中小企業の「うつ病」対策ー人、資金、時間、情報に余裕がない

企業の労働安全衛生、特にメンタルヘルス問題に取り組んでいます。
拙著「中小企業のうつ病対策」をお読みください。

27.28日は休載します

2023年02月24日 | 情報

27.28日は、出張しますので当ブログを休載します。
再開は、弥生3月1日です。

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従業員50人とは、

2023年02月24日 | 情報

従業員50人とは、

質問1.
事業場の規模を判断するときの「常時使用する労働者の数」はどのように数えるのでしょうか。

回答(厚労省HP・安全衛生に関するQ&A)
常時使用する労働者の数は、日雇労働者、パートタイマー等の臨時的労働者の数を含めて、常態として使用する労働者の数をいいます。

派遣中の労働者については、事業場規模の算定に当たっては、派遣先の事業場及び派遣元の事業場の双方について
派遣中の労働者の数を含めて、常時使用する労働者の数を算出するものとされています。
ただし、安全管理者と安全委員会については選任・設置義務が派遣先事業場のみに課せられていますので、
派遣先の事業場について、派遣中の労働者の数を含めて算出します。

https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_09985.html

質問2.
月によって、「常時使用する労働者の数」が50人を境に前後しますが、どのように対処すればよいでしょうか。

回答(小職の見解)
法令を正確に解釈すれば、「常時使用する労働者の数」が50人を下回れば対処しなくてもよいということになります。
しかし、現実的、実務的には、一度法令に対応したのですから、例え「常時使用する労働者の数」が30人程度に減少しても、
制度を維持することが望まれます。なぜなら、50人という数字に科学的な根拠はありません。
行政が便宜的に決定しているだけですから、労基法・安衛法が適用される事業場であれば、
「常時使用する労働者の数」に関係なく、対処することが望まれます。

◎従業員50人以上の事業場の義務

・ストレスチェックの実施および結果報告 安衛法第66条の10、則第52条の21他
・産業医の選任および届出 安衛法第13条、13条の2、安衛則第13条1項の1、2項他
・衛生委員会の設置 安衛法第18条、安衛則第23条他
・衛生管理者の選任 安衛法第12条、安衛則第7条各項他
 衛生管理者は、その前に資格の取得が必要です。
・定期健康診断の実施および結果報告書の提出 安衛法第66条1項、安衛則第51~52条他

 

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1か月の超過勤務216時間

2023年02月23日 | 情報

民間も同じです。公務災害と認定(民間の労災に該当)されていたのですから、
国に賠償命令(民間の民事損害賠償に該当)も当然でしょう。
従来より述べてきました通り、労災認定されていたら、争ってもほぼ敗訴します。
中小規模の企業にとって、争いを選択すると、ヒト、モノ、カネの資源を著しく棄損する可能性があります。

陸自隊員自殺、国に7800万円賠償命令…1か月の超過勤務216時間など原因
2023/02/21 読売

陸上自衛隊松山駐屯地(松山市)に勤務していた男性隊員(当時28歳)が2013年に自殺したのは
長時間労働や上司の限度を超えた指導が原因だったとして、滋賀県の遺族が国に計約9000万円の損害賠償を求めた訴訟の判決で、
大津地裁は21日、国に約7800万円の支払いを命じた。

堀部亮一裁判長は「超過勤務を認識できたのに適切な支援をしなかった労務管理上の問題があった」と述べた。
上司のパワーハラスメントは認めなかった。

判決によると、男性は12年11月頃から超過勤務が続き、13年4~5月には野営訓練に参加。
上司の元隊長の指示で訓練の検証作業に追われ、代休を取得できず、同5月上旬にうつ病を発症し、同月27日に自殺した。
発症直前1か月の超過勤務は約216時間に上っていた。陸自は18年、自殺を公務災害と認定していた。

判決後、男性の両親は記者会見し、「パワハラと認定されず残念に思う」と語った。「トップ(の意識)が変わらないと、
部隊は変わらない」と環境の早期改善を求めた。

陸自中部方面総監部広報室は「関係機関と十分調整し、対応を検討する」とコメントした。

 

陸上自衛隊員の自殺 国に7830万円賠償命令 大津地裁判決
毎日新聞 2023/2/21

陸上自衛隊松山駐屯地(松山市)で勤務していた元2等陸尉の男性(当時28歳)が自殺したのは、
自衛隊の安全配慮義務違反などが原因だとして、滋賀県内に住む遺族が国に計約9030万円の損害賠償を求めた裁判で、
大津地裁(堀部亮一裁判長)は21日、国の責任を認め、約7830万円の支払いを命じた。

訴状によると、男性は同駐屯地で指揮小隊長を務めていた2013年4~5月、新入隊員受け入れや訓練準備に追われて休日返上で働き続け、
同年5月10日ごろにうつ病を発症。同年5月27日に松山市内の演習場で自殺した。

原告側によると、男性がうつ病を発症する前の1カ月の残業時間は約171時間で「過労死ライン」(直近1カ月で100時間)を上回っていた。

同駐屯地を管轄する陸自中部方面総監部(兵庫県伊丹市)は18年4月、自殺の背景に長時間勤務などがあったとし、公務災害と認定した。

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(参考)AIが「うつ病」を高精度診断

2023年02月22日 | 情報

AIが「うつ病」を高精度診断、脳の血流解析で罹患見逃さず…広島大など成功
2023/02/13 読売

脳の画像を解析する人工知能(AI)で、うつ病の患者を高精度に見つけることに成功したと、
広島大や国際電気通信基礎技術研究所(京都府)などの研究チームが発表した。
医師の診断を補う医療機器として実用化される可能性がある。論文が国際医学誌に掲載された。

うつ病の診断は、問診で症状を聞き取ったり、心理テストを実施したりする方法が主流。医師による診断のばらつきが課題だった。

チームは、脳の血流などを調べる「機能的磁気共鳴画像装置(fMRI)」で健康な人39人とうつ病患者47人の脳画像を撮影。
患者ら約1200人の脳回路の特徴を学ばせたAIで解析したところ、約7割の確率で患者を見分けられたという。

チームの岡田剛・広島大准教授(精神神経医科学)は「従来の診断では、うつ病が見逃されることもあった。
診断を補助する新たな手法にしたい」と話す。
このAIについて、共同研究する企業が今年度中にも厚生労働省に承認申請する予定だという。

東北大の筒井健一郎教授(システム神経科学)の話
「精神疾患を客観的に判断する手法は長年、模索されてきた。
今回の研究は、その動きを前進させる重要な一歩だ。今後は精度を高める研究や、他の精神疾患への応用も求められる」

 

㈱国際電気通信基礎技術研究所(ATR)プレスリリース

MRIを用いたうつ病の客観的診断支援法が実用化へ向けて大きな前進
~新規データで客観的診断支援法の信頼性と前向き汎化性の検証~

https://www.atr.jp/topics/press_230213.html

【本研究成果のポイント】

・世界に先駆けて開発した機能的磁気共鳴画像(fMRI)を用いたうつ病の客観的診断支援法(うつ病脳回路マーカー)
(Yamashita A et al., 2020)の信頼性と前向き汎化性を、開発後に取得した新規のデータで検証しました。
・健常者を対象とした1年間隔の測定で、脳回路マーカーの信頼性を確認しました。
新規のうつ病患者をうつ病脳回路マーカーは十分な感度で識別しました。

 

 

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安心な交流、心身に好影響

2023年02月21日 | 情報

安心な交流、心身に好影響
こころの健康学 日経 2023年2月7日
認知行動療法研修開発センター 大野裕氏

NHKの大河ドラマの影響だろう。徳川家康が寅(とら)年生まれかうさぎ年生まれかという議論を耳にした。
家康は虎が好みだったようだが、猛々(たけだけ)しい虎がよいか、かわいいうさぎがよいかは、人によって好みが分かれるところだ。

この話を聞いて米国で最近話題になっている「ラビット・イフェクト(うさぎ効果)」が頭に浮かんだ。
1980年代後半に報告されて注目されるようになった研究成果だ。
米国で心臓疾患にかかる人が多いのは、脂肪分の高い食事をとる人が多いからだとされている。
これを検証するため、うさぎに脂肪分の高い食事を食べさせて、心臓に好ましくない影響を与えるかどうかを調べた。

その結果、高脂肪食と心臓疾患の発症が関係していたが、
不思議なことに、脂肪分の高い食事をとっても健康な状態を保っている一群が存在していることがわかった。
疑問を持った研究者が原因を調べると、そのグループの担当者がうさぎを抱きあげたりなでたり、話しかけたりしていた。
担当者から愛情を注がれていたうさぎは、高脂肪食を食べても健康でいられることがわかったのだ。

孤立した状態の人はたばこを毎日1箱吸うのと同じような悪影響が体に表れることもわかってきた。
一方で親しい人や地域と意味のある交流ができている人はうつ病になりにくいという報告も少なくない。

コロナ禍のために人間関係が希薄になりがちだが、健康に生きていくためには、
感染対策に十分配慮しながら、安心できる関係を続けられるよう工夫していくことが大切だ

 

 

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