【中国原産、梅と違ってモクセイ科の合弁花】
原産地は中国北部で、和名の「オウバイ」は漢名「黄梅」の音読み。その名の通り、梅の時期に梅の花の形によく似た黄色い小花を次々と咲かせる。彩りの乏しい時期にいち早く咲くため、中国では「迎春花」とも呼ばれる。名前から梅の仲間と思われがちだが、モクセイ科ソケイ属(ジャスミヌム属)の半つる性植物で、梅とのつながりはない。
2~4月頃、葉が出る前に前年伸びた細い枝に花径2cmほどの小花をたくさん付ける。花びら6枚でできた離弁花のように見えるが、基部がくっ付いた合弁花。細い枝は緑色の四角形で、弓状に枝垂れ地面に触れた所から根を出す。この時期、石垣から垂れ下がったオウバイの鮮やかな花色が遠くからも目を引く。
渡来時期は不明。ただ、江戸時代前期の園芸書「花壇地錦抄」(1695年、伊藤三之丞著)に「黄梅、花形梅花のごとく黄色なり。木はかづらにもあらず、れんぎょうのるい」と紹介されており、それ以前に日本に渡っていたことは間違いない。この記述のように同じモクセイ科で弓状に多くの黄花を付けるレンギョウ(連翹)の花姿に少し似たところも。
仲間のソケイ属には花から香油のジャスミンが採れるソケイ(素馨)やキソケイ(黄素馨)、マツリカ(茉莉花)などがあり、芳香を放つものが多い。ただオウバイには香りはない。花付きがいい、寒さに強い、挿し木で容易に根が付く、剪定に強いことなどから、オウバイは盆栽用花木としても人気が高い。「黄梅の日射日増しに眩しかり」(安居修一)。
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