾情報をぶつけるかな?

20201023
 候補者による最後の対面討論会(10月15日は中止のため2回のみとなった)が行われました。産経ニュースによる詳報の拾い読みです。

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 ・・・・共和党のトランプ大統領(74)は新型コロナウイルスに関して「中国からやってきたひどい病気と米国は戦っている」と述べ、「ワクチンは開発中で、数週間後には発表されるだろう」と述べた。ワクチンは軍が配布すると指摘し、自身が感染したことに触れながら「短期間で回復した」と適切な治療が受けられたことをアピールした。これに対し民主党のバイデン前副大統領(77)は「すでに米国では22万人以上が死んでいる」と反発。トランプ氏に関して「責任をとらない人がいる」と批判し、「これだけ多くの死亡者数を出したのは大統領のせいだ」と非難した。・・・
 バイデン前副大統領はロシアや中国、イランが米大統領選に「干渉している」と指摘し、「私が当選したら代償を払わせる」と述べて・・・トランプ大統領の対応を批判した。一方、トランプ氏は討論の中でバイデン氏の息子をめぐる醜聞報道を取り上げながらバイデン氏を責め立てた。バイデン氏の息子に関しては米大衆紙ニューヨーク・ポストが、バイデン氏が副大統領在任中の2015年、汚職疑惑のあったウクライナ企業で役員を務めていた次男に同社役員を紹介され、会合を設定したと報じている。・・・
 両氏は中国との貿易戦争をめぐっても激論を交わした。バイデン氏が、トランプ政権による対中関税の強化が米国民に負担を強いていると批判したのに対し、トランプ氏は巨額の資金が中国から米国に流れ込んでいると主張して反論した。・・・
 バイデン氏は「皆さんは私が誰かを知っている。また、トランプ氏が誰であるかも知っている。私が誠実であることは知っていると思う」と語り、トランプ氏の人格を批判。この大統領選に「国の品格がかかっていると思って戦っている」と語った。バイデン氏の息子をめぐる疑惑報道を取り上げたトランプ氏は、ロシアやウクライナに関する疑惑などが「本当だったとしたらバイデン氏は汚職の政治家だ」とあてこすった。・・・
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 多くの世論調査がトランプ劣勢を伝えるなかで、トランプにとって逆転の切り札となるだろうバイデン一家の複合疑惑に関しては、まだ証拠が十分固まっていないためか、トランプの追及にやや迫力がなく、視聴者への説得力に不足したのではないか。一方、認知症を疑われるバイデンは、口のもつれや記憶の混乱による言い間違いなど、視聴者に不安を与えるほどの綻びを見せなかった模様。
 投票日まで、あと10日あまり。今回の討論会後の世論調査がどういう結果を示すか、注目されます。

20201025
 トランプ大統領は、選挙に負ければ、破産が確実。ホテル、ゴルフ場など主要事業は赤字が累積、借金は多額、次期の任期4年以内に返済期限が続々。敗戦による信用の喪失で、窮地に。また、多くの訴追を受けることも確実。ロシアゲート、女性問題、納税額不足等々。大統領の不訴追特権がなくなり、窮地に。
 それゆえ、絶対負けられないと、トランプは必死と見られます。開票開始後、得票数が上回っているうちに勝利宣言をしてしまう。不利な場合は、郵便投票の無効訴訟、最高裁の裁定要求、敗北宣言の拒否をすることなどが予想されます。
こういう人物に、米国の指導を期待し、人類の将来を賭けざるを得ないところに、人類の現状があります。
 バイデン? もっと任せられません。彼に任せることは、人類の将来を習近平に委ねることになります。

20201025
 激戦の帰趨を左右するフロリダ州の動向。10月25日付の時事通信の記事より。

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 トランプ米大統領が4年前、大接戦の末に制した南部フロリダ州で「地殻変動」が進行している。キューバ系移民の右傾化が強まる一方、民主党支持者が多いプエルトリコからの移住者が急増。定年後に移住してきた高齢者には「トランプ離れ」が目立ち始めた。・・・
 大統領選の主要激戦州のうち、フロリダ州は最多の選挙人(29人)を抱える。1924年以来、同州で負けて大統領になった共和党候補は皆無。政治評論家らも「フロリダを落とした時点でトランプ氏再選の目は消える」と口をそろえており、トランプ氏は崖っぷちの戦いを強いられている。・・・
 フロリダ州の人口の約25%を占めるヒスパニックの中でも、最大勢力のキューバ系は共和党支持者が多い。2016年の前回選挙では過半数がトランプ氏に投票し、同州での勝利に貢献した。・・・1月以降、トランプ氏によるフロリダ州訪問は15回に上る。バイデン氏を「社会主義者」「急進左派」と攻撃し、共産党政権から逃れてきたキューバやベネズエラ系移民の恐怖をあおってきた。なりふり構わぬ選挙戦術は奏功しつつある。・・・キューバ系の共和党支持率はこの4年で10ポイント以上伸びた。・・・フロリダ国際大のエドゥアルド・ガマラ教授(政治学)は「党内左派の支持を失いたくないバイデン氏は、トランプ氏の口撃に強く反論できなかった」と指摘。今後、どこまで民主党寄りのプエルトリコ系の票を固められるかがカギになると話す。
 温暖な気候を求め、定年後に全米各地から移住してきた白人富裕層の間では「トランプ離れ」が進む。・・・
 政治専門サイト「リアル・クリア・ポリティクス」の世論調査平均値では、フロリダ州全体でもバイデン氏が1.5ポイントリード。ガマラ教授は「接戦は間違いなく、再集計で混乱した00年大統領選の悪夢の再来になる可能性もある」と予測している。
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 悪夢の2000年大統領選挙とは、ブッシュ子VSゴアの戦いでした。フロリダ州で2000票未満の小差となり、得票数の数え直しに。最高裁で争われたが、ゴアが身を引いたことで、ようやく決着。身を引いた理由は、国家的な混乱を避けるためとされていますが、彼は負けても失うものはなかった。だが、今回、トランプは負けると破産と訴追が待っているので、絶対引かないでしょう。もし来年1月20日になっても、大統領・副大統領(上院議長兼務)が決まらなければ、後継者の順位規定により、民主党の下院議長ナンシー・ペロシが大統領に。かつてない混乱が米国と世界を覆うことになります。
 2016年の大統領選挙では、リアル・クリア・ポリティクスの世論調査は、最後までヒラリー・クリントンが優勢と伝えました。ところが、結果はトランプの圧勝。その時の同調査のフロリダ州での10月23日時点の予想得票率は、トランプ49.0%、ヒラリー47.8%。全米で劣勢とされていたトランプがフロリダ州では1.2ポイント、リードしていたのです。それが今回の同調査では、トランプ47.1%、バイデン48.6%と、トランプは1.5ポイント、差をつけられています。フロリダ州は、そこを落として勝った共和党候補は1924年以来、誰もいないという重要州。まさに戦線の要地となる州での劣勢ゆえ、トランプは相当苦しい状態と見られます。それだけに、残りの数日間、まさに命がけの遊説を続けるでしょう。

20201025
 バイデン一家の複合疑惑。トランプ大統領の個人弁護士のルドルフ・ジュリアーニが、Newsmaxで、ハンター・バイデンのPCにあったメールの文面を示しながら、バイデン親子の不法行為を暴露しています。多くの証拠があるのに、疑惑について今まで捜査を進めなかったFBIや、今なお報道しようとしない主要メディアを名指しで批判しています。
 さて、こういう告発情報が全米の有権者にどれくらい伝わるか。中東・アフリカ等の発展途上国の改革運動では、SNSが情報伝達の手段となりましたが、今やアメリカ合衆国では、SNSの所有者が情報を検閲・遮断。巨大な資金による資本主義的な情報統制の力と、自由と真実を求める人々の情報伝達のエネルギーとの力比べですね。

20201026
 郵便投票の開票作業は、11月3日以後、数日から数週間かかる見込み。選挙人制度により、12月14日に選挙人による投票が行われる。このときまでに一般投票の集計が終わっていない州がいくつかあり、どの候補も選挙人総数の過半数を取れなければ、憲法の規定により、連邦議会下院が大統領を選出するという140年ぶりの事態になるとのことです。
 この下院における大統領選挙は、各州が1票。下院は現状、州単位では共和党の議員が過半数の州が26、民主党22、その他2。現状のままなら共和党が多数ゆえ、トランプが再選される。しかし、この度の大統領選挙と同時に下院選挙も行われるので、その結果によって、議会の勢力構成が変わります。世論調査では、民主党が優勢。民主党が議席を増やし、各州1票で数えても下院の過半数を占めれば、民主党のバイデンが選出されるでしょう。これに対し、トランプは、郵便投票の無効を訴えて、裁定を最高裁に求める。最高裁は、バレット判事が議会で承認されれば、保守派5、リベラル3、中間派1で保守派が過半数を占めることになり、トランプの主張が通る可能性がある。そうなると、郵便投票を全部無効として、選挙人投票をやり直しでもするのでしょうかね。 
 こうした展開で来年1月20日までに、大統領・副大統領が決まらなければ、下院議長の民主党のナンシー・ペロシが大統領に (80歳の老女。バイデンより年上)。就任後に最高裁の判決が出た場合には、どういうことになるのか。そのままペロシが米国初の女性大統領であり続けるのか。副大統領は、どうやって選ぶのか。バイデンも選出の対象になり得るのか・・・ 米国政治史に詳しい専門家でないと、こういうレア・ケースの詳細までわからないようです。
 私は、米国が大統領職をめぐって混乱と動揺を続けている間に、隙を狙って、共産中国が軍事行動を起こすことを案じています。尖閣諸島、台湾は最大限の警戒が必要だと思います。
 もう一つの懸念は、米国の権力の正統性に関すること。立憲民主主義国における権力の正統性は、憲法に基づいていること。また、選挙が行われていること。これらを満たさなければなりません。米国が大統領選挙について、レア・ケースにおいてもどうするかまで憲法に定めてあるのは凄いですが、憲法の規定に則っていても、公正な選挙の結果でなければ、国民は政権の正統性を認めるかどうかで、分裂・対立します。最悪の場合は内乱が起こるでしょう。
 長期的に衰退の道をたどっている米国は、今回の選挙の結果いかんによっては、衰退の進行を格段と加速することになるでしょう。そのことが世界に及ぼす影響は、計り知れません。なにより、共産中国が一層、勢いづき、世界的に覇権拡大を進める恐れがあります。

20201026
 ジャーナリストの木村太郎氏は、トランプVSバイデンの最終討論会で最も注目されたのは、バイデンの疑惑だったと述べています。その根拠は、米国のニュースサイト AXIOS が24日に発表したデータ。討論後24時間に発信されたSNSを話題別に分類して、集積数を順位づけたところ、第1位は「ハンター・バイデン/トニー・ボブリンスキー」で130万回だったとのことです。第2位は、バイデンの「石油産業は終わらせる」との発言で、54万4500回。疑惑関係が石油産業の2倍以上の数となっています。木村氏は、問題の中国企業株の10%が父親のジョー・バイデンに渡った可能性についても伝えています。
 木村氏は、全国放送のテレビ番組にレギュラーで出ているジャーナリストのうち、米国の左派メディアの偏向報道を批判する、数少ない硬骨の保守派の一人です。

20201027
 米国の議会同時選挙。上院でも共和党が過半数割れか。大統領、上院、下院とも民主党が押さえる可能性が。民主党のシンボルカラーはブルー。ブルースイーブが起こったら、これぞ真っ青。経済は冷え込んで、ブルブル、ガタガタに。

20201027
 認知症が疑われるジョー・バイデン。トランプとの対面討論会や重要な演説で綻びを見せなかったのは、よほどコンディションが良かったのか、適度な緊張をしていたからでしょう。しかし、最近伝えられる公の場での発言は、明らかに自制力や記憶力の低下を示しています。

 「アメリカ政治史上最も広範で包括的な有権者の詐欺組織を我々は作り上げたと私は考えている」ーーー詐欺組織(fraud organization)? 郵便投票の組織のこと? 自制できずに本音を思わず漏らしたのかな?
 Democratic nominee Joe Biden said his team has created "the most extensive and inclusive voter fraud organization in the history of American politics" in a recent video.
https://www.foxnews.com/.../biden-voter-fraud...
 「わが国はどんな国になってしまうでしょうか。もう4年間、前の米国・・・ジョージ、あぁ、ジョージ・・・」ーーージョージ? ジョージ・W・ブッシュのこと? ドナルド・トランプでは? 記憶が錯綜し、意識が混濁してますね。
 MUST WATCH: Joe Biden confuses President Trump with George Bush-------"4 more years of George, uh, George..."
https://www.youtube.com/watch?v=9EMq42gdJQM...

 彼の周囲、そして背後には、認知症が発症している高齢者を大統領に押し立てて、権力と富を得ようとしている人間たちがいます。
 バイデンが大統領になったら、大殿様がボケているのをよいことにして重臣たちが勝手な政治をするか。任期中に職務遂行不能に陥り、カマラ・ハリスが大統領になって経験不足なのに自信過剰で暴走するか。どちらの事態も、親中派の急進左派の動きに要注意です。とりわけ、議会同時選挙で上院・下院も民主党が過半数を占め、圧倒的な権力の集中が起こった場合、”黒い女帝”ハリスが左派と組んで、習近平と連携する政治を行なうことになると、最悪です。こんな悪夢を”鬼滅の刃”で断ち切りたいものです。

 次回に続く。

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 『人類を導く日本精神~新しい文明への飛躍』(星雲社)
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仏教73~清の時代

2020-10-28 10:58:09 | 心と宗教
●清の時代
 
 清のシナ統一によって、シナ文明は再び非漢民族が支配する時代になった。
 満州の女真族を統一したヌルハチ(奴児哈赤)は、1616年に国号を後金とした。その子のホンタイジ(皇太極)は1636年にこれを清に改め、皇帝に即位した。3代順治帝の時、1644年に李自成が明を滅ぼしたのに乗じて、シナ本土に攻め入り、北京を都とした。清は、18世紀末までに領土をシナ全土からモンゴル・チベット・台湾・新疆に広げ、シナ文明の歴代王朝で最大の版図に達した。
 清は、女真族の軍制である八旗の制度によって満州人を統制した。その一方、シナの文化・伝統を尊重して官吏に漢人を登用し、役人を満州人と漢人を同数とする満漢併用制を採った。
 17世紀後半から18世紀末にかけての康煕(こうき)帝・雍正帝・乾隆帝の治世は、租税の減免、黄河の治水、官吏の綱紀粛正等によって民心を集めた。政治の安定によって、経済は目覚ましく発展し、清代の最盛期を迎えた。
 だが、乾隆帝の晩年には、官吏の腐敗が著しくなって政治が乱れた。また、辺境の経済開発は小数民族の反乱を引き起こした。農村の過剰人口は都市に流入して遊民となって政治秘密結社を作ったり、地方に逃散してそこで反乱を起こしたりした。
 19世紀になると、欧州列強のシナ進出が本格化し、1840年のアヘン戦争、1856年のアロー戦争の敗北によって、シナは白人種の半植民地と化していった。また、各国のプロテスタント宣教師による布教が本格化した。キリスト教的な宗教結社を創始した洪秀全は、1851年に太平天国の建国を宣言して武装蜂起した。太平天国の乱は、1864年まで続いた。清朝では帝国の立て直しのため、洋務運動に代表される富国強兵策が取られたものの、1895年に日清戦争に敗北し、世界に失態をさらした。清朝を近代西欧的な立憲君主国に改革しようとする戊戌の変法は、西太后の反対で潰された。
 1899年には扶清滅洋を唱える義和団が、武力による排外運動を起こした。義和団は、白蓮教の一派ともいわれる秘密宗教結社だった。清朝は義和団を支持して対外宣戦を布告したので、日本を含む英米等の八カ国の連合軍が出兵して、反乱は鎮圧された。この事件の結果、反植民地化が一段と進展した。
 こうした中で、孫文は滅満興漢と反封建主義を唱えて革命運動を起こした。孫文の三民主義、すなわち民族主義・民権主義・民生主義は、漢民族のエスニックなナショナリズムを基盤として、儒教的な伝統思想に近代西洋の民主主義と社会主義の要素を加えたものだった。孫文は1911年に辛亥革命を成功させ、1912年に中華民国の成立が宣言された。同年、1912年最後の皇帝・宣統帝が退位して、清は滅亡した。

◆清代の儒教
 朱子学・陽明学は、明代末期の国家社会の混乱に際し、具体的な対策を示せなかった。これに対し、性理学は空疎だとの批判が起こり、学問は世を治め、実益を増進するものでなければならないという経世致用の実学が提唱された。清代初期には、これを受けて、王夫之、黄宗羲、顧炎武等が活発に政治論や歴史論を展開し、反清復明の運動を行なった。だが、清によるシナ支配が確立すると、実学は後退し、学界の主流は古典学に移った。漢唐訓詁学を基礎とし、漢字や音韻の研究、歴史学、地理学等を駆使して実証的な研究を行なうものであり、これを清朝考証学という。その研究成果により、従来の古典解釈に多くの修正が行われた。それでもなお朱子学は、その権威の揺るぐことなく、官学の地位を保持し続けた。

◆清代の仏教
 清は、基本的に明の仏教政策を継承した。僧侶と民衆の接触を禁止し、仏教教団を社会から隔離したので、仏教教団の活動は、明代に引き続いて低調だった。元代に引き続き、道教の全真教・正一教が栄え続けたのとは、対照的である。こうしたなか、仏教の宗教結社の活動は止むことがなかった。
 浄土系の白蓮教徒は、清代にも活動を続け、1796年に大規模な白蓮教徒の乱を起こした。反乱は広い地域に及び、1804年まで続いた。清軍はこれを抑えられず、地方の有力者が組織した郷勇という民兵軍の力を借りて鎮圧した。多大な軍事費を要したため国家財政が悪化し、また帝国軍の弱体ぶりが露呈したことにより、清朝の衰退が顕著になった。
 禅宗系の羅教は、江南に広まって勢力を拡大した。もともと水夫を中心とした秘密宗教結社だったが、槽運関係の労働者等による秘密結社・青幇(ちんぱん)との結びつきが密接になった。政府・官憲から取り締まりを受けるようになり、白蓮教と同類の邪教として排撃された。
 清末になると、居士仏教によって仏教復興運動が興った。当時の代表的な居士に、楊文会がいる。楊は、アヘン戦争後の19世紀後半から20世紀初めの時代を生き、金陵刻経処という印刷所をつくって、仏教の聖典の刊行と流通に尽力した。日本の仏教研究に近代西欧の実証的・客観的な方法論を初めて導入した仏教学者・南條文雄と交流し、シナでは失われた聖典を日本から入手して出版した。また、インド・ヨーロッパの仏教学者とも交流した。変法自強運動を進めた康有為、梁啓超、章炳麟等にも影響を与えた。
 こうした新しい動きはあったものの、仏教の儒教・道教に対する明らかな劣勢は、清代においても変わらなかった。

◆清代の道教
 清代には、道教系の秘密宗教結社も現れた。その代表的なものが、一貫道である。羅教の系統に連なり、19世紀末頃、路中一が創設したとされる。弟子の張天然が河北省・山東省から揚子江流域一帯にまで教勢を拡大した。老子を開祖と仰ぐが、結社の名称は、『論語』の「吾が道は一もって之を貫く」に由来する。儒仏道三教だけでなく、キリスト教・イスラーム教を含めて、五教帰一を掲げる。明明上帝(無生老母)を最高神とし、これをすべての宗教の神々の本源とする。天地開闢の後、青陽・紅陽・白陽という三つの時代の末期に大破壊が起こるという「三期末劫」を説き、やがて終末の大災難が到来するが、一貫道を信じる者は明明上帝によって救われると説いた。

 次回に続く。

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米大統領選挙3~バイデン一家の複合疑惑が暴露

2020-10-28 10:09:09 | 国際関係
 10月16日から22日の掲示のまとめです。

20201016
 米国の主要なマスメディアは、全国的には10ポイント前後の差でバイデン優勢、トランプ劣勢とし、激戦州でもバイデンがやや優勢と伝えています。しかし、世論調査の数字に表れない「隠れトランプ」の存在や、2016年の選挙の終盤戦で見せたトランプの強さから、トランプ勝利を予想する人々は前回選挙の時より遥かに多くなっています。前回、わが国で結果を的中したのは、米国のディープな事情に通じたごく少数の論者のみでした。
 一方、ロイターの10月16日の記事は、10月9~13日に行われたロイター/イプソス調査に基づいて、トランプの逆転劇は起こらない可能性が高いと見ており、それは前回選挙の時とは異なる要因があるからだとして、次のように指摘しています。

・投票先をまだ決めていない人の数が、4年前に比べてずっと少ない。彼らがトランプとバイデンのどちらを選びそうかという点では、五分五分。
・前回選挙に比べて期日前投票数が格段に多くなっている。10月16日までに期日前投票を済ませた人は、前回約140万人、今回は約1500万人。
・既に投票先を決めている人が多い。「誰に投票するか分からない」や「第3の候補を考えている」と答えた有権者は、全体の8%前後。4年前のこの時期は、トランプかヒラリーかで迷っていた人は、その2倍以上いた。
・バイデン支持者、トランプ支持者のそれぞれ9割は、もう投票先を絶対変えないと答えている。
・トランプは、態度未定者をバイデンより多く獲得するだけでなく、バイデン支持者の一部を奪い取ることが必要。だが、トランプは選挙戦の最後に態度未定者に働き掛けようとせず、保守層の徹底的な掘り起こしに関心を向けている。
・とりわけトランプが苦戦しているのが、無党派層に属する都市近郊在住の女性層。前回選挙では、彼女たちの多くはトランプ氏に投票したが、今回トランプは不人気で苦戦している。

 このロイターの記事は、自社系の世論調査の結果に基づくもの。どこまで米国社会の実態に迫っているかは、結果を見るまでわかりません。

20201017
 ジョー・バイデン親子の中国絡みの新たな疑惑について、ニューヨーク・ポストが書きました。
 国際ビジネスのコンサルティング会社のJ2cRのギラーがジョー・バイデンの次男ハンターに送ったメールが暴露されたものです。あるメールには、ハンターが中国のエネルギー企業であるCEFC(中国華信能源)と新規で設立する企業の役員(会長か副会長)となり、会社の全株式の20%がハンターのものになることが記されているとのことです。また、別のメールには、ハンターとCEFCの会長の叶简明氏との契約内容が含まれており、先の新規企業には持株会社「ハドソン・ウェスト」が別に設立され、この持株会社の所有権の半分がハンターのものとなり、この役員報酬として年間1000万ドル(10億円)以上がバイデンのものとなることが見込まれるとい内容がしるされているとのことです。この点について、ハンターは「私だけでなくバイデン一家にとってはるかに興味深い」と書いており、彼個人の利益だけではないことが読み取れます。
 朝香豊さんは、上記の件について詳しく伝えたうえで、FBIがこの重大な事件についての捜査を行った形跡はなく、FBI内部で捜査が握りつぶされていたと考えられるという見解を書いています。私は、FBIの内部というより、背後から強い圧力がかかっているのだろうと思います。現在のトランプ政権によるものではなく、政府や政党を超えた勢力によるものでしょう。彼らは、マスメディアを所有し、大衆を支配する道具としている集団でもあります。

20201017
 バイデン親子の中国疑惑問題。FOXニュースが暴露したメールに、「ビッグガイ」として父親の副大統領、「H」として息子のハンターが登場したとのことです。
そのメールには、ハンターはCEFCと新規で設立する企業の役員となり、会社の全株式の20%がハンターのものになることが記されているとのことですが、このメールには10%がJimのものとなり、10%が「ビッグガイ」のもととして「H」によって保持されるとも書かれていた。
FOXニュースは、「ビッグガイ」とはバイデン元副大統領のことだと明らかにしました。つまり「H」すなわちハンターは全株式の30%を保持し、そのうち10%分はジョー・バイデンのものということです。「Jim」はジョーの弟のジムでしょう。
 私は、バイデン親子だけでなく、ヒラリー・クリントン、バラク・オバマらを通じて、共産中国からもっと大きな利益を得てきた勢力が背後に存在するだろうと思います。その勢力が今回の大統領選挙でも、莫大な資金力で情報を操作し、大衆の投票行動を自分たちの望む方向に誘導しているものと見られます。

20201017
 10月17日の産経新聞朝刊、国際面の米国発の記事が、過激な陰謀論を広める集団として、Qアノンについて報告しました。

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陰謀集団「Qアノン」が勢力拡大 トランプ氏を支持、巧妙に規制逃れ

 【ニューヨーク=上塚真由、ワシントン=黒瀬悦成】過激な陰謀論を唱える米国生まれの集団「Qアノン」の主張がインターネット上で拡散し、ソーシャルメディア各社が規制強化に乗り出している。根拠不明の陰謀論はいつの時代も存在してきたが、トランプ米大統領を熱烈に支持するQアノンは、新型コロナウイルスの社会不安に乗じ、勢力を拡大。発信方法を多様化し、監視の目をかいくぐっている。
 トランプ氏自身は15日、南部フロリダ州で開かれたNBCテレビ主催の対話集会で、Qアノンの主張を否定することを拒否。8月にもQアノン信奉者らについて「よく知らないが、私のことを好きで、米国を愛する人たちだ」と比較的好意的な態度を示した。11月の大統領選で劣勢を強いられる中、勢力を伸ばすQアノン信奉者たちの支持をつなぎとめたい思惑が見え隠れする。
 米メディアによると、Qアノンがネット上に出現したのは2017年秋ころ。正体不明の「Q」というハンドル名でネット掲示板に書き込み、それを支持する人たちがQアノンとして集団を形成。アノンは、アノニマス(匿名性)の略だ。
 彼らによると、民主党の大物議員や財界の有力者が「ディープ・ステート」(影の政府)を支配し、国際的な児童買春などの犯罪に関与していると主張。トランプ氏はその影の政府を暴くために選ばれた救世主としてあがめられている。
 事実無根な陰謀論を流布するが、Qアノン信奉者に通底するのは主要メディアやエリート層への反発だ。
 米ロサンゼルスに住むラッパーのニック・ニトーリさん(32)もその一人。かねてから「月面着陸はなかった」などといった陰謀論に興味があったが、Qアノンを知り没頭するようになった。毎日4~5時間を費やしてネットで陰謀論を検索している。ニトーリさんは、「トランプ氏は、エリート層や主要メディアに逆らっている。だからこそ信用できる。トランプ氏は、児童買春を目的とした人身売買組織を止めてくれる存在だ」と話す。
 15日の対話集会でトランプ氏は、司会者から「民主党は悪魔崇拝の小児性愛集団だという陰謀論を否定するか」と聞かれた際、「Qアノンのことはほとんど知らない」などと述べるにとどめた。
 米メディアによると、今年に入り、新型コロナで自宅待機を強いられ、ネットの利用時間が増えたことなどを背景にQアノンの勢力が急伸長。今年夏時点で、ネット上の関連サイトは数百万に及んだという。
 一方、Qアノンをめぐって、米連邦捜査局(FBI)は5月、「潜在的な国内テロの脅威」と指摘する文書を発表し、Qアノンが計画や実行に絡んだ暴力事件が少なくとも2件あるとした。また、9月にはQアノンの信奉者の間で、米西海岸で起きた山火事をめぐり「極左過激勢力が起こした」とするデマが拡散。当局に通報が殺到し、消火活動が妨げられるなど実社会への被害も出始めている。
 Qアノンに触発された家族を救出する運動も始まり、ネット上の「被害者の会」に参加する人は約3万人にも上った。
 こうした中、注目されるのは、Qアノン拡大の温床となってきたSNS各社の対策だ。ツイッターは7月に7000余りの関連アカウントを停止。フェイスブック(FB)も8月に暴力を助長する内容を、今月6日には全ての関連アカウントを削除すると発表した。
 ただ、規制をかいくぐるため、SNS上ではページの名前を「Q」から「cue」と書き換えて発信したり、子供の安全を訴えるグループなどのハッシュタグを利用して、陰謀論を拡散させたりする動きも目立っている。
 SNS各社に対し「Qアノンの誕生から数年にわたって放置してきた責任は重い」(米メディア)と厳しい目が注がれるが、ネット上で短期間で量産されるため、対策は追いついていないのが現状だ。
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 記事本文と付属の囲み記事には「ディープ・ステイト」「国際的な児童買春」「悪魔崇拝の小児性愛集団」「女性や子供の血をすすって若さを保つ」などの言葉が並びます。我が国の全国紙がこの種の陰謀論について、これほど具体的に書いたのは、初めてではないでしょうか。そこには、Qアノンの主張が米国のトランプ支持者に影響を広げているという無視し得ない現実があります。
 ところで、マスメディアや権威主義的な学者は、現代社会の支配構造を明らかにしようとする取り組みに対して、十把一絡げに陰謀論というレッテルを貼り、取るに足らない妄説として、言論の場から排除します。陰謀論というレッテルは、現代社会の支配構造の真相を見えにくくするカムフラージュとなっています。また同時に、極端な主張をする陰謀論や空想に走る無責任な陰謀論は、事実・実態に迫ろうとする真摯な取り組みをも、それらと同じような類いのものと人々に思わせるものとなっています。

20201019
 ジョー・バイデン親子のウクライナ&チャイナ疑惑。大杉実生さんがFBポストで要点をわかりやすくまとめています。

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 アメリカ大統領候補、ジョー・バイデンの闇の金脈疑惑がいよいよ暴露される。
 息子のハンター・バイデンは、ウクライナの「プリスマ」という大企業の企業家に接触し、父親のジョー・バイデンを紹介した。
 紹介したというだけで、毎月5万ドルの報酬を受け取っている。
 プリスマは捜査を受けることになっていたが、ジョー・バイデンが「検事総長を解任しろ、でないと、10億ドルの借款はしない(当時、米国はウクライナに10億ドルの借款をすることになっていた)」と圧力をかけていた。こうなると、完全な賄賂になるし、権力の乱用にもなる。
 また、中国の巨大な企業「CEFC」という石油関連の会社から、息子のハンター・バイデンは年に10億ドルの報酬を受け取っていた。理由は、やはり、ジョー・バイデン副大統領(当時)を紹介しただけ。
 これらの内容は、修理に出したハンター・バイデンのパソコンに保存されていたもの。修理店の店主がコピーしていたが、パソコンを受け取りに来ないので、困り果てていたところ、PC本体をFBIが押収した。店主は驚き、コピーをジュリアーニ元ニューヨーク市長に渡した。ジュリアーニは現在、トランプの個人弁護士になっていたため、内容が暴露された。
 ジョー・バイデンには息子を通して巨額のウクライナマネーと、チャイナマネーが入っていたことになる。
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 これが日本であれば、ものすごい大問題になっているでしょう。いくら日本のマスメディアが左傾・偏向しているとはいえ、連日テレビ・新聞が報じるでしょうね。ところが、米国のマスメディアの多くは、バイデンに不利な情報は流さない。そのうえ、ある意味でテレビ・新聞以上のスーパー・マスメディアともいえるツイッターやフェイスブックまでが、バイデンに不利な書き込みを検閲して、大衆の眼に触れないようにしている。自由を最高価値とする米国社会では、商業主義のメディアにおいても、報道の中立・公正の倫理より、言論・表現の自由が優先されます。メディアを所有する者たち、メディアに資金を提供する者たちの資金力が、大統領選挙を大きく左右します。

20201019
 「バイデン一家は、アメリカ史上、最も腐敗した政治家一族だ」とドナルド・トランプ・ジュニアが訴えています。父親のジョーと息子のハンターのウクライナ&チャイナ疑惑を始め、家族・親族の腐敗行動の数々を挙げて、厳しく非難しています。その内容の多くは、連邦議会上院の報告書に基づいているようです。
 Youtubeに揚がったビデオですが、ツイッターやフェイスブックは検閲するのかな?
https://www.youtube.com/watch?v=q6M1YIXPIxk&feature=youtu.be&fbclid=IwAR0Ffu27vq8UGj4eK_JNJQFp-4cNCdcoLSxCJm4d44GxeZAFwveY9Dk3Kno

20201019
 米国の大統領選挙は、一面ではスキャンダルの宣伝合戦となります。2016年のヒラリー・クリントンとドナルド・トランプの戦いでは、おそらく米国史上、最低の宣伝合戦が繰り広げられました。
 この4年前の選挙で、最も恥ずべき内容のものの一つだったのが、スチール文書でした。報告者は、クリストファー・スチールという元MI6の諜報員。ロシア連邦保安局(FSB)の元中佐リトビネンコの毒殺事件にロシアが国家ぐるみで関与していると暴いたことで有名な人物です。そのスチールが、FSBの複数の知人から得た情報で作成したとされるのが、スチール文書。トランプが大統領に立候補する前、モスクワのホテルの部屋に売春婦を呼んで乱痴気騒ぎを行い、その様子をロシア政府が隠しカメラで撮影し、トランプを操り人形にしようとしたことを”暴露”したものということでした。ところが、現在では、これが全くの作り話だったとみなされています。
 今回の選挙では、方や民主党側は、トランプは大統領になる前の15年間のうち10年間、連邦所得税を納めていなかった、2016~17年に納めたのは750ドル(約8万円)のみと納税に関する批判。方や共和党側は、Qアノンによる都市伝説的なストーリーやトランプ・ジュニアによる政敵攻撃的な訴え。これらを始め連日、虚実混交の様々な情報が飛び交うと、見聞きする側は心理的な飽和状態に陥って、どっちもどっちという感覚に陥りやすいところですが、これが、人類の将来を左右する米国の大統領選挙です。これが人類の現状だともいえます。

20201020
 トランプ大統領は、ツイッターで「ジョー・バイデンは犯罪者だ。ノートパソコンでバレた。他に誰が犯罪者か?これを報道しない君らは犯罪者だ。言わせてもらう。ジョー・バイデンは犯罪者だ。長い間罪を犯してきた。報道しないあなた方メディアも犯罪者だ」と主張。
 本日10月20日昼のNHKテレビのニュースで、トランプが支持者の集会で、「バイデンは犯罪者だ。バイデン家は犯罪組織だ」と非難している場面を流していました。最終盤戦の現在、トランプ陣営は、この主張に力を入れているようです。22日の第2回候補者討論会では、この主張を打ち出す作戦ではないでしょうか。
 ところで、トランプは、ヒラリー・クリントンとの選挙戦では、「ヒラリーは詐欺師だ。自分が当選すれば、監獄行きだ」と訴えました。だが、ヒラリーは投獄されず、トランプが名誉棄損で罰せられることもありませんでした。今回は、どうなるでしょうかね。

20201021
 トランプ大統領が、最終盤でバイデンを「犯罪者だ」と主張。バイデン一家には多くの疑惑がありますが、そのうちウクライナ疑惑は、トランプの弾劾裁判のもとになったものでもあります。民主党は、トランプが昨年7月にウクライナ大統領との電話で、軍事援助の凍結解除をちらつかせながら、今年の大統領選で対立候補になると見られたバイデンの捜査を働きかけ、また、ウクライナ疑惑をめぐる下院の調査を妨害したとして、権力乱用と議会妨害で弾劾訴追。米国史上3回目となった大統領の弾劾裁判は、本年2月に、トランプは無罪という結論で終わりました。とはいえ、これは、上院は共和党が多数を占めているなかでの、まさに政治的決着。大統領の弾劾は、二大政党間だけでなく、米国社会全体に深刻な分裂と対立をもたらしました。当時、秋の大統領選挙に大きな影響をもたらすだろうと予想されたものです。
 その後、民主党の候補が本命のバイデンに決まり、トランプ対バイデンの戦いが始まってから、この数ヶ月、あまり話題になってきませんでしたが、バイデンのウクライナ疑惑が再び注目される今、トランプの権力乱用と議会妨害の疑いもまたそれに伴って浮上します。米国社会の混迷は、底なしに深いです。

20201022
 ジョー・バイデンの疑惑がまた出てきました。米中央情報局(CIA)の諜報員が中共の大捜査に遭い、30人あまりの諜報員が逮捕され処刑されたそうです。
 10月20日の香港大紀元新唐人共同ニュースが、次のように伝えています。
https://www.youtube.com/watch?v=t1C6iAhWzzY&feature=share...

 「バイデン米大統領候補への疑いがまた出てきました。国家安全保障会議(NSC)元戦略計画局長、リッチ・ヒギンズ氏のツイッターでの投稿によると、ハンター氏は2010年から中国から資金をもらい始め、同年から米中央情報局(CIA)の諜報員が中共の大捜査に遭い、30人あまりの諜報員が逮捕され処刑されたそうです。同投稿から『バイデン氏がこのCIA諜報員の機密漏洩事件に関わっている。国家機密を漏洩した"反逆罪"の疑いがある』との暗示が読み取れます。同事件は2010年~2012年の間に発生し、中国にいたCIA諜報員30人あまりが、中共に処刑されたそうです。CIA至上かつてない甚大な損失を被り、及ぼした影響も大きかったといいます。  バイデン氏親子のスキャンダルを最初に暴露したのは、トランプ大統領の個人弁護士で元NY市長のジュリアーニ氏です。ジュリアーニ氏は、米FOXニュースに『バイデン家が中国で得た金銭利益は更に多く、次回はこの内容を公表する。米大統領候補のバイデンは一年前まで中共の共同経営者だった』と公言しました」

 後半部分で言及されているジュリアーニは、最近「Newsmax TV」で次のような趣旨の発言をしているとのことです。ーーハンター・バイデンが使っていたノートパソコンのハードディスクのコピーを入手した、ディスクに保存されているメモに中国共産党の幹部3人がある「大物(ビッグガイ)」に送金していることが記されていた、「大物」とは父親のジョー・バイデンに違いない、ハードディスクにはハンターの未成年女子との不適切な交際に関する画像やメールもある、と。
 こうした爆弾情報が、大統領選挙の有権者の投票行動にどこまで影響を与えるか。注目したいところです。

 次回に続く。

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 『人類を導く日本精神~新しい文明への飛躍』(星雲社)
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米大統領選挙2~トランプのコロナ感染と快復

2020-10-27 10:23:13 | 国際関係
 9月27日から10月15日の掲示のまとめです。

20200927
 米大統領選は、いよいよトランプとバイデンによるテレビ討論会へ。第1回は9月30日。以後、選挙直前まで全3回行われます。直接対決で、丁々発止のやりとりが見られそうです。郵便投票の有権者への訴求を考えると、初戦が非常に重要だと思います。後の方の討論会の時には、既に投函している有権者が多くなっているでしょうから。
 ちなみに、各種報道によると、今回の大統領選では、全米50州のうち9割近い44州で、全ての有権者が郵便投票を利用可能。約8千万人が利用すると推定され、その数は2016年の大統領選での投票総数の約58%にあたるとのことです。6割近いとは、驚きです。
 郵便投票の一部は11月3日の投開票日より遅れて開票されるため、勝者の判明には相当日数がかかる模様。多くの州は郵便の遅配を考慮し、必着日を11月3日の約1週間後に設定。ミシガン州は2週間後、ワシントン州は20日後とさらに遅い州も。接戦になれば、勝者判明が2~3週間、いやもっと遅れるかもしれません。米国は、選挙管理機関の事務処理能力が低く、しかも共産中国等による様々な仕方の介入や不正行為が予想されるので、大きな混乱が生じる可能性があります。
 共和党支持者は直接投票を望む有権者が多く、民主党支持者は郵便投票を選ぶ有権者が多いと見られ、11月3日夜の開票速報では、トランプがバイデンを上回り、勝利宣言をするのではないかとの観測があります。その後、郵便投票の開票作業が進むにつれて、バイデンが票を伸ばすことも予想されます。また、もし郵便投票は不正が多くなると批判してきたトランプが敗北したら、選挙の無効を訴えて、法廷闘争に持ち込むとも見られます。
 良かれ悪しかれ、これがアメリカの民主主義です。

20201003
 本年の米大統領選挙は、新型コロナウイルスの感染拡大で、米国では世界で最も多くの感染者と死亡者が出ている中での選挙となっています。米国の経済的な打撃も大きく、1929年の世界大恐慌以来の被害を受け、実質GDPは年間換算でー33%と予想されます。
 こうした中で、トランプ米大統領夫妻が武漢ウイルス感染症で陽性反応。米国の政治・外交・安全保障、そして大統領選挙への影響は甚大です。早期快復を願います。

20201005
 ジャーナリスト・木村太郎氏によると、トランプ米大統領が武漢コロナウイルスに感染して入院後、支持率が上昇しているとのことです。理由は、国が混乱に陥った時、米国民は大統領を支持して結集する傾向があること、感染した大統領夫妻は同情と祈りの対象となったこと、ウイルスに感染した大統領を批判するのはタブーになったことなどのようです。
 バイデン候補側は、大富豪ブルームバーグらの提供による豊富な資金を使って、大々的にトランプ大統領のネガティブ・キャンペーンを張る予定だったでしょう。対抗候補は、自分には実績がなくとも、大統領の失政や失言を取り上げて攻めれば、国民の不満を自分の得票に向けられます。しかし、トランプ大統領がコロナに感染したことで、ネガティブ・キャンペーンを自粛したので、有効な戦術を使えなくなりました。そのことが残り1カ月で、有権者の投票行動にどう影響するか。汚いののしり合いを見ないで済むのは、よいことですが。
 トランプ大統領が数日で感染症を克服できれば、コロナに打ち勝った大統領として、強さを国民にアピールできます。反対に、74歳と高齢、肥満症で心臓病等の既往症があることから、重症化すれば、職務の継続も厳しくなります。選挙について大きな痛手は、選挙運動の両輪といわれるステッピーン選対本部長とマクダニエル共和党全国委員会委員長も感染し、選挙運動を推進できなくなっていること。トランプ陣営のコロナ認識の浅さ、感染症への健康管理の甘さは、あきれるレベルです。
 特に最高裁判事候補にバレット判事を指名する式典では、大統領を始め参集者の8割近くがマスクをせず、椅子の間隔をあけず、終わった後はハグをしたり、至近距離で会話をしたり。参加した大統領及び側近合わせて11人のうち7人が陽性反応。この指名式典が、ホワイトハウスがクラスター化した原因と見られています。
 トランプ大統領及びその周辺は、コロナ対策の意識が低く、危機管理がまったく出来ていません。国家安全保障の中枢がこれでは、米国も世界も危うい。誰かホワイトハウス内のまともな人間がリーダーシップを発揮して、しっかり態勢を立て直してもらいたいものです。

20201007
 トランプ大統領が武漢ウイルス感染で入院から3日でホワイトハウスに復帰。このまま健康状態が安定し、強い大統領をアピールし、自分がコロナ感染で学習したことを政策に打ち出せるかどうか。また、選対本部と共和党全国委員会の立て直しを早急に進められるかどうか。そして、15日に予定されている2回目の討論会で、バイデンとどういうやりとりをするか。注目されます。(註 この討論会は中止に)
 米国の政治専門サイト「リアル・クリア・ポリティクス」がまとめた10月2日現在の全米平均支持率は、トランプ43.1%、バイデン50.1%で、バイデンが7ポイントのリードとのことです。わが国では、保守系の産経新聞でさえ、主にこのデータを報道しています。産経の記事はCNNの世論調査も併記していますが、CNNが感染判明後に行った調査(10月1~4日実施)では、トランプ41%、バイデン57%で、差は16ポイントにまで拡大したとのことです。過去最大の開きです。
 しかし、2016年の米大統領選挙とイギリスのEUからの離脱の結果を的中させたイギリス紙Expressと民主主義研究所(Democracy Institute)との共同調査によると、トランプはバイデンより、1%リードしているとのことです。この調査はトランプのコロナウイルス感染がわかる前から始められ、感染がわかった後に集計したものです。本件の情報を伝える朝香豊さんは、FBポストに概略次のように書いています。

・トランプ大統領のコロナウイルス感染について、68%は影響がないと答えた。19%がトランプ支持傾向が強まったとし、13%がトランプ支持傾向が弱まったとしている。
・スイング・ステートでは、トランプがバイデンを4ポイントリード。
・獲得する選挙人の数では、トランプがバイデンに320人対218人でリード。

 果たして、今後の展開や、いかに。

20201010
 トランプ大統領は、3日間の入院中に、米リジェネロン・ファーマシューティカルズが開発した抗体カクテルを投与されたとのことです。治療薬を投与されなければ死の危険があったことを認めたと伝えられます。危なかったですね。

20201013
 トランプ大統領がコロナ検査で、陰性。主治医が感染リスクなしと、発表。快復おめでとうございます。感染を経験して学んだことを、今後の政策にしっかりと生かしてもらいたいものです。

20201015
 米国大統領選挙の投開票日まで、あと3週間を切りました。ここへ来て、ジョー・バイデン親子のウクライナ疑惑に関する重要な内容が載ったメールが暴露されました。朝香豊さんがFBポストに書いているので、紹介します。

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バイデン疑惑の決定的なメール発覚! バイデンの主張が崩れる!(朝香 豊)

 ジョー・バイデンが副大統領だった時に、息子のハンター・バイデンが、汚職疑惑が掛けられていたウクライナのガス会社「ブリスマ」のNo.3の役員を、父のジョー・バイデンに紹介していたことがわかった。
 この役員はジョー・バイデンと面会した後に、ハンターに感謝のメールを送っている。
 メールには、「親愛なるハンター、私をワシントンに招いてお父様とお会いする機会を用意して一緒に過ごせるようにしてくれてありがとう。本当に光栄で楽しい時間だった。」と書かれている。
 このメールはハンターがブリスマの役員として月額5万ドル(500万円)を受け取って1年ほど経った2015年4月17日に送られたものだ。
 そしてメールに書かれた面会の後に、ジョー・バイデンはアメリカ政府の副大統領としてウクライナ政府に圧力をかけ、「ブリスマ」の調査をしていたウクライナの検事総長を解任させた。
 なお、このメールのさらに1年ほど前にこのNo.3の役員がハンターに送ったメールでは、「どうすれば君の影響力を使えるかのアドバイス」をハンターに求めていたこともわかった。
 ジョー・バイデンは「息子とは彼のやっている海外でのビジネスのことについて話したことは一度もない」と話していたが、これが真っ赤なウソであることがはっきりしたと言えるだろう。
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 トランプVSバイデンの対面討論会で、トランプが取り上げるのでは。両者の攻防やいかに。

 次回に続く。

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「日本学術会議、何が問題か」をアップ

2020-10-25 10:14:35 | 時事
 10月20日から23日にかけてブログに連載した拙稿「日本学術会議、何が問題か」を編集し、マイサイトに掲載しました。全文を通してお読みになりたい方は、下記へどうぞ。
http://khosokawa.sakura.ne.jp/opinion13.htm
 目次から48へ
または
http://khosokawa.sakura.ne.jp/
 NEWの表題から

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仏教72~陽明学と仏教

2020-10-24 10:55:32 | 心と宗教
●陽明学と仏教
 
 仏教は宋代から明代にかけて、儒教に影響を与え続けた。儒教の側では、その影響のもとに新しい思想が展開された。宋代の朱子学に続いて、明代には陽明学が現れた。
 南宋の朱熹と同じ頃、陸象山は、朱熹が説く事物の理を知ることより、心の修練に努めるべきだとする心学を説いた。明代初期には、儒学では朱子学が支配的だったが、段々心学が発達し、明代の中期末頃に至って、王陽明がこれを大成した。彼の思想を陽明学という。
 王陽明は、「万物一体の仁」による理想社会の実現を目指して、心即理、知行合一、致良知の三つの説を中核とする思想を説いた。
 朱子学は性即理とし、自然・人間の理性的な理解を説いたが、陽明学は心即理とし、その理解を心情に基づくものにした。朱子学は、すべての事物に理が内在しているとし、窮理を重んじた。だが、王陽明は、物の理と自らの心の性が一致しないことに悩んだ。そして、心の働きそのものが理にかなうことを求め、それを心即理と名づけた。心即理を説く陽明学では、理は行為の道徳的規範を意味し、事物の原理・根拠という意味を含まない。朱子学の中の自然哲学がほぼ失われ、社会哲学が概ね心理学に変化したとみることができよう。
 陽明学もまた、孔子以来の儒教の一派であり、聖人を目指す学問である。王陽明は『伝習録』に、「人の胸中には個々の聖人がいる」との旨を書いている。すなわち、人は誰もが心に中に聖人を生まれながらに持っている。それを顕現できれば、誰もが聖人になることができる。それを目標とし、その達成を志すことが、立志である。この考え方は、仏教における如来蔵思想に通じるものといえる。
 孔子は、人間が身に着けるべき徳の中心に、仁を置いた。仁は、忠つまりまごころと恕つまり思いやりの両面を持ち、仁の理念を実現した理想的な状態が、聖である。朱子学は仁を理性的に理解する傾向が強かったが、陽明学は、仁を心情的に理解して、「万物一体の仁」を説いた。
 「万物一体の仁」は、シナ文明に固有の思想である天人一貫、万物一体の共感に基づくものである。万物の根源は同じであると考え、自他を一体とみなす思想である。「草木瓦石」に至るまで自分と一体であると考えれば、それらに対する哀れみが生まれる。それが「万物一体の仁」である。シナ仏教が、仏性を持つものを植物や無生物にまで拡大して、「草木国土悉皆成仏」と説いたことにも通じる。
 王陽明は、「万物一体の仁」を孟子の「良知」と結びつけた。孟子は人間が本来持っている判断能力を良知と呼んだ。王陽明はこれを重視し、人格を統一する主体とした。自分を含む万物は一体であり、他者の苦しみは自己の苦しみであり、他者の苦しみを癒そうとすることは自然な心の動きであり、良知の働きだと説いた。この良知を致すこと、すなわち良知を十全に発揮し、良知の働きのとおりに行為することを、王陽明は「致良知」という。
 王陽明は、良知は行すなわち行為のもとであり、行は知すなわち良知の現れであるととらえた。これを「知行合一(ちこうごういつ)」という。知行合一は、良知を実現する方法であり、また認識と実践を一致させようとする態度でもある。
 このように陽明学は、心情と実践を重視する思想であり、それゆえに主体的・行動的である。朱子学では、格物致知の格物を「物の理に至る」と解し、知を広め、自己と事物に内在する理を窮めて、宇宙の普遍的な理に達することとした。これに対し、陽明学では、格物を「物事をただす」と解し、良知を発揮することによって、物事に正しく処することとした。ここにも、陽明学の主体的・行動的な姿勢が表れている。
 陽明学は、王陽明の生前から死後に及ぶ約半世紀の間は活動に制約が加えられた。だが、やがて公認され、明代末期には思想界に大きな影響を及ぼすようになり、朱子学より優勢にさえなった。
 王陽明の後継者たちは、大きく二つの系統に分かれた。心を至善無悪とみなし、修養を重んじるものを右派という。右派は、朱子学に近い立場である。一方、心を無善無悪とみなし、束縛を脱した自由な生き方や主体的実践を重んじるものを左派という。左派は、陽明学の特徴をより強く表す立場である。左派の一人、王龍溪は、仏教と老荘思想の影響を強く受け、経書の解釈において積極的に仏教・道教の概念を用いた。また、仏教・道教も真理の一面をとらえているとして、三教一致を目指した。
 陽明学が盛んだったのは17世紀初頭までだった。その後は停滞に陥った。清代には、再び朱子学が正統とされ、陽明学は非実用的と批判されて、急速に衰えた。
 陽明学には、朱子学以上に仏教の影響が見られる。「万物一体の仁」について書いたとおりである。また天を神とし、聖人を神の子に置き換えれば、キリスト教に近似したものとも理解し得る。わが国の幕末から明治初期に、陽明学を学んだ武士の子弟たちがプロテスタンティズムに改宗するという現象が起こった。このことは、陽明学が単なる修養の学問ではなく、宗教的な性格を持っていることを示すものといえよう。

◆明代の仏教
 明代には、仏教教団への国家統制が進み、僧侶と民衆の間に距離が置かれるようになった。教団の活動は低調で、居士仏教が中心となった。そうした傾向のなかで、諸宗の融合や兼修が行われ、特に禅と浄土信仰が合体した禅浄一致が説かれるようになった。儒教の側に、陽明学左派のように、儒教・仏教・道教の三教一致を目指す思想が登場すると、仏教の側でも、明代末期には、仏教を中心とする三教合一論が現れた。だが、それによって儒教・道教を統合し得るほどの理論家は出なかった。それは、仏教の法と力の限界ともいえる。
 こうした中で新たに出現した教団が、羅教である。羅教は、16世紀初めに羅祖が開いたとされる禅宗系の宗教結社である。臨済禅を基礎とし、特に『金剛般若経』に基づいて解脱を目指すことを力説し、個人の学習・修行を重んじた。主に水夫を中心に信仰された。

 次回に続く。

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トランプ対バイデン~世界コロナ禍の中での2020年米大統領選挙1

2020-10-24 10:22:35 | 国際関係
 本年(2020年)の米大統領選挙は、新型コロナウイルスの世界的な感染拡大と、本格化する対決の中で行われている。11月3日の投票日を前にして、既に期日前投票や郵便投票がかつてない規模で進んでいる。10月22日は、最後となる候補者の対面討論会が行われた。投票日まで、あと10日あまりである。
 私は、コロナ禍と米中対決については、10月16日に拙稿「コロナ禍を乗り超えて、日本を立て直そう~米中対決の時代から共存共栄の新文明へ」をマイサイトに掲示した。他にも関連する掲示文を揚げている。
http://khosokawa.sakura.ne.jp/opinion12-10.htm
 大統領選挙については、8月21日に拙稿「米大統領選は接戦のなか、バイデンに認知症疑惑」をブログに掲載した。
https://blog.goo.ne.jp/khosogoo_2005/e/d56fe764409debd9f507de1eeaf3bb76
 また、9月11日に拙稿「バイデン親子の共産中国との癒着と蓄財」をブログに掲載した。
https://blog.goo.ne.jp/khosogoo_2005/e/1ae864c2d061a98e381e071e812bdea9
 9月30日にマイサイトに掲示した拙稿「人種差別問題~克服すべき米国、利用する中国」も大統領選挙について記している。
http://khosokawa.sakura.ne.jp/opinion12-9.htm
 
 さて、上記の掲示文以外に、私はたびたびSNSに米大統領選挙について書いてきた。いずれそれらをまとめることにして、ここで最終盤の選挙戦の動向に関わるような内容を中心として、9月中旬以降にSNSに掲示したものを編集してブログに揚げておくことにする。

20200915
 ジョー・バイデンには、別掲のような中国疑惑があります。彼が選んだ副大統領候補カマラ・ハリスにも、共産中国とよからぬ関係があることが指摘されています。
 夫のダグラス・エムホフ(白人)が、中国共産党と深い関係を持つ国際法律事務所で弁護士として働いているというのです。その法律事務所はDLA パイパーといい、中国進出企業のコンサルタント業務を30年近くにわたって行い、数多くの共産党人脈を築いているとのことです。また、中国共産党政府を顧客とした仕事もしてきているといいます。
 夫が勤める法律事務所が中国政府と深い関係を持っているとすれば、妻であるカマラ・ハリスの対中政策に関する判断は、夫とその会社に損をさせないもの、むしろ彼らやその顧客が儲けやすくするものとなり、さらに中国政府の対米政策を手助けするものとなる恐れさえあります。
 米国の副大統領は、単に大統領の補佐役ではなく、連邦議会上院の議長でもあります。事故・病気等により大統領が一時的に職務遂行不能になった場合は、臨時的に大統領権限を代行します。また、大統領が死亡・辞任・免職等により欠けた場合は、大統領に昇格します。77歳と高齢で認知症の進行が見られるバイデンは、大統領を2期8年務めるのは無理と自認し、1期4年後の後継者としてカマラ・ハリスを選び、自分は彼女への「つなぎ」という発言をしたと伝えられます。
 息子ともども親子で”龍に乗った”バイデンと、夫が中国政府と手を結んでいるカマラ・ハリス。この組み合わせは、米国の対中政策に関しては、最悪のペアと言えましょう。

20200921
 ジョー・バイデン元副大統領と息子ハンターが、オバマ政権時に行った悪事を暴く報告書が出来上がった模様です。米共和党の上院議員ロン・ジョンソンとチャック・グラスリーが主導して作成したもので、トランプ大統領とバイデンの第1回目のテレビ討論が行われる数日前に公開される予定とのことです。
 ジョンソン議員は上院の国土安全保障・政府問題委員会の議長であり、この議長権限でこのレポートをまとめたといいます。ジョンソン議員は「我々の調査が明らかにしたことが示されれば、このような人物を大統領にすべきではないということがわかる」と語りました。
 トランプ大統領については、ジョン・ボルトン前大統領補佐官(国家安全保障担当)の回顧録や姪で臨床心理学者のメアリー・トランプの暴露本が話題になっていますが、先の報告書とどちらがよりインパクトがあるか、注目されます。

20200926
 トランプ大統領は、極リベラル派のルース・ギンズバーグ判事の死去を受けて、保守派のエイミー・バレット判事を指名する方針を固めたと伝えられます。日本再興プランナーの朝香豊さんによると、「バレット判事はカトリックで、人工妊娠中絶やオバマケアに反対の立場を取り、宗教保守派として強い影響力を持つキリスト教福音派とも考え方が近い」とのことです。
 2年前の2018年まで最高裁判事は保守派4名、リベラル派4名、中間派1名の構成で、中間派がどちらかに傾くかで、判決が左右されていました。しかし、中間派判事の引退を機にトランプ大統領は、保守派を指名。ところが、保守派の要だったジョン・ロバーツ最高裁長官がリベラル的な判断を次々に示し、中間派とも見られる状態に。そこで今回、ギンズバーグ判事の死去でリベラル派が1名減り、それが保守派に入れ替われば、ロバーツ長官を中間派と見ても、保守派5名、リベラル派3名、中間派1名となり、最高裁の判事が保守派多数で安定することになります。
 近年の米国は、選好的なリベラリズムの影響が一段と強くなり、伝統的な共同体に基づく価値観が後退しています。また、多文化主義が共通の規範の土台を崩し、社会の混乱を助長しています。そうした社会において、最高裁は正義や公正に関して良識を示す最後の場所として重要な役割を担っています。その判事の構成が社会に与える影響は大きなものがあると思われます。
 加えて、米国における価値観の変化は、わが国を含む多くの国々に波及する傾向があります。それゆえ、米最高裁の判事構成が安定保守化すれば、選好的なリベラリズムや多文化主義の世界的な波及に、一定の歯止めがかかることが予想されます。
 ところで、米国と異なり、わが国では、最高裁の判事の人選が国民の注目を集めることはほとんどありません。制度としては、現行憲法は第79条に最高裁判所裁判官の国民審査を定めています。国民審査制度は、既に任命されている最高裁判所の裁判官が、その職責にふさわしい者かどうかを国民が審査する解職の制度です。国民には国民審査権があり、衆議院総選挙の際に投票によって意思を示すことが出来ます。しかし、政治と司法の関係に極めて深い関心と知見を持つごく一部の人以外は、各判事の選任の適否を判断できるような情報を持っていないのが実態でしょう。マスメディアも、国民に判断に必要な情報を提供しようとしていません。
 このことは、日本が立憲民主主義の法治国家として、まだまだ未熟であることを示していると思います。

 次回に続く。

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