く~にゃん雑記帳

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<大和文華館> 特別展「酒井抱一 江戸情緒の精華」後期入り

2014年10月29日 | 美術

【新たに「紅白梅図屏風」や「燕子花図屏風」など】

 大和文華館(奈良市学園南)で開催中の特別展「酒井抱一 江戸情緒の精華」は一部展示替えを行い、28日から後期入りした。新たに「紅白梅図屏風」や「燕子花(かきつばた)図屏風」など私淑した尾形光琳の画題・画風に倣った作品のほか、「瓜ばった図」「鬼図」「五節句図」(重要美術品)など20点余がお目見え、酒井の幅広い画業を紹介する。11月16日まで。

      

 「紅白梅図屏風」(六曲一双、上の作品=いずれも部分)は右隻の白梅と左隻の紅梅がそれぞれ中央に向かって枝を伸ばす構図。幹には所々、緑色のコケが生える。絹地を生かした精緻な幹の質感に目が釘付けに。「紅梅図」は梅の老木を墨と淡彩で描いた作品。左下に添えられた漢詩は酒井が身請けした遊女の筆という。酒井は吉原の妓楼・大文字屋の主人と親交があった。会場入り口正面にはその主人のために制作した文机「雪月花扇面賛文台」も展示されている。

      

 「十二ケ月花鳥図屏風」は前期の右隻に代わり左隻の第1~第3扇(上の作品)が登場。酒井は十二カ月花鳥図を得意とし、この屏風以外にも12図そろったものが5組現存。その多くは掛軸に仕立てられているが、もとは展示作品同様、押絵貼(おしえばり)屏風だったとみられる。この作品の隣には桜の花と瑠璃鳥が描かれた「桜に小禽」と柿の木にメジロが止まる「柿に小禽」の掛軸が展示されている。この2枚の題材も十二カ月花鳥図で3月と10月の組み合わせとして好まれたことから、もとは12図あったうちの2枚とみられる

 「燕子花図屏風」(二曲一隻)は光琳が得意としたカキツバタを題材としたもの。「C」の形に咲き誇る無数の群青色の花を配置し、その中に3輪の白花を置く。中央右手の葉先には1匹のハグロトンボ。「瓜ばった図」は姫路藩主を継いだ兄、忠以(ただざね)との合作。ウリの上に1匹のバッタが乗った構図で、兄が賛として「夏たけてあきに鳴子の市人は ばったばったとやすうりをする」という狂歌を添えている。抱一は様々な号を使ったが、この作品には「尻焼猿人(しりやけのさるんど)」と署名している。

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