ほそかわ・かずひこの BLOG

<オピニオン・サイト>を主催している、細川一彦です。
この日本をどのように立て直すか、ともに考えて参りましょう。

改正入管法は、このままでは移民国家への一歩となる

2018-12-10 09:54:03 | 時事
 改正入管法が12月8日に成立しました。わが国は、未だ日本人自らの手による憲法の改正ができておらず、国家・国民・国防の意識が薄弱のまま、労働力確保という経済的な必要に駆られて、実質的な移民国家へと踏み出そうとしています。政界と財界の一部には、以前から日本を移民国家に変えようとする「移民受け入れ1000万人計画」があります。今回の法改正は、この計画へのひそかな一歩である恐れがあります。このまま進めば、混乱と衰退に行き着きます。国家百年の計を誤ったかと痛恨の思いです。早期に法の再改正、軌道修正が必要です。
 「移民受け入れ1000万人計画」が大問題であることについては、拙稿「トッドの移民論と日本の移民問題」の第6章に書いています。
http://khosokawa.sakura.ne.jp/opinion09i.htm

 改正入管法の問題点と課題については、12月9日付の産経新聞の社説(主張)がよく書いています。
「政府の説明とは裏腹に、「移民国家」への一歩を踏み出すものといわざるを得ない」「受け入れ業種は現在の14にとどまることなく、いずれ底なしに拡大していくことになろう」「多くの課題や制度上のあいまいさが山積している」「このまま施行されれば場当たり的な対応に追われ、現場は混乱しよう。法律は安易な社会実験の道具ではない。改めて熟議を重ね、根本部分からの法律の作り直しを強く求めたい」

 以下は、産経の記事の全文。

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●産経新聞 平成30年12月9日

https://www.sankei.com/column/news/181209/clm1812090002-n1.html
【主張】改正入管法の成立 2年待たずに見直し図れ 外国人受け入れ数の法定化を
2018.12.9 05:00|コラム|主張

 外国人労働者の受け入れ拡大を図る改正出入国管理法(入管法)が8日未明までの審議の末、成立した。政府の説明とは裏腹に、「移民国家」への一歩を踏み出すものといわざるを得ない。
 来年4月から新制度が実施される。だが、多くの課題や制度上のあいまいさが山積している。このまま施行すれば政府や社会の混乱は避けられまい。
 日本は今後、勤労世代人口の激減時代に入っていく。受け入れ業種は現在の14にとどまることなく、いずれ底なしに拡大していくことになろう。
 安い労働力の受け入れを続ければ産業構造の変革を遅らせる。生産性向上にブレーキがかかり、日本は衰退しかねない。

「移民国家」へ進むのか
 2年後の見直し時期を待つことなく、受け入れ数の上限と期限を法律で定める必要がある。
 改正入管法は、これまで認めてこなかった単純労働者の在留資格を新設し、実質的な永住に道を開く内容だ。来年4月からのスタートはあまりに問題が多い。具体的な対応策を示さないまま、政府・与党が強引に成立を図ったことは極めて遺憾である。
 新在留要件は一定の技能を持つ外国人を対象とするが、その水準は明示していない。運用上のばらつきが生じることはないのか。
 とりわけ問題なのが、今回の受け入れ構想が、現状の産業構造や国内マーケットの規模を前提としている点である。
 安倍晋三首相は目先の人手不足の解消を強調するが、日本の勤労世代は今後25年間だけでも1500万人近く減る。どの産業分野も人手が足りなくなることは火を見るよりも明らかだ。当面の14業種でとどまるはずはなかろう。
肝心の規模もあいまいだ。政府は来年度から5年間で最大34万5千人余との概数を示したが、法律には業種や人数は明記されていない。省庁が何を根拠に不足数を弾(はじ)き出したのかはっきりしない。
 政府は法律に明記すると、景気の動向や雇用情勢の変化に対し機敏な運用ができないとして、省令の「分野別運用方針」で正式な受け入れ数を定める。これでは恣意(しい)的な運用を招きかねない。
 人手不足が解消されれば受け入れを停止する仕組みだというが、何を基準に「解消」と判断するのかも不明確だ。
 これから減るのは働き手だけではない。当面増え続ける介護サービスなどは別にしても、人口減少に伴って国内市場は縮み、消費ニーズも変化する。外国人によって目先の人手不足を解消しても需給バランスは早晩崩れる。
 人口減少社会で重要なのは、安易に外国人で数合わせすることでは決してない。産業構造や社会構造の変革を急ぐことだ。ニーズや消費規模の変化を見通して、どのような仕事を、どれほどの期間と規模で外国人に委ねるのかを定めることが先決である。

いずれ日本の衰退招く
 こうした手続きを踏まずに「安い労働力」に依存すれば、新たな成長産業は生まれにくい。日本社会は輝きを失っていくだろう。
 人手確保の順番もおかしい。国内には働く意欲があるのに機会を得られない女性や高齢者がいる。非正規雇用に苦しむ若い世代も少なくない。なぜ日本人の処遇や労働環境改善を優先しないのか。
 一時的な人手不足が解消するとしても、日本人を含む労働者の賃金水準が押さえ込まれてしまうことへの目配りがなさすぎる。
 地方の人手不足を解決する決定打になるとはいえない。すでに外国人はよりよい仕事を求めて大都市圏に集中する傾向にある。その対策も示されていない。
 外国人の受け入れ体制にも疑念が残る。国会審議では技能実習生への人権侵害が次々に明らかになった。低賃金や違法残業、賃金未払いに加え、暴行も発覚した。
 政府は技能実習生と新設する在留資格は別物とするが、そんな理屈は通用しない。
 現状を改善した上で、新資格で来日する人々を含め外国人が安心して働き、暮らせる環境を整える必要がある。だが来年4月に果たして間に合うのか。
 このまま施行されれば場当たり的な対応に追われ、現場は混乱しよう。法律は安易な社会実験の道具ではない。改めて熟議を重ね、根本部分からの法律の作り直しを強く求めたい。
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