河童メソッド。極度の美化は滅亡をまねく。心にばい菌を。

PC版に一覧等リンクあり。
OCNから2014/12引越。タイトルや本文が途中で切れているものがあります。

1446- ロッシーニ、小荘厳ミサ曲、ダン・エッティンガー、東京フィル、新国立合唱2013.1.18

2013-01-21 21:00:00 | インポート

130118_184101
.

2012-2013シーズン、聴いたコンサート観たオペラはこちらから。
2012-2013シーズン
.
2013年1月18日(金)7:00pm
サントリーホール
.
ロッシーニ 小荘厳ミサ曲 オーケストラ版
 第1~7曲
 休憩
 第8~14曲
.
ソプラノ、ミシェル・クライダー
アルト、エドナ・プロフニック
テノール、ハビエル・モレノ
バス、堀内 康雄
.
ダン・エッティンガー 指揮
東京フィルハーモニー交響楽団
新国立劇場合唱団

あいかわらず、下は右足首つま先立てて、上は左手の小指の伸びまで、そして口先をとんがらせて、両腕をリヤカーでも引くみたいにウカンムリ状態のしぐさでフルオケを鳴らすしぐさはバレンボイム瓜二つ状態なのだが、自分らしさも出てきたようだ。真似止まりなら表面的と言われようが、彼はそんなもんではないということは、トーキョーリング再演の偉業の前からわかりきっているわけで、マンハイムの次の位置が勝負どころになるとは思うが、いずれバイロイトに顔を出すであろうこの指揮者は今のうちにたくさん聴いておかなければならない。
自分らしさ、譜面台に譜面はあるのだがほぼ暗譜状態、消化しきっているのだろう。14曲100分のミサ曲をわがものとしている。それだけで素晴らしいと思います。ときたまジャンプします。ツボを心得ているような。
エッティンガーの、らしさというのは、楽器の扱いやコントロールと、歌のそれが同じということ。波や流れが同じで単調になると思いきや、そうではなく、合唱とオーケストラを合せて一個の個体という扱いにしているように聴こえる。換言すると、合唱曲やオペラの声をときにシンフォニックな扱いをみせながら、オーケストラの響きと相互に補完していくスタイルの棒。私にはそのように観えるし聴こえます。
エッティンガーの棒は基本的にシンフォニックなもので、歌をオーケストラという楽器の中で歌わせるきらいがあった。そのこと自体どうのこうのということではないのですが、この日の演奏ではそのように抑え込むことはみせず、それぞれを主張させ、結果、一体化して、よりふくよかな音楽表現を楽しむことが出来ました。
もっと端的に言うと、彼の棒でドイツものとは違うイタリアものを聴いた。
.
合唱の能力は息さえ音楽にしてしまう余裕の素晴らしさであった。日常的なオペラハウスの存在が大きい。
オーケストラは前日のN響レベルには及ばず切れ味が甘い。オペラの魅力が沁みついているからだといわれれば、わかりましたというレベルではあるが。
.

スターバト・マーテルほどのとっつきやすさがなくて、ミサにも縁のない人間で、リブレットを見ながら聴いても、はいそうですね。どまり。
そんな感じですので、この日のプログラム解説は1曲ずつ楽器、歌、緩急、強弱、響きといったあたりのことを簡素ながら的確に書いており、リブレットではなく、この説明を見ながら聴いていても進行が非常に良くわかるもので、個人的にも充実していた。
オルガンの第11曲、つづくアカペラ、長さバランスが逆ではないのかと思いましたが、ロッシーニの音楽、印象的なものでした。
エッティンガーにとって4人は物足りなかったと思います。表現を引き出せないもどかしさ、流れをつくれないもどかしさ。歌い手には積極性が欲しかった。歌い手のうち誰か一人でも自発的にあおってくれればみんな、なびくと思う。それがオペラ。
ミサ曲はオペラではありませんでしたね。
今節、メトでトゥーランドットを振った後、東京フィルでこのロッシーニ等、そのあとイスラエルにはいり、そしてマンハイムでは、継続しているリングサイクルをぐるぐる回転させていくタイトなスケジュール。リングの最中に6月にはウィーン国立歌劇場でトスカ、7月にはバイエルン国立歌劇場で椿姫、マンハイムではほかにもヘビー級のレパートリーが間髪入れずあるわけで、ああ、なんか半分うらやましい。
バイロイトへの試金石はマンハイムの次かな。先を焦らず、試金石はマンハイムなんだろう。
ところで、ダンってダニエルのことかな?
.

1.キリエ7分
2.グロリア4分
3.グラティアス4分
4.ドミス・デウス5分
5.クイ・トリス7分
6.クオニアム9分
7.クム・サンクト・スピリトゥ5分
休憩
8.クレド4分
9.クルチフィクスス4分
10.エト・レズレクシット9分
11.宗教的前奏曲10分
12.サンクトゥス-ベネディクトゥス5分
13.オー・サルタリス6分
14.アニュス・デイ8分


過去ログから
.
621‐ 2万パーセント・バレンボイム エッティンガー ファウスト交響曲 2008.6.13
.
785- WALHALL ラインの黄金 オペラパレス初日 2009.3.7
790- エッティンガー ラインの黄金 オペラパレス2009.3.15
816- ワルキューレ再演 千秋楽 オペラパレス、新国立2009.4.15
976- ウォーナー・プロダクション再演 ジークフリート 新国立2010.2.17
977- 新国立劇場 ジークフリート キース・ウォーナー・プロダクション再演2010.2.20
989- 神々の黄昏 ウォーナー・プロダクション 再演初日 オペラパレス2010.3.18
990- キース・ウォーナー 神々の黄昏 再演 オペラパレス2010.3.21
992- 神々の黄昏 ワーグナー ウォーナー エッティンガー オペラパレス2010.3.27
.

エッティンガー指揮、他省略。
.


人気ブログランキングへ


1445- 悲しき子守歌、浄夜、ブラ2協、エレーヌ・グリモー、ジンマン、2013.1.17

2013-01-21 20:10:00 | コンサート

2013年1月17日(木)7:00pm
サントリーホール

ブゾーニ 悲しき子守歌
シェーンベルク 浄められた夜

ブラームス ピアノ協奏曲第2番
  ピアノ、エレーヌ・グイモー

デイヴィッド・ジンマン 指揮
NHK交響楽団


指揮のジンマンは、先週のマーラー7番は評判が良くなかったけれど、この日のコントロールは良かったと思います。思うにでかいブラスまで手がまわらないというか、あまり深い関心がないというか、この日の演奏のような編成がしっくりすると思えました。
浄夜では棒の動きが音楽を引きだしており、それは見た目にもわかるたぐいのもの。久しぶりに一睡もしない30分を味わえました。
音楽は滑らかすぎることなく流れ、やや硬めのN響の弦の響きが縁取りを明確にし、主題構成、形式もクリアにわかり、また弦楽器のセパレートされた響きのバランスがほどよくて明晰、情感的味わいとは少し異なる自然な流れ。そのような演奏であったように感じました。
中規模編成N響の弦の響きは素晴らしく、筋肉質と呼んでもいいような引き締まった演奏でお見事。ジンマンが曲の魅力を存分に引き出してくれたと思います。ロマンチックに傾かないジンマン、彼の特徴だと思います。この日のプログラムの一週間後にマーラー7番をやった方がもうすこしコントロールとか意志が浸透していただろうなという気はします。
ただ、N響トップ連中がころころと毎週入れ替わり立ち代りで、オーケストラとして一貫性があるとは思えず、良くないことだと思います。事情はあると思いますが、見てて、オーケストラという個体の自負を感じない。
.
ブゾーニのこの曲は初めて聴きました。全くわかりませんでした。点が線のようでもあるし、綱渡り的に進行する音楽。形式を感情の中に溶かし込むことができた、ということのようだが、聴き手もかなり深層心理にはいりこまないと理解は困難な気がする。
シェーンベルクもブゾーニもジンマンの十八番のように思え、それでアルテ・ノヴァからでて一躍名をはせたベートーヴェン・サイクルも理解できる。チューリッヒ・トーンハレなら動かせる。より高性能のN響相手では、特色の重さが一二度の客演で拭い去るには、人並み以上の能力がいるのも確かなことだろう。ブラスを取り去ったこのような曲ではジンマンとN響双方のいいところがでた。シナジー効果かも。
.
後半のブラームスも、ウィンド(含むホルン)までの編成で、2本あるトランペットは最初のおさわり程度ですから、基本的にはプログラム前半と同じ方針でジンマンは進行出来たと思います。
N響の引き締まった弦は、バスまで行き届いており、メタリックとは言わないがボテ系の重さや妙な埃っぽさがなく、良い伴奏でした。
グリモーさんの録音はひところ新譜がでるたんびに買って聴いていた。その印象と概ね同じ。硬めでスキニー。彼女の引き出しに感情表現という移入箱はいまのところ無いようだ。一番大きい引き出しは、響き。
感情移入とかではなく、音の響き、響きで形式音楽の伽藍を作っていく。二人ともスローさが重たさを弁解するような表現はありえず、緩徐楽章でも飛ばす。
硬くてスキニーで明快な響きはボテボテしてなくて気持ちがいい。ですので結局、ジンマンとグリモーの共演が多いのもうなずける。
前週のマーラー7番のゴタゴタしたブラスの演奏より、この日の演奏の方がはるかに素晴らしい出来で満足しました。
おわり
.
ブゾーニに関する本は、10年以上前に読みましたものですが硬派ながらお奨め。その中に、悲しき子守歌のことが書いてあったかどうか、今手元にないのでわかりませんが。
.「ブゾーニ ~オペラの未来」著者: 長木誠司
.
●.

 


人気ブログランキングへ