2012-2013シーズン、聴いたコンサート観たオペラはこちらから。
2012-2013シーズン
.
2013年1月19日(土)3:00pm
サントリーホール
.
シューベルト 未完成
.
ブルックナー 交響曲第9番 (ノヴァーク版)
.
インゴ・メッツマッハ― 指揮
新日本フィルハーモニー交響楽団
.
●
未完成 14分(繰り返しあり)、11分
.
ブルックナー 25分、13分、23分
.
一回公演。オーケストラのレパートリーだと思うので、指揮者スタイルに合わせる練習がメインでしょうか。
ゴツゴツとした感じのメッツマッハ―ですけれど、よく観ると、弱起の歌をかなり強調している。アウフタクトに力をこめた振り姿、左腕を外側下から上にグインと持ってきて強調。小節の時間配分も弱起がやや長めにとられ、ウィンドのきわめて美しい歌が心地よい。ハーモニーのバランスの良さと響きの美しさ。ウエットさはない。
力強くバシッときまるのは強拍に力をこめるのと、全体的にメロディーラインに変に耽溺せず、あとくされなくサッと引きあげられるから。ここらあたりは当節流行の伸びきった歌いまわしの指揮者連とは異なる。昨日聴いたエッティンガーも一昨日のジンマンもこの点に関しては同じ。この点、普通のことを普通にできる指揮者たち。
メッツマッハ―は柔らかさと剛直さがうまく混ざり合った解釈、ちょっと強引な柔らかさ的なところもあるが、乾いた歌、ありだな。
この公演のお題「未完に宿る男の浪漫」にはふいてしまったがあながち間違いでも無いような。男の浪漫というより、この指揮者のロマンティックな解釈、とかなり大幅に変更を加えて換言出来る。
.
未完成は聴けば聴くほど味わい深い曲。いまだにムラヴィンスキー&レニングラードを越える演奏解釈は聴いたことが無い。特に第2楽章、例のフォルテをメゾピアノで始める主題あたり、透明で冷たくて背筋がゾクゾクする、シューベルトの未完成の答えはどうしてもこっちなんだろうなと思ってしまう。
新日フィルはもっと横に広くフラットな感じだ。編成が大きすぎるとオケの解像度が落ちる、ムラヴィンスキー&レニングラード以外は。
メッツマッハ―のドライな歌は現代に生きる未完成のありようとしては、一つの主張であり魅力的ではある。
.
ブルックナーのニ短調はやにっこい曲で、さらに第1楽章の第1主題の中で一つのクライマックスを作ってしまう曲想なので、第2主題、第3主題のウエイトがどうしても落ちるというかアンバランス。第3楽章終結部も8番に比べたらあっけないが、その前のウィンドによる不協和音の刻み、メッツマッハ―はクレンペラー並みのスローテンポで分解して見せた。やっぱりここらあたり主張しているんだろうね、自分は時代の旗手だと。
こうゆう感性が魅力的だと思います。
.
メッツマッハ―の十八番はなんだろう?特にないのかな。
おわり
.