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コロラド・ヴェイルでのスキー その2

2017年03月24日 | 旅行

  今回のスキーでもゴンドラの中やリフトで多くの現地スキーヤーと話すことができました。ゴンドラは8人乗りで20分くらい乗るため、そのたびに多くの人と話をする楽しみがあります。

  テキサスから来ている同年輩の男性とゴンドラで話をしました。彼は証券会社を退職後、資産運用のアドバイザーをしていて、本も書いているとのこと。私と全く同じようなキャリアで、意気投合しました。なぜテキサスからここまで来ているのかと聞くと、ヴェイルが好きでセカンドハウスを持ち、夏は避暑、冬はスキー場でボランテイアのホストをしているとのこと。ウラヤマシー!

 ホスト?

   どんなことをするかと言いますと、街中に多くの中高年男女のホストがいて、ゴンドラ乗り場はこちら、スキーのレンタル屋はこちら、レストランはどこがお薦め、などと案内をしてくれるのです。

   そしてゲレンデにも多くのホストがいます。広大なコースの道案内をしてくれたり、コースの難度のアドバイスをしてくれ、初めての人はとても助かります。そしてスキーヤーの安全を確保するためのセキュリティーもボランティアの仕事です。スキーヤー同士がぶつかったりするとすぐに救助に飛んできます。日本では見たことのない、とてもよい制度です。

  リフトで乗り合わせたIT企業の経営者とはとても面白い話題になりました。それは、「日本人はトランプ大統領をどう見ているんだ」という質問からです。私は正直に、「アメリカはとんでもない人を選んだね。我々は彼を厄介者だと思っているよ」と言うと、「ホントに嫌になる。世界の恥さらしだよ」と彼も全く同感だと言っていました。

   現地滞在中はトランプがつぶやいた「オバマがトランプタワーの電話盗聴を指示した」とのニュースで持ち切りでしたが、私が話したほとんどのアメリカ人の反応は、「彼のいい加減なつぶやきは、もううんざりだ」でした。なぜかスキー場でトランプ支持者には会いませんでした。


   海外でのスキーリゾートの楽しみはスキー場だけではなく、アフタースキーにもあります。日本のスキー場のほとんどがスキーリゾートと呼ばれない理由はアフタースキーがほとんどないためです。

   日本でも海外スキーヤーの増加や海外資本によるスキー場エリアへの進出で、リゾートらしさができつつあるところがあります。私が何度か紹介させていただいたニセコを筆頭に、野沢温泉、白馬八方尾根の一部です。それらもかなりの部分海外スキーヤーの増加と投資によってもたらされた新たな風です。

   では、ヴェイルというリゾートはどんなリゾートか。ちょっと町の雰囲気に触れていただきましょう。

   スキーを終えて麓まで滑って戻ると、ゴンドラの乗り場付近にはたくさんのオープン・カフェが並んでいます。そこでビールや暖かい飲み物で疲れをいやすのが、スキーヤーにとり最高のひとときです。

   カフェの隣には「メンバー・スキー・ヴァレー」と書いてある建物があり、みんな立ち寄っています。ヴァレーとは、駐車場のヴァレー・パーキングと同じですが、メンバー制のスキー用具置き場です。

  名前を告げると自分のスキー用具一式を持ってきてくれます。ここに預ければ、ホテルとゴンドラの往復で、歩きづらいスキーブーツを履いたり、重いスキー板を持たずに済むのです。スキーを終え隣のカフェでくつろぐときには、すでにブーツを脱いで解放感に浸れるのです。ブーツを脱ぐ解放感は、スキーをされる方でないとわかりづらい解放感です。こうした工夫は日本にはなかなかありません。

   そこはメンバー制ですが、実はこれがヴェイルのミソなのです。「その1」でリフト代が一日で2万円と極めて高く、5日間でも一日当たり1万4千円だと書きました。しかしシーズンパスを買うとなんと何日滑っても800ドル、10万程度です。そして用具は常にここに預けることで、シーズン中はいつでも快適にスキーを楽しむことができるのです。すべてがリピーターを囲い込む工夫です。ヴェイルの周辺には別荘地帯がたくさんあります。ほとんどの人たちはシーズンパスを持っています。

   いやそれどころか、最近はコロラド州全体が「別荘地」ではなく、リモートで仕事をする人たちの「居住地」になっています。夏は涼しく、春秋は釣り、ハイキングやサイクリングを楽しみ、冬は寒いですがスキーを楽しむことができます。ガイドのジミー大西も、夏場は釣りのガイドをしているとのこと。

  仕事で場所を選ばないITの技術者や、金融関係者でもファンドマネジャーなどがここに暮らしてリゾートライフを楽しみがら仕事をしているのです。リフトで乗り合わせた人でも、住みついている人が結構多くいました。リタイア族ももちろんたくさんいます。リタイアメント・ハウスを子供や孫たちのための別荘にもしています。すると自分たちも定期的に家族と一緒に過ごすことができます。なんともうらやましい生活です。

  ただ、ロケーションのよい別荘は非常に高額です。ガイドのジミーによると、1ベッドルームにリビングで百万ドル、1億円超え。1部屋付くごとに20-30万ドルのプラスになるそうですから、大都市近郊の高級住宅とかわりありません。


   では、ヴェイルの街を簡単に案内します。多くのスキー用品屋が並ぶのはもちろんですが、レストランや高級ブティック、そしてアート・ギャラリーがたくさんあります。建物はヨーロッパの雰囲気を持つ、重厚な作りです。そして我々が驚いたのは、街中の歩道に雪がないことです。ヴェイルの歩道はすべてヒーティングしてあって、雪で滑ることがないようにしているのです。

   それはスキー場でも同じで、ゲレンデからレストランに行く歩道や階段はすべてヒーティングして雪を溶かしています。こうした整備のよさこそがヴェイルの真骨頂で、リフト代が高いのも納得できるのです。

   こうしたリゾートの雰囲気を持つ街には、アーティストもたくさん住みつきます。ゴルフ・リゾートのペブル・ビーチのそば、カーメルの街もそうでした。街中にもアートがあふれています。

   我々は毎晩違ったレストランで食事をすることが楽しみの一つでした。アジアン・エスニックから始まり、イタリアン、ステーキハウス、スイス料理、メキシカンと味わい、最後はまたステーキハウスに。何故そこだけ2回行ったかと申しますと、もちろんすごくおいしかったからです。東京にあるアメリカのステーキ・レストラン、ロウリーズをご存知のかたなら、あそこのリブステーキの美味しさをご存知でしょう。それと同等のリブステーキが食べられました。

   そこのウェイターがすごく面白い白人男性で、名前がなんとケン・ハヤシだというのです。私はケイイチなので、アメリカではケイ・ハヤシと呼ばれていましたので、私はケイだけど、同じハヤシだというと、彼の名前の漢字は渡辺「謙」と同じだと言うのです。

 いったいどうなっているのか?

   実は彼の父親は離婚後新たな日本人の妻と岐阜で暮らしていて、日本には20回以上行っているのだそうです。日本語もある程度できて、とても面白い会話ができました。

   日本では味わえない素晴らしいスキー場とアフタースキーの楽しみ、それがヴェイルでした。

   では3年ほど前に行ったフレンチ・アルプスのヴァルディゼールとどちらが上か。私の個人的感想は、「ヴァルディゼールが上」です。一緒に行った仲間の感想も、ヴァルディゼールが上だと感想を持っています。

   理由は、まずモンブランを望むアルプスの景観が、ロッキーの景観を上回ること。スキー場の広さ、ボウルの他に氷河を滑れる多様性。そして街の雰囲気やレストランの食事内容など、アフタースキーを含めても、すべてにおいて若干ずつヴァルディゼールが上回っている印象を持ちました。

   それでも「次回はどちらへ行くか?」と聞かれると、アクセスの容易さで何故か「ヴェイル」を選びます。ヴァルディゼールはすごくよいところなのですが遠い、それが私の結論です。

 おわり

コメント (1)
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