ほそかわ・かずひこの BLOG

<オピニオン・サイト>を主催している、細川一彦です。
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中国の日本併合を防ぐには9

2006-12-12 14:55:44 | 国際関係
●日米安保の攻守同盟化

 憲法改正の次に必要なことに話しを進める。今日の国際社会では、単独で自国を守ることは、極めて困難である。例えば、わが国にとって、中東から石油を輸送するシーレーンを単独で防衛することは、ほとんど不可能に近い。自力による国防を整えつつ、他国と安全保障条約を結ぶことが必要である。

 また、戦後の国際社会におけるわが国の地位は、依然として変わっていない。国連憲章には、第2次世界大戦中に連合国の敵国であった国々に対し、地域的機関などが、安全保障理事会の許可がなくとも強制行動を取り得ること等が記載されている。いわゆる敵国条項である。わが国は、現在も旧敵国と扱われている。このような地位のまま孤立し、どの国とも安全保障条約を結ばずにいることは危険である。仮に日米のどちらかが安保条約を破棄し、日本が孤立した場合、ロシアでも中国でも、安保理に諮ることなく、わが国を侵攻し得る。

 とりわけ重要なことは、東アジアでは、米ソ冷戦の終結後も、冷戦は終わっていないことである。共産国のソ連は解体したが、共産中国は存在し続けてきた。また、共産系国家である北朝鮮も存在している。

 東ドイツと西ドイツは統一したが、北朝鮮と韓国は、分断国家のままである。また、中国と台湾の間には、主権の正統性と国際社会での地位をめぐる問題が存続している。
 ベルリンの壁は撤去されたが、38度線は厳然と実在する。朝鮮戦争は、国際法的には終結していない。38度線をはさんで、北朝鮮軍と国連軍(=連合国軍)が対峙している。
 こうしたなかで、中国は、ソ連解体後、経済的・軍事的に急速に強大化してきている。台湾侵攻の可能性については、別の拙稿に書いた。日本人の拉致という国家的なテロを続けてきた北朝鮮は、中国に続いて核を保有している。そして、ソ連解体後のロシアは、依然として中国に勝る核大国であり、わが国は北方領土を占拠されたままである。ロシアとは今も正式な平和条約を結んでいない。大東亜戦争末期の日ソ戦争は、未だ終わっていないのである。

 このような東アジアにおいて、わが国が他国と安全保障条約を結ぶとすれば、アメリカを主対象とする以外に選択肢はない。日本はアメリカと、自由とデモクラシーという価値を共有している。その価値を協力して守ることは、日本の安全保障の強化となるだけでなく、アジアと世界の平和に寄与することになる。
 アメリカは、日本に対し、米軍を補完する範囲で自衛力の保持を認め、日米安保を締結している。憲法がわが国をアメリカの属国的・保護国的な地位におくものだから、安保条約も本質的に片務的な内容となっている。
 新憲法のもとでは、アメリカと対等の立場で、新たな攻守同盟として安全保障条約の再締結を行うべきと思う。攻守同盟とは、共同の兵力をもって第三国を攻撃し、またはその攻撃に対して防御する目的のために締結する軍事同盟条約である。

 重要なことは、条約というものは、必ず履行されるというものではないことである。相手国は自分の都合で、いつ条約を破るかわからない。大東戦争の末期、わが国は、中立条約を結んでいたソ連に、突如侵攻されるという痛恨の体験をしている。アメリカとの安保条約も、いついかなることがあっても永遠に維持されるというものではない。
 それゆえ、国防の基本は、あくまで自力で自分の国を守ることにある。その上で、他国との安全保障条約を結び、安全保障を強化するという基本姿勢を保つものでなければならない。

 この点を踏まえた上であえて言うのだが、憲法を改正したうえで、対等の立場で日米安保を攻守同盟化することは、日米の提携を強化することにより、アメリカが中国と対決する事態においても、日本を切り捨てにくくする効果をも、もたらすと思う。軍事的保護国を切り捨てることと、攻守同盟の同盟国を見捨てることは、意味の重さが違うからである。

 次回に続く。
 
参考資料
・拙稿「国防は自然権であり、堤防のようなもの」
http://homepage2.nifty.com/khosokawa/opinion08.htm
 項目06
・拙稿「国防を考えるなら憲法改正は必須」
http://homepage2.nifty.com/khosokawa/opinion08d.htm

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