中小企業の「うつ病」対策ー人、資金、時間、情報に余裕がない

企業の労働安全衛生、特にメンタルヘルス問題に取り組んでいます。
拙著「中小企業のうつ病対策」をお読みください。

28日より、年末年始の休載期間に

2023年12月27日 | 情報
当ブログは、28日より、1月4日(木)まで、
年末年始の休載期間に入ります。
再開は、新年の5日(金)です。
よき新年をお迎えください 弥栄。
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突発の業務量拡大に対応できますか?

2023年12月27日 | 情報
突発の業務量拡大に対応できますか?

コロナ感染拡大で業務増加 消毒作業に従事の会社員 過労死認定
2023年11月15日 NHK 

新型コロナウイルスの感染が拡大していたおととし、消毒作業を行う会社に勤めていた40代の男性が自殺したのは、
長時間労働が原因の過労死だったとして、労災認定されたことがわかりました。
過労死問題に詳しい弁護士は「今後も感染流行や大規模災害が起きる可能性があり、
今回を例外とせず対策を検討するべきだ」と指摘しています。
労災が認められたのは、東京都内に本社がある店舗の消毒などを行う会社で働いていた当時43歳の男性です。
遺族の弁護士によりますと、男性はコロナの感染が拡大していた時期に神奈川県内の支店の支店長代理として勤務し、
横浜港に入港し集団感染が確認されたクルーズ船関連の消毒作業にも従事しました。
それ以降も、以前からの消毒業務や部下の管理業務に加え、
新たにコロナ対策として深夜や休日に飲食店やスーパーなどの消毒作業にあたっていましたが、
おととし3月に自殺したということです。
遺族からの申請を受けて労働基準監督署が調査した結果、男性は亡くなる前の3か月間、
月100時間前後の時間外労働が続いていたことがわかり、
長時間労働が原因でうつ病を発症していたとして過労死と認められました。
弁護士によりますと、コロナの感染拡大で業務量が増えた業種で過労死が明らかになるのは珍しいということで、
「今後も感染流行や大規模災害が起きる可能性があり、
今回を例外と捉えず、公務員も民間企業も従業員の健康と命を守る対策を検討するべきだ」と指摘しています。

男性の妻「会社は業務量をコントロールできなかったのか
死亡した男性の妻はNHKの取材に対し、
「本当に突然の出来事でした。夫はとても責任感のある性格で、
コロナが流行してからは、私たちが寝ている間に帰ってきて、起きる前に出勤するような生活でした。
一時的な繁忙であって、まさか死んでしまうほど追い詰められていたと気がつけなかったことを後悔しています」と話しています。
その上で「コロナ禍では、医療現場以外にも消毒や清掃など公衆衛生を担う現場で大変な思いをした人たちがいたことを、忘れてほしくありません。
会社は業務量をコントロールすることができなかったのかという思いを今も抱いています」と話していました。

遺族代理人の弁護士「例外と捉えず 従業員の命を守る対策を」
過労死問題に詳しく、遺族の代理人を務める、川人博 弁護士は、「コロナ禍では店舗などの衛生管理が重要となり、
民間の会社でも深夜などに消毒会社が消毒に入る業務が増え、長時間や深夜の労働を余儀なくされたことが、大きな背景にある」としています。
そして、職場が原因でうつ病などの精神障害で労災認定を受ける人が増えている現状を踏まえ、
「今は働き方改革が進んだこともあり、時間管理の面で非常に効率的でむだのない運営をしている。
ただ、それは日常的にゆとりがない職場になっているということもできる
こうした中で、コロナ禍のような時には、公共性の高い仕事だけでなく、それ以外の業種でも急激に業務が増加することが浮き彫りになった。
今後も未知の病気の流行や大規模災害などが起きる可能性がある中で、これを例外的な問題として捉えるのではなく、
民間企業も公務員も、働く人の健康や命をどう守るのかを考えて対策を立てる必要がある。
民間企業にとっては受注が増えて利益につながる面もあるが、
一歩立ち止まって、従業員の健康面を考える視点をしっかり持つことが重要だ」と話していました。
その上で「労災は申請から認定まで1年以上かかることも多いため、
コロナ禍の過重労働で倒れたり亡くなったりした人たちの当時の状況が、
労災認定というかたちで今後さらに明るみに出る可能性がある」と指摘しています。

会社「労災が起きたことを重く受け止める」
男性が勤務していた会社は、NHKの取材に対して、
「当時、新型コロナが拡大する中で、昼夜を問わず依頼があり、労働時間が増えていたことは事実です。
応援態勢を組むなどしていましたが、こうした状況の中、労災が起きたことを重く受け止めています。
再発防止に向けて徹底して取り組んでいきます」としています。
また、具体的な再発防止策として、
▽支店の社員の勤務状況を本社でリアルタイムで管理できるシステムを導入し、応援態勢や人事配置の見直しを行うほか、
▽今回の労災が起きた背景や再発防止策などを管理職に周知したり研修を行ったりするなどの取り組みを行っているとしています。

労災認定 10年で 過労死など減少も 精神障害は増加
11月は過労死防止月間です。
日本社会はこの10年、2014年の過労死防止法の施行や、2019年の働き方改革関連法の施行などで、長時間労働などの抑制を進めてきました。
その結果、昨年度=2022年度、業務を原因とする過労死や未遂も含む過労自殺として労災に認定された人は121人でした。
10年前の2012年度は216人で、およそ半分まで減少しています。
その一方で、うつ病などの精神障害を発症したとして労災に認定された人の数は増え続けていて、昨年度は710人と、10年前と比べておよそ1.5倍となっています。

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「レジリエンス」の強烈さ

2023年12月26日 | 情報
隠ぺいしたり、無かったことにするのは、もう望める時代ではなくなりました。

勇気ある女性自衛官の実名告発により、一時は闇に葬り去られようとした事案が、
公になったばかりではなく、幹部の処分に発展してしまいました。
自衛隊、警察、消防等の肉体を酷使する分野において、パワハラ事案が発生していますが、
この傾向は、オフィスワークや事務部門においても、蚊帳の外ではいられません。
結論として、こうした事案を隠したままでは、組織の発展は望めません。

それにしても、告発した元隊員の「レジリエンス」能力の強靭さを感じます。


〇自衛隊員245人、ハラスメントで処分…五ノ井さん「まだ救われていない人もたくさん」
2023/12/23 読売

防衛省は22日、20万人を超える全自衛隊員を対象に実施したハラスメントに関する特別防衛監察に基づき、
計245人を処分したと発表した。
2人を懲戒免職としたほか、陸自では初めてパワハラを理由に50歳代の男性陸将補を2階級降任させた。
今回の特別防衛監察は、元陸上自衛官の五ノ井里奈さん(24)が実名で性被害を公表した問題などを受けて行った。
昨年9~11月の調査で被害の申告を受けた計1325件のうち、
1273件について事実の確認を終え、207件を処分の対象にした。
これらの件で処分した隊員らは計245人。
懲戒処分を受けたのは免職2人、降任4人、停職67人、減給34人、戒告22人の計129人だった。
ハラスメントの内訳は、パワハラ115人、セクハラ30人、パワハラとセクハラ6人。
このほか、部下のハラスメント行為を把握しながら適切に対応しなかったなどとして規律違反で92人が処分された。
同省は、被害の申告を受けたうち1066件は、ハラスメントの事実を確認できなかったり、
被害者が調査を求めなかったりした「嫌疑不十分」と判断した。同省は残る52件について調査を続けている。
陸海空3自衛隊では、隊員の数が最も多い陸自で最多166人の処分者が出た。
陸将補から2階級降任の処分を受けたのは、第9師団(青森市)の副師団長だった坂元秀明2佐。
2020年3月頃~22年12月頃、当時の所属部隊で5人の部下に、
「階級章を外せ」などの暴言を吐くなどのパワハラ行為をした。
5人は精神疾患を発症して休職。
いずれも今は復職しているが、9か月休んだ被害者もいたという。
坂元2佐は調べに対し、「部隊や隊員の能力を向上させたかった」と説明したという。
陸自隊員が2階級降任となったのは初めてで、ハラスメントを理由にした降任も初となる。
陸自トップの森下泰臣・陸上幕僚長は22日、
「部下の手本となるべき立場の幹部が今般のような行為を行ったことは大変遺憾。
ハラスメントを一切許容しない組織風土を根付かせるよう、一つ一つの取り組みを丁寧に継続して徹底していく」とコメントした。
海自でも、パワハラを理由に50歳代の男性海将補が減給2か月(6分の1)の懲戒処分となった。
木原防衛相は今月12日の記者会見で、「来年1月をハラスメント防止月間として防止教育を集中的に行うこととした」と述べた。
具体策は近く公表するという。

五ノ井さん「意義あった」
 先輩隊員らに受けた性被害を告発した五ノ井里奈さんは
「特別防衛監察の実施で、これまで被害の声を上げられなかった人への対応が行われたことは意義があった」と話した。
一方で「まだ対応されず、救われていない人もたくさんいると思う」とし、
「自衛隊がどこまで変われるかは、これからの取り組み次第で、意識を変えようとしていることをきちんと示してほしい」と訴えた。

◆特別防衛監察 =重大な不正や倫理違反が疑われる事案を対象に、防衛相の指示で防衛監察本部が行う調査。
過去には南スーダンでの国連平和維持活動の報告書が隠蔽(いんぺい)された問題などで実施された。

 同志社大の太田肇教授(組織論)の話 「自衛隊では上意下達で乱暴な言動も見逃されてしまう独特な常識が残っている。
緊張感が高い活動を行う組織であり、厳しく指導することが必要な場面もあるが、業務上必要な範囲を超えてはいけない。
コンプライアンスの担当者に強い権限を持たせるなど、下からも意見を言える組織に変えなければならない」
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「アニメ制作」といって、

2023年12月25日 | 情報
「アニメ制作」といって、対岸の火事では済まされませんよ。

アニメ制作者 17%がうつ病など心の病気なった可能性 団体調査
2023年12月4日 NHK

アニメの制作者でつくる団体が初めて行った健康に関するアンケート調査で、
アニメの制作に関わる人の17%が、うつ病などの心の病気になったか、なった可能性があることがわかりました。
日本のアニメは国内外で人気があるものの、アニメの制作者でつくる「日本アニメーター・演出協会」によりますと、
業務スケジュールの過密さなどで体調を崩してしまう制作者もいるということです。
こうしたことを受けて、去年、協会は業界の実態を明らかにする調査で健康に関する項目を追加して、
アニメの制作に関わる人を対象にアンケート調査を実施したところ、429人から回答がよせられました。
それによりますと、このうち、17%にあたる73人が、うつ病などの心の病気になったか、なった可能性があるということです。
また、疲労具合について尋ねたところ、精神的な疲労について感じているのは68%にあたる291人、
身体的な疲労について感じているのは66%にあたる285人でした。
「日本アニメーター・演出協会」の入江泰浩代表は
「締め切りが近づくと就労時間が長くなることなどから健康的な問題が発生している可能性が高いと考え、初めて健康に関する調査を行った。
うつ病の数が多いと受け止めているので、いろいろな人に今回の結果を見てもらい、
業界の改善に向けて役立ててほしい」と話していました。

アニメ制作者 厳しい労働環境
アニメの制作者は、締め切りが近づくと就労時間が長くなるなど、厳しい労働環境で働いていると言います。
都内でアニメーターの仕事をしている女性は、
小さいころからアニメを見ることや絵を描くことが好きで、今はキャラクターなどを描いています。
毎週のようにある締め切りに間に合わせるため、泊まり込みで作業を行うことは珍しくなく、
1週間で帰宅時間が30分ほどしかないこともあるということです。
職場には帰宅しなくてもいいよう、シャンプーやタオルなどを常備しているものの、
仮眠室はないため、自分のいすか寝袋で、寝ながら締め切りに間に合わせていると言います。
女性は「私はアニメーターの仕事にやりがいを感じているので続けていますが、心の病気にかかる人を何人も間近で見てきた。
アニメ制作者の処遇について考えてほしい」と話していました。

「アニメ」日本文化の象徴の1つに
日本のアニメは世界中で愛され、日本文化の象徴の1つになっています。
人気のアニメをきっかけに、海外の観光客を呼び込もうという動きもあり、
東京都は、ことし10月、池袋にアニメ展示拠点「アニメ東京ステーション」を開設しました。
アニメの制作会社などでつくる日本動画協会によりますと、国内外の市場規模は2兆7422億円と過去最高を更新し、
年間のテレビアニメの制作本数は310本にのぼるということです。


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病院側と院長ら書類送検

2023年12月22日 | 情報
〇単なる、と言っては他事案の当事者に失礼ですが、通常の労災事故ではないですね。労基署による注意喚起です。
法人、院長、直属の上司が書類送検されています。

・医師の労働時間については、労働基準法の改正が最後の職域でした。
未だに未定の部分を残していますが、ほぼ確定しています。
参照)
医師の時間外労働規制について(第169回労働条件分科会資料No1-1,1-2から抜粋)

・門外漢の見解ですが、一言でいえば、「医療業界の悪しき慣習」を克服しなければならないのに、
全く無関心、それに行政が問題提起したのでしょう。
医療業界の指導層・経営層は、自分たちの学生、研修医時代と同じという意識、おれたちだって乗り越えてきたのだと言うでしょう。
しかし、時代が違う、一昔前に比べて、知識・技術が幾何級数的な進歩を遂げているのです。
リスキリングに必要な時間は、質量ともに想像以上の拡大を遂げているのでしょう。

・確かに、独自の研修は労働時間ではないでしょう。ですから、
理想は、「定時の業務+リスキリング」となるでしょう。

〇専攻医の過労自殺、病院側と院長ら書類送検へ…休日取らせず長時間労働させた労働基準法違反容疑
読売新聞 23.12.19

「甲南医療センター」(神戸市東灘区)の専攻医が過労自殺した問題で、西宮労働基準監督署(兵庫県)は19日にも、
運営法人「甲南会」と具英成(ぐえいせい)院長、直属の上司だった医師を労働基準法違反容疑で神戸地検に書類送検する方針を固めた。
関係者への取材でわかった。病院は勤務医の労働時間を適切に把握しておらず、
労基署は不十分な管理体制が、長時間労働につながったと判断した。
関係者によると、具院長らは2022年4月、
専攻医だった高島晨伍(しんご)さん(当時26歳)に労使協定で定められた範囲(月95時間まで)を超える時間外労働(残業)をさせたほか、
休日を取らせずに連続勤務させるなどした疑いがもたれている。
高島さんは20年4月、センターの研修医となり、
22年4月以降、より専門的な研修を受ける専攻医として診療に従事していた。
同年5月17日の退勤後、神戸市の自宅で亡くなっているのを訪ねた家族が見つけ、兵庫県警が自殺と断定した。
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