ほそかわ・かずひこの BLOG

<オピニオン・サイト>を主催している、細川一彦です。
この日本をどのように立て直すか、ともに考えて参りましょう。

東京オリンピック2020の「光」と「影」1

2021-07-31 08:32:52 | 時事
 東京オリンピック2020の「光」と「影」について、SNSに書いたものを時系列的に編集して掲載します。

2021.7.17
 ブログに「無様な姿を世界にさらす日本~新型コロナ対応の迷走と東京五輪の無観客開催」と題した文章を掲載しました。

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 私は本年の年頭に、中国武漢発の新型コロナウイルスの問題について、「昨年12月から欧米でワクチンの接種が始まり、本年はワクチン投与が各国に普及していくと見られますが、その一方で変異種が発生して世界各地に感染を広げており、人類がこのウイルスに打ち勝てるかどうかが、世界経済から国際情勢を左右することになるでしょう」と述べ、「わが国にとっては、昨年から本年に延期された東京オリンピック・パラリンピックが無事開催できるかどうかが、大きな課題です。このスポーツの祭典の実現を通じて、日本の伝統・文化・国柄の素晴らしさが世界の人びとに、より深く知られることを願います」と書いた。
 以後、新型コロナウイルスの脅威の終息と、東京オリンピック・パラリンピックの無事開催を願い続けて来た。だが、新型コロナへの取り組みと東京オリンピックの対応で、わが国は大変まずい状態に至ってしまった。
 ワクチンの接種の進むヨーロッパでは、サッカーの欧州選手権やテニスのウィンブルドン選手権が、有観客で大いに盛り上がった。アメリカでは、メジャーリーグ・ベースボールの満員の球場で大谷翔平選手が大活躍する姿が、毎日放送されている。
 これに比べて、欧米より新型コロナによる死者が圧倒的に少ないにも関わらず、我が国はまた首都に緊急事態宣言が出されることになった。4回目である。期間は、東京オリンピックの開催期間に重なる。今回のオリンピックは、東日本大震災から復興した姿を世界に見せる復興五輪のはずだった。また、菅義偉首相は「人類が新型コロナウイルスに打ち勝った証しとして実現する」という意義を繰り返し述べてきた。だが、結果として、オリンピックを主に無観客で行うことになった。復興を十分出来ず、コロナも克服出来ないでいる日本の無様な姿を世界にさらすことになったのは、誠に残念である。
 6日後の7月23日、東京オリンピック2020の開会式が行われる。1964年の東京オリンピックは、敗戦からの奇跡的な復興と、日本の成長可能性を示す場となり、日本人は誇りを高めた。半世紀を過ぎて再び東京で行われるオリンピックは、今のままでは、挫折と失望の大会となるだろう。パラリンピックは8月24日開始だが、その余波を受ける可能性が高い。
 こうした現状の原因は何か。私は、日本人が1964年の東京オリンピックの時には持っていた団結力を失ってきたことにあると思う。本来は、敗戦によって失った日本人本来の精神、日本精神を取り戻し、東京オリンピック以降、一層の団結力を発揮して前進・向上すべきところ、逆に、米欧の個人主義的な価値観や中国・韓国等の反日思想が社会に浸透し、国民が精神的に分裂状態に陥ってしまっている。そのため、政治や経済、教育、家庭等に深刻な危機が生じている。
 この根本のところを反省し、再出発しないと、日本は衰退・自滅の道を進み続けるだろう。
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2021.7.20
 東京五輪の最上位スポンサー「TOPスポンサー(ワールドワイドパートナー)」の一つであるトヨタ自動車が、五輪に関するテレビCMの国内放映や、豊田章男社長ら関係者の開会式出席を見送る方針を表明。産経新聞は、次のように伝えています。
 「そもそもトヨタが異例の対応に出た背景には、大会運営などをめぐる国際オリンピック委員会(IOC)や組織委員会など、主催者側への強い不信感がある。
 関係者によると、大会延期や無観客開催に至った経緯について、主催者側から十分な説明や相談がなかったことで『亀裂』が生じたという。上層部からは『全ての決断が遅い。情報を報道で知ることも多かった。スポンサーって何なんだ』という不満の声も上がっている。
 主催者側に振り回されてきたという思いは多くのスポンサー企業が感じていることだ。特に五輪開催に対して国民の厳しい目が向けられる中、企業が露出すること自体がリスクとなっており、関係者からは『そこら中に〝地雷〟がある』との声も上がる」

2021.7.21
 五輪開会式の音楽担当の小山田圭吾氏が過去のいじめ問題で辞任。内容は、いじめというより障碍者や弱者への虐待であり、犯罪と見るべきと思います。厳しく批判され、社会的な制裁を受けねばなりません。
 しかし、その一方で、次期冬季五輪の開催国である共産中国では、新疆ウイグル、チベット、南モンゴル、香港では、小山田氏の行ったことより遥かに凶悪なことが、政府によって大規模に行われています。また、過去の話ではなく、現在進行中のことです。
 わが国の主要メディアや政府は、小山田氏を一斉に批判していますが、共産中国に対してはあいまいな態度を続けています。自己撞着を認め、根本的に態度を改めるべきです。

2021.7.22
 米ユダヤ系団体のサイモン・ウィーゼンタール・センターは、東京五輪・パラリンピック組織委員会の開閉会式の制作・演出チームで「ショーディレクター」を務める小林賢太郎氏を非難する声明を発表。
 声明は、日本の一部報道に基づき、小林氏が1998年にナチスによるホロコーストを喜劇の脚本に取り込み、「ユダヤ人大量虐殺ごっこをやろう」と悪意のある冗談を言う役を自ら演じたとしているとのことです。
 これはいけませんね。日本のショービジネスの担い手たちの道徳心・倫理観は、ひどく低下したものです。
 国家の威信をかけた世界的な祭典の演出を、彼らのような人格的に低劣な連中に任せてほしくなかったね。
 なお、SWCは、ホロコーストに関する記事を巡って広告主に圧力をかけ、中央公論社の雑誌『マルコポーロ』を廃刊に追い込んだ団体。南京大虐殺説を支持し、親中的で反日的なことでも知られます。

2021.7.22
 サイモン・ウィーゼンタール・センター(SWC)の非難によって、オリ・パラ開閉会式の「ショーディレクター」を務める小林賢太郎氏は、開会式の前日に五輪組織委から解任されました。
 非難声明は、日本の一部報道に基づいて出されたと伝えられましたが、SWCに通報したのは、防衛副大臣の中山泰秀衆議院議員だったことが分かり、その対応に疑問や批判の声があがっています。
 日本の政治家なら、外国の団体に通報するまえに、政府内で検討して、しかるべき立場の者が五輪組織委員会に調査と対応を求めるべきでしょう。防衛副大臣が自己判断でしてよいことではない。中山氏は、イスラエル・ロビーのエージェントなのか。

2021.7.22
 東京五輪開会式は明日。直前に音楽担当がいじめ問題で辞任、演出を統括するショーディレクターがユダヤ問題で解任。前代未聞の不祥事続きで、関係者・出演者はガタガタの状態でしょう。コロナ対応で迷走し、感染拡大の中で五輪は主に無観客で開催。この上、ドタバタの開会式で、日本の恥をこれ以上、世界にさらしてほしくないです。

2021.7.22
 女子ソフトボール、メキシコ戦。絶体絶命のピンチを切り抜け、延長戦でサヨナラ勝ち。家でテレビで応援しました。感動、歓喜。リーリフの後藤希友選手、20歳、最年少、凄い。物怖じしない。腹が座ってる。次も日本、頑張れ!

2021.7.23
 東京五輪開会式。テレビで途中から一部を視聴しました。
 天皇陛下のご臨席のもと、ミーシャの独唱による国歌「君が代」は、美しく歌われ、心に染み渡りました。
 バフォーマンスの初めの森山未来氏の現代舞踊、続く熊谷和徳氏のタップダンスは羅列的で、一貫したものが感じられませんでした。その後、火消しによる木遣り唄、大工に扮したダンサーらの木工作業と日本の伝統的な文化が盛り込まれました。そこへ、ちょうちん祭の山車に導かれて大きな木製の輪が登場。左右から綱を引くと、輪が変形して五輪のオリンピックシンボルが完成。しかし、驚きを引き起こすほどインパクトはなく、素人にも先が読めてしまう仕掛けでした。
 日本の「木の文化」を強調していたのは、良かったと思います。木材には、1964年東京五輪で各国・地域の選手団が持ち寄った種から育てた木の間伐材が使われているとのこと。人工より自然の重視、環境への配慮が見られました。 
 クライマックスに向けて、伝統的な装束で動く者、現代的な衣服で踊る者、車椅子で参加する者などが入り乱れて、パフォーマンスが行われましたが、私には、多様性の調和にまでは達しておらず、雑然とした混在という感じがしました。
 残念ながら、全体の演出に鮮やかな冴えがなく、また明るさ、華やかさ、活気が足りなかったと思います。
 その後は、選手団の入場行進。無観客の会場での行進は、盛り上がり、熱気、興奮に欠け、途中で見るのを止めました。
 以上、個人の感想です。10歳の時に見た東京五輪の素晴らしさの記憶が妨げになっているのかも知れません。
 明日からの競技に期待します。

2021.7.24
 昼の休憩時にたまたま柔道男子60キロ級の高藤直寿選手の準々決勝戦を見ました。夜は自宅でまた高藤選手の決勝戦を見ることに。泥臭い戦い方でしたが、決して勝負を諦めず、長時間の激闘の末、相手の反則を引き出しての勝利でした。
 日本の金メダル第1号をリアルタイムで見ることが出来ました。しかも武道館で、柔道で、真ん中に日の丸が上がりました。感激です。
 おめでとう!お疲れ様!

2021.7.24
 開会式で天皇陛下が開会宣言をされた際、着席していた菅首相と小池都知事が宣言の途中から起立。この行動が不敬ではないかという声が上がっています。
 天皇陛下が開会宣言をされる時のVIP席参加者の作法を誰が決め、それをどのようにその参加者に伝えることになっていたのか。それとも、この肝心なことを考えていなかったのか。

2021.7.25
 開会式で、各国選手団の入場行進は五十音順。台湾の順番は、過去の五輪大会では中国の後で、「チャイニーズ・タイペイ」とされてきました。今回の五輪では、場内アナウンス・プラカードの表記は、英語・日本語とも「チャイニーズ・タイペイ」で、NHKも字幕は「CHINESE TAIPEI」でしたが、和久田麻由子アナウンサーは「台湾です」と紹介しました。順番も台湾は台湾で、中国の後ではない位置でした。

2021.7.25
 女子サッカーの「なでしこジャパン」は、カナダ戦では国歌を斉唱せずに、胸に手を当てるアメリカ式の礼をしましたが、さらにイギリス戦では米国でジョージ・フロイド事件をきっかけとして広がった競技場での片膝つきを真似しました。物事の表面しか見ておらず、軽率な行為ですね。BLMは人権問題を装うことで、スポーツの大会で政治的なアピールをすることに成功しています。スポーツ一筋のアスリートには騙されやすい人が多いのでしょう。
 「なでしこジャパン」の選手たちには、日本人としての自覚を取り戻すための再教育を望みます。

2021.7.26
 柔道の阿部一二三選手、阿部詩選手が兄妹で同日に金メダル。
 先に金メダルをとった高藤選手と阿部一二三選手の2人は、試合が終わると、観客にお辞儀をし審判団にお辞儀をしました。更に、その後、畳に正座を試合場となった畳に深々と頭を下げました。
 強いだけでなく、精神が素晴らしい。柔道の本質は、スポーツ(気晴らし)ではなく武道であることを礼を以て示してくれました。

2021.7.26
 卓球男女混合ダブルスで水谷隼選手、伊藤美誠選手のペアが、強敵中国ペアをフルセットで破る。やったーー! 水谷君、みまちゃん、遂に金メダル取ったね。
 卓球で日本初の金。同種目の五輪初代チャンピオン。立派です。

2021.7.27
 開催中の東京五輪は、あまりの猛暑に不満を訴えるアスリートが続出。連日のように熱中症の警戒情報が出されるこの7月下旬から8月にかけての時期に開催するのは、IOCが選手たちの健康よりスポーツに絡む利権を優先しているから。
 57年前の東京五輪は、10月に行いました。その後、地球温暖化が進み、わが国では記録的な猛暑が進行中。普通に考えれば、東京で開催するなら10月かそれより後でしょう。それにもかかわらず、7~8月に行うのは、アメリカでの放映権を持つNBCがNFLやカレッジ・フットボールのシーズンと重ならない7月中旬~8月下旬の開催を希望し、ⅠOCは出来るだけ放映権を高く売って利益の最大化を図っているからです。

2021.7.27
 開会式で天皇陛下が開会を宣言された際、菅首相と小池都知事は、ともに椅子に着席したままで、途中から起立。次第と作法、またそのVIP席参加者への説明は、どうなっていたのか。主催者側が、着席のままならそのように、起立するならそのように決めて、参加者に伝えるべきもの。
 問い詰められた大会組織委員会は、台本では陛下が開会を宣言される前に起立を促す場内アナウンスを流すこととなっていたが、IOCのバッハ会長がスピーチの最後で陛下に開会宣言を求める発言をしたため、そのままの流れで進行し、場内アナウンスを入れるタイミングを失ったとの説明をしました。
 これが事実なら、台本は出来ていたが、運営で失敗したことになります。進行責任者に気の緩みがあったものと思います。さらに最大の原因はバッハ会長にあるのではないか。13分もの長時間の挨拶をして顰蹙を買った上に、勝手に余計なことを言って、進行に混乱を生じ、天皇陛下の権威を損ねたとすれば、責任は重大です。このスポーツ利権の王者は、自分が国際社会で特別の存在と思い上がり、悪ノリしたか。

2021.7.27
 ソフトボールは、日本が米国を2ー0で下し、13年ぶりの連覇で金メダル。上野⇒後藤⇒上野で締めくくったリレーは見事。日本、バンザイ!!

2021.7.28
 東京五輪は「光」と「影」が両方強くなっています。光は選手たちの活躍です。影は運営側の失態です。
 メダル授与式での衣装も失態の一つ。全く日本らしさのない珍妙なデザイン。どう見ても朝鮮半島の文化を感じさせるもの。事前に発表された時から不評でしたが、日本には世界に誇るべき着物という独自の文化があるのですから、それを活かしたものにすべきでした。

2021.7.28
 週刊文春電子版 2021.7.28 付が開会式の失態を追跡。昨年4月から今年7月にかけて作成された開会式の台本11冊を入手。計1199頁に上る膨大な資料を通じて、開会式が「崩壊」した内幕を伝えています。

文春の記事より
 「東京のため、アスリートのため、最高の演出を目指したはずのクリエイターたちが蔑ろにされ、最後までIOCや政治家、電通の要望ばかりが優先された開会式。  
 MIKIKO氏(註 氏の演出案でいくことになっていたが、途中で電通役員らによって排除された)は昨年10月16日、電通幹部らにこんなメールを送っていた。
 〈このやり方を繰り返していることの怖さを私は訴えていかないと本当に日本は終わってしまう〉
 アスリートが敗北から立ち直るように、この失敗から我々も学ばなければ、彼女の言葉は現実のものになりかねない」

織田聡氏のFBポストより
 【注目記事】
 電通役員の高田佳夫と彼の電通同期のクリエイター佐々木宏がオリンピック開会式を乗っ取り、崩壊させた。
 今や電通は日本を貶める反日企業になってしまいました。

2021.7.29
 開会式の「崩壊」を通じて、大手広告代理店・電通の親韓・脱日的な体質があらためて問題になっています。
 故成田豊元会長は、両親とも日本人だが、戦前日本統治下の韓国生まれ。中学3年まで韓国で育ち、親韓感情強く、日韓の広告ビジネスを拡大。韓国政府から修交勲章光化章を贈られています。
 成田氏以降、電通は親韓・脱日的な体質に。また、もうけのためなら何でもやる商業主義の急先鋒となりました。その姿勢から中国とのビジネスも拡大。中国・韓国を批判する報道を広告販売などで圧力をかけて封じ込め、主要メディアを親中・親韓へと誤導しました。これによって、どれだけ日本人の意識と日本の政治・経済を歪めてきたか分かりません。

ニコニコ大百科より
 「(註 成田氏は電通の)代表取締役に就任すると、日本のみの活動であった電通の海外進出を画策し、中国、韓国へと進出するようになった。
 特に日本統治下だった韓国出身だったため、特に韓国に対する熱の入れ方が強く、2000年代以降の韓流ブームの火付け役となった。
 2005年に日韓友情年を、2007年には日中文化・スポーツ交流年を企画し、 成田自らが副委員長を務め、賛助団体に広告媒体での力を背景に、新聞、雑誌、テレビの各団体を付けさせた。
 それらの活動を含め、中国や韓国に対する批判報道を広告販売などを盾にしてシャットアウトし、賞賛報道を中心に組み込ませていた」

2021.7.30
 東京五輪の「影」の最も濃い部分にバッハIOC会長の銭ゲバと政治的野心があります。黒木昭弘氏のFBポストを紹介します。

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 (略)今年ワシントン・ポスト紙が『ボッタクリ男爵』と名付けでその銭ゲバぶりを批判し、更にバッハの年収はIOCからと彼らが作ったIOC関連会社から合わせて100万ドル(1億1000万円)はくだらないとワシントン・ポスト紙は書いている。
 彼の特権はこれだけでなく、今回の東京での宿泊は一泊250万円のスィートルーム、IOCの規定では日本滞在は一日で400ドル、4万4000円なので、250万の大部分は日本側の負担。バッハはかなり早く7月8日に来日していて、閉会式(8月8日)までは確実にいるから宿泊数は30日超えで多分ホテル代の日本負担は8000万円程度だろう。3兆円もオリンピックに使うお大尽JOCだから8000万円ははした金で気にもしていないだろうが。(略)
 (ここからが今回の文春のスクープ)2019年の大阪G20では、翌年の東京オリンピックもあり、バッハがG20に参加の上、スピーチをしたいと申し入れがあり日本政府も喜んで招待することにした。しかしそのスピーチ原稿で『東京オリンピックで、北朝鮮と韓国の選手団が一緒に入場行進をすることが南北融和につながる』とあったので日本政府は困惑した。(略)
 バッハが北朝鮮にこだわる理由は誰でも分かる。北朝鮮を国際社会に復帰することに貢献して『ノーベル平和賞』、そしてそれをてこに更に上を目指す(ドイツ首相?)ことだ。(略)」

2021.7.30
 フェンシング男子エペ団体の決勝戦を後半から視聴。日本がロシア・オリンピック委員会(ROC)を45─36で下して金メダルを獲得。
 最後に出た加納虹輝選手が、体が大きく格上のロシア選手に全く怯まず、素早い動きで攻撃を繰り返して圧倒し、素晴らしかった。
 勝った後、選手の一人が日の丸の旗を誇らしげに持って、何度も観客に示している姿が美しかった。日の丸を背負って戦い、日の丸を胸に団結して得た勝利であることが伝わって来ました。
 日本がフェンシングで五輪で金を取るのは初めて。エペでは団体、個人とも初のメダルとなったとのことです。
 おめでとう!

2021.7.30
 菅義偉首相は、首都圏3県と大阪府に8月2日から31日までの期間で緊急事態宣言を発令すると表明。東京都と沖縄県に発令中の宣言の期限は8月22日から31日に延長されました。
 東京都内では、新型コロナウイルスの感染者が新たに3300人確認されました。過去最多となった29日の3865人を下回りましたが、3日連続で3千人を超えました。重症者は88人。
 我が国のコロナ報道は、依然として感染者数を強調する方針ですが、重要なのは重症者数、そして死者数です。感染者数と重傷者数・死者数の相関関係をもっと明らかにした発表をしてもらいたいものです。
 いずれにしても東京都に緊急事態宣言が出されている中で始まったオリンピックの真っ最中に、緊急事態宣言が首都圏3県と大阪府にも発令されることになり、東京都では感染者数が激増しています。非常に厳しい状態でオリンピックをやらざるを得ないのが、日本の現状です。

 以降、随時掲載

************* 著書のご案内 ****************

 『人類を導く日本精神~新しい文明への飛躍』(星雲社)
https://blog.goo.ne.jp/khosogoo_2005/e/cc682724c63c58d608c99ea4ddca44e0
 『超宗教の時代の宗教概論』(星雲社)
https://blog.goo.ne.jp/khosogoo_2005/e/d4dac1aadbac9b22a290a449a4adb3a1

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仏教188~葬儀の簡略化と経費節減

2021-07-30 08:40:25 | 心と宗教
#葬儀の簡略化と経費節減
 今日の日本では、葬儀を簡略化し、また経費を節減する傾向が強まっている。また、戒名は不要という人たちが増えてもいる。
 読売新聞社は、2012年(平成24年)の2月から3月中旬にかけて、冠婚葬祭に関する全国世論調査を実施した。調査は、郵送方式で行われた。
 弔事に関して、簡素に行う方がよいか、盛大に行う方がよいかを問うたところ、「簡素に」という答えが、「法要」で96%、「葬式」で92%だった。ともに90%を超えている。これらについて、慣習やしきたりにこだわらなくてよいと思う人の割合は、「法要」で59%、「葬式」で58%と、半数以上を占めた。自分の葬式を仏式で行う場合、戒名(法名)は「必要ない」と答えた人が56%で、「必要だ」の43%を上回った。年代別では、20~60歳代の各年代で、「必要ない」が多数を占め、それが最も多い40歳代では63%に上った。70歳以上では、「必要だ」が54%で、「必要ない」の44%より多かった。今後、10年、20年先には、この傾向がもっと強まっていくだろう。
 こうした傾向の背景には、わが国では、多額の費用がかかる葬儀が多く、それに対する人々の意識の大きな変化がある。
 冠婚葬祭の互助組織「くらしの友(東京)」は、2010年(平成22年)7月に、葬儀に関する実態をインターネットで調査した。対象は、関東1都3県在住で、2009年(平成21年)8月から10年7月までの1年間に、喪主か喪主に準ずる立場で葬儀を行った40歳代以上の男女400人である。
 その結果によると、葬儀の費用総額は242万3000円だった。内訳は葬儀業者への支払い124万円、寺院に要した費用(戒名料・読経料含む)52万6000円、会葬者への接待費65万7000円である。費用総額の平均金額は、11年前の1999年(平成11年)に行った前回の調査に比べて、124万4000円、33.9%減少した。
 通夜・告別式の会葬者の平均延べ人数は、118.4人で、前回の209.6人から、43.4%減少した。
 葬儀の形式については、1999年(平成11年)の調査の時点では、家族・親族の他に近所や故人が勤めた会社関係者らも参列する「従来型」が、8割程度行われていたと想定される。ところが、2010年(平成22年)の調査では、それが44.3%と、大幅に減少した。
 その一方、家族や親兄弟、親族だけの葬儀が24.3%、友人等も参列する比較的小規模の葬儀が22.5%、家族だけの葬儀が9%であり、これらを合わせると55.8%を占め、従来型と逆転している。
 日本では、従来、葬儀に多額の費用が使われている。財団法人日本消費者協会が2007年(平成19年)に行った調査の結果によると、日本の葬儀費用は平均231万円だった。だが、諸外国では、イギリスは12万3000円、ドイツは19万8000円、韓国は37万3000円、アメリカは44万4000円が平均だという。こでは、1990年代前半のもので、冠婚葬祭業者サン・ライフの資料による。このデータによると、日本は、アメリカの5.2倍、イギリスの18.8倍である。
 どうして、日本ではこれほど葬儀にお金をかけるのか。基本的には徳川時代からの寺檀制度のなごりで、寺院に支払う戒名や読経等の金額が大きいこと、またそれ以上に戦後、葬祭ビジネスが発達して葬儀が豪華になったこと、核家族化や個人主義化が進んでいるとはいえ、なお社会の共同性が強いことが要因と考えられる。
 先に「くらしの友(東京)」の調査で、1999年から2010年の間に、葬儀にかかる費用が33.9%減少したと書いた。読売新聞社の調査は、その調査のl2年後だが、葬式を「簡素に」という回答が92%、戒名は「必要ない」という回答が56%だった。これらの調査の後、ここ10年ほどの間に葬儀の簡略化と経費節減は、さらに一段と進んでいると推測される。その要因は、世俗化、脱宗教化の進行に加えて、核家族化、少子高齢化、晩婚化、非婚化等の社会的な変動があること、さらに約20年続くデフレによって、国民の所得が減少したことによって、葬儀に多くの費用をかけられない世帯が増えていることが考えられる。

 次回に続く。

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 『人類を導く日本精神~新しい文明への飛躍』(星雲社)
https://blog.goo.ne.jp/khosogoo_2005/e/cc682724c63c58d608c99ea4ddca44e0
 『超宗教の時代の宗教概論』(星雲社)
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人類の運命と「2030 未来への分岐点」2

2021-07-29 10:09:44 | 文明
 仮に人類の飛躍か自滅かの決定的な分かれ目を2050年頃とした場合、分かれ目はその時、突然現れるのではない。その予兆は段々強く明らかになっていく。あるいは、多くの人々が気づかないうちに、分かれ道を進んでしまっていることになるかもしれない。
 こうした観点に立つとき、NHKテレビの『2030 未来への分岐点』シリーズは、非常に考えさせられる番組だと思う。
https://www.nhk.jp/p/special/ts/2NY2QQLPM3/episode/te/D3WY8P4K1W/?fbclid=IwAR2RSviU_mDG-vTaPkJyEpNXJqm0Iq577ps9OlRz0kfVgLtrbh6eSv2YRqs
 番組案内のサイトから、これまでの各回の案内文を掲載する。

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(1)「暴走する温暖化 “脱炭素”への挑戦」

 持続可能な未来を模索する新シリーズ「2030 未来への分岐点」。第1回のテーマは新たなフェーズに入った地球温暖化。このままいくと早ければ2030年にも、地球の平均気温は臨界点に達するといわれている。それを超えていくと、温暖化を加速させる現象が連鎖し暴走を始める可能性が明らかになってきた。その時、私たちの暮らしはどうなるのか、どうすれば破局を回避できるのか。この10年歩むべき道を考える。

(2)「飽食の悪夢~水・食料クライシス~」

 先進国の食への飽くなき欲望が、世界中に「飢餓のパンデミック」を拡大させている。日本で一年間に出される食品廃棄物を世界に分配すれば、飢餓問題の多くを解決すると言われるほどだ。富めるもの、富めないものを分ける現在の食料システムを2030年までに改善できなければ、その先の未来に待ち受けるのは「破滅」という悪夢であると研究者たちは指摘する。俳優の森七菜さんが2050年の日本で直面するものとは…。

(3)「プラスチック汚染の脅威 大量消費社会の限界」

 今、リサイクルされずに放置されたプラスチックごみが、地球全体に拡散。小さく砕けたかけらが脅威となり始めている。生き物が誤飲によって育たないだけでなく、化学物質が食物連鎖の中で、濃縮されていく実態も明らかに。さらに、ナノレベルの粒子となったプラスチックが人体に悪影響を与えるリスクも浮かび上がってきた。プラスチック汚染の脅威、社会システムの模索の最前線から、未来への処方箋を探っていく。#SDGs

(4)「“神の領域”への挑戦~ゲノムテクノロジーの光と影~」

 生命の設計図を操るゲノムテクノロジー。2030年、ゲノム解析のコストは限りなくゼロに近づくと試算され、人類は地球上のあらゆる生命の遺伝情報を手に入れることが可能になる。その先に、どんな未来がまっているのか。森七菜さんが、人類の欲望のままに技術が暴走した世界に降り立つ。私たちは“神の御業”を操る資格があるのか。最前線の現場を取材し、技術の光と影にどう向き合っていくべきか考える。

(5)「AI戦争 果てなき恐怖」

 いま世界の紛争地では、人間の判断を介さず自律的に敵を攻撃するAI兵器が戦力になり始めている。大国がAI兵器の運用を本格的に開始する2030年、世界はどこに向かうのか。脅威の一つとされるのが「グレーゾーン戦争」だ。従来のように武力を行使することなく、サイバー攻撃などさまざまな手段で相手国の機能をマヒさせ、支配下におくというのだ。しかし、規制する明確なルールはまだない。森七菜が見た未来の戦争の恐怖。
(註 「グレーゾーン戦争」は、ハイブリッド戦争、超限戦を意味するものだろう)
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 以上のように、NHKテレビの『2030 未来への分岐点』は、2030年を「未来への分岐点」とし、今年2021年から2030年までの10年の間に人類がどのように行動するかが、分岐の方向を左右することを指し示している。
 上記の案内文は、「このままいくと早ければ2030年にも、地球の平均気温は臨界点に達するといわれている。それを超えていくと、温暖化を加速させる現象が連鎖し暴走を始める可能性が明らかになってきた」。「富めるもの、富めないものを分ける現在の食料システムを2030年までに改善できなければ、その先の未来に待ち受けるのは『破滅』という悪夢であると研究者たちは指摘する」。「2030年、ゲノム解析のコストは限りなくゼロに近づくと試算され、人類は地球上のあらゆる生命の遺伝情報を手に入れることが可能になる」。「大国がAI兵器の運用を本格的に開始する2030年、世界はどこに向かうのか。脅威の一つとされるのが『グレーゾーン戦争』だ。従来のように武力を行使することなく、サイバー攻撃などさまざまな手段で相手国の機能をマヒさせ、支配下におくというのだ。しかし、規制する明確なルールはまだない」などと書いている。
 2050年に向けて、これからの10年間が極めて重要であることは間違いないだろう。(了)

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 『人類を導く日本精神~新しい文明への飛躍』(星雲社)
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 『超宗教の時代の宗教概論』(星雲社)
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仏教187~日本仏教は「葬式仏教」を脱せられるか

2021-07-28 10:08:48 | 心と宗教
#日本仏教は「葬式仏教」を脱せられるか
 葬式仏教とは、葬儀と法事、墓の管理を中心とし、信仰が形骸化した現代の仏教を批判して使われる言葉である。
 この言葉が、いつ頃、誰によって使われ出したのかは、不明である。日本史学者・圭室諦成(たまむろ・たいじょう)が1963年(昭和38年)に出版した『葬式仏教』で、一般に知られるようになったとされる。
 本来の仏教は、解脱や救済を求める宗教であり、弔事の儀礼を重視する教えではない。だが、現代の日本においては、葬式や墓のために寺があり、僧侶がいるという状態になっている。
 家族や親族が死んだ後に、遺体をどうするか。遺体は、ただの物体ではない。何らかの儀式を行い、遺体を処理しなければならない。これは、遺族や社会にとって、重要な課題である。日本では、それを主に仏教が担うようになっている。
 キリスト教では、原則は土葬である。この慣習は、最後の審判における身体を伴う復活の思想による。しかし、19世紀頃から国によって、火葬が増えてきている。イスラーム教も復活を信じて土葬を行う。火葬は地獄に堕ちた者に対して、神が下す処罰だと考えられている。
 インドでは、一般に墓を作らない。ブラーフマナ文献以後についてみると、インド人は人里離れた静かな場所で遺体を火葬にし、骨をそこに埋葬した。墓を建てる風習はなかった。ヒンドゥー教では、火葬後に遺灰を川に流すのが、普通になった。釈迦の時代の仏教の教団では、出家者は葬儀に関与せず、葬儀は在家信者に任された。もともと仏教の僧侶は、葬式を行なわなかったのである。
 インドからシナへ仏教が伝来した際、葬儀の方法も伝わったが、シナ人は先祖からの葬送儀礼を重んじ、特に火葬は、遺体を大切に扱うシナでは、なかなか広まらなかった。インドに学んだ玄奘でさえ、火葬ではなかった。仏式の葬儀が民衆に普及したのは、宋代以降と見られる。それは仏教が民衆に広がる過程で、儒教に典型的な先祖供養の信仰と習合し、仏教が儒教化したからである。シナでは、遺体を土葬にし、墓を造る。また、死者の魂の依り代として「木主(もくしゅ)」「神主(しんしゅ)」等と呼ばれる祭具を用いる。この祭具が、仏教の位牌の原型と考えられる。
 古代日本では、死者に対し、土俗的・神道的な儀式を行って土葬にした。仏教が日本に伝来した飛鳥時代には、仏教は学問的なものとして摂取され、当初、僧侶は葬儀を行っていなかった。7世紀半ばに入唐し、玄奘に師事した法相宗の道昭は、遺言で自身を火葬にさせた。これが日本における火葬の最初とされる。8世紀には、持統・文武等の天皇や上皇が火葬にされたという記録がある。平安時代には、貴族の間で、葬式が寺院で行われ、僧侶が読経・念仏し、墓に卒塔婆を立てるなど、仏教の影響が強くなった。鎌倉時代には、平安時代末期に現れた浄土信仰が、浄土宗を通じて民衆に広まった。それまでは、死者はやがて祖霊となり近傍で見守っているという素朴な来世観だったが、極楽・地獄を想定する仏教の来世観が普及し、来世での救済のために葬礼の儀式が重んじられるようになった。曹洞宗では、雲水(遍歴修行僧)の生活を支えるために、在家信者の葬儀を行うようになった。亡くなった在家信者を形の上で出家したことにして葬儀をするために、出家の証である戒名を授けるという方法が確立された。戒名は、日本独自のものである。他に仏教が広まった地域には、この制度はない。曹洞宗における葬儀の方法は他の宗派にも広がり、庶民の間でも仏式の葬儀が行われる例が増えていった。シナでも宋代以降、儒教化した仏教の葬儀が普及しており、その方式が禅宗を通じて日本に伝わり、摂取された。
 仏教が今日の葬式仏教へと変化し出したのは、徳川幕府が定めた寺檀制度による。寺檀制度によって、民衆は寺院に登録され、必ず仏式の葬儀を行わなくてはならなくなった。戒名も授けられた。これによって、葬儀は仏式という慣習が確立した。寺院は、幕府の保護のもと、固定した檀家の葬儀や法事を営むことで安定した収入が得られるようになった。だが、その反面、信者を獲得するために布教をする必要がなくなったわけで、信仰の形骸化は避けられなかった。
 明治政府は、神仏分離令を出して神道と仏教を分離し、僧侶に対して「肉食妻帯勝手たるべし」という布告をした。それによって戒律が大きく崩れ、妻帯が普及した。また、僧職が世襲となり、住職の子供が寺を継ぐことが一般化した。
 明治政府は、寺檀制度を廃止した。各家は特定の寺院の檀家であることを強制されなくなった。だが、江戸時代からの寺院と信徒の関係は、明治以降も続いた。そこに寺院の世襲制度が加わったことが、仏教が葬式仏教と呼ばれるような状態になった主な原因と考えられる。
 もう一つ、これに関連することとして、明治政府が二度にわたって、上知令を出したことがある。寺領の多くを召し上げられた寺院は、経済基盤が危うくなった。そのため、葬儀や戒名、法事の布施に収入を依存するしかなくなった。さらに、大東亜戦争で、戦火で多くの寺院が罹災し、檀信徒が離散して、経済的に打撃を受けた。また、敗戦後、GHQによる農地改革で、それまで寺院が小作に出して収益を得ていた土地を奪われ、経済基盤が縮小した。そのため、仏教はますます葬式仏教としての性格を強くしていったと見られる。
 さて、今日の日本社会では、葬儀を簡略化したり、経費を節減したり、墓所を簡素化する風潮がある。地方では過疎化の進展のため、地域の住民だけでは葬儀をできなくなっている地域が現れている。都市部では、核家族化と少子高齢化によって、高齢者のみの世帯、単身世帯等が増え、葬儀や墓に対する意識が変化している。それが、葬儀の簡略化や経費節減、墓所の簡素化の主な理由である。また、社会的に世俗化・脱宗教化が進み、僧侶を呼ばない葬儀や、特定の宗教の儀礼を行わない非宗教的な葬儀が、非常識ではなくなってきている。そのため、「葬式仏教」では経営が成り立たない寺院が出てきているという。ただし、こういう傾向があるものの、日本における葬儀の主流が仏式であることは、今日も変わっていない。
 仏教界では、葬式仏教という批判を受け止めて反省し、自らのあり方を改めようとする活動が行われている。いじめ、不登校、引きこもり、うつ病、自殺、介護、独居等の問題や人々の心の悩みへの取り組みが見られる。果たして仏教界が葬式仏教と呼ばれるような状態を脱し得るかどうかは、日本において仏教が今後、存続できるかどうかに関わってくる問題だろう。悩み苦しむ人々を実際に救う力がなければ、単なる心の支えや気休めに過ぎない。それが仏教の実態であり、だからこそ葬式仏教になったのであり、根本的なところに課題があることを認識しなければならないだろう。

 次回に続く。

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人類の運命と「2030 未来への分岐点」1

2021-07-27 08:38:18 | 文明
 現在、放送中のNHKテレビの『2030 未来への分岐点』シリーズは、非常に考えさせられる番組である。
https://www.nhk.jp/p/special/ts/2NY2QQLPM3/episode/te/D3WY8P4K1W/?fbclid=IwAR2RSviU_mDG-vTaPkJyEpNXJqm0Iq577ps9OlRz0kfVgLtrbh6eSv2YRqs
 人類が発生して600万~700万年、ホモ・サピエンスが誕生して約20万年、文明が発生して約6千年とされている。物質科学が発展してわずか4世紀で、とりわけここ百数十年の間に爆発的に発達してきた。この急激な発達には、何か偉大な力が人類に作用し、人類の脳に潜在した知恵が開発されてきていると考えられる。
 わが生涯の師にして神とも仰ぐ大塚寬一先生は、人類発生から20世紀後半までを「夜の時代」と呼び、21世紀には「昼の時代」が到来すると予言している。
 私は、人類は21世紀半ばに、飛躍か自滅かの決定的な分かれ目に至ると考える。そのことを思わせる事象の一つが「2045年問題」です。テクノロジーの進歩は、指数関数的な変化を示してきた。コンピュータの演算速度は、過去50年以上にわたり2年ごとに倍増していることを「ムーアの法則」という。法則といっても傾向というべきものである。その傾向が今後も続くとすれば、2045年には人工知能(AI)が人間の知能を完全に上回る段階に至ると予想される。未来学者のレイ・カーツワイルは、その時点をシンギュラリティ(特異点)と呼んでいる。脳とコンピュータが一体化し、人類の「黄金時代」が始まるとカーツワイルは説いている。
 理論物理学者のミチオ・カクは、約30年後の社会を次のように予測する。

・ナノテクノロジー・再生医療等で、寿命が延び、平均100歳まで生きる
・遺伝子の研究で老化を防ぎ、若返りさえ実現する
・退屈な仕事や危険な仕事はロボットが行う
・脳をコンピュータにつなぎ、考えるだけで電気製品や機械を動かせる 等

 また、新DIY革命、テクノフィランソロピスト(技術慈善活動家)の活躍、ライジング・ビリオン(上昇する数十億人)の勃興等で、次のようなことも可能になると予想される

・新種の藻類の開発で石油を生成
・水の製造機でどこでも安全な水を製造
・垂直農場やバイオテクノロジーで豊富な食糧生産
・太陽エネルギーの利用で大気中の不要なCO2を除去 等

 テクノロジーに基づく予想から、国際社会の動向に目を転じると、21世紀半ばに向かって、世界では米中対決が進むことが予想される。
 共産中国は2017年(平成29年)の共産党大会で、中華民族の偉大な復興の下に「人類運命共同体」を構築するとして、2035年までに西太平洋の軍事的覇権を握り、2049年の中華人民共和国創設100周年までに世界覇権を握るという方針を決めた。そのために世界最強の軍隊を保有する計画を進めている。
 2018年(平成30年)以降、顕著になった米国と中国の対決は、自由主義・資本主義・民主主義と共産主義・全体主義・権威主義の対決である。もし米国を中心とする勢力が敗れたら、世界は共産主義によって支配されるようになるでしょうだろう。もの凄いハイテクによって監視される社会になる。中国の軍事的な動きを封じつつ、経済的に追い込んで、共産党政権を崩壊させて、中国を民主化することができないと、中国は武力を行使し、力づくで覇権を拡大しようとして、戦争を起こすおそれがある。最悪の場合は世界核戦争になる。それを避けるためには、自由民主主義の国々は、協力し団結しなければならない。この大きな山を乗り越えた後に、はじめて「昼の時代」が開かれるだろう。
 人類は、自由、民主、人権、宗教等が尊重され、精神的に進化・向上した新しい文明に飛躍できるか、中国共産党がハイテクを使って支配し、人間が道徳的に劣化していく全体主義社会に堕落するか。まさに「昼」と「夜」、光明と暗黒の違いにたとえられるべき、全く異なった未来への分かれ目に向かっている。その帰結の時点を、21世紀の半ば、2050年頃に見定めてよいだろう。人類が長い間追い求めて来た理想世界に入ることができるか、共産主義が支配する暗黒社会になるか。そこには、天国か地獄かの違いがある。最悪の場合、この過程で世界的な核戦争が起こり、人類の大半が死滅するやも知れない。この大きな山を乗り越えられないと、人類は自滅の道を進むことになるだろう。

 次回に続く。

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仏教186~日本の宗教人口と信者数、宗教意識

2021-07-26 08:49:20 | 心と宗教
●現在の日本仏教

#宗教人口と信者数
 現在、わが国には、18万以上の宗教法人が存在する。その多くは、神道系と仏教系である。神社は全国に約8万ある。一方、寺院は約7万ある。それらの多くが、宗教法人となっている。これ以外に、キリスト教系や諸教の宗教法人がある。
 文部科学省は毎年、宗教統計調査を行っている。この調査は、宗教法人数等について調査し、宗教法人及び宗教団体の名簿等、宗務行政上の基礎的資料を得ることを目的とする。
 平成30年度の宗教統計調査の結果、2017年(平成29年)12月31日現在のわが国の宗教人口は、系統別に次のようになっている。

 神道系     86,166,133
 仏教系     85,333,050
 キリスト教系   1,921,834
 諸教       7,743,714
 ―――――――――――――――――
 信者総数   181,164,7310

 信者総数が国民全体の人口より50%ほど多いのは、それぞれの宗教法人及び宗教団体が正確な数字を報告していないことが一つの理由だろう。実数より多い数字を公称数としている法人・団体が相当あると考えられる。また、対象となる個人を法人・団体が重複して数えていることが別の理由だろう。一人の人を神社の氏子であって、寺院の檀家でもあるとも数える場合が相当あると考えられる。この反面、各種調査で自分は「信仰を持っていない」と答える人が多くいる。回答者の6割以上になった調査結果もある。仮にそれを人口の6割で7000万人とするならば、残りは5000万人ゆえ、上記の信者総数はその3.5倍以上になっている。
 今日も日本の伝統的な仏教には、多くの宗派が存在する。18の宗派があるので、十八宗と呼ばれる。三論宗・法相宗・華厳宗・律宗・倶舎宗・成実宗・天台宗・真言宗・融通念仏宗・浄土宗・浄土真宗・時宗・日蓮宗・臨済宗・曹洞宗・普化宗・黄檗宗・修験宗である。
 これらは、主に6つの系統に分けられる。包括宗教法人に関する報告資料によると、信者が多い順に次のようになっている。

 1位 浄土系     22,626,710
 2位 日蓮系     11,598,300
 3位 真言系      5,359,761
 4位 禅系       4,703,246
 5位 天台系      2,970,940
 6位 奈良仏教系      739,962

 それぞれの系統には、様々な宗派が含まれている。それを信者が多い順に並べると、次のようになる。

 1位 浄土真宗本願寺派 7,908,818
 2位 浄土真宗大谷派  7,780,331
 3位 浄土宗      6,021,900
 4位 日蓮宗      3,567,047
 5位 曹洞宗      3,460,468

 次に仏教系新宗教については、最大の信者数を有する創価学会は、信者数を公表していない。単位を世帯とし、国内に公称827万世帯を有すると称している(2019年11月現在)。宗教学者の島薗進は、創価学会員をおよそ380万人で国民の約3%と推計している(『大学4年間の宗教学が10時間でざっと学べる』(KADOKAWA、 2019年3月刊)
 創価学会に次ぐ仏教系新宗教で本稿が注目する団体の公称信者数は、次のとおりである。

 立正佼成会       2,609,979
 霊友会         1,239,270
 真如苑           934,783
 念法眞教          504,112
 阿含宗本庁         369,620
 孝道教団          158,049

#日本人の宗教意識
 アメリカのギャラップ社が2006年から08年にかけて行った世論調査では、日本人のなかで信仰を持っている人間は25%で、対象となった世界143カ国のうち136位だった。日本より信仰率が低いのは、香港や北欧諸国などわずか7カ国だった。この調査結果によると、日本人の75%は「無宗教」ということになる。2008年にNHK放送文化研究所も加わっている国際社会調査プログラム(ISSP、International Social Survey Programme)が行った調査では、日本人の信仰率は平均で39%という結果だった。ほぼ同時期のギャラップ社の調査結果より、14ポイント高いが、6割近くが「無宗教」ということになる。
 宗教への熱心さという点では、多くの人がイスラーム教を思い浮かべるだろうが、聖地メッカを巡礼する信者の数は、年間で約200万人という。だが、明治神宮に参拝する人は、正月3が日だけで約320万人に上る。メッカの約1.5倍である。また、日本全国で9000万人の人が初詣をしている。仏教では、東京・浅草の浅草寺が参拝者の多いことで知られるが、浅草寺には年間約3000万人の参拝者が訪れる。メッカの15倍である。それゆえ、浅草寺は世界で最も参拝者が多い宗教施設といわれている。元は天台宗の寺院だったが、戦後、独立して聖観音宗の本山となった。その名の通り、観音菩薩を本尊とする。浅草の観音菩薩がアッラーの15倍の参拝者を集めているわけである。
 一方では、各種調査で「信仰を持っている」と答える人が25~39%であるのに、国民の75%が初詣に行くという事実がある。また、大多数の国民は仏式で葬儀を行い、寺院の管理する墓苑に先祖の墓を持っている。こうした現象は、日本における神道・仏教という二つの伝統的な宗教が欧米や中東等における一神教と異なる性格を持っていること、またそれに伴い、日本人の宗教や信仰に対する意識は一神教の信者における意識とは、大きく異なっていることによるだろう。
 「無宗教」と答える人々の多くは、どこかの寺の檀家だったり、寺院に墓があって墓参をしていたり、親の代からの宗派の仏壇を具えていたり、また地域の神社に初詣に行ったり、御宮参りに行ったり、神社の札を受けて神棚に祀ったりしていても、特定の宗教や宗派に所属しているとか、それらを信仰しているという意識がないのではないだろうか。まったく神・仏・霊を認めない、いわゆる無神論者ないし唯物論者は、少ないと思われる。今後、そういう人の割合を把握できるような全国規模の調査の実施が望まれる。

 次回に続く。

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中国共産党創立100年と世界覇権奪取への「100年マラソン」2

2021-07-25 09:50:22 | 国際関係
 共産中国の国営新聞社、中国新聞社系の合弁会社が発行している在日中国人向けの『東方新報』は、7月11日に中国共産党を賛美する記事を掲載した。在日中国人の約8割が同紙を読んでいるとされる。
 「中国共産党が中国民衆の信頼を得た理由は何だろうか。
 (略)中国共産党創立100周年を祝う大会で、習主席は『中国共産党は第1の百年奮闘目標を実現し、中国の大地に小康社会(ややゆとりのある社会)を全面的に建設し、絶対的貧困の問題を歴史的に解決した』と宣言した。2020年の中国の国内総生産(GDP)は100兆元(約1700兆円)を超え、1人当たりの可処分所得は3万2189元(約55万円)に達し、2010年より倍増する目標を予定通りに達成し、中国は絶対的貧困を完全に解消した。
 民衆は苦しみ、国家は貧しい。これは近代100年余りの中国民衆の最大の心の痛みだった。西洋の政治制度よりも、中国の民衆がまず注目しているのは、満腹になれるかどうか、着るものが買えるかどうか、子供が学校に行けるかどうか、病気になると病院に通えるかどうかだった。中国共産党の社会経済発展における得た成果は、たとえ西側世界であっても見過ごすことはできない。
 中国共産党は第1の『百年目標』の約束を果たし、次なる第2の『百年目標』を目指している。2020年から2035年まで、中国は社会主義近代化を基本的に実現し、2035年から今世紀半ばまでに、中国を富強・民主・文明・調和の美しい社会主義現代化強国にすることだ。これは中国共産党が民衆に描いた青図だ。
 経済面だけでなく政治面でも、中国共産党は長期的な政治的安定を実現した。中国政府は6月25日、『中国新型政党制度』白書を発表した。白書は、中国の政党制度が西側諸国で一般的に行われている多党制とは異なり、中国共産党が指導する多党協力と政治協商制度を実施していることを世界に説明しようとしている。この新型政党制度は中国の伝統文化に根ざし、中国の歴史伝承、文化伝統、経済社会発展の産物だ。
 中国共産党は、世界には各国に普遍的に適用される政党制度はなく、自国の国情に合ったガバナンスの有効性を示す政党制度が良いものだと主張している。
 中国と西洋がそれぞれの価値観を表現する一方で、中国は、自分たちの考えと一致しない強大な中国に対する西側の懸念を認識している。そこで『中国人民はこれまで他国の人民をいじめたり、抑圧したり、奴隷にしたことはなく、過去にも、現在にも、将来にもない』と繰り返し世界に強調している」
 この記事は、中国共産党は第1の『百年目標』の約束を果たし、「次なる第2の『百年目標』として、2020年から2035年まで、中国は社会主義近代化を基本的に実現し、2035年から今世紀半ばまでに、中国を富強・民主・文明・調和の美しい社会主義現代化強国にすることを目指している」と書いている。
 この百年目標の裏には、米国の中国専門家マイケル・ピルズベリーのいう「100年マラソン」という戦略があると言えよう。ピルズベリーは、かつて米中国交回復や米国の関与政策を推し進め、「パンダ・ハガー」と呼ばれる親中派の一人だった。中国を援助して中国が経済的に発展すれば、民主化すると信じていた。だが、1990年代の後半から、徐々にそれが間違いであることに気づき始め、ようやく2013年に自らの間違いを決定的に認識するに至った。その後、自らの反省をもって2015年に『China 2049 秘密裏に遂行される「世界覇権100年戦略」』を刊行した。原題は、”The Hundred-year Marathon” (100年マラソン)という。邦題は、中国は2049年までに世界覇権の確立を図る「100年マラソン」戦略を秘密裏に遂行していることを意味する。
 ピルズベリーは、本書で「アメリカの対中戦略は根本的に間違っていた。中国の歴史的野望をつい最近まで見抜けなかった」と告白している。中国共産党は、19世紀半ばから100年にわたり欧米諸国によって支配された屈辱に復讐するために、中華人民共和国建国以来、100年後の2049年には世界の覇権を米国から奪うという野心をもって、100年マラソンを着々と走ってきたという。ピルズベリーは、自分自身が中国の巧みな戦略に騙されてきたと認めたうえで、中国の長期的な戦略を明らかにして、米国と世界に向けて強く警鐘を鳴らしている。
 ピルズベリーによると、「100年マラソン」とは、共産中国のタカ派が、毛沢東以降の指導者たちに吹き込んできた計画である。タカ派の多くは陸海軍の将官や政府の強硬派であり、極端なナショナリスト、中華民族主義者たちである。彼らの計画は、欧米列強によって与えられた「過去100年に及ぶ屈辱に復讐すべく、中国共産党革命100周年にあたる2049年までに、世界の経済・軍事・政治のリーダーの地位をアメリカから奪取する」というものである。2049年は共産中国の建国百年の年だが、中国共産党が「中国を富強・民主・文明・調和の美しい社会主義現代化強国にする」ことを目標としている時期が、今世紀半ばだから、基本的に目標時期は一致していると見ることができる。
 共産中国は2017年(平成29年)の共産党大会で、中華民族の偉大な復興の下に「人類運命共同体」を構築するとして、2035年までに西太平洋の軍事的覇権を握り、2049年の中華人民共和国創設100周年までに世界覇権を握るという方針を決めた。そのために世界最強の軍隊を保有する計画を進めている。この軍事的な目標は、経済的な発展あってのみ可能である。ここで重要なのは、経済発展も、軍が関わる企業が主要な推進力になっているのが中国だということである。
 さて、2049年の中華人民共和国創設100周年までに世界覇権を握るという計画を絶対的な権力者として進めているのが、習近平国家主席である。習近平は主席になる前、共産党書記長に就任して最初の演説で、毛沢東も鄧小平も江沢民も公式の演説では決して述べたことのない「強中国夢」(強い中国になるという夢)という言葉を口にした。彼は人民解放軍の退役軍人で、中央軍事委員会弁公庁秘書だったことがあり、軍のタカ派と密接に結びついている。そして、極端な中華民族主義と共産主義が合体したファシズム的中華共産主義を、彼は強大な軍をバックにして推進しているのである。
 次に、東方新報の記事は、「中国の政党制度が西側諸国で一般的に行われている多党制とは異なり、中国共産党が指導する多党協力と政治協商制度を実施している」と書いているが、共産中国の政治体制は、実質的な一党独裁制である。微弱な政党が複数あるのは、一党独裁ではないように見せかけるためである。人民民主主義を標榜しながら、建国以来、国民による普通選挙が行われたことがない。実態としては専制主義・強権主義・全体主義であり、自由民主主義という意味での民主主義とは、正反対の体制である。
 記事は最後に「中国人民はこれまで他国の人民をいじめたり、抑圧したり、奴隷にしたことはなく、過去にも、現在にも、将来にもない」という言葉を引用しているが、この言葉は、7月1日の党創設百周年の行事で、習近平主席が演説で述べた言葉の主旨と一致する。中国共産党の「百年目標」は、チベット、新彊ウイグル、モンゴル、香港等への抑圧・支配の上に追及されてきたものである。習政権は、2049年を目標に、その抑圧・支配を日本・アジア・世界に広げようとしている。それは中華民族主義、ファシズム的共産主義による世界支配という野望の追求である。
 人類は、自由、民主、人権、宗教等が尊重され、精神的に進化・向上した新しい文明に飛躍できるか、中国共産党がハイテクを使って支配し、人間が道徳的に劣化していく全体主義社会に堕落するか。まさに「昼」と「夜」、光明と暗黒の違いにたとえられるべき、全く異なった未来への分かれ道にある。その帰結の時点を、21世紀の半ば、2050年頃に見定めてよいだろう。最悪の場合、この過程で世界的な核戦争が起こり、人類の大半が死滅するやも知れない。私たちは、嫌がおうでもそういう時代に生きていることを自覚し、自らの生き方を考えねばならないのである。(了)

関連掲示
・拙稿「凄まじい軍拡を続ける中国から日本を守れ」
http://khosokawa.sakura.ne.jp/opinion12-15.htm

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仏教185~仏教系新宗教の発展と衰退

2021-07-24 10:04:28 | 心と宗教
●仏教系新宗教の発展と衰退

 宗教学者の島田裕巳は、著書『宗教消滅』等で、仏教系新宗教の発展と衰退について、分析を行っている。島田の分析を基に、仏教系新宗教の発展と衰退の概略を記したい。
 戦後、創価学会をはじめとする日蓮系・法華経系の新宗教団体が急成長した。日蓮正宗の在家集団である創価学会は、1950年代に入ってから、急速な拡大を始めた。それは、日本が高度経済成長に突入した時代に当たる。高度経済成長と創価学会の急成長には相関関係があることを、島田は明らかにした。
 高度経済成長の時代には、産業構造の転換が起こり、第2次産業・第3次産業が発展する都市部では大量の労働力を必要とした。農村部が、その労働力の供給減となった。日本の農業は規模が小さく、兄弟で農地を分割すると経営が成り立たない。次男以下は、仕事を求めて、都市部に出ていかざるを得なかった。その典型が集団就職だった。彼らは、労働組合がしっかり組織されているような職場には就職できず、未組織労働者として寄る辺ない生活を送らざるを得なかった。「十分な学歴のない、高卒や中卒の人間たちを吸収したのが日蓮系新宗教団体であり、とりわけ創価学会だったのである」と、島田は書いている。
 島田によると、都会に出てきて、地方での人間関係のネットワークを失って孤立している人たちが創価学会に入会すれば、仲間ができ、人間関係のネットワークが得られた。それによって、慣れない都会での生活の基盤を築くことができた。創価学会の2代会長・戸田城聖は、現世利益の実現を掲げ、創価学会を信仰して折伏を実践すれば、功徳を得ることができると宣伝した。その宣伝は、都会に出てきて貧しい暮らしを余儀なくされていた人たちに、強くアピールした。それによって、創価学会は、多くの会員を獲得することに成功し、巨大な組織に発展していった。
 島田は、霊友会や立正佼成会といった、創価学会と同じ日蓮系・法華経系の新宗教団体も同じ高度経済成長期に多数の会員を増やし、巨大教団へと発展していったが、それも同じような経緯をたどったものだった、と分析している。
 戦後日本では、日蓮系・法華経系以外の仏教系新宗教団体、また神道系、キリスト教系、諸教の新宗教団体も出現した。その中で、なぜ日蓮系・法華経系の新宗教団体が最も多くの信者を獲得したのか。そこには、日蓮系・法華経系に特有の原因があるはずである。鎌倉時代から、京都の町衆の間では法華経信仰が盛んだった。江戸時代にも町人に間に法華経信仰が流行した。日蓮宗の寺院には、在家信者による法華講がつくられた。島田は、法華経信仰が浄土信仰と異なり、現世における救いを強調したことが、町衆や町人に受け入れられた理由だとする。また、島田は、近代に入ると、こうした庶民の法華経信仰を基盤に日蓮主義の運動が高まったとし、「日本の近代社会には、日蓮系・法華系の新宗教が拡大する精神的な土壌が形成されていたのである」と述べている。
 私見を述べると、浄土真宗は江戸時代には日蓮系・法華系よりもっと盛んだったし、明治時代以降も政府への政治的な影響力を発揮したり、いち早く教団の近代化を進めた。だが、浄土真宗の系統からは、戦後、有力な新宗教団体は現れていない。その理由の一つには、浄土真宗は組織的に強固であり、宗門とは別に新たな信徒団体が結成される余地がなかったこと、また、来世志向である反面、時代の政治に迎合的になっており、現実社会を変革しようという意欲が弱いことが考えられる。これに対し、日蓮系・法華経系には、世界大戦や敗戦後の混迷という危機において、日蓮が鎌倉時代に説いた危機意識や変革への情熱が継承され、戦後日本の民衆にアピールしたと考えられる。
 さて、島田によると、高度経済成長期に急速に拡大した新宗教団体は、高度成長期が終わると、安定期に入り、新たに信者が入信してくることが少なくなっていく。新宗教は、時代のありようと深く連動し、その時代特有の社会問題への対応として生み出されてくるものであり、時代が変わると、魅力を失い、新しい信者を獲得できなくなる。そして、急速に拡大した時期に入信した信者たちが、そのまま年齢を重ねていくようになる。彼らの結びつきが強ければ強いほど、新しい信者はその中に入りにくくなる。その結果、教団全体が高齢化していく。
 急拡大の時期に教団に加わるのは個人が単位だったが、安定期になると、信仰は信者から外部の人間に伝わるのではなく、家族の内部で継承されるようになる、と島田は言う。私見を述べると、この変化は、その信仰が親から子や孫に継承され、その家の信仰となることを意味する。ここでは、信仰が若い世代にとって魅力あるものであるかどうか、若い世代の求めるものに応えられるものであるかどうかが、教団の維持・発展のポイントになる。
 創価学会では、信者数を個人単位ではなく、本尊を受けている世帯を単位として公表している。島田は、「その数はずっと827万世帯のまま」であり、「世帯数がここのところ全く増えていない」と言う。「数が増えていないということは、少なくとも、新しい信者を獲得できていないことを意味する」と解説する。このことから、公称の世帯数は、現在の実数ではなく、過去からの累積数と考えられる。
 島田は、文化庁が発行する『宗教年鑑』をもとに、代表的な新宗教団体における信者の激減を指摘している。創価学会以外の日蓮系・法華経系団体では、霊友会は、平成2年版の316万5616人から26年版の136万9050人へと半分以下に縮小している。立正佼成会は、同じ期間に、633万6709人から308万9374人とほぼ半減した。この傾向は、仏教系に限らず、たとえば神道系のPL教団でも、『宗教年鑑』平成2年版では181万2384人となっていたのが、平成26年版では92万2367人と、この24年間にほぼ半減しているから、新宗教の多くに見られる傾向であることを島田は指摘している。
 私見を述べると、ここには、単に高度成長期から安定成長期への経済の変化だけではなく、日本社会で世俗化・脱宗教化が進んでいることが関係している。ここ20年ほどの間に、人々の宗教離れが目立ってきている。これに関連する現象して、1990年代から経済のグローバル化や新自由主義の席捲によって、多くの人々が物質中心・経済中心の価値観に傾き、身心の感覚的・刹那的な快楽や満足を求める志向が強くなっている。また、日本経済がデフレに陥り、あまたそれが長期化したことによって、仕事に追われる人が増え、生活に余裕のない中で宗教への関心が低下している。大家族から核家族へと家族形態が変化したうえに、家族間の関係が希薄化し、個人中心の考え方、生き方が顕著になっている。個人の自由や人権の尊重が、個々人の選好を自由とする選好的リベラリズムに極端化し、人々が共通の精神的価値を持ちにくくなっている。その反面、こうした社会に危機を感じる人々の間で、家族や地域の絆や互いの思いやり、おもてなし等を大切にする風潮も現れてはいるが、その風潮は社会道徳的な範囲にとどまり、宗教的な方面にまで多くの人々の欲求は深まっていないように見える。
 こうした現代日本の社会において、宗教はどうあるべきかが問われている。本稿が主題である仏教もまたこの問いを向けられている。

 次回に続く。

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中国共産党創立100年と世界覇権奪取への「100年マラソン」1

2021-07-23 10:21:59 | 国際関係
 中国共産党は、1921年7月の創立から本年7月で100周年を迎えた。
 習近平国家主席は7月1日、北京・天安門広場で開催された中国共産党の創立100年を祝う式典に出席し、重要演説をした。
 習氏は「中華民族は世界で偉大なる民族」としながら、「5000年余りに及ぶ悠久の文明歴史があり、人類の文明進歩に不滅の貢献をした」と自評。「中華民族の血には他人を侵略し、覇権を唱える遺伝子はない。中国は常に世界平和の建設者だ」と主張した。また、「中国人民はいままで、他国民を困らせ圧迫したことはない」「過去にもなかったし、現在もそして未来にもない」と断言した。
 また、「強国には強い軍が必要で、強い軍があってこそ国の安全は保たれる」として、「世界一流の軍隊を建設する」と改めて強軍夢を強調した。
 そして、「中国人民はいかなる外来勢力の圧力も絶対に許さない。そんなことを妄想する者は誰であれ、14億超の人民が血肉で築いた鋼鉄の長城の前で頭を割られ血を流すだろう」と訴えた。
 共産中国の歴史と現在を知る者は、習氏が「常に世界平和の建設者」と称し「他国民を困らせ圧迫したことはない」と言い切ったのは、とんでもない大嘘であることを知っている。中国共産党創立100周年にふさわしい歴史的な大嘘をぶったものである。
 さて、こうした中国共産党創立100周年に、わが国の政党や政治家が祝電を送った。自民党は二階幹事長名、公明党は山口代表名、立憲民主党は枝野代表名、社会民主党は福島党首名で出した。主な政党で祝電を出さなかったのは、日本維新の会、国民民主党、共産党である。
 国際政治学者の島田洋一氏は、次のように述べた。
 「中国共産党政権が、香港で『言論の自由』を踏みにじり、ウイグルでの人権弾圧でも国際社会の批判を浴びるなか、祝意を示す政党があるとは、実に情けない話だ。あり得ない。(略)あくまで党と党の関係で、外交儀礼を理由にメッセージを出すにしても、諸問題について別途、党執行部などが記者会見を開き、政党として厳しく、批判的なコメントをするなど対応しなければ、祝意を伝えたことだけが歴史に残る。中国側の宣伝にも利用されかねず、問題だ」
 政党だけでなく、政治家個人として祝電を出した者もいる。
 元自民党総裁・元衆議院議長の河野洋平氏は、次のような電文を送った。
 「中国共産党は団結して中国人民を指導し、社会主義制度を打ち建て完全なものとしてきた。これは目を見張るばかりの輝かしい成果である。中国共産党が中国の発展をさらに大きく推進し、世界の平和と発展を守るためにさらなる貢献を果たすことを期待している」(註 遠藤誉氏が中国語から日本語に翻訳した文章)
 小沢一郎衆議院議員(立民)は、次のような電文を送った。
 「中国共産党は創設以来、幾重もの困難を克服し、中国を大きな政治的経済的影響力を持つ国に成長させ、揺るぎない国際的地位を築き、輝かしい歴史の1ページを記した」「国際社会は中国の発展に大いに注目し、それぞれの分野で中国にかつてない大きな期待を寄せている」
 骨の髄まで従中派の河野洋平氏・小沢一郎氏の祝電とともに、自民党・二階幹事長、公明党・山口代表らの祝電も、中国共産党の宣伝に利用されることだろう。
 産経新聞は、7月2日の「主張」(社説)に次のように書いた。
 「今このときに祝意を伝えることがどのような意味合いを持つのかきちんと考えたのか。独裁政党であり、自由や民主を求める人々の弾圧者であり、国際秩序の攪乱者である中国共産党を後押ししたことになる」「問題は新疆ウイグル自治区や香港などでの深刻な人権侵害にとどまらない。中国共産党の政権は尖閣諸島(沖縄県)を奪おうとしている。台湾を武力で威嚇している。南シナ海では国際法を無視して覇権を追求している。日本の政党は、昔からの惰性で中国共産党と『友好』を続けてはいけない時代になったと自覚すべきだ。弾圧に苦しむ人々や国際社会の目を気にしてもらいたい」
 米紙ウォールストリート・ジャーナルは、社説で「いまは祝賀のときではない。中国共産党は権力を堅持し、世界の自由と民主主義にとって最大の脅威となっている」と警告した。国共内戦で毛沢東率いる中国共産党ではなく、蔣介石の中国国民党が勝利していたらどうなっていたか、と問いかけ、「現在の台湾の民主主義と繁栄が全てを物語っている」とまで社説に書いた。その点は骨があるが、中国共産党に勝利させ、共産中国を発展させ、世界最大の脅威を生み出したウォールストリートやロンドン・シティの巨大国際金融資本への批判は見られない。

 次回に続く。

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仏教184~宗教の開祖・霊能力者の見分け方

2021-07-22 08:40:20 | 心と宗教
●宗教の開祖・霊能力者の見分け方
 
 宗教の開祖や霊能者の多くは、カリスマ的な影響力を持つ。多数の人々の精神に影響を与え、心服・帰依させる能力を発揮する。注意すべきは、その中には、統合失調症患者または詐欺師と疑われるような者が少なくないことである。単なる精神病者であれば、多くの人々の精神に強い影響を与えることはない。全く個人的な妄想や幻覚を語るだけだからである。また、単なる詐欺師であれば、超越的なものに対する人々の信仰心を引き出すことはない。現実的な物品や権利に対する欲望を刺激するだけだからである。だが、宗教の開祖や霊能者の中には、実際には病的な言動なのだが、一部の人々に対して、物事の真相や心理を解き明かしていると思わせたり、さらに加えて詐欺的な仕方で金銭・財産を寄付させたりする独特の影響力を発揮する者がいる。そうした影響力を持つ者と波長の合う人は、彼らの妄想的・幻覚的なイメージに同調し、それを共有するのかもしれない。
 催眠術師が催眠術を用いると、一部の人は暗示を受けたことをそのまま事実として受け入れ、通常では考えられないような反応や行動をする。催眠術には、かかりやすい人と、かかりにくい人がある。どうして催眠術が相手の心理に大きな影響を与え得るのか、心理学や大脳生理学は未だ解明できていない。人間の心や脳には、まだまだわからないことが多い。一部の宗教家や霊能者とその崇拝者の間では、一種の集団的な催眠現象が起こっているのかも知れない。
 精神病的ないし詐欺的な宗教家・霊能者には、引っかからないようにしなければならない。とりわけ誇大妄想的な言動の多い人物には、十分な注意を要する。超越的な力や存在(神・仏・霊等)への信仰には、目に見えないものへの感性だけでなく、現実的な生活において、物事を合理的に考える理性の働きが必要である。そして、説いていることと実際が一致しているかどうかを確認し、実証を見て判断することが大切である。理性的・実証的な思考を欠くと、病的な妄想や幻覚に同調したり、詐欺的な行為に騙されることになるだろう。
 宗教的な実践としての修行には、例えば仏教とその周辺の場合、座禅、観想念仏、称名念仏、ヨーガ等がある。修行の過程で、潜在意識の中に蓄積されている過去の記憶や感情、イメージ等が湧き上がってくることがある。その感情や想念に顕在意識が飲み込まれてしまうと、精神的に不安定になり、最悪の場合は、人格が崩壊する恐れがある。
 チベット仏教には、瞑想によって起こる体験を幅広く表すニヤムス(nyams)という言葉がある。この体験は、至福の感情や幻覚から、強い身体の痛み、精神障害、パラノイア、悲しみ、怒り、恐怖等を含む。これらの心身に起こる現象を乗り越えることは、瞑想を行なう者にとって困難な課題となる。だが、それを乗り越えないと、修行の段階を上がることは出来ず、悟りに達することはできない。
 先に書いたが、禅仏教には禅病という言葉がある。座禅を行なっているうちに、頭痛や吐き気、発熱、体の震えなど、身体に異変を感じたり、急に激しい感情に襲われたり、幻聴・幻覚などが起こったりすることをいう。特に意識の拡張により自我が膨張し、心のバランスを崩した状態を、魔境という。魔境に入ると、実際には悟りに達してはいないのに、幻覚によって仏や菩薩との一体感を持ち、誇大妄想に陥ることがある。
 仏教は、もともと出家して解脱を目指す宗教であり、修行の過程で現れる精神的な現象に対応し、それを乗り越えて、修行を進める知恵や経験が蓄積されてきたものと見られる。ところが、修行における危険性やそれへの対処法について無知のまま、安易に熱心に修行を行うと、大きな失敗に陥る可能性がある。
 仏教では、人間の知恵は真理をとらえておらず、人間は真理に暗い無明の状態にあると見なす。そして、無明が原因となって煩悩が生じ、それによって、人間は輪廻転生を繰り返すと説明する。煩悩とは、心身を悩まし、乱し、煩わせ、惑わし、汚す心の作用であり、一切の妄念をいう。真理を知識として語ることは、言うだけであれば、凡人でもできる。だが、知識と行動が一致することは、容易ではない。宗教家として真理を語り、一時、尊敬を集めた者が、途中から物欲や金銭欲、権力欲、色欲等に負けて、およそ宗教家と思えないような行動をする例は、珍しくない。人間の欲望は、本能に根差しており、本能は生命に基づくものゆえ、欲望は容易に昇華することのできるものではない。
 それゆえ、宗教の開祖・霊能者の見分け方においては、本人の人格が高い道徳性を持っているかどうかが重要となる。また本人が故人の場合は、これに加えて本人が大安楽往生できているかどうかが、さらに重要なポイントである。大安楽往生できたということは、煩悩を断ち切って高い心霊性に到達したことを意味する。ただし、そのような道徳性・心霊性を持つ指導者であっても、弟子や信徒がその指導者に従えば大安楽往生できるかというと、それはほとんど不可能である。自分一人は大安楽往生できた聖人聖者であっても、他の多くの人間を指導して、自己完成に導き、人生の最後には大安楽往生せしめることは、至難の極みなのである。それは、真に妄見邪念を払拭した指導者でなければ、決してできることではない。実際、大塚寛一先生の出現まで、人類の歴史上にこの偉業を達成した例は見出せない。この至難の課題を達成できている指導者こそ、万人が従うべき指導者と言える。

 次回に続く。

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