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ジャスロック路線を微修正してアンビエント曲の割合を高める

2014-05-23 22:53:48 | 音盤ノート
Nils Petter Molvaer "Switch" OKeh, 2014.

  ジャズ北欧もの。前作"Baboon Moon"(参考)以来のモルヴェルの新作。メンバー各々についてはよくわからないが、打楽器とギターのErland Dahlen, 同じくギター系のGeir Sundstøl, 鍵盤と電子機器のMorten Quenild, プログラミング担当Jon Marius Aareskjoldという編成。モルヴェル自身も、トランペットのほかギターとシンセとプログラミングを担当している。ただし、担当演奏者が3人もクレジットされているほどには電子音は目立っていない。

  トランペットに加えるエフェクトは以前に比べて少なめで、ストレートなソロを聴かせる趣向となっている。この点は前作を踏襲している。ギターがレイヤー系の仕事に戻ったのは、近作の傾向と違う点だろう。アルバムにはアンビエントな曲とアグレッシブな曲とが交互に収録されており、後者中心だった前作よりやや大人しくなった。ただし、アンビエントな曲でも以前のようにアブストラクトにはならず、きちんとしたメロディが吹かれる。アグレッシブな曲では、びっくりするほど巨大な音量で録られたドラムが盛り立てる。モルヴェルのソロは少しばかりメロディアスになったような気がする。

  隠し味のように音的な冒険がなされているものの、そういう点でインパクトがある作品ではない。初期の緊張感が戻ってきているし、ソリストとしての腕を上げつつあることもあって、飽きさせない作品である。特にアンビエント系の曲がとてもよろしい。
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