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一流メンバーによる地味で良質なセッション

2013-04-17 17:51:53 | 音盤ノート
Miroslav Vitous "Universal Syncopations" ECM, 2003.

  ジャズ。オールスターセッションであり、ミロスラフ・ヴィトス(b), Jan Garbarek(sax), Chick Corea(p), John McLaghlin(g), Jack DeJohnette(d)というメンバーによる。リーダーが元Weather Reportで、他はガルバレクを除けば電化マイルス組であるため、1970年代初頭の初期フュージョンのような音を想像してしまう──4曲目だけそれらしい──が、スピーカーから聴こえるのはECM流の低温ジャズである。

  メンバーが5人揃うのは2曲目だけで、あとはベースとドラムを中心に、サックス、ピアノ、ギターのうち1つまたは2つが曲によって加わるというもの。数曲でブラスセクションも絡ませている。演奏はさすがに洗練されており、緊張感はあるものの、激しいという感じではない。なにか、お互い8割程度の力で録音に参加し、全力の姿を見せないままに終わったような印象だ。それでも、内に秘めた力を聴き手が感じとることはでき、水準は高い。

  一聴だけでは盛り上がらないが、注意深く聴いていると面白い。ある意味、分かる人には分かるという地味で良いアルバムだが、豪華メンバーによるセッション企画としては失敗だろう。
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