中小企業の「うつ病」対策ー人、資金、時間、情報に余裕がない

企業の労働安全衛生、特にメンタルヘルス問題に取り組んでいます。
拙著「中小企業のうつ病対策」をお読みください。

執拗な叱責

2019年01月31日 | 情報

一連で、長時間労働+ハラスメント→精神疾患発症+(場合によっては、自死)について、
新聞報道から紹介しています。
長時間労働に耐えている労働者はたくさんいるはずですが、そこにハラスメントが加わると、
どうしても不幸な状況を招きます。
対岸の火事ではありません。御社の現状を再点検してください。

「育ちが悪い」「おまえクビ」執拗な叱責 パワハラで賠償命令 長崎地裁
2018/12/8 長崎新聞

上司からの執拗(しつよう)な叱責(しっせき)などのパワハラや
長時間に及ぶ時間外労働が原因で適応障害になったとして、諫早市の40代男性が、
勤務していた広告制作会社「プラネットシーアール」(長崎市)などに損害賠償や未払いの残業代など計約2500万円を
求めた訴訟で、長崎地裁(土屋毅裁判官)は7日、同社の責任を全面的に認めて
休職前の損害賠償約250万円を含む計約2千万円の支払いを命じた。
訴状などによると、男性は2012年春から同社に勤務し広告デザインなどを担当。
14年7月に適応障害と診断されて休職し1年後に解雇されたという。
男性側は13年春に異動してきた上司による継続的ないじめや嫌がらせなどパワハラが原因で発病したと主張。
わずかな過失でも故意と決めつけ「非常に悪質な人間」「育ちが悪い」と非難したり、
「うそつきには任せられない」「おまえクビ」などと精神的苦痛を感じさせたりする叱責があったと訴えていた。
判決で土屋裁判官は、度重なる長時間の叱責について「業務指導の範囲を逸脱するいじめ行為と評価せざるを得ない」と指摘。
過重な仕事量に加え、長時間の叱責責で時間外労働を余儀なくされた上、精神的な負荷を受け続けた結果、
男性は「適応障害を発病して休職を余儀なくされたと推認される」などとして、上司と会社の責任を認定した。
長崎労働基準監督署は16年1月、上司による発言が適応障害の原因と労災認定
月100時間程度の恒常的な時間外労働があったと判断している。
男性は判決後、長崎市内で会見。「(管理職らが)パワハラと言われないようにしようではなく、
しないようにしよう」という認識へ考え方を改める必要性を強調した。

 

 

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暴言や無視、部下3人休職

2019年01月30日 | 情報

パワハラで部下が3人も休職したのに、新聞報道によると、
当事者は「(暴言や侮辱など)そういう認識での発言ではない」と弁明しています。
ヒトは、なぜハラスメントをするのか?このl根源的な問いに対して、識者の回答が聞きたいものです。

嵐山町課長、パワハラで停職
2019年01月22日 読売

暴言や無視、部下3人休職
部下3人に暴言を浴びせたり、あいさつや業務の報告を無視したりするパワーハラスメントを繰り返したとして、
嵐山町は21日、50歳代の男性課長を停職3か月の懲戒処分にした。
部下3人はいずれも医師に3か月の自宅療養を要すると診断され、病気休暇となっている。
発表によると、課長は昨年6月頃から12月下旬にかけ、課内の20~40歳代の男性職員3人に対し、
「バカですか」などと暴言を浴びせ、にらみ付ける、あいさつや業務上の報告を無視する、などの行為を繰り返した。
報告を受けたことについて、後日、「聞いてない」と怒ることもあったという。
職員3人は人事担当などに相談。安藤実・副町長が数回、課長に注意したが、状況は改善されなかったという。
課には、課長と部下の3人と臨時職員1人しかおらず、3人の病気休暇で実質、課長1人で業務に対応していた。
課長の停職に伴って、正規職員は不在となり、他の課の職員がカバーする事態になった。
内部調査に対し、課長は「(暴言や侮辱など)そういう認識での発言ではない」と弁明したという。
指揮監督が不十分だったとして、安藤副町長は給与の10%を1か月、自主返納する。
岩沢勝町長は「誠に遺憾。早急に再発防止策に取り組みたい」とコメントしている。

パワハラで課長を停職3カ月 被害の部下3カ月休職 埼玉・嵐山町
毎日新聞2019年1月21日

埼玉県嵐山町は21日、部下3人に暴言を吐くなどのパワハラ行為をしたとして、
50代の男性課長を停職3カ月の懲戒処分にした。部下はいずれもストレスで3カ月の休職に追い込まれた。
町によると、課長は昨年6~12月、同じ課の20~40代の男性職員3人に、
他の自治体の職員の前で「こいつは仕事ができない」などと侮辱する言葉を浴びせたり、
威圧的な態度を示したりするなどのパワハラ行為を繰り返した。
町は、被害を受けた職員からの申告で6月に事態を把握し、課長を指導したが改善されなかった。
課長は「パワハラをしているつもりはなかった」と話しているという。
部下3人はいずれもストレスで体調を崩し、医師の指示により昨年12月以降、相次いで3カ月の休職となった。
この課は課長と部下3人の職場で、昨年12月下旬には出勤している職員は課長だけになった。
今回、課長も停職処分になり職員不在となったため、今月21日からは他部署の職員らが応援で業務にあたっている。
同町の岩沢勝町長は「誠に遺憾。再発防止に取り組む」などとするコメントを出した。

 

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残業代未払いとパワハラ

2019年01月29日 | 情報

「上司の机の前で数十分間、叱責されたこともあった」。
つまり、数多くの同僚が見ている前での行為なのです。
小職は、叱る場合には、叱った後のことを考えてから叱れと、教えられてきました。
みなさまは、如何でしょうか?

スバル、残業代未払い7.7億円 過労自殺から判明
2019年1月24日 朝日

自動車大手スバルが2015年から17年にかけて、社員3421人に計7億7千万円の残業代を払っていなかったことが、
24日わかった。16年に男性社員が過労自殺し、その後の社内調査で昨年1月までに判明した。
スバルはこれまで1年間にわたり問題を公表しておらず、企業姿勢が問われる事態だ
24日に男性の遺族の代理人が会見し、男性に残業代の未払いがあったと説明。
さらにスバルは朝日新聞の取材に対し、未払いが多数の社員に広がっていたと明らかにした。
代理人によると、16年12月、車両工場の群馬製作所(群馬県太田市)の総務部に勤務する男性社員(当時46)が、
長時間労働や上司の激しい叱責(しっせき)が原因で過労自殺した。
スバルによると、同製作所の社員数人に残業代未払いがあったとして、
太田労働基準監督署から17年7月に同製作所が労働基準法違反で是正勧告を受けたという。
こうした中で、同製作所では社員の残業時間を把握できていないことが判明した。
そのためスバルは17年末、社内全部門の非正規を含めた社員1万7359人について、
15年7月から2年間の未払い残業代の有無を調査。
その結果、残業時間の記録は社員の自己申告だけで、パソコンの使用や出退勤の履歴などとは照合されず、
過少申告が常態化していたことがわかった。
過少申告の理由について、社員の約6割が「(部署で決めた残業時間の)上限を超えないようにした」と回答。
「上司から残業の指示を受けていなかった」との回答も約2割あったという。
上司による過少申告の指示は確認できなかったとしている。
スバルは「(調査結果を)隠すような意図はなく、公表すべきだとは認識していなかった」(広報)としている。
ログイン前の続き自殺した男性の遺族の代理人弁護士によると、太田労働基準監督署は自殺について、
18年8月に労災認定した。自殺する前の約1カ月間の時間外労働は約105時間にのぼった。
男性は残業時間を過少申告し、表向きの記録は「ゼロだった」という。男性の未払い残業代は約408万円だった。
未払い残業代をめぐっては、宅配便大手ヤマトホールディングスがセールスドライバーを中心に
約5万9千人に対し約230億円の残業代を支払っていなかったことが発覚。
同社は17年3月期決算の営業利益が前年比でほぼ半減した。(滝沢卓)

スバル群馬製作所社員が過労自殺 叱責や残業、労災と認定
共同通信社 2019/01/24

SUBARU(スバル)群馬製作所(群馬県太田市)の46歳の男性社員が2016年12月に自殺し、
太田労働基準監督署が労災と認定していたことが24日、分かった。
上司からの叱責や月100時間を超える長時間労働でうつ病を発症したのが原因としている。
遺族の弁護士が同日、東京都内で記者会見して明らかにした。認定は昨年8月。
弁護士によると、男性は当時、公害防止企画の主任。
16年から、昇進試験の準備や日常業務について、上司の課長から繰り返し指導などを受けるようになった。
上司の机の前で数十分間、叱責されたこともあった。1カ月の残業時間が105時間に上った時期もあった。

 

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休職・復職に関するQ&A⑭

2019年01月28日 | 情報

Q:休職前のパフォーマンスを発揮するのは無理とおもいますので、復職にあたり、役職と賃金を下げたいのですが、
如何でしょうか?

A:休職前のパフォーマンスが発揮できるかどうかは、精神疾患の場合には、
復職にあたっての面談で、おおよその見当はつきますので、その結果を見てのご相談なのでしょう。

まず、就業規則、賃金規則がどのように規定されているのかが問題です。
復職規程、賃金規則がしっかりと規定されていれば、その規程に則り、粛々と進めることになります。
しかし、ご質問されるということは、今回の事案のようなことを想定されていないということでしょう。
まず、不利益変更の禁止の原則があります。

簡単に言うと、就業規則の変更が合理的であれば変更できます。しかし、合理性がない場合には,変更は無効となります。

労働契約法第10条
使用者が就業規則の変更により労働条件を変更する場合において、変更後の就業規則を労働者に周知させ、
かつ、就業規則の変更が、労働者の受ける不利益の程度、労働条件の変更の必要性、変更後の就業規則の内容の相当性、
労働組合等との交渉の状況その他の就業規則の変更に係る事情に照らして合理的なものであるときは、
労働契約の内容である労働条件は、当該変更後の就業規則に定めるところによるものとする。
ただし、労働契約において、労働者及び使用者が就業規則の変更によっては変更されない労働条件として
合意していた部分については、第十二条に該当する場合を除き、この限りでない。

ただし、不利益変更の禁止の原則にも、例外が認められています。
例外として、
①  労働者全員、あるいは従業員の過半数を占める労働組合の同意がある場合
②  変更に合理性がある場合
があげられます。
ただし、今回はそれ程の重要性がないと推測できますので、「合理性」の詳細については、述べません。

具体的な進め方としては、当該従業員と面談し、
①  休職前のパフォーマンスに戻っているとは、認められない。
②  休職前の職務を履行することは、難しいと推測できる。
③  休職前の職務に戻すと、精神疾患を再発する可能性が高い。
④  以上から、休職前からの業務の質量を軽減し、それに合わせた賃金とする。
  業務、賃金は以下の通りとする(具体的な内容は任意に進めてください)。
⑤  ただし、休職前のパフォーマンスが回復できたと認めることができたら、休職前の役職と賃金に戻すこととする
(これが大事です)。
と正直に、具体的に説明し、当該従業員を納得させ、了承を取り付けてください。
おそらく、当該従業員も、周囲の従業員も納得できる対処方法と、歓迎してくれるでしょう。

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休職・復職に関するQ&A⑬

2019年01月25日 | 情報

Q:「2か月間の自宅療養を要す」と記載された診断書を持って、休職を申し出てきた従業員がいます。
面談してみると、診断書に記載されている「うつ状態」という病名からは想像できないくらい元気そうなのですが、
どのように対処したらよいでしょうか?

A:主治医の診断書は、慎重に取り扱いましょう。いくら元気そうに見えていても馬鹿にしてはいけません。
まず、当該従業員の言い分に真摯に耳を傾けましょう。
それから、診断書と面談結果を産業医に伝え、今後の対策を検討しましょう。

それでは、具体的に検討しましょう。
まず、診断書に記載されている診断名です。このことは繰り返し、当ブログにて提起しています。
精神疾患の場合ですが、診断書を誰が見るか、読むか、判りませんので、一般的には正確な診断名が記載されません。
ですから、当然に産業医から疑問が提示されることでしょう。

こうしたあやふやな診断名、例えば「うつ状態」ですが、
これでは産業医も「2か月間の自宅療養」かどうか、判断できません。
ですから、産業医から当該従業員の主治医に問い合わせしてもらうことが必要になります。
それに、産業医は、周囲から言われなくても当然にそういう行動に出ることでしょう。

主治医からの情報をもとに、必要であれば2度、3度でもやり取りして、対応策を決定してください。
その結果、休職することが必要であると判断できたら、休職を発令すればよいのです。
何度も言いますが、休職させるか、させないかは会社側の権限なのです。
一方で、当該従業員が、就労に耐えられないほどの状況であれば、
会社側の判断が決定されるまでは、自身の判断で有給休暇権を使用させればよいでしょう。

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