今年も芸術の秋。オーケストラ・ラッシュ、歌劇場ラッシュで大変ではあるが、それなりに充実する季節だ。
さて、11月の自分にとっての初日はこれ。
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チャイコフスキー/交響曲第1番
ラフマニノフ/交響曲第2番
(素晴らしいプログラムだ!)
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(アンコール)
リャードフ/バーバーヤガより
チャイコフスキー/ナッツクラッカーより
トレパーク
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ワレリー・ゲルギエフ指揮
マリインスキー歌劇場管弦楽団
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指揮棒をもたない独特な振りが、この日最高の動きを見せたのが、アンコール一曲目の自分で紹介をした「バーバーガヤ」、まさにこの通りの発音であったが、この小曲の最後で魅せたひらひらチョップは、普段の左回りの腕の動きではなく、突然真横に空気をなで切りするような大アクション。
振りに関して言えば、ここがゲルギエフの真骨頂。
キーロフの音も爆発、ものすごかった。くるみ割り人形のトレパークにおけるジャンピング、片手ずつの変拍子もすごかったけれど。
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前半がチャイコフスキーの冬の日の幻想、そして後半がラフマニノフの2番。
ロシア物好きにはたまらないプログラムです。
チャイコフスキーが約40分弱。
ラフマニノフの2番が50分弱。
ゲルギエフは楽章間をアタッカとまではいかないが、二呼吸ぐらい置くだけですぐに次の楽章を始める。
ラフマニノフ50分弱というのはほぼ正味時間だ。だからかなり短い。あまり短かったので、あとで、同じ組み合わせで1993年にPHILIPSにいれている同曲録音CDを取り出してみた。
1993年の方は、第1,2楽章計で約31分。今回の公演では25分。
1993年第3,4楽章がそれぞれ13分ずつ。今回の公演も同じような感じだが、第4楽章がもっと短かったような気がする。
第1,2楽章の合計が6分違うのでかなり極端。版が異なるのかもしれない。
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とにかく、はやい。スローな部分にあまり耽溺することなく、縁取りを明確にとり、ピアニッシモなどもかなり強奏させている。クリアな縁取りだ。
テンポのはやい部分に関しては、ただでさえ駆り立てているのに、それに輪をかけるように重力がそちらの方にシフトしたような錯覚に陥るぐらい密度が圧縮されていく。