ほそかわ・かずひこの BLOG

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戦略論44~海戦・航空戦の変化、核戦争の時代へ

2022-08-17 12:14:53 | 戦略論
●戦争のあり方に大きな変化が(続き)

◆海戦の変化

 海軍は、古代の帆船時代から第1次世界大戦まで、主力艦隊同士の砲撃による決戦や敵の港湾封鎖を主要な課題としていた。しかし、第1次世界大戦から潜水艦が本格的に使われるようになると、それまでの戦闘方式が変化した。主力艦の援護や対潜行動が比重を増し、また潜水艦による通商破壊戦とそれへの対抗策が重要になった。
 第1次大戦以降の潜水艦の技術開発はドイツがリードした。ディーゼル機関を採用したUボートは、魚雷攻撃により通商を破壊するなどして多大の戦果を上げた。第2次大戦でドイツは国家の総力を挙げて潜水艦の大規模建造を行い、通商破壊戦で合国に多大の被害を与えた。また大戦後期には、半永久的な潜航が可能なシュノーケル装置を実現した。これに対し、連合国軍はレーダー、ソナーの開発や対潜水艦戦術の研究を進め、ドイツの潜水艦を制圧し、大戦を勝利に導いた。
 次に海戦に変化をもたらしたのは、航空母艦である。航空母艦が戦艦に代わって海戦の主役なったのは、飛行機が各種の用途で活躍し、航空戦力の優劣で勝敗が決するようになったからである。飛行機については、詳しくは次の航空戦の項目に書くことにして、空母の話を続けると、1910年に米国が巡洋艦の甲板上から飛行機を離艦させることに成功した。それが空母の原型である。
 英国は第1次世界大戦中に、初の本格的空母「アーガス」を完成させた。第2次世界大戦前は、空母は戦艦部隊の支援・補助兵力とみなされていた。だが、日本の空母機動部隊が艦載機で真珠湾攻撃に成功して以来、戦艦に代わって海軍の主役となった。
 第2次大戦を通じて、飛行機の活躍によって、それまでの海軍の長距離砲と分厚い装甲を持つ主力艦と、それを援護する補助艦で組み立てられた作戦戦略は、役に立たなくなった。航空母艦と潜水艦の重要性が増した。他の艦船も対空戦闘・対潜戦闘を基本とし、船団護衛や上陸支援が主な任務になった。

◆航空戦の変化

 飛行機の実現は、1903年12月、アメリカのライト兄弟が人類待望の動力飛行に成功したことによる。その後、すぐ飛行機の軍事利用が研究され、1914年に第1次世界大戦が始まると、最初は偵察に使われた。次いで空軍の任務に空中戦・対地支援が加わり、やがて敵の陣地や都市への爆撃が加わった。大戦の間に飛行機の性能は、飛躍的な進歩を見せた。これによって、陸上戦力、海洋戦力に航空戦力が加わる時代が開かれた。
 第2次世界大戦では、航空攻撃の威力が陸上・海洋での戦闘にとって決定的な意義を持つようになった。それまでの戦争にはなかった制空権の掌握が、戦争の展開を大きく左右するようになった。また空爆によって敵国の軍事施設や都市を集中的に攻撃して相手の継戦能力を減耗させる作戦が重要になった。
 空爆の手段としてミサイルの話を加えると、ドイツは第2次大戦中に大型ロケット兵器のV1・V2を開発して、ロンドンを攻撃した。以後、陸戦・海戦でも使用されるようになった。

◆核戦争の時代への突入

 世界大戦の時代に現れた戦争の最大の変化は、核兵器の登場である。
 1938年ドイツの化学者ハーンとシュトラスマンが、ウランの原子核の核分裂の現象を発見し、核分裂の連鎖反応を起こすことができれば大量のエネルギーを取り出す可能性のあることがわかった。
 ドイツが先に核兵器を開発することが懸念されるなか、米国は1942年にマンハッタン計画を発足させ、1945年7月に世界初の核兵器の爆発実験に成功した。米国は各国に先駆けて核兵器の開発に成功し、爆撃機が核兵器を積んで日本の広島・長崎に投下するという作戦を実施した。
 核兵器の使用は、人類の歴史を画する重大事件だった。これによって、戦争は人類の存亡に関わるものに変わった。人類の自滅という結果を招きかねないものになったのである。

 次回に続く。

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