日々の覚書

MFCオーナーのブログ

1991

2021年12月31日 21時56分41秒 | 本と雑誌

ちょっと前に、バターの生産量(輸入量)が減っていて、日本国内でバターが品薄になってるとかで、クリスマスを控えてる時期でもあり、ケーキ屋は頭を抱えている、というニュースを耳にした。それからしばらくしたら、今度は牛乳の需要が減っていて、国内で牛乳が大量に余ってしまいそうで、余ってしまった牛乳は廃棄せざるを得ないので、業界の方では牛乳の消費促進を進めている、てな話を聞いた。ならば、余りそうな牛乳をバター生産に回せばいいのではないか、と思ったが、そういうものでもないらしい。よく分からんぞ。僕のように、農業や経済の事を何も知らない素人には理解出来ない複雑な事情でもあるのか?(ありそうだな。笑)

閑話休題。

レコード・コレクターズ最新号の特集は、1991年を振り返る、である。近頃はネタがないのか、レココレは40年前或いは30年前に遡って、当時の音楽事情や動向を改めて振り返る、という特集を何年か前からやってて、今年も「1971年の音楽地図」という特集をやっている。このときは50年前にスポットを当てた訳だが、今回はいきなり1981年を飛び越えて1991年である。1981年より1991年の方が重要、という判断なのであろうが、確かに音楽業界的には、1991年の方が色々な動きがあったような気がしないでもない。

この1991年の特集は、前振りも解説もなく、いきなり1991年に発表されたアルバムたちの紹介から始まる。『アウト・オブ・タイム/REM』『ブルー・ラインズ/マッシブ・アタック』『ユーズ・ユア・イリュージョン/ガンズ&ローゼズ』『メタリカ』『ネバーマインド/ニルバーナ』等々、確かにあの年を代表するアルバムたちを筆頭に、全部で141枚のアルバムがリストアップされているのだ。さすがに、僕なんかからすると、懐かしいというばかりではなく、知らない・聴いたことない、というアルバムの方が多い。そんな知ってるのも知らないのも引っくるめて、なかなかに楽しめる企画ではある(笑)

ここで、1991年とはどういう年だったのが、おさらいしてみたい。世界情勢的に見れば、この年は湾岸戦争に始まり、ソ連崩壊で終わった、という年なのだそうで、すっかり忘れてたけど(爆)、音楽的見地からということで、まず、1991年のビルボード年間チャートをご覧下さい。

シングル
1位 アイ・ドゥー・イット・フォー・ユー/ブライアン・アダムス
2位 アイ・ワナ・セックス・ユー・アップ/カラー・ミー・バッド
3位 エブリバディ・ダンス・ナウ/C+Cミュージック・ファクトリー
4位 あふれる想い/ポーラ・アブドゥル
5位 ワン・モア・トライ/ティミーT
6位 アンビリーバブル/EMF
7位 モア・ザン・ワーズ/エクストリーム
8位 アイ・ライク・ザ・ウェイ/ハイ・ファイブ
9位 ファースト・タイム/サーフィス
10位 ベイビー・ベイビー/エイミー・グラント

アルバム
1位 マライア・キャリー/マライア・キャリー
2位 ノー・フェンセズ/ガース・ブルックス
3位 シェイク・ユア・マネーメイカー/ブラック・クロウズ
4位 エブリバディ・ダンス・ナウ/C+Cミュージック・ファクトリー
5位 ウィルソン・フィリップス/ウィルソン・フィリップス
6位 トゥー・ジ・エクストリーム/バニラ・アイス
7位 プリーズ・ハマー・ドント・ハーテム/MCハマー
8位 ウルトラ・マドンナ~グレイテスト・ヒッツ/マドンナ
9位 エンパイア/クイーンズライク
10位 アイム・ユア・ベイビー・トゥナイト/ホイットニー・ヒューストン

そうなのだ。1991年は80年代を引きずりつつ、新しい動きも始まりつつある年だったのだ。久々に年間チャート見て思い出した(笑)

この年、グランジ等ロックの新しい潮流もさることながら、印象深いのは、カントリー系とラップ系の隆盛である。確か、1991年か1992年にビルボードの集計方法が変わり、以前は珍しかったアルバム・チャート初登場1位、というのがよく出るようになった。で、ある時、いきなりガース・ブルックスという人が、アルバム・チャートに初登場1位になったので、誰?状態だった事がある。90年代は、シャナイア・トゥエインやヴィンス・ギルといったカントリー系アーティストがチャートを席巻して大活躍だったが、それら全てはガース・ブルックスの初登場1位から始まったような気もする。

ラップ系も凄かった。MCハマーなんてペプシのCM出てて、それが日本でも放映されたりしてた。バニラ・アイスは、黒人が多いラップ界では珍しい白人だったので、この芸名にしたらしい。ちなみに、バニラ・アイスのヒット曲「アイス・アイス・ベイビー」ではクイーンの「アンダー・プレッシャー」をサンプリングしてます(笑)

マライア・キャリーやウィルソン・フィリップスが新人で売れたとか、マドンナやホイットニーが相変わらず売れてたとか、そういうのは明らかに80年代に引きずられたものと思うが、ニルバーナに代表される新しいロックの潮流は、既に認識されていた。やはり1991年は分岐点だったのである。

随分前の話だが、MFCの企画で僕が選出した70年代から90年代のベスト・アルバムというのを紹介させて頂いた事がある。その1991年版は↓の通り。例によって、順位はありません。

バックラッシュ/バッド・イングリッシュ
ブルー・ロック/ザ・クロス
ダウト/ジーザス・ジョーンズ
エモーションズ/マライア・キャリー
ザ・ファイア・インサイド/ボブ・シガー&ザ・シルバー・ブリット・バンド
イニュエンドゥ/クイーン
スターズ/シンプリー・レッド
ten/パール・ジャム
サンキュー・アンド・グッドナイト/イット・バイツ
トゥー・ルームス~エルトン・ジョン・ソングス

その、新しい動きというのは、あまり感じられないね(爆) 当時の僕にとっては、ジーザス・ジョーンズなんて、ほんと新感覚のロックだったんだけどな(笑)

そんな訳で1991年である。書いてるうちに色々思い出したので、↑から漏れたアルバムとか含めて別の機会に書かせて頂こうと思う(いいです) 忘れかけてたけど、刺激的な年だったような気もする。

という訳で、現代に戻れば、2021年もあとわずか。今年もお世話になりました。来年も当ブログをよろしくお願い致します m(_ _)m

良いお年をお迎え下さい。

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ときめきの彼方へ

2021年12月26日 00時25分20秒 | 音楽ネタ

早いもので2021年もそろそろ終わる。この記事を書いている今は12月25日夜、一週間後は2022年である。毎年思うけど、時の経つのは早い。なんか、焦るなぁ(は?)

今年すなわち2021年も色々な事があった。コロナ、オリンピック、総選挙、etc...暮れの押し詰まった時期に起こった凄惨な事件や悲惨な出来事も、長く記憶されることだろう。

という訳で、多分今年最後の最近買ったCDから。

Anthology/The Babys

以前紹介したバッド・イングリッシュの中核メンバーであるジョン・ウェイトとジョナサン・ケインが所属していたのがベイビーズである。70年代中頃から80年代にかけて活動していた。ジョン・ウェイトが中心となって結成されたバンドで、ジョナサン・ケインは途中からの参加らしい。アイドル的に売り出され、中学生の頃、日本でも結構プッシュされてた記憶がある。そんなベイビーズの代表曲を集めた編集盤がこれ。ジャケット・デザインが全くの謎だが(笑)、内容はなかなか素晴らしい。

当時の事はあまり覚えてないけど、ベイビーズのシングル曲の邦題というのが「恋のチャンス」とか「青春の序曲」とか、まぁ、そこいらからも察せられるように、彼らはアイドル的ロック・バンドとして売り出されたはず。けど、当時のイギリスのアイドル系バンド、名前を挙げると、フリント・ロックとかバスターとかロゼッタ・ストーンとか、このあたりのバンドはアイドルとして扱われていたけど、意外と実力派だったのは、当時を知る昭和30年代後半生まれのロック・ファンの間では周知の事実で、ベイビーズも例外ではない。バスターとかよりはハードで、アイドル風邦題の曲もハードでキャッチーな曲が多かった。後年、バラード系のヒットも出すようになり、言うならば産業ロックみたいな感じ。ジョン・ウェイトは若い頃からずっとブレてなかったのだ(笑)

僕個人は1979年にヒットした「ときめきの彼方へ(Every Time I Think Of You)」が印象に残っている。デビュー時と比べてあまり名前を聞かなくなっていた頃だったので、ベイビーズはまだ頑張ってるんだな、と知ってなんだか応援したい気持ちになったものだ(笑) 実際、この「ときめきの彼方へ」はバラード系だが、実に良い曲で、当時、毎週土曜の夜に聞いてた『全米TOP40』でも、かかるのを楽しみにしていた曲でもある。40年以上(!)の時を経た今改めて聴いても名曲と思う。

ベイビーズの活動期間は1977年~1980年の実質4年間で、その間アルバムを5枚出していて、この『Anthology』には、その5枚のアルバムから満遍なく選曲された17曲が収録されているが、それでも収録時間は57分程度なので、4~5曲多くしても良かったのでは、なんて思ってしまう(笑) 曲は年代順に並んでいるので、ベイビーズの成長というか音の変遷が分かりやすい。2枚目と3枚目はロン・ネヴィスンがブロデュースで、1枚目と比べると方向性も定まった感じで、曲のクォリティも上がっている(ちなみに、前述の「ときめきの彼方へ」はロン・ネヴィスンに依る3枚目『Head First』収録)。そして、4枚目と5枚目はキース・オルセンのプロデュースで、売れ筋のロックつまり産業ロックとしては実にレベルが高いが、売れなかったのが残念。各アルバムのジャケット・デザインがダサいのも実に残念(笑) 

Heartbreaker/Dionne Warwick

ディオンヌ・ワーウィックが、飛ぶ鳥落とす勢いだったバリー・ギブと組んで1981年に発表したアルバム。当時のビージーズの音楽性とディオンヌの特性を考慮すると、やはりAOR風味のR&B要するにブラコン的になるのは当然と言えば当然、実に素晴らしいアルバムとなっている。タイトル曲もヒットし、ディオンヌの新たな代表曲となった。

前にも書いたが、僕個人としては、ディオンヌはフラコン風の方が合っていると思っているので、この『ハートブレイカー』は全く文句ない。全体的にミディアムな感じで曲が進行するのもいいし、静かな曲でも賑やかな曲でも、とにかく朗々と歌い上げるディオンヌが素晴らしい。今さらながらファンになってしまったようだ(笑)お薦めです。

ところで、ヒットした「ハートブレイカー」だが、ディオンヌだけでなく、バリー・ギブもお気に入りと見えて、結構ビージーズのステージで披露したりしてる。名曲だもんね。ちなみに、野口五郎の「19:00の街」なんだけど、この曲、かなり「ハートブレイカー」に影響されてると思うけど、気のせい?(笑)

Champagne Jam/Atlanta Rhythm Section

サザン・ロックのバントと言えば、オールマン・ブラザーズ・バンド、レーナード・スキナードの次あたりに名前が出てくるのが、このがアトランタ・リズム・セクション(以下ARS)ではなかろうか。サザン・ロックというと結構人気のジャンルで、一世を風靡した時期もあったし、影響力も大きかったと思うのだが、代表格というと、オールマンズとレーナードになってしまう。あとは十把一絡げである。その中では、ARSは知名度もあり、70年代後半には全米ヒットも出していたので、サザン・ロックの3番手という位置付けでもいいような気がする。まぁ、今となってはどうでもいい事ではあるが(笑)

この『シャンペン・ジャム』は1978年に発表された。ARSの代表作と言ってもいいのでは。僕もここ数年欲しいと思っていたのだが、例のリトル・リバー・バンドと同じ、ユニバーサルの名盤復刻企画の一環で再発されて、ついに手に入れた訳だ。が、いざ聴いてみたら、なんか思うてたんと違う。やはり、前述のサザン・ロック2大バンドと比較すると、ボーカルが弱いのと、曲がイマイチなのが気になる。決して悪くはないのだが、ここいらが限界なのだろう。残念だが。

とはいえ、当時ヒットした「イマジナリー・ラバー」は名曲だし、他のサザン・ロックのバンドよりもAOR寄りなのもいい。愛すべきB級バンドって感じかな。ジャケットが日本の正月飾りみたいに見えてしまうのは僕だけ?(笑)

という訳で年の瀬なんである(だから?)

コメント (2)
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