中小企業の「うつ病」対策ー人、資金、時間、情報に余裕がない

企業の労働安全衛生、特にメンタルヘルス問題に取り組んでいます。
拙著「中小企業のうつ病対策」をお読みください。

女性が活躍する会社と信じて

2019年08月30日 | 情報

当該企業のHPをチェックしてみました。報道のとおりのようです。
残念です。ただ、この事件をきっかけにして、生まれ変わってほしいと思います。

https://recruit.yuko-group.com/culture/yuko-ism/

女性が多い職場です。
当社では、多くの女性が活躍しています。
大学を卒業した新卒生から、転職してきた成長意欲のある女性。
そして、結婚してお子さんを持った「お母さん」も当社では活躍しています。
産休、育休後復帰してお子さん連れで働いているパート女性、
3才のお子さんを育てながら働く営業女性・・・。
結婚しても、お子さんを産んでも、
仕事を続けられる会社創りをしたいと常に心がけています。

 
女性2人がうつ病で労災認定 過剰ノルマやセクハラ受け
2019年8月21日 朝日

塗装会社ユーコーコミュニティー(神奈川県厚木市)の新入社員だった女性2人が、
過剰なノルマによる長時間労働やセクハラなどでうつ病を患ったとして、相次いで労災認定された。
代理人の弁護士らが21日、記者会見して明らかにした。
同社は住宅の外壁などの塗装を手がけ、ウェブサイトでは同社の女性職人の活躍ぶりが
マスコミで報道されたことをアピールしている。
弁護士によると、2人は2017年4月に入社。
1日200軒の住宅への飛び込み営業などのノルマがあって長時間労働が続いたうえに、
上司から体を触られるセクハラを受けるなどしたという。
2人とも同年11月ごろにうつ病になり、出社できなくなって18年春に解雇された。
同年6月、それぞれ労働基準監督署に労災を申請。今年に入り、1人は平塚労基署に1月11日付で、
もう1人は厚木労基署に7月3日付で労災認定されたという。
平塚労基署は、月85時間29分の時間外労働や、同僚のいる前で会長から
「お前のことを嫌いになるよ」などと責められるといった嫌がらせを受けたことを認定したという。
会見には2人も同席し、「女性が活躍する会社と信じて入ったのに、上層部が女性蔑視の価値観だった。
セクハラを会長に相談したら、『神様が与えた試練だ』と対処されなかった」
「ノルマがとてもこなせる金額や量ではなかった。愚痴は処罰の対象になるといわれ、
同期との飲み会は禁止され、上司にも相談できなかった」などと訴えた。
同社は「元従業員の方が精神疾患に罹患(りかん)されたことにつきましては、大変遺憾に存じます。
労災認定につきましては、労基署の調査結果などの内容を確認できておりませんので、
コメントを差し控えさせていただきます」としている。

塗装職人の5割以上が女性で注目の会社、実は…2人がうつ病労災認定
2019年8月22日 読売

塗装会社「ユーコーコミュニティー」(神奈川県)の20歳代の女性社員2人が入社後7か月でうつ病を発症したのは、
長時間労働やパワハラなどが原因だとして労災認定されていたことがわかった。2人が21日、記者会見して公表した。
代理人弁護士によると、2人は2017年4月の入社直後から1日200件の営業訪問月300万円の売り上げを求められ、
達成できないと罵倒された。
2人のうち1人は時間外労働が月85時間を超えていたが、
労働基準監督署の指導を受けるまで残業代も支払われなかったという。
2人はともに17年11月頃にうつ病を発症。
1人について平塚労基署が今年1月に、他の1人についても厚木労基署が同7月に、それぞれ労災を認めた。
ユーコーコミュニティーは塗装職人の5割以上を女性が占め、「女性が活躍できる職場」として近年、注目されていた
同社は「労働環境の改善に 真摯に取り組んでいく」とコメントを出した。

新入社員2人に労災認定 セクハラや長時間労働でうつ病 
2019/8/21 日経

神奈川県厚木市の外壁塗装会社ユーコーコミュニティーの新入社員だった女性2人がうつ病を発症したのは
セクハラや長時間労働が原因だったとして、労働基準監督署が労災認定したことが21日、分かった。
代理人の弁護士らが東京都内で記者会見し明らかにした。
弁護士らによると、今年1月に平塚労基署、同7月に厚木労基署が認定した。
同社は「元従業員が精神疾患にり患されたことは大変遺憾。
労災認定については労基署の調査結果内容を確認できていないのでコメントを差し控える」としている。
弁護士らによると2人は2017年4月に入社し11月にうつ病を発症。
同僚の前で会長から「みんながおまえを嫌いになる」と叱られたり上司に体を触られたりした。
労基署は発症前1カ月の残業時間は85時間を超えていたと認定した。
2人は美大出身で技術職希望だったが、営業担当に配属され、1日当たり200軒を訪問することを課せられた。
セクハラ被害を訴えると会長が「セクハラは神様が与えた試練」などと言い、耐えるよう求められたという。
同社は「女性が活躍できる会社」などとうたっているが、会見に同席した女性は
「長時間労働は当たり前でパワハラ、セクハラも見て見ぬふりの劣悪な環境だった」と話した。〔共同〕

 

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28.29日は、休載します

2019年08月27日 | 情報

28.29日は、出張しますので、当ブログは休載します。
再開は、30日(金)です。よろしくお願いします。

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過労死ライン超え2700人

2019年08月27日 | 情報

非常事態だから致し方がないのか、いや、理由はともあれ絶対にダメなのか、難しい判断ですね。
なお、小職の拙い経験と考えですが、「うえ」から「やれ」は耐えられませんが、
「した」からの自主的な行動、しかも「先が見えている」のならば、存外、「いける」ような気がします。

過労死ライン超えの被災地職員2700人 西日本豪雨で
朝日8/22(木)

昨年7月の西日本豪雨で被害の大きかった広島、岡山、愛媛県の46自治体で、
同月の時間外労働が過労死ラインの月100時間超だった職員が
少なくとも2700人以上いたことが朝日新聞の調査で分かった。
自治体によっては調査対象職員の9割強が基準を超えるなど、過酷な現場環境の一端が明らかになった
西日本豪雨では、昨年7月6日を中心に被害が広がり、自治体は復旧作業や被災者支援などに追われた。
朝日新聞は被害が大きかった広島、岡山、愛媛の3県と県内で災害救助法が適用された市町村の計46自治体を対象に調査。
首長が職員の任命権を持つ「首長部局」職員のうち、管理職を除いて7月の時間外労働が
100時間(過労死ライン)を超えた職員数を聞いた。
その結果、調査対象の3万4542人のうち2768人(約8・0%)が100時間を超えていた。
一昨年7月の3万4853人では104人(約0・3%)にとどまっており、人数は約26・6倍に増加。
自治体側は「建物被害の調査のため」(愛媛県大洲市)、
「豪雨災害関連を除く一般業務のみで100時間を超えた者はいない」(広島県)などと答えた。

(参考)日本の人事部サイトより

https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20190614-00010000-biz_jinji-bus_all

過労死ラインとは

さまざまな病気には、労働環境だけではなく、食生活など日常的な生活も複雑にかかわってきます。
そのため、働きすぎが病気の原因であることを示して労災認定を行うには、一定の基準を設けなければなりません。
それが、過労死ラインです。
過労死ラインとは、病気や死亡、自殺に至るリスクが高まる労働時間のことであり、
それらの害が労働に起因するものだと認定する基準のことを言います。
法律上では、「発症前1ヵ月間に100時間」あるいは「発症前2~6ヵ月間平均で80時間」を超える時間外労働の場合は、
業務と発症との関係性を認定できるとされています。
この基準がなければ、劣悪な労働環境が精神や肉体の疾患を引き起こしたことが認定されづらく、
使用者の責任を追及することが難しくなり、
さらに「労働者災害補償保険法(労災保険)」の対象になることが困難になってしまいます。
すると、適切な補償も受けることができないことになってしまうでしょう。
過労死ラインは、長時間労働から労働者を守るための基準なのです。

 

 

 

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異動直後、自死

2019年08月26日 | 情報

業務の引継ぎを疎かにすると、どうなるか?答えは自明の理で、後任者のパフォーマンスは前任者を下回りますから、
後任者が業務に習熟するまでは、その組織が生み出す成果のレベルが下がるわけです。
民間企業は、常に競争に晒されていますので、それを補完する仕組みは出来上がっています。
しかし、地方行政には競争がありませんから、当該報道のようになっても、痛みは感じないのでしょうね。残念です。
さらに、上司は引継ぎ状況を具に観察できる立場にあるのですから、上司の監督・管理責任も大きいですね。
組織の責任者は、異動してきた新任者が、組織の新戦力となるよう育成・指導するという重要な役割があることを
自覚しなければなりません。
因みに、民間機関の調査結果ですが、うつ病をり患後、自死に至る原因は、
異動・転勤、昇進・昇格、長時間労働の3つが発端になるそうです。

異動直後、26歳が自死 残業113時間、土曜出勤の夜
2019年6月5日 朝日

大分県職員だった男性が自殺をしたのは、過重労働によるうつ病の発症が原因だったとして、
男性の両親が4日、地方公務員災害補償基金県支部に民間の労災に当たる公務災害の認定を求める申請をした。

記者会見をした両親によると、富松大貴さん(当時26)は2018年4月に福祉保健企画課に異動し、
主事として決算業務を担当。約2カ月後の6月9日夜、県庁舎内の職場で命を絶った。
この日は土曜日だったが、仕事が残っていたため出勤していたという。

両親側の平山秀生弁護士によると、パソコンの稼働時間から計算した亡くなる直前3カ月間の
時間外労働(残業)時間は、平均113時間。
本格的な決算業務を担当するのは初めてだったが、前任者は県外に異動しており、引き継ぎは3時間だけだったという。

大貴さんは4月末ごろから、LINEで「つらい」「もう死にたい」といったメッセージを
母親の貴子さん(59)に送るようになった。
亡くなる直前には、「全然駄目やった。終わらん。実家に帰りたい」と電話で泣きながら話したという。

平山弁護士は、「大貴さんは、周囲からの支援が不十分な中で業務を終わらせるため、
深夜に及ぶ残業や休日出勤を繰り返し、うつ病に罹患(りかん)した」と説明。
仕事が終わらない絶望感から自殺に至ったと主張した。

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休職・復職に関する質問①

2019年08月23日 | 情報

今日からは、労働者側からの休職・復職に関するQ&Aを掲載します。

Q:休職中です。復職するためには、どのような書類を用意して、どのように申請すればよいのでしょうか。

A: 復職するかどうかではなく、復職を認めるか、認めないのかは、会社側の権限であることを、まず確認しましょう。
因みに、休職するのは、労働者の意思で決まるのではなく、会社側が休職することを認めて初めて休職できるのです。
即ち、休職についても会社側の権限で行われます。休職と復職は一対の考え方であることを認識してください。

さて、具体的内容です。
通常であれば、復職したいと申し出れば、会社側から必要な書類等の準備が指示されるでしょう。
または、制度が規定されている企業では、あらかじめ会社側から復職の準備要領について案内があることでしょう。
準備する資料等は企業によってまちまちですが、一般的には以下の3点を求めれることになります。

・主治医の復職を可とする診断書
・自筆による復職願
・生活記録表
参考までに、「自筆による復職願」の書式は自由ですが、会社が指定する書式もあります。
以下、生活記録表について解説します。
生活記録表とは、1日の生活、睡眠、起床、就寝、食事、休憩、散歩、買い物などの時間を具体的に記入します。
併せて、気分や活動の感想を記入して疾患の回復状況を定性的に把握するための資料とします。
産業医が復職の可否を判断するための重要な資料になります。
現在では、多くの企業で復職の可否を判断する資料として採用されています。
書式は自由ですが、会社指定のもの、ネット上に公開されている書式もたくさんあります。

 

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