く~にゃん雑記帳

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<大和文華館> 「樹のちから―東洋美術における樹木の表現」

2019年09月05日 | 美術

【15~20世紀の東アジアの作品36点を展示】

 奈良市学園南の大和文華館で「樹のちから―東洋美術における樹木の表現」が開かれている。「山水世界の創出」「場面を彩る樹」「人の想いに寄り添う樹」の3章構成で、樹木の様々な表情を描いた15~20世紀の中国、日本、朝鮮半島の作品36点が並ぶ。会期は9月29日まで。

 展示作品の中でとりわけ圧倒的な存在感で迫ってきたのが富岡鉄斎(1836~1924)の墨画「古木図屏風」(写真、制作年未詳)。六曲一双のうちの左隻で、古木図や樹石図を多く描いた鉄斎にとっても最大級の作品だ。金箔を散りばめた金箋(きんせん)に、老いてもなお生気漲る古木とその周りに奇石、竹、鳥などを配置した。古木がまるで樹の精や樹の妖怪のようにも見えなくもない。解説には「厳しい環境でも節を曲げずに生きる、高潔な老人の精神を投影したのだろう」とあった。自らの信念と生き様をこの老木に託したに違いない。

 伝周文筆の六曲一双の「山水図屏風」は国の重要文化財。周文は室町時代中期に活躍した京都・相国寺の画僧で、雪舟の師としても知られる。ただ作者には周文の弟子岳翁や小栗宗湛などの説も出ているそうだ。鑑貞筆の「瀟湘八景図画帖」は中国湖南省の風光明媚な瀟湘の景色を描いた作品。水墨画家鑑貞は奈良・唐招提寺の総持坊に住していたといわれる。「閑屋秋思図」は中国清時代初期に活躍した高其佩(1672~1734)の作品。彼は筆の代わりに指や爪で描く指頭画(しとうが)を始めたことで名を馳せた。

 このほか富岡鉄斎の「松鶴図」や与謝蕪村に南画を学んだ呉春の「春林書屋図」、中国明時代の惲向筆「冬景山水図」、張宏筆「越中真景図冊」、清時代の楊晋筆「山水図冊」、伝余崧筆「桐下遊兎図」、朝鮮中期の「群鹿図」なども展示中。

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