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アドリブ部分を抑え目にして曲展開と音密度の高さで聴かせる

2013-02-18 07:48:22 | 音盤ノート
The Lounge Lizards "No Pain for Cakes" Antilles, 1987.

  ジャズ。John Lurie率いるラウンジ・リザーズのスタジオ録音二作目。東京でのライブ録音"Big Heart"(参考)に続く作品で、前作と同じジョン・ルーリー(alto sax), Evan Lurie (piano), Marc Ribot (guitar), Curtis Fowlkes (trombone), Roy Nathanson (reeds), Erik Sanko (bass), Dougie Browne (drums)の7人に、E.J. Rodriguez (percussion)を加えた8人編成となっている。

  前作よりソロのスペースは少なく、全体の熱量は低下しているものの、さまざまなスタイルの曲を凝ったアレンジで短くまとめ、飽きさせない。通常のジャズのように1.ユニゾン, 2.アドリブ, 3.ユニゾンと展開せず、組曲風に構成されているのが特徴である。アレンジ重視で堅苦しい内容かというとそうでもなく、ルーリーのソロはWayne Shorterのように怪しげでそれなりに聴かせるし、脇を固めるメンツも曲者ぞろいで演奏の質は高い。フリー演奏になる部分もあるが、ユーモラスであり曲を破壊することはなく、あくまでもアレンジの枠内という印象である。

  アレンジ重視と言えば同時期のPat Metheny Group (参考)だが、ラウンジ・リザーズはそれ以上である。不幸にもジャズ界はこうした試みには関心を寄せず、影響力を持つことは無かった。もっと違ったデビューの仕方だったら変わったのだろうか。
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