今月は主要な経済指標が土日をまたぐので、暫定版だと思っていただきたい。家計調査を見る限り、4-6月期の消費は未だマイナス圏にある。その他の需要項目にも、今のところ、特に強いものは見当たらない。したがって、4-6月期GDPはマイナスからゼロになるという見通しである。アベノミクスは再失速し、経済はノロノロとしか進んでいない。
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5月の家計調査は、二人以上世帯の実質消費支出(除く住居等)の季節調整済指数が前月比+2.0と大きく伸びたものの、これは4月がかなり低かったためであり、4,5月平均は、1-3月期平均より-1.1も低い水準にとどまる。これを6月単月だけでゼロまで盛り返すのは、なかなか厳しい。このように、4-6月期の消費はマイナス圏にあり、GDPの6割は消費なのだから、悲観的にならざるを得ないわけである。
消費が増えない最大の理由は、勤労者世帯の実質実収入が伸び悩んでいることにある。5月はプラスだったが、一進一退の範囲だ。実質実収入は、10-12月期に前期比が+1.9だったのに、1-3月期には+1.0へ下がり、4,5月平均は-1.0でしかない。5月の消費性向は74.3と「並み」の水準であり、消費マインドが冷え込んでいるわけではなく、実収入の問題だ。今後、ボーナス支給の開始や年金給付の改定がある6月に、どれだけ伸びるかであろう。
やや気になるのは、消費者物価指数が予想されたほど下がっていないことである。原油安は電気ガスのエネルギーへ波及しているが、代わりに食料品が値上がりしている。ここでメリットが食われてしまっている。名目実収入が伸びずとも、物価が下がれば、実質の消費は押し上げられる。これが1-3月期には奏功したが、同じだけの効果を4-6月期に望むのは、難しいようである。
(図)
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雇用については、わずかに改善したが、鈍い状況にある。労働力調査を見ると、就業者の季節調整値は、3月が-10万人、4月が-28万人だったものが、5月は+19万人と戻し、完全失業率は3.3%と横ばいだった。対前年同月比では、自営業主・家族従業者が減り続けていて、これを雇用者が埋める形である。その雇用者は、正規が4,5月とあまり増えず、非正規によって確保されている。
職業紹介では、新規求人倍率が1.78と最高値を更新したものの、新規求職者の減に因るところが大きい。そこで新規求人数を前年同月比で見ると、4月の+0.1%に続き、5月は-4.4%と低調だった。確かに、労働需給は引き締まった状態にあるが、もう勢いは失われている。有効求人倍率の更新は、昨年12月に1.77を記録してから、5か月経ってからの到達なのである。
………
さて、消費の供給側を見ようにも、鉱工業指数生産や商業動態統計は、週明け月曜の公表であり、賃金や労働時間については、火曜に公表の毎月勤労統計を待たなければならない。それにしても、前年度比7兆円増という絶好調の国の税収とは、何とも対照的な経済の行き詰まりぶりである。いや、あまりに税収を揚げ過ぎて、自ら景気回復の好循環を断ち切ってしまったのであろう。
また、いつもの風景である。そうこうしているうちに、海外の経済に異変が生じ、せっかくの金融緩和の成果が無に帰すというのを、これまで何度も繰り返してきた。今回の金融緩和については、異次元なだけに、無では済まず、不都合なものも残している。そうした中、上海株は2週で19%も落ちた。これは「急ブレーキ」じゃなく、「バブルが弾けた」と言うべきではないかね。そのあたりも、来週を待つとしよう。
(昨日の日経)
雇用保険料を来年度下げ。異次元緩和・迫る過熱信号。5月家計調査は増税後初の増加。上海株に急ブレーキ、2週で19%安。税収・昨年度7兆円増で54兆円。
(今日の日経)
ギリシャ支援の延長拒否。中国が追加利下げ、株急落に危機感。不動産向け融資最高。
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5月の家計調査は、二人以上世帯の実質消費支出(除く住居等)の季節調整済指数が前月比+2.0と大きく伸びたものの、これは4月がかなり低かったためであり、4,5月平均は、1-3月期平均より-1.1も低い水準にとどまる。これを6月単月だけでゼロまで盛り返すのは、なかなか厳しい。このように、4-6月期の消費はマイナス圏にあり、GDPの6割は消費なのだから、悲観的にならざるを得ないわけである。
消費が増えない最大の理由は、勤労者世帯の実質実収入が伸び悩んでいることにある。5月はプラスだったが、一進一退の範囲だ。実質実収入は、10-12月期に前期比が+1.9だったのに、1-3月期には+1.0へ下がり、4,5月平均は-1.0でしかない。5月の消費性向は74.3と「並み」の水準であり、消費マインドが冷え込んでいるわけではなく、実収入の問題だ。今後、ボーナス支給の開始や年金給付の改定がある6月に、どれだけ伸びるかであろう。
やや気になるのは、消費者物価指数が予想されたほど下がっていないことである。原油安は電気ガスのエネルギーへ波及しているが、代わりに食料品が値上がりしている。ここでメリットが食われてしまっている。名目実収入が伸びずとも、物価が下がれば、実質の消費は押し上げられる。これが1-3月期には奏功したが、同じだけの効果を4-6月期に望むのは、難しいようである。
(図)
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雇用については、わずかに改善したが、鈍い状況にある。労働力調査を見ると、就業者の季節調整値は、3月が-10万人、4月が-28万人だったものが、5月は+19万人と戻し、完全失業率は3.3%と横ばいだった。対前年同月比では、自営業主・家族従業者が減り続けていて、これを雇用者が埋める形である。その雇用者は、正規が4,5月とあまり増えず、非正規によって確保されている。
職業紹介では、新規求人倍率が1.78と最高値を更新したものの、新規求職者の減に因るところが大きい。そこで新規求人数を前年同月比で見ると、4月の+0.1%に続き、5月は-4.4%と低調だった。確かに、労働需給は引き締まった状態にあるが、もう勢いは失われている。有効求人倍率の更新は、昨年12月に1.77を記録してから、5か月経ってからの到達なのである。
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さて、消費の供給側を見ようにも、鉱工業指数生産や商業動態統計は、週明け月曜の公表であり、賃金や労働時間については、火曜に公表の毎月勤労統計を待たなければならない。それにしても、前年度比7兆円増という絶好調の国の税収とは、何とも対照的な経済の行き詰まりぶりである。いや、あまりに税収を揚げ過ぎて、自ら景気回復の好循環を断ち切ってしまったのであろう。
また、いつもの風景である。そうこうしているうちに、海外の経済に異変が生じ、せっかくの金融緩和の成果が無に帰すというのを、これまで何度も繰り返してきた。今回の金融緩和については、異次元なだけに、無では済まず、不都合なものも残している。そうした中、上海株は2週で19%も落ちた。これは「急ブレーキ」じゃなく、「バブルが弾けた」と言うべきではないかね。そのあたりも、来週を待つとしよう。
(昨日の日経)
雇用保険料を来年度下げ。異次元緩和・迫る過熱信号。5月家計調査は増税後初の増加。上海株に急ブレーキ、2週で19%安。税収・昨年度7兆円増で54兆円。
(今日の日経)
ギリシャ支援の延長拒否。中国が追加利下げ、株急落に危機感。不動産向け融資最高。
増税の剥離が完全になって、さらに前年の5月は4月と比べ0.5%も違うのである意味前年比では数値上のボーナス的な物価上昇率を勝手に予測していたのですが。