河童メソッド。極度の美化は滅亡をまねく。心にばい菌を。

PC版に一覧等リンクあり。
OCNから2014/12引越。タイトルや本文が途中で切れているものがあります。

1134- シャルル・デュトワ N響 ユリアンナ・アヴデーエワ ショパン協1番 2010.12.4

2010-12-06 13:59:24 | コンサート

2010年12月4日(土) 3:00pm  NHKホール

ショパン ピアノ協奏曲第1番ホ短調Op.11
 ピアノ、ユリアンナ・アヴデーエワ
 (2010年第16回ショパン国際コンクール優勝者)

(アンコール)
ショパン マズルカ イ短調67-4

Int

ストラヴィンスキー 交響詩「うぐいすの歌」

ドビュッシー 交響詩「海」

シャルル・デュトワ 指揮 NHK交響楽団


この12月は第九公演の前はシャルル・デュトワ3プログラム6公演で内容的にかなり充実したものになりそうだ。
この日は本年第16回ショパンコンクルール優勝者が出演するというので、完売、満員御礼。
デュトワのストラヴィンスキー、ドビュッシーの演奏内容に今日ほど心を打たれ、納得した日はないが、その前に前半のショパンです。

この前、ダン・タイ・ソンが弾く2番を聴いたばかりです。こうやって日をおかずショパンコンクールで優勝した両者を、それも同じ作曲家の1番2番の協奏曲を聴けるなんてハッピーです。ピアノを聴き比べるなんていう術を持ち合わせていないお河童さんとしては僥倖を享受するだけにとどめたいと思います。
アヴデーエワは1985年生まれというから25才。スキニーで、見られ慣れている。演奏内容も含め相当な場数を踏んでいると察します。演奏については一言しかありません。つまり、
今回初めてピアノのなんたるかを思い知らされたような気がしました。透明で深いタッチ、クリアなフレージング、明確なリズム、胸のすくような小気味のよい節回し、流れるパッセージ、滴る詩情、スタイリッシュで現代的。
なんだかいろんな言葉が浮かんできます。ピアニッシモで客を黙らせるものすごい説得力。美しすぎる演奏でショパンの煌びやかさと憂いが交錯する様も圧倒的、音楽のもつ表情が万華鏡のような多面性を帯び、魅せてくれました。本当にいい演奏だと思いました。魅了されました。
彼女はこの日の演奏は、落ち着いていて、気持ちが安定して、余計なことをなにも考えることなくショパンと会話していたような気がします。身振りも大きくなくそれでいて音楽の流れを先取りするようなアクションが流麗で自然、アンコールでのたたずまいにはこの上なく感銘を受けました。ピアノとは心に介するものとわかりました。
音楽へのピュアな姿勢が音になっているような感じで、なんだか、いろんなものを聴きたくなりました。ソロ・リサイタルを聴いてみたいと、久しぶりに思った。
聴けて良かったですね。本当に。


後半はデュトワの面目躍如たる演奏になりましたが、前半のショパンを聴いて帰路についた人たちが結構多かったように見受けました。たしかにショパンと後半のプログラムは水と油みたいなもんで、その意味では目的意識を持ってきた聴衆は潔いともいえる。後半のプログラムには関心がないんだ。よく理解できます。帰る人たちがどうゆう人たちかもわかります。いい悪いの話ではありません。

それで、デュトワさん、またお得意の3曲構成のプログラミング・ビルディング。昔からとはいえ、ロマン派より後の作曲家を十八番にしているので、どうしてもこうなっちまうんだな。今日は偶然かもしれないが、3曲構成3曲とも3楽章構成、3づくしです。
デュトワの力量はいまさら言うのも変ですがあらためて唸ってしまいました。例えば、海の「海の夜明けから真昼まで」における、ウィンドアンサンブルの意識されたふくらみのあるフレージング、全く作為的なところがなく、むしろなぜ今までこう演奏しなかったのか、と問いかけているようでもある。フルート、ファゴット、オーボエ、クラリネット、それぞれ近接したトップの体が無意識のうちに揺れ動くような演奏体験を久しぶりに見たような気がしました。このようなふくらみが音楽の表現に幅を大きくもたせ、貧相さとかけ離れたドビュッシーの深さを再認識させてくれる。これなどは一つの例にすぎず、アインザッツをずらすことなくきっちり揃えて、その先はそれぞれの線が自己主張したり、たしかにデュトワの棒に従うことに快感を感じているようなプレイヤーの弾きぶり、吹きぶり、なんだね。味わいが深く、大きな海を聴くことが出来ました。
そして、3曲目のティンパニが曲を閉じた瞬間を見計らってわめいたフライング気味のブラボーのおっちぁんは、この日も死刑、死罪で構わないと思います。叫びにきているだけです。みんなの前で他の人より先に声を張り上げるのが大好きなアホで、矯正不可、監獄行きでいいと思いますね。このような馬鹿ものもたまにはネットで「フライング・ブラボー」という言葉をググって、他に人たちがどう思っているのか読んでほしいものです。猛省を。
それから着メロの人は携帯ごと殺処分でいいと思います。

ということで、素晴らしいドビュッシーの海でした。後半1曲目はストラヴィンスキーのうぐいすの歌。これはもともと、夜泣きうぐいすの歌という劇からとられたもので、これはたぶん2回観ているような記憶がある。舞台だと結構面白かったような笑えたような記憶。それが音楽だけだとストラヴィンスキー特有のあまりダークではないがグレーでリズムもそこそこきいてはいるのだが、なにがなんだかわからないような音楽になっちまう。イメージを持っていない人が聴くのはちょっと辛いのではないかと思います。でも、ストラヴィンスキーの味わいは、そこそこいいと思いますよ。
デュトワのメリハリがきいた見通しの良い(知っている人にとっては)音楽。先を見据えた全体感を感じることが出来るもので、構成感なども意識した演奏。ただなんとなく、では済まない音楽にしてくれました。大ぶりでテンポが落ちないのもこのような曲では大切なポイントだと認識。いずれにしてもデュトワの力量を再発見。

アルゲリッチが来ていたとのことでしたが、ショパンコンクールつながりかな、それとも元旦那に未練?
おわり