中小企業の「うつ病」対策ー人、資金、時間、情報に余裕がない

企業の労働安全衛生、特にメンタルヘルス問題に取り組んでいます。
拙著「中小企業のうつ病対策」をお読みください。

休職・復職Q&A⑤

2023年01月31日 | 情報

Q; 100人規模の製造業で保健師をしています。うつ病治療で休職中の従業員から、
突然に、主治医の「復職可」とする診断書をもって復職申請書が提出されました。
当社の復職規程では産業医との面談を必須としていますが、契約産業医は、月に1回しか来社しませんので、
休職中の従業員との面談日程の調整が上手くできません。ずるずると日時が経過してしまい、当該従業員から復職の催促をされています。
産業医面談を回避して復職させても良いのでしょうか?

A; 〇実務で差し迫った判断を求められる場合には、とりあえず「復職」を認めたうえで、
然るべき職場・職務(人事労務部門を推奨します)で、休職前の職務能力の回復に努め、
産業保健スタッフや人事労務部門の経過観察のもとに、原職復帰させるのが穏当でしょう。

〇主治医の診断書に問題があるかもしれませんが、主治医の診断書を無視することは問題になります。
休職者も、会社の就業規則にある休職規程を熟知している場合もありますので、
休職期間が満了になる直前に、復職を申請してくることも大いに考えられます。

〇手順前後になりますが、並行して御社の復職規程にある通り、産業医面談を実施し産業医の所見を聞いてください。

〇一方で、このようなイレギュラーな対応を取らざるを得なくなった原因の追究と対策の構築も必要です。
一番の問題は、お気づきと思いますが「突然」の復職申請です。なかなか難しい問題ですが、
休職中の従業員を放置したままにしてはいけません。

〇最善策としては、会社側に負荷がかかるものの、
月1回休職者宅を訪問し、給与明細の提供と社会保険料を徴収しましょう。
その際に、詳しく面談と観察を行い、病気の回復状況を確認するようにしてください。   
こうすれば、「突然」の復職申請は回避できます。

 

 

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第8波到来で感染不安高まる

2023年01月30日 | 情報

第12回 働く人の意識調査 日本生産性本部調査 23.1.27
第8波到来で感染不安高まる、テレワーク実施率は16.8%と過去最低に近く

https://www.jpc-net.jp/research/detail/006234.html

1.現況:景況感は「悪い」が75%超、感染不安は30代を除く全世代で増加に転じる(図2~9)

・現在の景気について、「悪い」が、前回10月調査の36.2%から39.1%へと増加。
「悪い」「やや悪い」の合計は76.1%と、2021年1月以来の75%超え(図2)。

・今後の景気見通しについては、「どちらともいえない」が2022年7月調査以降増加しており、前回10月調査の39.6%から40.8%に増加。
「悪くなる」「やや悪くなる」の合計も48.0%から50.6%に増加(図3)。

・自身が新型コロナに感染する不安については、「かなり不安を感じている」が前回10月調査で13.8%と過去最小を記録し、
2022年1月調査以降減少傾向にあったものの、今回調査で21.2%と増加に転じた(図5)。

・年代別では、30代を除く全年代で「不安を感じている」(「かなり不安を感じている」「やや不安を感じている」の合計)割合が増加。
特に70代以上は前回10月調査の58.3%から75.0%に増加(図6)。

・年末年始の恒例行事を行ったかについて、2022年1月調査と同様に質問したところ、
「家でゆっくり過ごす」「大掃除」「仕事」以外の全ての行事・行動について、「行った」割合は昨年より増加。
一方、「コロナ禍前には行っていた」割合と比べると、大幅に小さいものが多い(図9)。

2.勤め先への信頼感:業績への不安は増加に転じる、収入不安は払しょくされず(図13~17)

3.キャリア形成と人材育成:自己啓発「特に取り組む意向は無い」が初の6割超(図23~31)

4.働き方の変化:テレワーク実施率は過去最低に近く、中規模企業の実施率が低下(図34~44)

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メンタルヘルスを可視化

2023年01月29日 | 情報

メンタルヘルスを可視化 コロナ禍の学生支援、ビッグデータも
2023/1/21 産経

新型コロナウイルスが国内で感染確認されて3年を経た。コロナ禍による影響はさまざまな分野に及んでいるが、社会は、現状に「うまく適応できた人」と「適応できない人」の二極化が進んでいる。コロナ禍に伴うデジタル化の進展が拍車をかけた形だが、大学に通う学生たちも大きな影響を受けた。友人らとのコミュニティづくり、学業、アルバイトなどを含めた新たな生活スタイルにうまく適応できない学生は少なくなく、支援は急務だ。その中で、学生のメンタルヘルス(心の健康)を可視化するシステムが開発され、複数の大学で導入されているという。その試みをみる。

抑うつ、社会不安など8領域
開発したのは、岐阜大保健管理センターの堀田亮准教授。学生の心理や精神状態を測定するものとして、米国で開発され、米国の750以上の大学で導入されている国際標準の心理指標「CCAPS(シーキャプス)」の日本語版を開発した。既に岐阜大では2020年2月から運用を始めており、今回は、学生がスマートフォンやタブレットなどで回答を終えると、結果を即時に伝えるウェブシステム「CCAPS-iQAS(アイキャス)」を開発した。

 

〇大学生のメンタルヘルスを可視化するシステムを開発
学生にも即時に結果をフィードバック
23.1.10 岐阜大学

https://www.gifu-u.ac.jp/about/publication/press/20230110_1.pdf

【本研究のポイント】

・国際標準の心理指標である CCAPS(シーキャップス)注 1) の日本語版を用いて、大学生のメンタルヘルスを可視化する Web システム「CCAPS-iQAS(シーキャップスアイキャス)」注 2) を開発しました。
・CCAPS-iQAS に回答した学生には、自身の結果が自動かつ即時にフィードバックされます。同時に学内の相談窓口の連絡先が表示され、基準値より高い(メンタルヘルスに不調が見られる)学生には相談を促すメッセージが表示される機能が搭載されています。
・岐阜大学では定期健康診断の受診学生とカウンセリングを受ける学生に対して本システムを実装しており、複数の他大学でも導入が始まっています。

【研究概要】
岐阜大学保健管理センターの堀田亮准教授は、国際標準の心理指標である CCAPS 日本語版を用いて、大学生のメンタルヘルスを可視化する Web 回答システム「CCAPS-iQAS」を開発しました。
新型コロナウイルス感染症の拡大は未だ終息に至らず、大学生のメンタルヘルスへの影響は大きな社会問題となっています。本システムは、回答した学生に対して自動かつ即時に結果がフィードバックされ、相談窓口の連絡先や結果に応じた相談を促すメッセージも表示される機能を搭載しています(図 1)。
このような機能は他に類を見ないもので、その研究成果と意義が高く評価され、日本学生相談学会発行の学生相談研究に掲載されました。本システムは岐阜大学をはじめ、複数の大学ですでに実装されています。

【研究成果】
高い信頼性、妥当性が実証されている国際標準の心理指標である CCAPS の日本語版を用いて、大学生のメンタルヘルスを可視化する Web システム「CCAPS-iQAS」を企業と共同開発しました。また、岐阜大学生約 4,000 名に対して試験運用を行い、高い安定性と実用性を確認しました。

【今後の展開】
今後、CCAPS-iQAS を導入する大学が増えていけば、大学生のメンタルヘルスに関するビッグデータを構築できるようになり、年度ごとの特徴や推移といった実態把握に役立てることができます。また、性差や学年差といった比較検討も可能となり、大学生のメンタルヘルス支援に関するアクションプランの立案への貢献が期待できます。

【論文情報】
雑誌名:学生相談研究 43 巻 2 号, 182-193 ページ
論文タイトル:CCAPS ウェブ回答システム(CCAPS-iQAS)の開発
著者:堀田 亮(岐阜大学保健管理センター)

【研究者プロフィール】
堀田 亮(ほりた りょう)
岐阜大学 保健管理センター、医学部附属病院、医学教育開発研究センター、教育推進・学生支援機構
<略歴>
2014 年 筑波大学大学院 人間総合科学研究科ヒューマン・ケア科学専攻 3 年制博士課程 修了(博士(心理学))
2014 年〜2022 年 岐阜大学保健管理センター 助教
2022 年〜現在に至る 岐阜大学保健管理センター 准教授
<資格>
臨床心理士、公認心理師、大学カウンセラー

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休職・復職Q&A④

2023年01月27日 | 情報

Q; 80人規模の流通業で保健師をしています。うつ病で休職中の従業員が復職を申請してきました。
主治医の「復職を可とする」診断書の受領のタイミングについてお尋ねします。
当社では復職訓練を義務付けていますので、復職訓練前がよいのか、復職訓練後がよいのか、それとも両方なのか、如何でしょうか?


A; 〇結論は、「会社主導」の復職訓練前に主治医の診断書を提出していただくのが良いでしょう。
 主治医の診断書が提出され、会社が当該従業員の復職を認めてから「復職訓練」を行うのが理想です。
会社が復職を認めるということは、当該従業員が「会社の指揮命令化」に入るということになるからです。

〇ただし、復職訓練が時間をかけても上手くいかないことがあります。
この場合には、だらだらと引き延ばすことをせずに 再休職を命じることも必要です。
これは、復職後に「復職訓練」を行う場合のデメリットのひとつですが、受忍の範囲と考えます。

〇一方で、「労働者性」がない休職中の従業員に対して「会社の指示で」復職訓練を行うことには問題があります。
下記の厚労省見解を参照してください。

〇もし、休職中に復職訓練を行うのであれば、会社側のアドバイスと見守りはあっても良いのですが、
本人の自由意思で「任意」に行わせることが必要です。

〇休職中の従業員には「労働者性」を認められませんので、万が一事故に遭遇しても労災保険の適用はありません。
従って、会社側は労災保険に相当する民間保険に加入して、従業員の安全を確保しなければなりません。

〇労働基準法と労働組合法における「労働者」は、定義規定の違いもあり、
必ずしも一致しないと解されていますが、以下に労基法の解釈を紹介します。

「労働者性」についての厚労省の見解

https://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-11909500-Koyoukankyoukintoukyoku-Soumuka/0000181992.pdf

定義;労働基準法第9条
「職業の種類を問わず、事業又は事務所に使用される者で、賃金を支払われる者」

判断基準;以下の1・2を総合的に勘案することで、個別具体的に判断する。

1 使用従属性に関する判断基準
(1)指揮監督下の労働
①仕事の依頼、業務従事の指示等に対する諾否の自由の有無、
②業務遂行上の指揮監督の有無、
③拘束性の有無、
④代替性の有無
(2)報酬の労務対償性

2 労働者性の判断を補強する要素
(1)事業者性の有無
①機械、器具の負担関係、②報酬の額
(2)専属性の程度
(3)その他

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25.26日は休載します

2023年01月24日 | 情報

25.26日は、出張(雪が降らない地方への)のため、当ブログ休載します。
27日(金)より再開します。

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