中小企業の「うつ病」対策ー人、資金、時間に余裕がない

企業の労働安全衛生、特にメンタルヘルス問題に取り組んでいます。
拙著「中小企業のうつ病対策」をお読みください。

一人では、危ない(昨日の続き)

2013年11月29日 | 情報
昨日は、「あいさつの励行です、特に朝のあいさつ・おはよう、おはようございますの励行が大切です」と強調しました。

なぜか? その具体例を紹介します。
'13.10.20の当ブログ'では、NHKが放送した「病の起源 第3集 うつ病~防衛本能がもたらす宿命~」を紹介しました。
その中で、確か感染症をり患したゴリラを、別の檻に隔離したら、うつ症状を呈するようになったというような事実を紹介して
いたと思います。別の番組かもしれませんが。
ようするに、孤独は精神衛生に極めて悪い影響を与えるということなのでしょう。

また、'13.5.13の当ブログでは、「コミュニケーションが大切、いや必須です」において、1日中、まったく会話が無くても
生活ができる可能性があることを紹介しています。以下、再掲です。

例えばの話です。
大都市のIT関係企業に勤める、プログラマーのAさん。20歳代後半で独身、独り暮らしです。
まあ、典型的な今日的若者です。彼のある1日を追います。

朝7:30、目覚まし時計に起こされます。着替えをして最寄駅に向かいます。途中のコンビニでパンとカフェオレを買い、
イートインコーナーで朝食です。パンをかじりながら、スマホでメールとニュースのチェックです。
9:00出社、パソコンを立ち上げ、出社の確認、ついでに、上司にメールで朝のあいさつです。

午前中は、仕事関係のメールチェックと返信、進行中のプログラムの仕上げ作業です。
当然にフレックスですから、昼休みは、会社の1階にあるコンビニで、弁当とお茶を買い、ビルのテラスで一人昼食です。
午後も、午前の作業を引き続きします。途中、トイレで一息、メールのチェックです。
作業の進行が、やや遅れ気味なので、19:00まで残業して退社です。

帰りは、コンビニで、雑誌とおにぎりを買います。ついでに本の立ち読みを30分くらい。
精算もナナコのようなカードですから会話はありません。「ありがとうございました」と言われても、うなずきだけですので。
家に帰って、シャワーを浴び、冷蔵庫の冷凍食品を解凍して、独りで夕食です。スマホでゲームをしながら、メールを3本入力。
眠くなったので、深夜1:30、就寝です。

どうです、お気づきになりましたか。会話がまったく、ありませんね。
コンビニと、スマホと、PCですから会話の必要がないのですね。
以前にも紹介しましたが、「職場のパワーハラスメントに関する実態調査報告書」(厚労省)
http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r9852000002qx6t.htmlによると、
パワーハラスメントが発生する職場の特長として、
「上司部下のコミュニケーションが少ない」が51.1%で、2位の「様々な立場の従業員がいる」21.9%を圧倒的に
引き離して、ダントツの1位となっています。
身近にデータが見つかりませんでしたが、MH問題でもまったく同様と考えています。

認知行動療法の第一人者である、大野裕(国立精神・神経医療研究センター所長)先生も、
「新入社員は、まず挨拶と笑顔から」と強調されてます(日経夕刊、4月12日)。
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本当は、顕在化してからでは遅い

2013年11月28日 | 情報
当ブログでは、復職支援の話題が多いので、「予防対策はいらないのか」という疑問を持たれるのは当然でしょう。
事実、復職支援の話題が多く、予防対策は、あまり具体的に取り上げていません。

それでは、なぜ予防対策をあまり取り上げてこなかったのか?
それは、本業に忙しい、中小企業においては、「分っていても、予防対策までは、手が回らない」のが、
本音であり実情だからなのですね。
中小の事業所においては、精神疾患をり患した従業員が出て、初めて問題の重要性、困難性に直面することになります。
ですから、当ブログでは、精神疾患をり患した従業員が出たらどう対処すればよいのかに、重点をおいてきました。

しかし、予防対策は重要です。
本来であれば、精神疾患をり患した従業員が出ないようにするのが基本だからです。

それでは、原則を再確認しましょう。
精神疾患の予防・治療も、予防医学の原則に従って進めることになります。
即ち、「一次予防」 疾病の予防であり、健康への啓発、健康増進、特殊予防(教育、予防接種など)、
「二次予防」 重症化の防止であり、疾病の早期発見と早期措置、適切な医療と合併症対策(健康診断など)、
「三次予防」 疾病の再発防止であり、リハビリテーションなど、
を言います。

この「一次予防」が、予防対策になります。
「一次予防」を、基本からしっかりとやりたい場合は、拙著「中小企業の『うつ病』対策」を参照してください。
しかしながら、「これひとつ」、というご要望に応える対策をご披露しましょう。
それは、「あいさつ」の励行です、特に朝のあいさつ「おはよう、おはようございます」の励行が大切です。

特に、若い独身社員は、その日の第一声が、「おはようございます」である可能性が高いのです。
「おはよう」というあいさつに、「おはようございます」と瞬時に返ってくれば、
この社員は、今日も一日、元気に働いてくれるのだと判断して差し支えないでしょう。
しかし、「おはようございます」と瞬時に返ってこない場合があります。
そうしたら、もう一度「おはよう」というあいさつしましょう。
それでも、「おはようございます」と瞬時に返ってこなければ、要注意です。
即座に、別室に呼びこんで面接する、ということは行き過ぎです。
数日間は、集中して観察しましょう。
何気ない会話、昼食を一緒に食べる、等で当人のこころの動きを観察することができます。

メンタルヘルス疾患も、早期発見早期治療が大切です。
大切な従業員を、メンタルヘルス疾患り患という危機から、救い出すことができます。


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小売価格1,260円
著者:橋本社会保険労務士事務所代表 橋本幸雄
監修:精神科専門医・産業医 恵比寿メディカルクリニック院長 高岡 拓先生
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メンタルヘルス疾患のみでは、ない

2013年11月27日 | 情報
職場復帰支援制度は、メンタルヘルス疾患をり患した従業員のためにだけあるのでは、ありません。
職場復帰支援制度は、労災・私傷病を問わず、また、どのような疾患であっても適用できる制度なのです。
いや、どのような疾患であっても適用できる制度でなければなりません。

労働判例では、有名な裁判である「片山組事件」の原告である労働者は、実は精神疾患をり患したわけではありません。
全く異なる病気を克服して、復職した労働者なのです。

今後3年程度でみた、疾病対策の経営・労務管理上の重要課題(n=5904)
(「メンタルヘルス、私傷病などの治療と職業生活の両立支援に関する調査」調査結果より)

         最重要課題  どちらかといえば重要課題
メンタルヘルス  21.9%   50.3%
生活習慣病     8.9%   46.9%
がん        5.4%   39.3%
心疾患       5.7%   37.7%  
脳血管疾患     5.7%   37.2%
その他の身体疾患  2.8%   32.3%
B型・C型肝炎   2.9%   30.4%
難病        3.3%   27.4%

確かに、多くの疾病の中でも、メンタルヘルス問題は最重要課題ですが、
かと言って、その他の疾患を無視することもできません。
その他の疾患者のための、職場復帰支援制度も必要になるのです。

しかし、メンタルヘルス疾患をり患した従業員のための、職場復帰支援制度の設計が最も難しいテーマなのは事実です。
ですから、論点をまとめると、メンタルヘルス疾患をり患した従業員のための、職場復帰支援制度を構築しておけば、
他の疾患から職場復帰する従業員のための制度にも適用できるのです。
他の疾患から職場復帰する従業員のためにも適用できるように規程されていなければなりません。

休職制度は、9割以上の企業において規程されていますが、
休職制度は、最低限の労働条件を定めている、労働基準法に規程されているわけではありません。

労働基準法
(労働条件の原則)
第一条  労働条件は、労働者が人たるに値する生活を営むための必要を充たすべきものでなければならない。
○2  この法律で定める労働条件の基準は最低のものであるから、労働関係の当事者は、
この基準を理由として労働条件を低下させてはならないことはもとより、その向上を図るように努めなければならない。

この休職制度を、さらに有効に活用する意味からも、「職場復帰支援制度」は重要な就業規則なのです。
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就労条件総合調査

2013年11月26日 | 情報
厚労省の調査結果報告が続きます。

有休取得率、47.1%に低下=政府目標、程遠く―厚労省
時事通信 11月21日(木)

厚生労働省が21日発表した就労条件総合調査によると、
2012年の正社員の年次有給休暇の取得率は前年比2.2ポイント低下の47.1%となった。低下は3年ぶり。
政府は「ワークライフバランス」(仕事と生活の調和)の推進を掲げ、
20年までに有休取得率を70%に引き上げることを目指しているものの、目標に程遠い状況だ。
取得率は、労働者が有休をどれだけ取得したかを示す。与えられた日数は平均18.3日、労働者が取得したのは平均8.6日だった。 

平成23年就労条件総合調査結果の概況(厚生労働省11月21日発表)
結果の概要
1労働時間制度
(1) 所定労働時間
1日の所定労働時間は、1企業平均7時間43分(前年7時間43分)、労働者1人平均7時間44分 (同7時間44分)となっている。
週所定労働時間は、1企業平均39時間23分(同39時間22分)、労働者1人平均39時間01分(同39時間01分)となっている。
1企業平均を企業規模別にみると、1,000人以上が38時間58分(同38時間55分)、300~999人が38時間58分(同38時間58分)、
100~299人が39時間10分(同39時間11分)、30~99人が39時間30分(同39時間27分)となっている。
産業別にみると、金融業,保険業 が38時間03分(同37時間59分)で最も短く、宿泊業,飲食サービス業が39時間48分(同39時間46分)で
最も長くなっている。(第1表)

(2) 週休制
主な週休制の形態をみると、「何らかの週休2日制」を採用している企業は85.5%(前年87.0%)となっている。
「完全週休2日制」を採用している企業は、42.8%(同37.7%)となっている。これを企業規模別にみると、
1,000人以上が63.3%(同68.3%)、300~999人が55.8%(同54.7%)、100~299人が47.3%(同44.6%)、
30~99人が39.9%(同33.5%)となっている。産業別にみると、金融業,保険業が83.6%(同94.2%)で最も高く、
次いで情報通信業が79.5%(同87.8%)となっている。(第2表)
週休制の形態別適用労働者をみると「何らかの週休2日制」が適用されている労働者は88.1%(前年90.2%)、
「完全週休2日制」が適用されている労働者は54.5%(同54.9%)となっている(第3表)。

(3) 年間休日総数
年間休日総数の1企業平均は106.1日(前年106.4日)、労働者1人平均は113.0日(同113.4日)となっている。
1企業平均年間休日総数を企業規模別にみると、1,000人以上が115.8日(同116.4日)、300~999人が112.5日(同113.4日)、
100~299 人が109.3日(同109.9日)、30~99人が104.4日(同104.5日)となっている。産業別にみると、
情報通信業が120.5日(同123.5日)で最も多く、 宿泊業,飲食サービス業が94.3日(同91.0日)と最も少なくなっている。(第4表)

(4)  年次有給休暇
ア年次有給休暇の取得状況
平成22年(又は平成21会計年度)1年間に企業が付与した年次有給休暇日数(繰越日数は除く。)は、
労働者1人平均17.9日(前年17.9日)、そのうち労働者が取得した日数は8.6日(同8.5日)で、
取得率は48.1%(同47.1%)となっている。
取得率を企業規模別にみると、1,000人以上が55.3%(同53.5%)、300~999人が46.0%(同44.9%)、
100~299 人が44.7%(同45.0%)、30~99人が41.8%(同41.0%)となっている。 (第5表)

イ年次有給休暇の時間単位取得制度【新規調査項目】
年次有給休暇を時間単位で取得できる制度がある企業は7.3%となっている(第6表)。

(5) 変形労働時間制
変形労働時間制を採用している企業は53.9%(前年55.5%)となっている。
企業規模別にみると、1,000人以上が74.4%(同76.6%)、300~999人が67.8%(同66.3%)、
100~299 人が56.9%(同59.3%)、30~99人が51.4%(同53.0%)となっている。産業別にみると、
鉱業,採石業,砂利採取業が86.9%(同84.9%)で最も高く、金融業,保険業が18.0%(同20.1%)で最も低くなっている。
変形労働時間制の種類別(複数回答)にみると「1年単位の変形労働時間制」が36.9%(同37.0%)、
「1か月単位の変形労働時間制」が14.1%(同15.3%)、「フレックスタイム制」が5.9%(同5.9%)となっている。(第7表)
変形労働時間制の適用労働者は48.9%(前年49.8%)で、種類別にみると、「1年単位の変形労働時間制」は24.6%(同24.6%)、
「1か月単位の変形労働時間制」は15.9%(同17.0%)、「フレックスタイム制」は8.4%(同8.1%)となっている(第8表)。

(6) みなし労働時間制
 みなし労働時間制を採用している企業は11.2%(前年11.2%)で、種類別(複数回答)にみると、
「事業場外労働のみなし労働時間制」が9.3%(同9.1%)、「専門業務型裁量労働制」が2.2%(同2.5%)、
「企画業務型裁量労働制」が0.7%(同0.8%)となっている(第9表)。
みなし労働時間制の適用労働者をみると7.3%(前年6.9%)で、
種類別にみると「事業場外労働のみなし労働時間制」が5.6%(同5.3%)、「専門業務型裁量労働制」が1.2%(同1.3%)、
「企画業務型裁量労働制」が0.4%(同0.3%)となっている(第10表)。

2定年制等 (略)
3賃金制度 (略)
4労働費用 (略)
5派遣労働者関係費用等 (略)
http://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/jikan/syurou/11/index.html
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障害者雇用率(実務編)

2013年11月25日 | 情報
○障害者雇用促進法の基本理念

第3条 障害者である労働者は経済社会を構成する労働者の一員として、
    職業生活においてその能力を発揮する機会を与えられるものとする。
第4条 障害者である労働者は、職業に従事する者としての自覚を持ち、
    自ら進んで、その能力の開発及び向上を図り、有為な職業人として自立するよう努めなければならない。

○国の障害者雇用対策
1.事業主に対する指導・援助
 ①障害者雇用率制度
 ②障害者雇用納付金制度等による事業主支援
 ③障害者の在宅就業支援
 ④障害者雇用に関するノウハウの提供
2.障害者の特性を踏まえたきめ細かな職業リハビリテーションの実施
 ①ハローワークにおける職業相談・紹介・職場定着指導
 ②障害者職業センターにおける専門的な職業リハビリテーションの実施
 ③雇用・福祉・教育の連携による支援の充実強化
 ④多様かつ効果的な職業能力の開発
3.障害者雇用に関する啓発
 ①試行(トライアル)雇用
 ②障害者雇用促進運動の実施
 ③障害者団体と連携した広報啓発活動

○障害者雇用率制度―註:現在は、精神障害者は対象外

第43条 雇用する身体障害者又は知的労働者である労働者の数が障害者雇用率以上であるようにしなければならない。

平成25年4月1日から、障害者の法定雇用率が引上げになりました。 一般の民間企業 1.8%→2.0%
註:即ち、50人規模以上の企業は、1人以上の障害者を雇用しなければならない。

○一般企業における障害者雇用率設定基準

障害者雇用率=常用雇用身体障害者数+失業身体障害者数+常用雇用知的障害者数+失業知的障害者数
    常用雇用労働者数-除外率相当労働者数+失業者数
註:短時間労働者は、1人を0.5人としてカウント
註:重度身体障害者、重度知的障害者は1人を2人としてカウント、短時間(20時間以上30時間未満)の
  重度身体障害者、重度知的障害者は1人としてカウント
註:精神障害者については、雇用義務の対象ではないが、各企業の実雇用率の算定時に障害者数に参入することができる。
  ただし、精神障害者保健福祉手帳を所持していることが必要。
  また、平成30年4月より、精神障害者も雇用が義務化される。

○雇用率未達成企業に対する行政措置

第46条 法定雇用率を下回っている事業主に対して、公共職業安定所長は障害者の
  「雇入れに関する計画」の作成を命じることができる。

雇用率未達成企業→「雇入れ計画」作成命令→計画の実施状況が悪いと、①計画の適正実施勧告②労働局、厚労省による特別指導
→勧告や指導に従わないと、企業名を公表

○特例子会社制度

障害者雇用率制度では、障害者の雇用機会を確保することを、個々の事業主(企業)ごとに義務付けられている。
一方、障害者の雇用の促進と安定を図るため、事業主が障害者の雇用に特別の配慮をした子会社を設立し、
一定の要件を満たす場合には、特例としてその子会社に雇用されている労働者を親会社に雇用されているものとみなして、
実雇用率を算定できることとしている。
また、特例子会社を持つ親会社については、関係する子会社も含め、企業グループによる実雇用率算定を可能としている。

平成25年5月末現在の実績 特例子会社制度 378社  グループ適用 174グループ

特例子会社のない企業グループの算定特例が、平成21年4月に施行されています。
また、同時に「事業協同組合等算定特例」も施行されています。

○障害者雇用納付金制度

障害者雇用は、企業が共同して果たしていくべき責務があるとの社会連帯責任の円滑な実現を図る観点から、
企業の共同拠出により設けられた制度です。なお、納付金を払っても障害者の雇用義務は免除されません。

法定雇用障害者数を下回っている事業主は、一人当たり月5万円を、(独)高齢・障害・求職者雇用支援機構に納付します。
一方で、法定雇用障害者数を上回っている事業主には、(独)高齢・障害・求職者雇用支援機構より、
常用労働者200人超では、一人当たり月27000円の障害者雇用調整金、常用労働者200人以下では、一人当たり月21000円の
報奨金が支給されます。その他に施設設備の改善等に対し、各種助成金が支給されます。

障害者雇用納付金制度の対象事業主は、現在、常用労働者200人超ですが、平成27年4月より、100人超に拡大されます。

○障害者の雇用の促進等に関する法律の一部を改正する法律案は、平成25年6月19日に交付されましたが、
 施行は、平成28年4月1日、乃至は平成30年4月1日ですので、今回は省略します。

























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