中小企業の「うつ病」対策ー人、資金、時間、情報に余裕がない

企業の労働安全衛生、特にメンタルヘルス問題に取り組んでいます。
拙著「中小企業のうつ病対策」をお読みください。

「いじめ」が6年連続トップ

2018年06月29日 | 情報

職場トラブル、「いじめ」が6年連続トップ 労働相談
6/27(水) 朝日新聞

全国の労働局などに2017年度に寄せられた、職場でのトラブルなど民事上の労働相談の内容は、
パワーハラスメントを含む「いじめ・嫌がらせ」が7万2067件で全体の23・6%を占め、
6年連続でトップだった。前年度より1・6%多く、増加は15年連続。
厚生労働省が27日発表した。パワハラの相談は、上司から暴言を受けたり無視されたりして精神的に傷ついたなどで、
派遣先でのパワハラの相談もあったという。厚労省は相談が増えている理由について「社会的関心が高まったためでは」としている。

パワハラ相談、過去最多=17年度7.2万件―厚労省
6/27(水) 時事通信

厚生労働省は27日、2017年度の労働紛争に関する調査結果を発表した。
民事上の労働相談件数は前年度比1.0%減の25万3005件と減少したものの
パワハラなど「いじめ・嫌がらせ」に関する相談は1.6%増の7万2067件と、過去最多を更新した。
相談の内容別では、いじめ・嫌がらせが6年連続でトップ。
「自己都合退職」「解雇」が続いた。厚労省は「パワハラに対する社会的関心が高まる中で、
労働者は事業主に対応を求めている」(労働紛争処理業務室)と話している。
また「雇い止め」も15.8%増の1万4442件と最多。有期契約労働者が無期契約に転換できる制度に関し、
18年度からの本格適用を前に、企業が事前に契約更新を打ち切る例が増えたことが影響したもようだ。

厚労省HP 報道関係者各位 平成30年6月27日
【照会先】雇用環境・均等局総務課 労働紛争処理業務室
「平成29年度個別労働紛争解決制度の施行状況」を公表します

 ~総合労働相談は10年連続100万件超、内容は「いじめ・嫌がらせ」が6年連続トップ~
厚生労働省は、このたび、「平成29年度個別労働紛争解決制度の施行状況」をまとめましたので、公表します。
「個別労働紛争解決制度」は、個々の労働者と事業主との間の労働条件や職場環境などをめぐるトラブルを未然に防止し、
早期に解決を図るための制度で、「総合労働相談※1」、労働局長による「助言・指導※2」、
紛争調整委員会による「あっせん※3」の3つの方法があります。
厚生労働省では、今回の施行状況を受けて、総合労働相談コーナーに寄せられる労働相談への適切な対応に努めるとともに、
助言・指導及びあっせんの運用を的確に行うなど、引き続き、個別労働紛争の未然防止と迅速な解決に向けて取り組んでいきます。

【ポイント】
1 総合労働相談、あっせん申請の件数はいずれも前年度と比べ減少、助言・指導の申出件数は増加。
総合労働相談件数は110万4,758件で、10年連続で100万件を超え、高止まり[P.3 1-(1)]
・総合労働相談件数                 110万4,758件(前年度比2.3% 減)
→うち民事上の個別労働紛争相談件数   25万3,005件(    同  1.0% 減)
・助言・指導申出件数                  9,185件(    同  2.3% 増)  
・あっせん申請件数                   5,021件(   同  2.0% 減)
2 民事上の個別労働紛争の相談件数、助言・指導の申出件数、あっせんの申請件数の全てで、「いじめ・嫌がらせ」が引き続きトップ
・民事上の個別労働紛争の相談件数では、72,067件(同1.6%増)で6年連続トップ。[P.4 1-(3)]
・助言・指導の申出では、2,249件(同1.9%増)で5年連続トップ。[P.7 2-(3)]
・あっせんの申請では、1,529件(同6.9%減)で4年連続トップ。[P.10 3-(3)]

※1 「総合労働相談」:都道府県労働局、各労働基準監督署内、駅近隣の建物など380か所(平成30年4月1日現在)に、あらゆる労働問題に関する相談にワンストップで対応するための総合労働相談コーナーを設置し、専門の相談員が対応。なお、平成28年度から、都道府県労働局の組織見直しにより「雇用環境・均等(部)室」が設置され、これまで「雇用均等室」で対応していた男女雇用機会均等法等に関しても一体的に労働相談として対応することになったため、それらの相談件数も計上されている。
※2 「助言・指導」:民事上の個別労働紛争について、都道府県労働局長が、紛争当事者に対して解決の方向を示すことにより、紛争当事者の自主的な解決を促進する制度。助言は、当事者の話し合いを促進するよう口頭又は文書で行うものであり、指導は、当事者のいずれかに問題がある場合に問題点を指摘し、解決の方向性を文書で示すもの。
※3 「あっせん」:都道府県労働局に設置されている紛争調整委員会のあっせん委員(弁護士や大学教授など労働問題の専門家)が紛争当事者の間に入って話し合いを促進することにより、紛争の解決を図る制度。
※4 「民事上の個別労働紛争」:労働条件その他労働関係に関する事項についての個々の労働者と事業主との間の紛争(労働基準法等の違反に係るものを除く)。

 http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000213219.html

コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

最近の小職セミナー資料より②

2018年06月27日 | 情報

ストレスを抱えてはいけない。

厚労省の労働者健康状況調査(労働者調査・平成24年)によると、
労働者の73.8%はストレスを実際に相談した人がいると回答しています。
その相談相手の内訳(複数回答)は、圧倒的に、家族友人(82.1%)と上司同僚(66.9%)でした。
その他では、産業医(3.2%)、医師(3.9%)、保健師看護師(3.0%)、衛生管理者等(1.2%)、カウンセラー(2.4%)となっています。

そして、実際相談した後のストレス解消状況別労働者割合の推移をみると、
直近の平成27年では、「解消された」が31.1%、解消されなかったが、「気が楽になった」が59.2%で、
一方、「解消されず、気も楽にならなかった」は、5.4%(その他不明が4.2%)に止まり、
他者に相談することが、ストレスの解消に役立っていることが分ります。

さらに、ストレスになっていることを紙に書き出す方法も、有効であるようです。

上述したようにストレスを誰かに聞いてもらえる環境であれば問題はありませんが、
例えば1日の終わり、就寝する前にその日のストレスとなったことを書き出すと、ストレスの解消に役立つそうです。
いろいろな思いを紙に書きだすことを「ジャーナリング」というそうですが、
テキサス大学のペンベイカー教授の研究により、「ジャーナリング」は、ストレス解消に効果があるとされています。

つまり、何らかの手段で、ストレスを吐き出すことが大切ということのようです。
本音や愚痴をいえる相手がいない場合は紙に書き出すのもおすすめです。
この考えていることを紙に書き出す行為をジャーナリングといいますが、
心理を中心とした研究機関からもストレスの解消に効果があるとされています。

 

 

コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

25.26日は、休載です  

2018年06月22日 | 情報

出張のため、25.26日は、休載です。
再開は、27日(水)です、よろしくお願いします。  

コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

最近の小職セミナー資料より①

2018年06月22日 | 情報

小職が依頼を受けて講演した、最近のセミナー資料の一部を公開します。

行政の対応

これまでに、行政が推進してきた主なメンタルヘルス対策を以下に紹介します。なお、すべてを厚労省HPで検索できます。

基本法令は、労働安全衛生法、労働基準法、並びに労働契約法(2007)です。
スタートは、昭63年(1988)の安衛法改正にともなう「事業場における労働者の健康保持増進のための指針」(THP)の公表です。
平11年(1999)心理的負担による精神障害等に係る業務上外判断指針
平16年(2004)事業場における労働者の心の健康づくりのための指針
平16年(2004)「心の健康問題により休業した労働者の職場復帰支援の手引き」
 当手引きのきっかけは、電通事件(最ニ小平12.3.24)による「安全配慮義務」及び「過労自殺」が問題化されたことです。
平18年(2006)には、医師による面接指導が新設(過重労働、うつ病)されました。
 また、労働者の心の健康の保持増進のための指針が発出されました。
平20年(2008)には、労働契約法が 施行されました。
平20年(2008)には、各都道府県にメンタルヘルス対策支援センターを設置
平23年(2011)には、心理的負荷による精神障害の認定基準が公表されました。
平27年(2015)には、ストレスチェック制度が施行(法案提出は、平23年)されました。
平28年(2016)「事業場における治療と職業生活の両立支援のためのガイドライン」が発出されました。  
平29年(2017)働き方改革実行計画(H29.3.28)が公表されました。
平30年(2018)には、第13次(平30年より5ヵ年)の労働災害防止計画が公表されました。

小職の感想です。
行政もそれなりの努力で対応されてきたのでしょうから、一定の評価をいたしたいところです。
しかし、何か引っかかるものがあることを禁じ得ません。
なぜ、このように長期間をかけても、いっこうに改善の兆しが見えないのか。
このように課題に対してそれなりの答えが見いだせない場合、民間企業であれば、倒産の危機に瀕しているかもしれません。
それとも解決したくないという、見えないチカラが働いているのでしょうか?穿った見方ですが。

コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

国際疾病分類ICD11

2018年06月21日 | 情報

以下、WHOのHPより転載です。

WHOから新しい国際疾病分類ICD11が発表されました。

 疾病や死因の国際統一基準分類として世界の保健医療の共通語ともいえる重要な機能を持つ国際疾病分類ICDについて、
このたび10年来の検討作業を経た新バージョンが発表されました。
正式には来年2019年5月WHO総会で採択のうえ、2022年1月から発効し、疾病負担統計などに適用されるもので、
周知、訓練等のために公表されたものです。
既に報道等でも伝えられ話題になっているとおり今回改定では、伝統医療の章が設けられたり、
中毒性疾患の中にゲーム障害が加えられたりしています。

http://www.who.int/health-topics/international-classification-of-diseases

以下は、当ブログでも何回か紹介してきた情報も含みます。

精神科専門医が使用する診断基準DSMⅤ(アメリカ精神医学会編)に対して、行政や司法が使用する診断基準がICD10ですが、
今回28年ぶりに改訂され、ICD11が公表されました。
ただし、精神疾患については従来の診断基準からの変更はないようです。
なお、複数の精神科専門医に聞いてみましたが、使い勝手の問題で、両者にはほとんど差はないということです。
因みに、うつ病については以下のように分類されています。

ICD10コード:F32  うつ病エピソード
   病名                ICD10コード   病名交換用コード 
1 軽症うつ病エピソード            F320     LVML
2 中等症うつ病エピソード           F321     LKLP
3 精神病症状を伴わない重症うつ病エピソード  F322     TME9
4 精神病症状を伴う重症うつ病エピソード    F323     J7BF
5 仮面うつ病                 F328     TSGD
6 思春期うつ病                F328     PA1F
7 心気性うつ病                F328     LPBL
8 退行期うつ病                F328     VSGA
9 非定型うつ病                F328     FMJH
10 うつ状態                  F329     VUL3
11 うつ病                   F329     M84N
12 単発反応性うつ病              F329     ABEA
13 反応性うつ病              F329     F04H

コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする