中小企業の「うつ病」対策ー人、資金、時間、情報に余裕がない

企業の労働安全衛生、特にメンタルヘルス問題に取り組んでいます。
拙著「中小企業のうつ病対策」をお読みください。

兼業・副業も労災対象に

2019年12月25日 | 情報

労働者にとっては、当然の帰結です。しかし、兼業・副業に関わる企業にとっては、大問題です。
どうやって労働時間を管理するのでしょうか。労働政策審議会の審議内容を見守りましょう。

兼業・副業も労災対象に 残業時間の計算見直し、厚労省
2019年12月10日 朝日

仕事を掛け持ちする人が業務中にけがをしたり病気になったりした場合、
労働災害と認定するうえで判断要素となる残業時間の計算方式が見直される。
いまは複数の勤め先があっても残業時間は会社ごとに出すため、労災認定のハードルが高い。
厚生労働省は複数社の労働時間を通算したうえで、法定労働時間を超える残業時間を出す方式に改める。
兼業や副業をする人が増えるなか、いまよりも過労死などが労災に認定されやすくなる。

10日に開かれた労働政策審議会の部会で見直し案が大筋了承された。
厚労省は正式決定後、来年の通常国会に労災補償保険法の改正案を提出し、早ければ2020年度中の施行をめざす。

仕事中のけがや病気で働けなくなった場合に労働基準監督署で労災と認定されると、賃金を元に算出される労災保険が給付される。
だが、いまの仕組みは一つの会社を勤め上げることが前提で、兼業や副業をしている働き手を踏まえた仕組みになっていない。

たとえば本業のA社で週40時間、副業のB社で週25時間働く人が心臓疾患で倒れたとする。
いまの仕組みだと、労働時間は本業が月160時間、副業は月100時間と会社ごとにみるため、
いずれも法定労働時間(週40時間)の4週分に収まり、どちらの会社も残業時間は「ゼロ」になる。
見直し後は、月の労働時間は合計で260時間と計算される。
残業時間は月100時間の「過労死ライン」に触れ、労災の認定基準を満たす。

総務省の17年調査によると、正社員やパート、派遣などを含めて複数の職場で雇われて働く人は、
10年前よりも約25%増えて約129万人に達する。おおむね3分の2は本業の所得が299万円以下だ。
生活費を補うために兼業や副業をしている実態が浮かび上がる。
安倍政権は働き手のキャリア形成のためなどとして、兼業や副業を広げる方針だが、
過労死問題に取り組む弁護士などから、労災認定の判断基準の見直しを求める声が出ていた。

厚労省は同時に、労災保険の給付額も、労災が起きた勤め先とほかの勤め先の賃金を通算して金額を決める方式にする。
また、うつ病などの精神障害の労災認定に当たっても、会社ごとに判断していた従来の方法を改め、
複数の会社で受けた心理的な負荷を総合して判断するようにする。

労政審では、副業や兼業をしている社員の労働時間を会社がどう把握するかも議論している。
働き手の自己申告に基づき、会社側が合算して管理しやすくする案などが浮上しているが、結論は出ていない。

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