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情動をまったく感じさせない声

2010-02-10 19:20:28 | 音盤ノート
Astrud Gilberto "The Astrud Gilberto Album" Verve, 1965.

 ボサノバ・スタンダード集。一曲を除いてAntonio Carlos Jobim作曲。Marty Paich編曲の美しいストリングスの上に、控え目で透明感のある女性ボーカルが乗る。アメリカ録音のため、ボサノバながら英語詩の曲が半分以上を占める。

 このアルバムで聴かせる、NHK教育の将棋解説で「30秒ー、1・2・3…、5四銀」と読み上げるウグイス嬢のような、とことん感情表現を抑えたボーカルスタイルは、一つの表現の極致としてかなり魅力的である。このような、存在するのに存在を感じさせないような表現というのも、なかなか難しいのではないだろうか?

 しかし残念ながら、彼女はアーティストとしてあまり評価されていない印象がある。その理由は、悪く言えば平板な印象を与えるボーカルスタイルのせいだろうが、それだけでなく、大した努力も無くデビューしてしまった経緯もあるだろう、苦心してボサノバを開発した聖人Joaoと別れてまで。
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