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ピアニストは叙情派ながらあくまでピーコックがリーダー

2015-06-05 14:48:36 | 音盤ノート
Gary Peacock Trio "Now This" ECM, 2015.

  ジャズ。ベーシストのゲイリー・ピーコックは御年80歳。録音は大丈夫だろうけれども長期のツアーには出られるのだろうか。本作はピアノトリオ作品で、Marc Copland (piano)とJoey Baron (drums)を従えている。コープランドとピーコックは、すでにデュオ(参考)でもトリオ(参考1/2)でも録音があり、お互い勝手知ったる相手だろう。

  冒頭の'Gaia'は"Oracle"収録の'Gaya'と同じ曲だが、綴りが違うのは何故か(もしや後者が間違えていたとか…)。この最初の曲はきちんとリズムを刻む演奏である。だが、続く2-6曲目は一応楽譜があるようで、ユニゾンで主旋律が鳴らされるけれども、ピーコックの重いベースの音が鳴ると一瞬で場がどんよりとなってしまい、フリーインプロ的な演奏に変貌する。正直言って退屈だ。7曲目以降はまた1曲目のような端正な演奏に戻る。特に8-10曲目の'Christina''Vignette''Gloria's Step'(そうあのScott LaFaro作)はコープランドが作る不安定な旋律と叙情感の行き来がスリリングで素晴らしい。最後の'Requiem'はまたフリーインプロ的になって終わる。

  というわけでピーコックの衰えないフリー魂を聴ける作品だ。が、良い演奏もあるけれども、全体として個人的に好みというわけではない。将来コープランドをリーダーとしたECM録音を聴きたいな。

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