中小企業の「うつ病」対策ー人、資金、時間、情報に余裕がない

企業の労働安全衛生、特にメンタルヘルス問題に取り組んでいます。
拙著「中小企業のうつ病対策」をお読みください。

コンプライアンス憲章が役立ちました

2021年09月30日 | 情報

会社側が非を認め、迅速に対応したのは評価できます。
しかし、参考として引用した当社の「コンプライアンス憲章」が、むなしく響きます。
当事者やご家族には申し訳ないのですが、同様の事案を抱える多くの企業にとって、
参考とする事例になります。
もし同様な事案を抱えているのであれば、早期に収拾するほうが得策であることをご理解ください。


テレビ局員の自殺「長時間労働が主な原因」、遺族に報告…パワハラ行為も
2021/09/29 読売

フジテレビ系列の岡山放送(岡山市)に勤務していた30歳代の男性社員が7月に自殺し、
同社が「長時間労働が自殺の主な原因だった」として、遺族に経緯を報告していたことがわかった。
同社は幹部社員らの処分を検討している。

同社や関係者によると、男性社員は7月、岡山市内で自殺。社内調査の結果、
直前の6月14日~7月5日、100時間以上の時間外労働をしていたことがわかった。
また、上司による過度な叱責など、パワーハラスメントとみられる行為も確認された。

男性社員は報道部門の記者だったが、2020年春にバラエティー番組などを制作する子会社に出向。
長時間労働に加え、不慣れな仕事も重なり、思い悩む様子が増えたという。

岡山放送の中静敬一郎社長ら幹部が9月20日頃、遺族のもとを訪れ経緯をまとめた報告書を渡した。
27日には社員らを前に「若く優秀な社員の命を守ることができず、
心からおわび申し上げる」と謝罪した。

(参考)岡山放送 コンプライアンス憲章

https://www.ohk.co.jp/corporate/data/compliance/corp/

OHK岡山放送の全ての役員・社員(以下「私たち」)は、社会に信頼される企業であり続けることが最も大切であることを確認します。そのためには法令はもちろん社内規程、社会的なきまりやルール、倫理面に至るあらゆる規範を遵守し、CSR(企業の社会的責任)を常に意識しながら、誠実な企業活動を行うことを宣言します。

<1、法令等の遵守>
一、私たちは報道機関としての公共性や社会的な使命を常に胸に刻み、視聴者に信頼される企業であるために、一人ひとりが自覚と責任を持って行動します。
一、私たちは、遵法、公正、透明、誠実を常に意識して行動します。
一、私たちは、放送法をはじめ、電波法、独占禁止法、下請法、著作権法などの関係法令を理解し遵守します。
一、私たちは、社内規程や規則、岡山放送番組基準等、社内のルールを遵守します。

<2、人権の尊重>
一、私たちは企業活動のあらゆる場面において、お互いの人権・人格を尊重し、人種・信条・年齢・性別・宗教国籍・身体的特徴・出身地などによる差別を決して行いません。
一、私たちは、不当な差別や嫌がらせのない、健康的で安全安心な職場の形成に努め、セクシャルハラスメントやパワーハラスメント、その他人権を傷つけるような発言や行為を行いません。

<3、視聴者や地域社会への貢献>
一、私たちは、言論、表現の自由を守り、国民の知る権利に応えるために事実を客観的かつ公平・公正に報道します。
一、私たちは有益な情報と地域の魅力を発信し、公共の福祉と岡山・香川の発展に貢献する企業を目指します。
一、私たちは、マスコミ人としての高い倫理観を持ち、視聴者の信頼に応え、地域に密着した放送に努めます。

<4、情報の適正管理>
一、私たちは、機密情報や守秘義務のある情報(取材源を含む)を除き、国民・社会が正当に必要としている情報を適時に適切な方法で開示し、公正で透明な企業活動を行います。
一、私たちは、個人情報を適正に収集・管理します。収集した情報は、本人の同意または正当な理由なく、第三者への開示や目的外の使用をしません。

<5、信頼される企業活動>
一、私たちは、番組等の取材及び商取引における関係者と健全な関係を維持し不公正な取引や便宜供与等をしません。
一、私たちは、会社の職務や地位、財産を私的利益のために利用しません。
一、私たちは、反社会的な勢力・団体・個人に対し、常に毅然とした態度で臨み関係遮断を徹底します。

<6、不正の防止・開示>
一、私たちは自らを律し不正の防止・開示に努めます。また岡山放送の役員社員が、岡山放送コンプライアンス憲章に違反する、もしくは違反する恐れがある事がわかった場合、決して不正行為を黙認・隠ぺいせず、岡山放送公益通報者保護規程に従って行動します。

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部下を「うつ」にする10の上司

2021年09月29日 | 情報

書類を整理していたら、有益なコピーがでてきました。
ちょっと古い情報ですが、参考までに。

渋谷昌三氏 社会心理学者、エッセイスト、目白大学名誉教授。
月刊スタッフアドバイザー(休刊、税務研究会発行)誌より、

タイプA 話を聞かない上司、話の聞き方が悪い上司

①話を聞かずにすぐ励ます「しっかり」「がんばれ」
②話を聞かずにすぐ指示をする「それはこうすればよい」
③しかりつける「ばかもの」「ダメじゃないか」
④問題を軽視する「そんなことはたいしたことじゃない」「おまえだけが大変じゃない」
⑤逆に愚痴を言う「本当は俺も大変で」「そんなことより実は、、、、」
⑥責任逃れをする「俺に言っても知らないよ」「俺は関係ない」
⑦話を聞いて困ってしまう「困ったなあ」「弱ったなあ」

⇒相手を非難せず真剣に聞くことが重要。

タイプB
⑧部下のミスばかりを指摘して、誉めたりねぎらったりしない上司

⇒部下が無力感、自信喪失となる。

⇒部下の努力を聞きねぎらうことがメンタルヘルスを高める

タイプC
⑨部下を抱えすぎる上司、専門家につなげない上司

⇒面倒見が良すぎる上司は逆に問題

⇒特に「うつ」については治る病気であるので専門家につなげる

タイプD
⑩休みを取ろうとしない上司、部下の長時間労働を管理しない上司

⇒仕事もないのに上司が帰ろうとしないので、帰れない。

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「パワハラ防止対策(改正労推法) 自主点検 」

2021年09月28日 | 情報

東京労働局⇒東京社労士会経由で、「パワハラ防止対策(改正労推法) 自主点検 」の
周知のお願いがありました。以下、転載します。

https://jsite.mhlw.go.jp/tokyo-roudoukyoku/news_topics/kyoku_oshirase/_120743/jisyutennkenn.html

職場におけるパワーハラスメント対策については、改正労働施策総合推進法が令和2年6月1日から
施行され、令和4年(来年4月)4月1日から中小企業に対しても法の措置が義務付けられます
  

東京労働局では、令和2年度において「いじめ・嫌がらせ」に係る個別労働紛争相談件数が
9,072件(全体の29%)と最も多く寄せられており、嫌がらせ等を理由とする精神障害等での
労災保険の支給決定件数も高水準で推移し、職場におけるパワーハラスメント防止対策については
喫緊の課題の一つとなっています。

東京労働局では、事業主の方に、法の遵守のため、現時点における取組状況を『自主点検票』
(東京労働局作成)により点検していただくようお願いしています。

自主点検の結果、取組が未了の事項については、事業主の方が取組みやすいように
『自主点検解説動画』を作成し、有用な資料を下記に格納しましたので、是非、ご活用ください。

・職場のパワーハラスメント対策に係る自主点検票

https://jsite.mhlw.go.jp/tokyo-roudoukyoku/content/contents/000963312.pdf

・パワーハラスメントに係る自主点検・解説書

https://jsite.mhlw.go.jp/tokyo-roudoukyoku/content/contents/000956335.pdf

 

 

 

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働く人の45%「メンタル不調」

2021年09月27日 | 情報

数々の調査結果からも、新型コロナがメンタルヘルスに与える影響は決定的です。
本調査はとても素晴らしい内容と考えますので、調査結果の原典に当たっていただき、
参考となる情報を収集してください。
なお、本調査では、ストレスチェック制度への疑問も、提起されていますね。

働く人の45%「メンタル不調」 コロナでストレス増加
2021年9月22日 日経

NTTデータ経営研究所(東京・千代田)の調査によると、働く人の約半数がメンタルヘルスの不調を抱えていることがわかった。そのうち新型コロナウイルス禍以降にストレスや悩みが増加した人は6割に上った。当事者に相談への抵抗感があることや、解決方法が分からないといった課題が浮き彫りとなった。

調査は6~7月、50人以上の事業所で働く20~50代の男女を対象に実施し、1022人から有効回答を得た。世界保健機関(WHO)が作成した質問表を使用し、精神的な健康状態を測定した。その結果、精神的な健康度が低いとみなされる合計点数が13点未満の人は45.3%に上り、うつ病などの精神疾患リスクが高いことがわかった。そのうち59.8%はコロナ禍以降でストレスや悩みが増えたと回答した。
年代別にみると、20~30代の41.6%、40~50代の48.2%で精神的な健康度が低いことがわかった。役職別では一般社員の46.7%、管理職の38.8%でメンタルの不調を抱えていた。不調を抱えている人のうち、管理職はコロナ禍以降にストレスが増えたと感じる人が68.4%にのぼり、一般社員(58.7%)を上回った。
企業が社員に実施するストレスチェックへの回答で得られる効果については、「期待している」と回答した人は34.5%、「期待していない」との回答は65.5%だった。精神的な健康度が低い人に限ると、期待しているのは22%にとどまった。

ストレスチェックへの抵抗感を尋ねると、全体の34.2%で回答に抵抗を感じていた。「ストレスが多いことが明らかになった場合、職場で不利な立場になるかもしれないから」「ストレスや悩みが明らかになっても、どうすればよいか分からないから」といった理由があがった。


2021.09.15 株式会社NTTデータ経営研究所HPより

「働く人のメンタルヘルスとサービス・ギャップの実態調査」
コロナ禍で40-50代の「社会的成功者」にメンタル不調者が増加
~必要なケアが届いていないサービス・ギャップが明らかに~

https://www.nttdata-strategy.com/newsrelease/210915.html

【エグゼクティブサマリ】

働いている人の約2人に1人において精神的健康度が低く、うつ病や不安障がいなどの精神疾患を発症するリスクが高いことが判明。そのうち、コロナのまん延以降、ストレスや悩みが増加したと回答した人は6割であった。

特に新型コロナウイルス(以下、コロナ)のまん延以降にストレスや悩みが増加した人は、長く企業に勤め、テレワークを定期的に行える環境におり、同居者もいる40-50代であった。生活が安定しており社会的に成功しているように見える人々において特にストレスや悩みが増加していることが明らかとなった。

一方、このような人々の相談窓口の利用率は3割程度と低く、サービス・ギャップ(注1)が生じている。相談内容が周囲に漏れるのではないかという不安や相談窓口に携わる専門家やそこで実施される内容が分からないことによる抵抗感、そして相談窓口に対する認知率の低さなどの心理的要因が影響している。

健康経営の一環で多くの企業がメンタルケアサービスを提供しているにも関わらず、利用されない要因として損失回避や認知不協和、限定注意などの認知バイアスが関わっている可能性があるため、ナッジの活用を含め行動科学に基づく行動デザインによりサービス利用を促すアプローチが必要だと考えられる。

【調査の背景】

 現代の日本では、生涯を通じて心の病気にかかる割合が5人に1人と言われており、特に働き盛りの世代にメンタル不調が多くみられている傾向があることから、働く人のメンタルヘルス対策は重要な課題と認識されつつある。特にコロナのまん延以降「コロナうつ」と呼ばれるように、メンタル不調をきたす人が増えている。

企業ではストレスチェックテストの実施や相談窓口の設置など、メンタルヘルス対策を行っているが、実際には従業員は自身のメンタル不調やストレスを打ち明けることのデメリットを懸念し、正直に回答したり、利用したりすることに抵抗を感じている可能性が高い。

このようにケアが必要な状況にもかかわらず、サービスを適切に利用できない状況を「サービス・ギャップ」という。「サービス・ギャップ」が生じる心理的な理由として「メンタルヘルスケアサービスを利用してもメリットや効果が得られるとは思えない」という期待感のなさと「メンタルヘルスケアサービスを利用すること自体にリスクや不安、懸念を感じる」という抵抗感が大きいと考えられる。

そこで本調査では、メンタル不調者のうちコロナまん延以降にストレスや悩みが増加した人の実態を明らかにするとともに、メンタルヘルス領域におけるサービスのうち、多くの企業において実施されているストレスチェックテストと社内外の相談窓口へ着目し、サービス・ギャップの実態を明らかにする。特に心理的に影響力の大きいと考えられる「期待」と「抵抗」、また、周辺領域として関連すると考えられる、認知度と利用状況についても明らかにするため調査を実施した(図表1参照)。

【調査結果のハイライト】
働く人のメンタル不調の実態(特にコロナまん延以降のストレス増加について)

本調査では、WHO-5精神的健康状態表を用いて調査参加者の精神的健康状態(メンタル不調の程度)を測定し、合計点数が13点未満の参加者については「精神的健康度が低い」とみなした。集計の結果、463名(45.3%)において精神的健康度が低い状態にあることが分かった。

さらに「コロナまん延以降にストレスや悩みが増加しましたか」という質問を行ったところ、精神的健康度が低い人のうち、6割にあたる277名においてコロナまん延以降にストレスや悩みが増加していることが分かった。特に年齢や就労状況、同居人の有無によってストレスなどの増加有無が異なっていた(図表2参照)。

ストレスチェックテストや社内外の相談窓口におけるサービス・ギャップの実態

次に精神的健康度が低く、コロナまん延以降にストレスや悩みが増加している人々における、メンタルヘルスケアへのサービス・ギャップの実態を明らかにした。まず前提としてサービスの提供状況に関する過去の調査(注2)によると、50名以上の企業では、91.5%がストレスチェックテストを実施しており、73.3%が事業場外資源も含めて労働者に相談先を提供していることが分かった。

次に精神的健康度が低い人々のうち、コロナまん延以降にストレスが増加した群(以下、ストレス増加群)とストレスの増加はみられない群(以下、ストレス増加なし群)とで比較分析を行った。その結果、ストレス増加群はストレスチェックテストや社内外の相談窓口を認知しているものの、回答したり利用したりすることへ抵抗を感じていることが分かった。さらにストレスの増加有無にかかわらず、6-7割が社内外の相談窓口を利用したことがないことが明らかとなった(図表3参照)。抵抗を感じる理由として、社内の相談窓口に関しては「面談の内容が周囲に漏れるのが不安だから(24.4%)」「面談でどのようなことをするのか分からないから(23.1%)」という回答が多く、社外の相談窓口に関しては「そもそも社外のカウンセラー等の専門家が何かよく分からないから(24.4%)」「相談窓口でどのようなことをするのか分からないから(15.6%)」という回答が多かった。

【全体考察】
本調査の結果から、コロナ以降のメンタル不調者とサービス・ギャップの特徴について掴むことができた。

コロナまん延以降にストレスなどが増加した人々の特徴として、40-50代で雇用が安定しており、テレワークができて同居者もいるという状況は、安定した生活を送っているように考えられる。しかしながら、昨今の社会情勢の大きな変化に伴い、これまで安定した環境に長くいた分、かえって環境変化に対するストレスや悩みを感じやすくなっていることが推察できる。過去の調査では、失業者や配偶者がいない中年男性の自殺率の高さ(注34)、また、コロナのまん延以降は若者の自殺数の増加が指摘されている(注5)が、本調査を通して、過去の調査とは異なる層においてもコロナまん延以降のメンタル不調のリスクが見受けられ、ケアが必要であることが示唆される。

さらに、コロナまん延以降にストレスなどが増加したメンタル不調者におけるサービス・ギャップの実態を明らかにした調査は、本調査が初めてである。結果として、ストレス増加群の相談窓口の利用率は3割程度と低く、背景には主に三つの課題があると考えられる。一つ目は、社内の相談窓口の場合、面談した内容が周囲に漏れてしまうのではないかという不安、二つ目は、社内外関係なく相談窓口に携わる専門家や面談での実施内容が分からないという不安、三つ目は、社外の相談窓口への認知率は3-4割程度であるように認知の低さである。

サービス・ギャップを解決する一つの手がかりとして、近年、行動経済学で注目されている「ナッジ(注6)」の活用が考えられる。明らかとなった三つの課題においては、背景の一つに認知バイアスが想定される。各認知バイアスをふまえて「ナッジ」を活用すると、図表4に示されるメンタルヘルス対策が考えられる。

本調査では企業のメンタルヘルス対策として社内外の相談窓口に対象を絞ったが、実際には相談窓口だけではなく、呼吸法などのセルフストレスケアや上司や同僚といった身近な人への相談など、状況に応じたさまざまなケアがある。しかしながら、従業員が自身に合うメンタルケアを選択することは難しいことが想定される。どのような場合にどのケアを選ぶとよいのか、従業員の意思決定をサポートするガイドを作成することも有効だろう。さらに40-50代の”社会的成功”者は、これまでメンタルヘルスを相談することが当たり前ではない上に、今まで上手くやってきた自分が不調になるという状況に置かれて、認知的なギャップ(認知不協和)が発生していることが考えられる。安心して気軽に相談することができるという「心理的安全性」を担保することが重要である。

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「週休3日制」

2021年09月24日 | 情報

週休3日制は、政府が掲げた基本方針の一つです。
先行事例が大切ですから、霞が関に模範を示してもらいたいと思います。

塩野義、希望者に週休3日制 来年度から
9/21(火) 産経

塩野義製薬が来年度から希望する社員が週休3日で働ける制度を導入することが21日、分かった。新入社員や管理職などを除く約7割の社員が対象となる。大学院での勉強や資格取得などを通じた社員の能力アップを促し、自社でのイノベーション(技術革新)につなげる狙い。
希望者を募り、来年4月から制度を開始する。副業も認める。給与は週休2日に比べて8割程度になる。入社3年未満や管理職は対象外で、介護や育児での利用も認める。
塩野義は創薬事業以外へのビジネスモデル拡大を目指し、人材育成を重視している。資格取得などで年間最大25万円を補助する既存制度と組み合わせ、社員の自己投資を促す。
週休3日制は政府の経済財政運営の指針「骨太の方針」にも促進が盛り込まれている。みずほフィナンシャルグループが週休3日や4日を認める制度を導入するなど、動きが広がりつつある。

週休3日制とは? 働き方改革の推進に向けて注目される制度を解説
2021.7.2 日経ビジネス

「週休3日制」のメリット・デメリット
週休3日制とは、多くの企業などが採用している週休2日に加え、週内の休日をさらに1日追加する制度だ。日本でも大企業を中心に導入されるケースが見られるほか、与党・自民党や政府からも「選択的週休3日制」の普及に取り組む発言が出るなど話題を集めている。
自民党の提言書によれば、週休3日制のメリットは「子育てや介護と仕事の両立に加え、大学院への進学など学び直しの機会の創出につながる」ことだ。すでに週休3日制を導入している企業を積極的に周知すべきだとの提言もあり、企業にとってもイメージの向上につながる。
一方で、休日を増やすことは業務の停滞やビジネス機会の損失につながるとの指摘もある。1日当たりの労働時間が増加しかねないことも懸念材料だ。しかしこれに対しては「フレックスタイムを利用するなどして所定の労働時間に変更がないよう工夫している企業もある」との反論があり、今後も週休3日制の実現に向けた動きは続くとみられている。
この記事では週休3日制のポイントや、実際に導入している企業の事例について過去記事から紹介していく。

週休3日制、知っておきたい10のこと
2021年4月5日、加藤勝信官房長官が記者会見で「選択的週休3日制」の導入について言及した。今後の「骨太の方針」にも反映するとのことで、注目を集めている。
週休3日制のメリットとしては「子育てや介護などとの両立」が大きいが、休日を増やすことは、コロナ禍での業績悪化やクラスター防止などの目的で「従業員の労働時間や出社日数を減らしたい会社の意向」とも合致する。また「多様な人材を企業間がシェアしてビジネス力の低下を防ぐ」ことで、少子高齢化による労働力不足を補う狙いもあるという。
とはいえ「拘束時間ベースで賃金や人事評価が決まる」ような職場では、休日の増加は賃金の低下を招いてしまう。結果として会社へのエンゲージメントが低下し、生産性の低下や離職につながるとの指摘もある。年金や健康保険、介護保険、出産手当金といった社会保険の給付に与える影響に加え、導入に伴う企業側の負担も懸念材料だ。

週休3日、テレワーク…企業が働き方改革を加速
それでも大企業を中心に、週休3日制を取り入れる企業は増えつつある。
たとえば大手食品メーカーのカルビーの場合、既に2017年からテレワークの上限日数を撤廃しており、実質的な週休3日が可能だ。ヤフーも同じ年に、希望者向けの週休3日制を導入している。
欧州では、週に4日働く(週休3日)「80%」、2日働く「40%」という働き方があるという。日本でも同様の働き方に関心が集まっている。

何でも自分でやってこそ
1980年代の終わりから週休3日制を導入しているのは、スポーツ用品チェーンを展開するアルペンだ。社長の水野泰三氏(2013年当時)は、「週休3日のうち1日をスポーツに充てることで、専門的な接客ができるようになる」と語る。

ユニクロ、週休3日制に透ける苦境
2015年から週休3日制(週4日勤務の正社員制度)を導入しているユニクロ。ただし小売店が中心の同社では、休日の対象となるのは平日だ。逆に土日は出勤日とし、1日当たりの労働時間を8時間から10時間に延ばすことで労働時間を確保する。
当面の対象となるのは約1万人の地域正社員で、その中から希望者を募るという。業界全体で人手不足が深刻化する中、柔軟な勤務条件を提示することで優秀な人材を確保する狙いだ。

自動車の巨星墜つ、ピエヒ元VW社長「2つの顔」の功績
海外の大手企業も週休3日制を採用している。独フォルクスワーゲンでは、社長や監査役会会長を歴任したフェルディナント・ピエヒ氏の下で週休3日制のワークシェアリングを導入。同氏の経営手法には「独裁的」との批判もあるが、「従業員を簡単にリストラしない新しい経営手法を自動車産業に持ち込んだ」と評価する声も高い。

最後に
働き方改革の一環として、政府も注目する週休3日制。欧州ではポピュラーな制度だが、日本の大企業にも、積極的に制度を導入するケースが見られる。 新型コロナの影響もあり、週休3日制を希望する声は大きい。ビジネス機会の損失や収入の減少といったデメリットも指摘されるものの、今後の動きに注目が集まっている。

経済財政運営と改革の基本方針2021 について
令和3年6月 18 日  閣 議 決 定

2021_basicpolicies_ja.pdf (cao.go.jp)

骨太の方針概要

https://www5.cao.go.jp/keizai-shimon/kaigi/cabinet/2021/summary_ja.pdf

5.4つの原動力を支える基盤づくり
(5)多様な働き方の実現に向けた働き方改革の実践、リカレント教育の充実 (フェーズⅡの働き方改革、企業組織の変革)
選択的週休3日制度について、育児・介護・ボランティアでの活用、地方兼業での活用などが考えられることから、好事例の収集・提供等により企業における導入を促し、普及を図る。23頁

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