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大災害と社長の背中

2024-03-18 12:00:00 | 23期生のブログリレー

 22期の常木です。最近は夕方6時過ぎてもまだ空が明るくて、夕方の明るさに気分が左右される私にとっては良い季節になってきました。サマータイムがある国で、夜9時近くまで明るいと本当に幸せな気持ちになるのです。昔、オハイオ州にいた頃、何時までゴルフができるか試してみたことがあります。夏の日の長い時期に夜の9時半過ぎまで何とかボールが見えてプレーができたのが、最も遅い記録です。北欧とか緯度の高い地域に行けば、一晩中でもラウンドできるのでしょうか。かなり疲れて後悔しそうですが。

 さて、私は企業内診断士なのですが、自分の責任範疇の中にサプライチェーンマネジメントがあります。医療機器業界なので、患者さんの事を考えると、どんな状況でも製品を病院に届けないといけない使命があります。ただ実際は、物流拠点である倉庫を江戸川区の平井に1つ契約しているだけなので、関東地方が災害に見舞われて倉庫が使えなくなったら目も当てられません。そこで一昨年より、日本の過去30年間の災害の恐ろしい写真をふんだんに使ったプレゼン資料を自ら作成し、本社のあるニュージーランドで、稼プロで培ったプレゼンスキルを駆使して啓蒙活動を行ってきました。地震に火山に台風による風水害、竜巻、津波など、話す内容には良くも悪くも事欠きませんでした。それがようやく認められ、西日本にも大きな倉庫を契約できる運びになっています。ついに、まともなBCP(Business Continuity Plan)を策定できる段階まで持ってくることができたと思っています。

 西日本倉庫の契約が締結され、今秋の倉庫立ち上げについては、プロジェクトチームを発足させ物流マネジャーを始めとしたメンバーに任せました。一方で、自分は全社BCPの策定に取り掛かりました。最終的な成果物としては、災害発生からの時間を横軸、各部門を縦軸にとった表ができれば良いと考えています。その表の中で最低限やるべきこと、その優先順位、誰がやるかを共通認識として持っておくことが、初動の早さを生むのではと考えています。ただ、この作業、結構なレベルの想像力が必要となっていて、東日本大震災時の混乱を極めた状況や、当時のメンバーとの議論を思い出しながら描いています。

 BCPを描くにあたっては、どういう状況を想定するかが結構大事です。私は、関東一帯に大地震が起こり、八丁堀の本社ビルは焼失、江戸川区の倉庫も一ヶ月使用不可、SAPと関東近県の通信が一時的にダウンして復旧の目処がたたない状況を前提としました。社員も自分と家族の生活と生命維持が最優先ですので、会社の仕事をしてくれる人数は3割ほどでしょうか。そういう状況では、いくら西日本の倉庫に製品がふんだんにあって、西日本の顧客が平常営業をしていても、カスタマーサービスが東日本にあり通信が遮断されていたら、普通に動いている西日本のお客様の注文も受けられず、せっかく立ち上げている西の倉庫は何の役にも立たないことが想像されます。通信機能の復旧を待つのか、カスタマーサービス機能を一時的に通信可能な地域に移転させるか、などの問題が付きつけられることになります。製品を待っている病院の患者さんのことを思うと、その責任は重大です。

 これはほんの一例で、実際はいくつもの重要な選択に迫られることになります。そのための準備という意味でのBCP策定なのですが、そもそも完璧なBCPなど描けるわけもなく、災害が発生したら臨機応変に対処しなければならないことだらけでしょう。しかし、なにもベースがないところから取るべき行動を考えるよりも、前もって様々なケースを想定して話し合う機会を持っておくことは決して無駄ではないと言えます。

  大混乱の状況の中で、策定されたプランを片手に、より素早く断固たる決断を下してビジネスを継続していくことは、あらゆるビジネスにとって重要で、社員はそんな社長や役員の背中からしっかりと学びを得るのではと信じています。

コメント (6)
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