河童メソッド。極度の美化は滅亡をまねく。心にばい菌を。

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OCNから2014/12引越。タイトルや本文が途中で切れているものがあります。

440- ジョルダン スイス・ロマンド 1991-27

2007-10-14 22:25:00 | コンサート

スイス・ロマンドの1991年4度目の来日公演はこんな感じで行われました。

1991年11月
9日(土)サントリーホール●
10日(日)サントリーホール
11日(月)聖徳学園川並記念講堂
12日(火)ザ・シンフォニーホール
13日(水)広島国際会議場フェニックスホール
15日(金)神戸文化ホール
16日(土)白根桃源文化会館
17日(日)サントリーホール
18日(月)秋田アトリオン音楽ホール
19日(火)昭和女子大学人見記念講堂

●は河童潜入。

計10回公演でした。そのうち、初日に顔を出してみました。

1991年11月9日(土) 6:30pm サントリーホール

フランク・マルタン 7つの管楽器と弦楽合奏とティンパニのための協奏曲

ベートーヴェン ピアノ協奏曲第4番
 ピアノ、ラドゥ・ルプー

ストラヴィンスキー 春の祭典

アルミン・ジョルダン 指揮 スイス・ロマンド管弦楽団

スイス・ロマンドは1970年代80年代に、サヴァリッシュ、シュタインなどドイツの大物指揮者が常任になったときは少なからず違和感をもったものでした。
アンセルメは別にしても、次に長かったジョルダンは結構好みの指揮者でした。ほかの指揮者はあんまり印象がありません。
ジョルダンの棒によるCDはかなり出ているはずですが、最近はチープなプラケース、貧弱なライナーノートなどのものが出回っており、昨年亡くなった彼もあまりうかばれません。
マーラーの4番などいいと思うのですが、なにせあのチーププラケース。音はレギュラー盤と同じなのでしょうが、その前にお店に飾ってあるものを見ても食指が全く動かないのも事実です。粗末な品は買いたくない。特に好きな指揮者の場合は。


この日の曲は3曲とも聴きものです。マルタンの協奏曲はアペタイザーではありません。
マルタンの曲は最初、聴きづらいところがあるが、慣れればいいだけ。この協奏曲もそんな感じであり、オーケストラの独特のフェザータッチのサウンドが心地よく響いてくる。
ジョルダンは見た目、若いのか年がいっているのかよくわからない部分がありますが、比較的エネルギッシュに振ります。

次のベトコン4番はピアノそのものの曲ですから、スイス・ロマンドの音は味わえません。
それよりも当然のことながらルプーの音楽を聴かなければなりません。今日のベトコン4は成長の証が聴かれましたが、ジョルダンの棒ほど味わい深いものではなかったようです。
昔の技も曲がり角にきていたのでしょうか。ルプーの進むべき道はどれだったのか、今となってはよくわかりません。

最後のハルサイは聴きものです。スイス・ロマンドは上手いのか下手なのかよくわからなくなることがあるオーケストラです。
指揮者によるというよりも、オーケストラ自体、調子がいいとき悪いときがわりとはっきりしているし、また、選ぶ曲によっても良かったり悪かったり。アンセルメの棒によるベートーヴェン全集なんかどうでしょうか。味わい深いと言えば言えますが。

ジョルダンはいわゆるオペラたたきあげの指揮者です。
本人はワーグナーものが好きだと思われますが、今回の公演ではそのような曲は選ばず、フランスものロシアものを中心に協奏曲はベートーヴェンという感じで好ましいプログラム・ビルディングとなっております。そのロシアものですが、アンセルメ得意の空中分解ハルサイをジョルダンが振るとどうなるか。一言で言うとウェット。
スイス・ロマンドの聴きようによっては薄っぺらなサウンド、よく聴くとさざ波が自然に立つような短いフレーズをもっと短く弾いたり吹いたりするように聴こえるのですが、そう、尾をひかないサウンドなのですが、ジョルダンが振るとそれでもなんとなくウェットな響きが滴り落ちるような具合なんです。なんでこうなるのかわかりません。一音ずつ丁寧に演奏するよう練習で指示を与えているような気がします。
練習は見たことがありませんが、バルビローリのような感じなのかも。すぐとめる感じ。
本番で出てくる音楽は、フレーズがいつくしむように奏でられサラッとした響きのなかに手のひらにのせたくなるような光輝く石がある。こんな感じで、ハルサイは演奏されたのでした。
劇的要素の強い演奏ではありませんが、なんと味わい深い演奏であることか。ジョルダンのさりげなさは、一見何もしていないように思えるが、なにもしていないのは本番だけ。彼の意思は練習でしっかりと組み込まれ、本番では練習以上の事象は起こらないかもしれないが、それでも十分に満足できるし、逆に言えば見えないところに彼の力を感じる。そのようないい指揮者でした。
おわり