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抱き合わせでやっとCD化される良作品

2008-10-16 13:26:24 | 音盤ノート
Steve Kuhn / Sheila Jordan Band "Playground" ECM, 1979

 今年秋に"Life's Backward Glances: Solo & Quartets"(ECM)なる三枚組ボックスセットが発売されるらしい。ただ、Kuhnの1974-82年までの6枚のECM録音のうち、3枚だけボックスにしてCD化というのはなんとも中途半端だ。"Last Year's Waltz"と"Non-Fiction"も即刻CD化を望みたい。(あと一枚の"Trance"は既にCD化されている)。

 このボックスセットに収録の"Playground" は初CD化作品である。まだCDは聴いていないので、レコード盤に基づいたコメントを記したい。

 これは1979年の録音で、次作の"Last Year's Waltz"(1981)と同様に、ピアノトリオにボーカルがのる四人編成である。ライブ録音の"Last Year's Waltz"は、ECMを離れて以降のスタンダード中心の活動を予感させる、かなりエネルギッシュな演奏だった。この"Playground" は、それとは雰囲気が異なり、静謐で耽美的な作品である。

 ジャズとはいうものの、この作品においてはスイング感が皆無。豪華な和音で装飾されているが、熱気は欠けている。ソロ部分も、とてもアドリブとは思えない練られたメロディで聴く者に迫る。Jordanのボーカルは余計だが、これが無ければ遅れがちのピアノがだらだら続く、緊張感を欠いた作品になっただろうとも思わせる。

 おそらく、"Remembering Tomorrow"(ECM,1995)が気に入った層にはストライクゾーンど真ん中の演奏だろう。Venus盤の愛好家にはダルいかもしれない。ちなみに、僕は前者の方だ。
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