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MFCオーナーのブログ

想い出のアルバム-HOTEL CALIFORNIA

2006年11月03日 14時43分04秒 | 想い出のアルバムシリーズ

Hotelcalifornia

ホテル・カリフォルニア/イーグルス(1976)

1.ホテル・カリフォルニア
2.ニュー・キッド・イン・タウン
3.駆け足の人生
4.時は流れて
5.時は流れて(リプライズ)
6.暗黙の日々
7.お前を夢みて
8.素晴らしい愛をもう一度
9.ラスト・リゾート

必ずしも好きなアルバムとは限らないが、とても印象深い、想い出に残るアルバム、というのが誰にもあるはずだ。意外と語る機会の少ない、そういうアルバムを時々取り上げて、ああだこうだとのたまってみたい(爆)

で、イーグルスである。実を言うと、イーグルスは好きだが、この『ホテル・カリフォルニア』は、それほど好きではない。けど、聴いた回数は一番多いかもしれない。

このアルバムが出た前年(1975年)にイーグルスは初来日を果たし、アメリカ建国200年とリンクして、ウェストコーストブームを巻き起こしたそうな。僕がイーグルスを知ったのもこの頃で、『グレイテスト・ヒッツ』がベストセラーになっていた事もあり、FMを中心にベスト盤に入っている曲はよく聴いていた。ウェストコースト=明るく爽やか、なんてイメージも持っていたし(笑) そんな中で『ホテル~』が発表され、当然の如く話題となって、よく売れた訳だが、その内容は“明るく爽やか”とは程遠い、逆に暗く陰鬱なムードに溢れていた。後に知ったのだが、イーグルスは『ホテル~』で、自分たちが作り上げたウェストコースト幻想を、自らの手で葬ったのだそうだ。もちろん、当時の僕には、そんな事は分からない(笑)

ほんとに、あの頃は僕は何も知らなかった。ロックを聴き始めて日が浅かったせいもあるだろう。イーグルスに、バーニー・リードンの代わりにジョー・ウォルシュが加入する、というのがどんなに大変な事なのか、全く分かってなかったのだ(笑) 当時の僕にとっては、『ホテル~』は単にイーグルスの新作であり、友人に借りたとはいえ、初めてちゃんと聴くイーグルスのアルバムであり、以前と比べてどうとか、全然関係ないことだった。この後、過去のアルバムも後追いで聴いて、ようやく『ホテル~』の雰囲気がそれまでとは違う、という事に気づいたのだ。そして、自分があれほど聴いてた『ホテル~』より、それ以前のイーグルスの方が好きだ、という事が分かったのである。だいたい、まだ中学生だったガキに、「当ホテルでは、1969年以来スピリットは置いておりません」なんてフレーズの意味なんて、分かるはずない(笑) 正直言うと、今でもよく分からん(爆)

『グレイテスト・ヒッツ』の影響か、僕はイーグルス=ウェストコースト=カントリー、というイメージを勝手に持っていた。『ホテル~』以前のイーグルスの方がいい、と思ったのは『ホテル~』ではカントリー色が全くなかったからに違いない。確かに、デビューした頃からイーグルスはカントリーロックのバンドとして認知されていたし、彼らの音楽を語る際にカントリーからの影響は避けては通れない。しかし、デビュー当初からカントリーの枠にとらわれない幅広さを彼らは持っていた訳で、カントリーロックのカテゴリーで、じっとしてるようなバンドではなかったのだ。そんなイーグルスが、メンバーを変えつつ『ホテル~』のようなアルバムを作るのは自然の成り行きであった。

ま、要するに、僕の『ホテル~』に対する不満は、カントリーの要素がなくなったこと、そしてグレン・フライが目立たなくなってしまったこと、この2点に尽きるような気もする。ドン・ヘンリーって、上手いしいい声してるな、っていつも思うけど、正直あんまり好きではない。なんちゅうか、シリアス過ぎるのだ。いつも眉間に皺寄せてるような(笑) 僕はイーグルスの曲の中では、圧倒的にグレン・フライがボーカルをとる曲の方が好きなのだが、『ホテル~』ではフライのリードボーカルは「ニュー・キッド・イン・タウン」だけである。これもすごく好きな曲だが、アルバムの流れで聴くと、なんだか鬱っぽく聴こえてしまう(笑)

ドラマーとしてのドン・ヘンリーも、正直言うとあまり評価してない(生意気な)。下手とは思わないけど、非常にニュアンスの乏しいプレイという気がするのだ。『ホテル~』の収録曲でいうと、「駆け足の人生」なんてそれまでのイーグルスにはなかった、ファンク寄りのリズムを取り入れた曲だ。けど、ドン・ヘンリーのプレイのせいか、スリリングな演奏が聴かれず平坦に終わっている。前面に出ているのは、あくまで歌とギターだけ。これはプロデューサー(ビル・シムジク)の意向だろうけど、イーグルスのリズムセクションは単にリズムを刻んでいるだけで、歌やギターの引き立て役でしかない。なので、もしかするとドン・ヘンリーには責任はないのかもしれないが、逆に彼がニュアンスに富んだ演奏をするドラマーだったら、プロデューサーも違ったレコード作りをしたに違いない、とも思える。ドン・ヘンリーは自分が歌うせいか、ドラム演奏には関心がないようだ。実際、解散後のソロアルバムも、曲やボーカルはいいけど、バックが平坦で面白みに欠ける、という印象がある。なんか惜しいよなぁ(笑)

と、なんだかんだと『ホテル~』をけなしているように聞こえるかもしれないが(笑)、決してそんなつもりはない。暗い雰囲気とはいえ、どの曲も凄くいいし、いいアルバムであると思う。でなきゃ、ガキが何度も繰り返して聴くはずはない。ただ、僕自身が、これ以前のイーグルスの方が好きだ、というだけの話である(笑) けど、あの頃の事を懐かしく思い出すアルバムであるのは間違いない。

コメント (12)
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