中小企業の「うつ病」対策ー人、資金、時間、情報に余裕がない

企業の労働安全衛生、特にメンタルヘルス問題に取り組んでいます。
拙著「中小企業のうつ病対策」をお読みください。

賠償義務は市から病院に

2020年11月30日 | 情報

当事案が発生してから、既に6年が経過してしまいました。
さらに、5年経過後とはいえ、公務災害が確定しています。
「市」とか「病院」という問題ではないのではと思います。
司法にも考えていただきたいです。
1日も早い補償を実現していただきたいと思います。

 

パワハラで自殺 遺族が静岡病院を提訴、6200万円損賠請求

11/27() 静岡新聞

 

201412月に静岡市立静岡病院の男性職員=当時(57)=が自殺した問題で、
遺族が地方独立行政法人静岡市立静岡病院(宮下正理事長)を相手取って
6200万円の損害賠償を求める訴えを起こしたことが27日、
遺族側の代理人弁護士への取材で分かった。

遺族は201月、長時間労働や部下によるパワハラ行為への対応を怠ったことが
自殺の原因だったとして、市を相手に同様の訴えを起こしていた。
一方で市側は、16年に静岡病院が地方独立行政法人に移行したことを踏まえ
「賠償義務は市から病院に承継された」などと主張してきた。

遺族側は「本件は市との雇用関係の中で発生した。
市が責任を病院に押し付けることは納得できない
」と訴えてきたが、
早期解決を図るために市側の主張に応じる形で病院側を新たに提訴することを決めた。
代理人弁護士は「市側が責任を負わないと主張し、きりがないため、
やむなく病院も相手にすることにした」と話している。

男性は144月に市病院局静岡病院医事課に異動した。
10月にはうつ病を発症し、12月に同病院で自殺した。
自殺を巡り、地方公務員災害補償基金静岡市支部(支部長・田辺信宏市長)は
19年に公務災害と認定している。

 

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26.27日は、休載します

2020年11月25日 | 情報

26(木).27(金)日は、出張のため休載します。
再開は、30日(月)です。よろしくお願いします。

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「冬季うつ」を見逃すな

2020年11月25日 | 情報

「冬季うつ」は、従来より広く認知されていますが、今回、
「冬眠の名残とする説」が公表されことは、小職としてなるほどねという納得感があります。
さらに、今年は新型コロナウイルスの影響で、精神衛生の危機は一層高まっています。
ご注意ください。

「冬季うつ」を見逃すな
日中に眠気、甘いもの食べ過ぎ… まず日光、運動は無理せず
2020/11/18付日本経済新聞

秋から冬にかけて気分が落ち込み体調も優れないが、春が近づくにつれて回復する
「冬季うつ」。時期が限られるうえに通常の「うつ病」と異なる特徴もあるため
病気と気づきにくく、冬が来るたびに悩まされる人も少なくない。
本人や周囲が変化に気づき、積極的に日光を浴びるなどの対策をとるようにしたい。

甘いものや炭水化物が食べたくなって体重が増え、
朝起きられなくなり日中も眠気に襲われる――。
冬が近づくとこんな症状がみられるようなら、冬季うつを疑うべきかもしれない。

通常、うつ病を発症すると気分が落ち込んだりするだけでなく、
食べ物が食べられない拒食や、不眠に悩まされる。
甘いものなどを食べすぎたり眠くてたまらなかったりするという冬季うつの症状はその逆で、
うつとは気づかずに体調が悪いだけだと見逃されることも少なくない。
冬以外は元気なので、怠けていると誤解される場合もある。

「若いうちはなんとかやっていても、年をとると症状がきつくなることもしばしばある」と
国立精神・神経医療研究センター睡眠・覚醒障害研究部の栗山健一部長は注意を促す。
中高年になって症状がはっきりし始めることがあるからだ。
学生時代はつらいときは休めても社会人になるとそうはいかず、
冬季うつとわかることもあるという。

冬季うつは日光に当たる時間と関係が深い。
冬に日照時間が短くなる高緯度地方ほど多く見られるとされ、
東京から北海道に転居して発症する例もある。
逆に東京で冬季うつだったが赤道に近いオーストラリアに引っ越してから症状が
出ないという人もいた。

症状の重い患者は、強い光を出す照明器具で1、2時間程度照らす「高照度光治療」を施す。
日常生活でもできるだけ日光にあたるよう心がけることが大切だ。

「大事なのは目に日光が入ること。無理に外出しなくても、
窓際で日光に当たるだけでもいい」と栗山部長は説明する。
屋外に出る場合も、散歩などの運動はせずにひなたぼっこするだけでも効果がある。
うつは症状が重い時期はからだを動かすだけでもつらく、
無理に運動しても治療効果は見込みにくい。周囲も日光に当たりやすい環境を整えながら、
回復を待つようにしたい。

室内の照明も薄暗い間接照明などは避け、できるだけ明るくしたい。
波長の短い青色の光が効果が高いので、電球よりも蛍光灯を使う方がよいという。

高照度光治療だけでは症状が回復しない場合は、薬による治療も並行して行う。
使うのは神経伝達を助けるセロトニンという物質を強化するタイプの抗うつ剤だ。

セロトニンは、材料になるアミノ酸のトリプトファンを多く含む魚や肉、
豆類、バナナなどを食べることで補える。
冬季うつになると炭水化物に食事が偏りがちなので、
積極的にこうした食品をとるようにしたい。ただ症状が重いときは治療薬が有効だ。

冬季うつは春になっていったん回復しても、冬になると再発することが多い。
体調が悪くなる前に意識して日光に当たる時間を増やすなどすることが大切だ。

特に今年は新型コロナウイルスの流行で外出を控えがち。
家にこもると日光に当たらなくなるだけでなくストレスもたまる。
冬季うつに限らずうつ病全般を引き起こしやすい環境で、
気分や体調の変化に気づいたら早めに医療機関に相談したい。


冬眠の名残とする説も  
2020/11/18付日本経済新聞 

冬季うつなどの季節性うつは、一般にうつ病の特殊な形と考えられている。
ただ過食や過眠といった通常のうつとは異なる特徴もあり、
「そううつ病といわれる双極性障害の仲間ではないか、という考えもある」と、
国立精神・神経医療研究センター睡眠覚醒障害研究部の栗山健一部長は話す。

双極性障害はうつ状態と、その逆のそう状態を繰り返す。
夏場は元気で軽いそう状態でも病気と思われず、
冬のうつ状態だけ注目されるのではないかというわけだ。

また冬季うつほど顕著でなくても、冬になると気分が落ち込んだり、
活動性が低下したりすることは珍しくない。
冬に活動性が下がって冬眠する動物も少なくないことから、
冬季うつは人間も昔は冬眠していた名残ではないかとする説もある。

 

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上官謝罪で和解

2020年11月24日 | 情報

潜水艦と云う閉鎖空間での、2対1のハラスメントですから、結果は容易に想像できます。
一般の企業でも、参考としなければならない事例でしょう。

 

「海自で暴力」 上官謝罪で和解 自殺未遂で損賠訴訟

20201116日 朝日

 

海上自衛隊呉基地(広島県呉市)に停泊中の潜水艦内で2等海尉の男性(46=山口県=
自殺を図り、両親が国と上官2人に計約4400万円の損害賠償を求めた訴訟が16日、
山口地裁で和解した。

原告の代理人弁護士によると、和解内容は、上官2人が男性への暴力行為と行き過ぎた
指導があったと謝罪し、国が和解金として両親に計1100万円を支払うというもの。

弁護士などによると、男性は2000年入隊。上官2人に暴力や暴言を受け
137月ごろうつ病になり、同年9月、基地に停泊中の潜水艦「そうりゅう」の寝室で
拳銃自殺を図った。

男性は一命は取り留めたが首に大けがを負い、今も首から下が動かず寝たきりで、
家族が介護している。母親は弁護士を通じ、
「息子の体の自由が戻ることはないという現実と、苦しみを思うと、
暴力をふるった上官たちが、今楽しそうに過ごしているなら、
絶対に許せないと思ってしまいます」との談話を出した。

和解条項には、海自内で今後同じようなことが起きないよう、
上司は部下の心情把握に努めることなどが盛り込まれた。
山村浩・海上幕僚長は「今回の事案を重く受け止め、
海上自衛隊としては同種事案の再発防止策を徹底する」とのコメントを出した。

 

海自自殺未遂、原告と国側が和解 暴力振るった元上官が和解金一部負担

11/16() 毎日

 

海上自衛隊呉基地(広島県呉市)配備の潜水艦内で2等海尉の男性が自殺を図ったのは
上官の暴力が原因として、男性の両親が国に約4400万円の損害賠償を求めた訴訟は16日、
山口地裁で和解が成立した。和解内容は、国が両親に1100万円の和解金を支払い、
元上官2人がその一部を負担し、両親と男性に謝罪する。
また、海自は同様の事案を防ぐため再発防止措置を講じるよう努める。

山口県内に住む両親が20162月、山口地裁に3500万円の損害賠償を求めて提訴し、
後に増額していた。訴状などによると、男性は117月と1368月、
上官2人から顔を殴られたり足を蹴られたりする暴力と暴言を複数回受けた。
男性は同7月ごろにうつ病を発症し、9月に拳銃自殺を図った。
男性は現在46歳で首から下にまひが残り、寝たきりの状態が続いている。

原告側弁護士によると、今年1月、山口地裁から和解を勧告された
和解金1100万円のうち、元上官の1人が120万円、もう1人が100万円を国に支払う。
再発防止策は、面接などで上司が部下の異変を察知できるようにする
潜水艦部隊の乗組員に対し3年に1回の適性検査を受検させる
不適切な指導を防止するため繰り返し教育する――とした。

男性の母は弁護士を通じ「このような悲劇が二度と起こらないよう、
国は和解で約束した再発防止の措置を組織を挙げて全力で取り組んでほしい」との
コメントを出した。

元上官2人は15年、「暴力を伴う不適切な指導があった」として停職処分を受けている。
海自の山村浩海上幕僚長は「元乗員の自殺未遂事案を重く受け止め、
同種事案の再発防止策を徹底していく」などとするコメントを発表した。

 

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心の病に労災認定の壁(続編・現時点の情報)

2020年11月23日 | 情報

各報道を紹介し、労災認定の難しさを考えてきました。
当ブログでも、再三アップしてきた事実があります。
医療機関を受診したうつ病患者は、年間約100万人います。
しかし、そのうちで労災認定されているのは、僅かに年間1000人台です。
即ち、残りの99万人以上は、労災ではないということです。
ストレスチェックは、全て企業の費用負担です。
それでは、何のために実施しているのでしょうか?

直近の状況です。
「心理的負荷による精神障害の労災認定基準改正案」及び
「脳血管疾患及び虚血性心疾患等(負傷に起因するものを除く。)の
労災認定基準改正案」について、令和2年7月17日から、パブリックコメントによる
意見募集を行いました。
さらに、本年度中(12月以降)に、最新の医学的知見を収集したうえで、
有識者による検討会を開催しで議論していく予定です。

過労死認定基準、見直しへ パワハラ防止改正踏まえ
2019/11/1  日経

厚生労働省は過労死の労災認定の基準を見直す方針を固めた。
脳・心臓疾患に関連する基準は2001年以来で約20年ぶり、
精神疾患の基準は11年の策定以来初めての改定になる。
働き方の多様化やパワーハラスメント(パワハラ)防止を企業に義務付ける関連法の
成立などを踏まえ、12月以降に専門家による検討会で議論していく。

加藤勝信厚労相は1日の閣議後記者会見で、実際に基準を改定する時期について
「前回の見直しはおおむね1年間の議論で答えを出した。
そのことを踏まえて対応していく」と語った。

厚労省は18年度から脳・心臓疾患について新しい医学的知見の収集をしている。
20年度にも検討会を設置し、現在の基準と最新の知見を比較して改定内容を議論する。
精神疾患については厚労省が作成中のパワハラを定義する指針の内容を踏まえ、
今年12月にも検討会で議論を始める。
21年度から最新の医学的知見を踏まえた全体的な見直しも検討する。

認定基準を巡っては昨年5月、過労死問題に取り組む弁護士の団体が見直しを求める
意見書を厚労省に提出。時間外労働の目安「過労死ライン」を現在の月80時間から
同65時間程度にすることなどを提案した。
厚労省はこうした外部からの意見も踏まえて見直しを進めていく考え。

(参考)厚労省HPより
心理的負荷による精神障害の労災認定基準を改正しました
~「心理的負荷評価表」に「パワーハラスメント」の出来事を追加します~
令和2年5月29日(金) 照会先 労働基準局補償課

厚生労働省では、「心理的負荷による精神障害の認定基準」を改正し、
本日5月29日付で厚生労働省労働基準局長から都道府県労働局長宛てに通知しました。
この改正は、今年6月からパワーハラスメント防止対策が法制化されることなどを踏まえ、
今月取りまとめられた「精神障害の労災認定の基準に関する専門検討会」の報告を
受けたもので、「パワーハラスメント」の出来事を「心理的負荷評価表」に
追加するなどの見直しを行いました。
厚生労働省では、今後は、この基準に基づいて審査の迅速化を図り、
業務により精神障害を発病された方に対して、一層迅速・適正な労災補償を行っていきます。

 

 

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