ほそかわ・かずひこの BLOG

<オピニオン・サイト>を主催している、細川一彦です。
この日本をどのように立て直すか、ともに考えて参りましょう。

今年の10大ニュース(平成30年、2018年)

2018-12-30 09:37:33 | 心と宗教
 今年(平成30年、2018年)は、わが国にとって、明治維新から150年の年であり、平成の御世の最後の年でもありました。最も残念なことは、憲法改正への動きが十分進まなかったことです。
 昨年5月3日、安倍首相が自民党総裁の立場で、2020年に新憲法施行というスケジュール案を示し、憲法改正論議を活発化することを求めました。また、9条の1項、2項を維持し、3項に自衛隊を明記する案を提示しました。
 安倍氏の提案を受けて自民党では議論が進められ、本年3月25日の同党大会で、改憲4項目に関する条文イメージが発表されました。4項目とは、自衛隊の明記、緊急事態条項の新設、参議院の合区解消と広域地方公共団体の明記、教育の充実です。9月21日の自民党総裁選で、安倍晋三氏が三選され、10月初め第4次安倍内閣が発足し、安倍首相は臨時国会で憲法改正案を出す方針でした。しかし、3月25日以後、国会では、野党6党が憲法審査会の開催に反対し、憲法に関する議論が全く進ない状態が続き、自民党の改憲案の提示はできないままとなっています。
 こうした状態の一方、政府は臨時国会に出入国管理・難民認定法の改正案を出し、あれよあれよという間に、改正入管法が12月8日に成立しました。改正入管法は、外国人労働者のために新たな在留資格を設け、人手不足が深刻な産業分野で外国人労働者の受け入れを拡大するもので、31年4月に施行されます。受け入れる外国人のうち高度な技能を持つ者には、長期在留や家族の帯同が認めるものので、将来的には永住権付与の可能性が開けます。永住権の付与は、事実上の移民政策につながることが懸念されます。
 私は、外国人労働者の受け入れを拡大することになった今、憲法改正の重要性が一層高まったと考えます。早急に憲法改正をして、国のあり方を根本から立て直さないと、外国人労働者の急増によって日本の国家・社会が溶解してしまうおそれがあります。
 まず日本とはどういう国であるかを、憲法において明確にし、国民の国家・国民・国防の意識を高めることが必要です。日本はどういう国柄・伝統・歴史を持つ国であり、これからどういう理想に向かって進むのか。それを憲法に書き込み、日本とはどういう国かということを明確にする。これを欠いたまま、外国人労働者を多数受け入れ、一般永住者を増やし、さらに外国人に日本国籍を安易に与えたりすると、日本は独自の国柄・伝統・歴史を失い、日本としての特徴や美点を失ってしまい、やがて日本は東北アジアの一つの移民国家に変質してしまうと思います。来年こそ、憲法の改正を大きく前進させなければなりません。
 さて、世界に目を転じますと、今年最大の出来事は、米中貿易摩擦が激化したことです。米国は対中問題を単なる関税問題ではなく、情報や軍事の分野にも及ぶものと捉えており、今後、米中関係は一層緊張を強めていくことが予想されます。歴史を振り返ると、米中冷戦が開始された年と位置付けられる年となるかもしれません。
 中国では、3月11日に憲法が改正され、習近平主席に権力が集中する体制が強化されました。長期独裁政権となる可能性が出ており、個人崇拝の傾向が目立ってきています。米中貿易摩擦の激化は、中国指導部内で習主席への批判を生んでおり、習主席がこれを抑え込むか、それとも新たな体制への変革が起るのかどうか、注目されます。
 朝鮮半島では、韓国の文在寅大統領と北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長が、4月27日に板門店で会談し、朝鮮半島の「完全な非核化実現」を共同の目標に掲げた「板門店宣言」に署名しました。続いて、6月12日にトランプ米大統領と金委員長が、米朝最高指導者の初会談をシンガポールで行い、「朝鮮半島の完全な非核化」を目指すと明記した共同声明を発表しました。しかし、その後、北朝鮮側が自国の安全保障を優先する態度に変わったため、米朝間の協議はこう着状態になっています。
 来年5月、日本は新しい時代に入ります。4月30日に譲位がされ、5月1日に即位・改元が行われます。天皇は日本国および日本国民統合の象徴であり、皇位の安定的な継承は、憲法改正の実現とともに、わが国の根幹に係る重大な課題です。
 わが国は歴史の大きな岐路に立っています。日本人が日本精神を取り戻し、日本の再建を進めることが、国民一人一人の幸福と発展につながる。またそれが世界の平和と発展への貢献となると私は思います。
 来年も、どうぞよろしくお願いいたします。皆様、よい年をお迎えください。

 以下は、時事通信社による今年の10大ニュース。

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●時事通信社の2018年10大ニュース

【図解・社会】2018年10大ニュース
https://www.jiji.com/jc/graphics?p=ve_soc_general-10bignews2018

 ※記事などの内容は2018年12月17日掲載時のものです

◇国内10大ニュース

1位・オウム松本元死刑囚らの刑執行
 法務省は7月6日、オウム真理教の元代表松本智津夫(麻原彰晃)元死刑囚=当時(63)=と元幹部6人の刑を一斉に執行した。同26日にも、元幹部6人の刑を一斉執行。1995年3月に発生した地下鉄サリン事件から23年余を経て、一連の教団事件で死刑が確定した13人全員の執行を終えた。
 松本サリン、坂本堤弁護士一家殺害などの教団事件の犠牲者は29人に上り、負傷者も6000人を超えた。教祖として教団を率いた松本元死刑囚は一審東京地裁の法廷で不規則発言を繰り返し、動機などの詳細を語らないまま、起訴された全13事件で有罪とされ、死刑判決を受けた。弁護人が期限までに控訴趣意書を提出せず、二審東京高裁は控訴棄却を決定。2006年、最高裁で死刑が確定した。
 
2位・日産ゴーン会長を逮捕
 日産自動車のカルロス・ゴーン会長(64)が11月、巨額の役員報酬を隠したとして、金融商品取引法違反(有価証券報告書の虚偽記載)容疑で東京地検特捜部に逮捕され、会長を解任された。仏自動車大手ルノーも統括し、業績不振の日産をV字回復させたカリスマ経営者逮捕のニュースは、世界に衝撃となって伝わった。
 日産は逮捕後、報酬隠しに加え、投資資金の流用や経費の不正支出疑惑も明かし、会社の「私物化」を公表。特捜部は日産の外国人執行役員らとの間で、他人の犯罪を明かす見返りに刑事処分を軽減する日本版「司法取引」に合意し、関連証拠を入手したとされる。弁護側は虚偽記載を否認しており、事件は検察、弁護側の全面対決となる様相を呈している。

3位・財務省が森友文書改ざん、20人処分
 学校法人「森友学園」へ国有地を格安で売却した問題で、財務省が決裁文書の改ざんや学園側との交渉記録の廃棄という不正に手を染めていたことが分かり、通常国会が騒然となった。財務省は6月、内部調査の結果を公表。改ざんを行った当時の佐川宣寿局長ら国有地を管理する理財局ぐるみで不正が行われたと認定し、関係者20人を処分した。理財局主導を強調する内容だったため、佐川氏らに責任を負わせたとの批判も起こった。
 文書改ざんは3月に発覚した。佐川氏は国税庁長官を辞任し、国会で証人喚問が行われた。財務省が大揺れとなる中、福田淳一事務次官は4月、自身のセクハラを報じられ辞任に追い込まれた。一連の不祥事で国の予算編成を担い「最強官庁」と呼ばれる財務省の権威が失墜した。
 
4位・西日本豪雨、北海道地震、災害相次ぐ
 6月の大阪北部地震は、学校のブロック塀が倒れ通学中の小4女児が死亡するなど6人が犠牲となった。7月の西日本豪雨は14府県で計220人を超える死者を出し、平成最悪の豪雨災害となった。広範囲な土砂崩れなどで1万7000戸以上が全半壊。避難所で暮らす被災者は一時、1万2000人を超えた。「災害級の猛暑」が続き、同月23日には埼玉県熊谷市で国内観測史上最高の41.1度を記録した。
 9月の台風21号は近畿地方を縦断し、10人以上が死亡。高潮などで関西国際空港が閉鎖され、関西経済に打撃を与えた。最大震度7を記録した同月の北海道地震では、厚真町を中心に41人の犠牲者が出た。震源地に近い苫東厚真火力発電所が停止し、道内ほぼ全域の295万戸が停電するブラックアウトも発生した。
 
5位・安倍首相、「2島先行返還」へかじ
 安倍首相は11月14日、シンガポールでロシアのプーチン大統領と会談し、北方領土問題に関して1956年の日ソ共同宣言を基礎に平和条約締結交渉を加速させることで一致した。同宣言は条約締結後、歯舞、色丹両島を「日本国に引き渡す」と明記。これまで国後、択捉を含む4島返還を主張してきた立場から、安倍首相が「2島先行返還」にかじを切った形で、領土問題は大きな転機を迎えた。
 両国政府は、河野太郎外相、ラブロフ外相を責任者に交渉を進める方針。ただ、歯舞、色丹両島の「引き渡し」後の主権は「当然、日本側」(菅義偉官房長官)とする日本政府に対し、プーチン氏はロシアの主権が残る可能性をにじませている。双方の認識に隔たりがあり、交渉の先行きは見えない。
 
6位・陸自「イラク日報」見つかり公表
 防衛省は4月、存在しないとしていた陸上自衛隊のイラク派遣部隊の日報が見つかったと発表した。同月に公表した日報には、治安情勢について「戦闘が拡大」などと記載されていた。同省は5月、組織的な隠蔽(いんぺい)を否定し、情報共有の不足を原因とする調査結果を公表するとともに、統合幕僚長や事務次官ら17人を処分。防衛白書では「文民統制に対する懸念や不信感を生じさせた」と記した。
 問題をめぐっては昨年2月、防衛省が国会議員の資料要求などに「存在しない」と回答する一方、当時の稲田朋美防衛相が再探索を指示。翌月に陸自研究本部(当時)で日報が発見されたが、上層部に報告はなかった。再探索の実施要領や方針が示されなかったため、同本部では指示を認識していなかった。

7位・平昌五輪で最多メダル
 第23回冬季五輪平昌大会が2月、韓国で開催された。日本選手団はメダル13個(金4、銀5、銅4)を獲得し、冬季の最多記録を更新。2020年の東京夏季五輪に向けて弾みをつけた。
 フィギュアスケート男子では、羽生結弦が右足首のけがを乗り越え、66年ぶりの連覇達成で感動を呼んだ。スピードスケートはメダルラッシュ。女子500メートルで小平奈緒が日本女子初の金に輝き、高木美帆は女子団体追い抜きの金を含むメダル3個。姉の高木菜那は新種目のマススタートで頂点に立った。カーリング女子はLS北見(現ロコ・ソラーレ)が銅メダルを獲得し、プレー中の会話「そだねー」は流行語大賞に。ノルディックスキーのジャンプでは高梨沙羅が銅。期待に応えた女子選手の活躍は話題をさらった。

8位・中央省庁で障害者雇用水増し
 中央省庁が長年にわたり障害者雇用を水増ししていたことが発覚した。弁護士ら第三者による検証委員会が調べた結果、28の行政機関が不正を行い、2017年6月1日時点で3700人を障害者として数えていたことが判明。本来なら法制度を整備・推進する立場にある中央官庁のモラルの低さが批判された。政府は約4000人を新たに雇うことを決めた。
 障害者雇用促進法は国や企業に一定割合の障害者を雇うよう定めている。基準をクリアしたように見せるため、中央省庁では障害者手帳を持たない職員や退職者を障害者に含めるなどのずさんな運用が目についた。省庁別では国税庁が1103人で最多。制度を所管する厚生労働省でも不正があった。地方自治体などでも水増しの実態が明らかになった。

9位・働き方改革、外国人就労で関連法
 2018年は仕事と日本社会の在り方に大きな影響を及ぼす二つの法律が整備された。6月に成立した「働き方改革」関連法は、残業時間の上限に罰則付きの規制を導入することが柱で、70年ぶりの労働法制の大改正。高収入の専門職を労働時間規制の対象から外す「高度プロフェッショナル制度」の創設なども決まった。
 高度な専門分野に限ってきた外国人労働者を、新在留資格を創設して農業、建設など多分野に広げる改正出入国管理法は12月に成立した。19年4月にスタートするこの制度には「事実上の移民政策」との指摘もあるが、深刻な人手不足への対策として安倍政権が法制化。具体的な対象分野や人数、受け入れ体制は成立後に定める省令などに委ねており、野党からは「拙速だ」との批判を浴びた。

10位・日銀が政策修正、金利上昇容認
 日銀は7月31日の金融政策決定会合で、大規模な金融緩和政策の修正を決めた。デフレ脱却を目指す日銀は個人や企業がお金を借りやすいよう金利を極めて低く抑える政策を採ってきたが、国債取引の低迷や金融機関の収益悪化など副作用も大きくなってきた。このため住宅ローンの目安などとなる長期金利の上昇を一定程度容認し、こうした副作用を和らげつつ緩和を長く続けられるような仕組みに変えた。
 市場では、黒田東彦総裁の就任から5年以上にわたって緩和一辺倒で突き進んできた日銀が路線を転換した重要な決定と受け止められた。政策修正を先取りする事前報道の段階から円相場や金利は大きく変動したが、しばらくすると国債取引は再び低迷。日銀の大規模緩和策は行き詰まりが鮮明になりつつある。

◇海外10大ニュース

1位・米朝が史上初の首脳会談
 米朝首脳会談が史上初めて実現した。トランプ米大統領と北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長は6月12日、シンガポールで会談。「朝鮮半島の完全な非核化」を目指すと明記した共同声明を発表したものの、核廃棄の査察や完了期限といった肝心の文言はなく、具体策は先送りされた。
 トランプ氏は米韓合同軍事演習の凍結まで表明し、首脳会談は米側が大きく譲歩する結果となった。しかし、北朝鮮側はその後、非核化より自国の安全保障に関わる朝鮮戦争の終結宣言や休戦協定の平和協定への転換を優先させる姿勢を示し、制裁の早期解除も求めたため、米朝間の協議はこう着状態になった。両国は来年、2回目の首脳会談を行うため調整中。トランプ氏は「1月か2月」との見通しを明らかにしている。

2位・米中貿易摩擦が激化
 トランプ米政権は知的財産権の侵害を理由に7月から9月にかけて、最大の貿易赤字相手国である中国からの年間輸入額のほぼ半分、計2500億ドル(約28兆円)相当の製品に追加関税を発動した。これに対し中国は1100億ドルの米国製品に報復関税を課した。世界1、2位の経済大国間の貿易摩擦激化で、世界経済への影響が懸念されている。
 米政権はこのうち2000億ドル分に課す追加関税率を来年1月に10%から25%に上げる予定だったが、12月の米中首脳会談で決めた貿易交渉の間は税率引き上げを凍結する。交渉期限となる来年2月末までに中国が知財権や技術移転強要などの問題で改善策を示さなければ、米国は税率引き上げに踏み切り、対立が一段と深刻化する恐れがある。

3位・朝鮮半島非核化、南北首脳が合意
 韓国の文在寅大統領と北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長は4月27日、板門店の韓国側施設「平和の家」で会談し、朝鮮半島の「完全な非核化実現」を共同の目標に掲げた「板門店宣言」に署名した。北朝鮮の最高指導者が板門店を越えて韓国側を訪れたのは分断後初めて。
 5月26日には文氏が板門店の北朝鮮側施設「統一閣」を訪れ、再会談。9月18~20日には平壌を訪問し、敵対関係の解消をうたった「平壌共同宣言」に調印した。両首脳は北朝鮮が「革命の聖地」としている白頭山を訪れるなど、南北融和ムードを盛り上げた。正恩氏は核実験場を閉鎖し、ミサイル実験場の廃棄を約束。寧辺の核施設についても「米国の相応の措置」を条件に廃棄の用意を表明したが、実現するかは不透明だ。

4位・米がイラン核合意離脱、制裁再発動
 トランプ米大統領は5月8日、欧米など主要6カ国とイランが締結した合意からの離脱を表明した。合意はイランの核兵器開発阻止を目的としているが、トランプ政権は弾道ミサイル開発規制などが含まれていないとして、経済制裁を8月と11月の2段階に分けて再発動した。
 2015年7月に成立した核合意は、イランが核兵器の原料となるウラン濃縮を含む核開発を大幅に縮小する代わりに欧米側が経済制裁を解除する内容。オバマ政権がこれを主導し、外交的な成果と位置付けられた。トランプ政権による一方的な離脱は、強硬派の共和党やイランと敵対するイスラエルなどを意識したとみられている。ただ、イランは「合意違反は一切ない」と主張、英仏独などは関係の維持に腐心している。

5位・韓国最高裁、徴用工への賠償命じる
 韓国最高裁は10月30日、第2次大戦中の元徴用工の損害賠償請求訴訟で新日鉄住金の上告を棄却、賠償を命じる判決を言い渡した。11月29日には三菱重工業を相手取った元徴用工らの訴訟2件についても賠償判決を確定させ、日本企業の敗訴が相次いだ。いずれも「1965年の日韓請求権協定では個人の請求権は消滅していない」と判断した。日本政府は「協定で解決済み」との立場で、「判決は日韓関係の法的基盤を覆す」として、韓国政府に是正措置を求めている。
 また、韓国政府は11月21日、日韓合意に基づいて設立され、元慰安婦らの支援事業を行っていた「和解・癒やし財団」の解散を決めたと発表した。日本政府は「合意の着実な履行が重要だ」と強調、「解散は受け入れられない」と反発している。

6位・メルケル独首相「引退」、欧州に衝撃
 ドイツで長期安定政権を率いてきたメルケル首相が10月29日、州議会選連敗の責任を取り、中道右派与党・キリスト教民主同盟の党首を辞任すると表明した。首相職には2021年の任期満了までとどまる方針だが、その後は政界を引退する。欧州連合(EU)をけん引してきたメルケル氏の引退表明は欧州各国に衝撃を与えた。
 メルケル氏は05年に首相に就任し、ギリシャ財政危機への対応や、15年の欧州難民危機で難民受け入れに積極姿勢を示すなど指導力を発揮。一方、欧州では反難民を掲げるポピュリスト政党が台頭、メルケル氏の寛容政策は国内外で反発を招き、求心力も低下した。昨年9月の総選挙では議席数を大きく減らし、半年間の交渉の末に中道左派・社会民主党との連立で第4次政権を発足させた。

7位・米中間選挙、下院で民主党が過半数
 トランプ米政権への審判となった4年に1度の中間選挙は11月6日に行われ、下院で野党・民主党が8年ぶりに過半数を奪還した。上院では与党・共和党が多数派を維持し、両院で「ねじれ」が生じる結果となった。共和党単独での法案可決が阻まれるため、今後は厳しい政権運営が予想される。民主党がロシア疑惑でトランプ大統領への追及を強めるのも必至だ。
 下院で民主党が奪った議席数は約40に上り、近年の中間選挙では2010年に共和党が奪った63議席に次ぐ多さとなった。共和党は保守色の強い州で底力を見せながらも、それ以外の州で現職候補が次々と敗れ、上院でもアリゾナ州など共和党が強い地盤で議席を失った。中間選挙では与党に厳しい結果が出る傾向にあるが、再選を目指すトランプ氏に不吉な兆候となった。

8位・習中国主席が「1強」強化
 中国の憲法改正(3月11日)でこれまで2期10年までとされてきた国家主席(元首)の任期が撤廃され、習近平主席に権力が集中する体制が強化された。習氏が兼務する共産党総書記と中央軍事委員会主席はもともと任期がなく、国家主席の任期を制限することで、総書記と軍事委主席も事実上10年までとされてきたが、その「たが」が外された。習氏が政権トップを10年以上務める可能性が出てきた。
 国家副主席には、高齢のため党中央の要職を退いていた習氏の盟友、王岐山氏が起用された。また、習氏がトップを務める党中央指導小組が委員会に格上げされ、党が政府機関を指導する権限が拡大。習氏個人の影響力がさらに強くなったが、「毛沢東時代への回帰を志向している」との批判的見方もある。

9位・サウジ記者殺害、皇太子に疑惑
 サウジアラビアの著名な反体制派記者ジャマル・カショギ氏が10月2日、結婚手続きのため訪れたトルコ・イスタンブールのサウジ総領事館で殺害された。サウジは当初、事件そのものを否定したが、殺害時の音声記録を持つトルコによる追及や国際社会からの批判が日増しに強まる中、サウジ検察は情報機関高官らによる計画的殺人だったと発表。容疑者20人超を拘束し、そのうち5人に死刑を求刑した。
 複数のメディアが、米中央情報局(CIA)はサウジの事実上の最高権力者であるムハンマド皇太子が殺害を命じたと結論付けたと報じるなど、皇太子の関与が取り沙汰されているが、サウジは一貫して否定。サウジとの関係維持を優先させたいトランプ米大統領は皇太子擁護の姿勢を続けている。

10位・米国抜きTPP11が発効
 米国を除く環太平洋連携協定(TPP)参加11カ国が合意した新協定「TPP11(イレブン)」が12月30日に発効。工業製品や農産品の関税撤廃・削減、知的財産権保護などのルールを定めており、貿易自由化を進め、太平洋をまたぐ新経済圏として発展を狙う。日本の消費者にとってはニュージーランド産乳製品の値下げといった恩恵が期待できそうだ。
 TPPは2015年10月、米国を含む12カ国で大筋合意したが、トランプ大統領が就任直後に離脱を表明。残る11カ国で再協議し、今年3月に新協定署名にこぎ着けた。その後、日本、カナダ、オーストラリア、ニュージーランドなどの批准手続きが完了し、発効条件を満たした。11カ国の人口は約5億人、国内総生産(GDP)の合計は世界全体の約13%を占める。
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