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繊細さと静謐さを競い合う、ギター三台による室内楽風ジャズ

2013-10-11 08:15:58 | 音盤ノート
Ralph Towner, Wolfgang Muthspiel, Slava Grigoryan "Travel Guide" ECM, 2013.

  ジャズ。ラルフ・タウナーECM新作で、もうベテランの域にあるウォルフガング・ムースピールと、無名の──といってもすでにアルバムが何枚かあるみたいだが──Slava Grigoryan(スラヴァ・グリゴリアン?)とのギタートリオ。タウナーはクラシックギターと12弦アコギ、ムースピールはエレキ担当で、それぞれ五曲ずつ自作曲を提供している。グリゴリアンは、1976年生まれのアルメニア系オーストラリア人で、クラシックギターとバリトンギターを弾いている。この三人での録音はこれで二作目で、すでに"From a Dream"(Material)なる録音が2008年に発売されているらしいが、僕は未聴。

  ほとんどの曲はアコギによるアルペジオをバックに、クラシックギターとエレキのソロが繰り出されるというパターンである。テクニカルでありながら繊細かつ静謐。それでいて神経質でダークなところは微塵も無く、清涼さを保っている。クラシック寄りの硬質で寒々しい印象をもたらす演奏であるけれども、ユニゾンやソロにはかすかな温もりが感じられる。この「美しいし快でもあるけれど、情動には深入りしてこない距離感」が絶妙である。地味だが、クオリティの高い作品。でも"Chiaroscuro"(参考)ほどではないかな。
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