中小企業の「うつ病」対策ー人、資金、時間、情報に余裕がない

企業の労働安全衛生、特にメンタルヘルス問題に取り組んでいます。
拙著「中小企業のうつ病対策」をお読みください。

組合は、労働者第一義では

2022年10月31日 | 情報

小職は、当ブログでメンタルヘルス問題に対する労組の関心・関与が弱いのではと再三述べてきましたが、事実だったのですね。
御社の労組は、組合費に見合う活動ができていますか?健全な組合活動には会社側の理解・支援も必要です。

労組パワハラ、認識ズレ 自治労山梨元幹部に支払い命令
毎日新聞 2022/10/21 

自治体職員らが加入する労働組合の専従職員が、上司である労組幹部からパワハラを受けたと訴えていた訴訟で、
幹部に慰謝料の支払いを命じる判決が9月、甲府地裁で言い渡された。
原告は書記(職員)だった50代女性。労組の委員長、書記次長だった男性から「何も働かない。休めていいね」といった言葉をかけられ、
怒鳴られたと訴えていた。労働者の権利を守るための、それも公務員による労組で何が起きていたのか。
原告、被告双方への取材や訴訟資料からは「パワハラ」への認識が立場によって大きく異なる実情が浮かび上がる。


自治労山梨県本部の元職員に労災認定「パワハラでうつ病」
10月14日 NHK

自治体の職員などで作る労働組合、自治労山梨県本部の元職員が14日、会見を開き、
在職中に県本部のトップである中央執行委員長らからパワーハラスメントを受け、
うつ病を発症したとして労災認定されたことを明らかにしました。

甲府市で14日、会見を開いたのは、3年前まで自治労山梨県本部に勤務していた50代の元職員の女性です。

元職員によりますと、元職員は自治労山梨県本部で在職中、県本部のトップである中央執行委員長を務めていた
元上司や同僚など複数から厳しい叱責などを受け、2019年9月にうつ病を発症したということです。

申請に基づいて労働基準監督署が調べた結果、元上司らからの身体的・精神的なパワーハラスメントや体を触るなどの
セクシャルハラスメントを受けたことが原因で強い心理的負荷を受けたなどとして、先月、労災認定されたということです。

元職員は「働く人の健康を守るべき組織である労働組合で起きた行為や発言は大きな問題だと思います。
組織が健全化されるよう願っています」と話していました。

自治労山梨県本部は「労働基準監督署などから正式な通達がないため現時点ではコメントができません」としています。

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11月は「過労死等防止啓発月間」です

2022年10月29日 | 情報

11月は「過労死等防止啓発月間」です
~過労死等防止対策推進シンポジウムや過重労働解消キャンペーンなどを実施~
令和4年10月03日(月) 【照会先】労働基準局  総務課

https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_28319.html

厚生労働省では、11月を「過労死等防止啓発月間」と定め、過労死等をなくすためにシンポジウムやキャンペーンなどの取組を行います。この月間は、「過労死等防止対策推進法」に基づくもので、過労死等を防止することの重要性について国民の自覚を促し、関心と理解を深めるため、毎年11月に実施しています。

月間中は、国民への啓発を目的に、各都道府県において「過労死等防止対策推進シンポジウム」を行うほか、「過重労働解消キャンペーン」として、長時間労働の是正や賃金不払残業の解消などに向けた重点的な監督指導やセミナーの開催、一般の方からの労働に関する相談を無料で受け付ける「過重労働解消相談ダイヤル」などを行います。

「過労死等」とは・・・業務における過重な負荷による脳血管疾患又は心臓疾患を原因とする死亡、もしくは業務における強い心理的負荷による精神障害を原因とする自殺による死亡又はこれらの脳血管疾患、心臓疾患、精神障害をいいます。

【取組概要】
1 国民への周知・啓発
・「過労死等防止対策推進シンポジウム」の実施

過労死等の防止のための活動を行う民間団体と連携して、47都道府県48会場(東京は2会場)でシンポジウムを開催します(無料でどなたでも参加できます。)。[参加申込方法]事前に下記ホームページからお申込みください。

 https://www.p-unique.co.jp/karoushiboushisympo/

・ポスターの掲示などによる国民に向けた周知・啓発の実施

国民一人ひとりが自身にも関わることとして、過労死等とその防止に対する関心と理解を深められるよう、ポスターの掲示やパンフレット・リーフレットの配布、インターネット広告など多様な媒体を活用した周知・啓発を行います。

過労死等防止啓発ポスター
過労死等防止啓発パンフレット
過労死等防止啓発リーフレット

2 過重労働解消キャンペーン(詳細は別紙や下記の特設ページを参照ください。)

過労死等につながる過重労働などへの対応として、長時間労働の是正や賃金不払残業などの解消に向けた重点的な監督指導や、全国一斉の無料電話相談「過重労働解消相談ダイヤル」などを行います。

[過重労働解消キャンペーン特設ページ]

   https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/roudoukijun/campaign_00004.html

 

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オープン就労であれば、

2022年10月28日 | 情報

いろいろと問題、疑問の多い報道ですね。よく理解できません。
ただ、小職として関心を持つ点は、読売の報道に「男性はかつて、うつ病だったことを伝えていたが、」とあることです。
オープン就労であれば、それなりの対応が必要なのですが、報道では健常者でも過酷といえる業務内容ですね。
一方で、他の報道2社は、この件に触れていませんね。重要な事実なのですが、どういうことなのでしょうか。

「休憩時間・宿直手当なしでうつ病に」、元児相職員が県に1200万円賠償求め提訴
2022/10/17 読売

過重な労働でうつ病となり、退職を余儀なくされたとして、市川児童相談所の元男性職員(28)が千葉県に
約1200万円の損害賠償や未払い賃金を求めた訴訟の第1回口頭弁論が12日、千葉地裁(小林康彦裁判長)であった。
県は、請求棄却を求める答弁書を提出し、争う姿勢を示した。

訴状などによると、男性は大学院を卒業後、2019年4月から市川児相で勤務し、一時保護した子どもの面倒を見る業務にあたった。
しかし、慢性的な職員不足で、休憩時間がなかった上、非常時の子どもの対応が求められる宿直勤務に対する手当がなかったとしている。

男性はかつて、うつ病だったことを伝えていたが、過重な業務を任されたとして安全配慮義務違反もあったと主張している。
男性は7月にうつ病を再発して休職し、21年11月に退職した。

次回弁論は1月11日の予定。

 

市川児童相談所の元職員28歳男性が千葉県に慰謝料など求めた裁判始まる
2022/10/12 チバテレビ

長時間労働が原因で体調を崩すなどし、退職せざるを得なくなったのは、安全配慮義務違反だったなどとして、
児童相談所の元職員の男性が千葉県に慰謝料などを求めた裁判が、千葉地裁で始まりました。

この裁判は、市川児童相談所に勤務していた飯島章太さん(28)が、
県を相手に慰謝料など約1200万円の支払いを求めて訴えを起こしたものです。

訴状などによりますと、飯島さんは泊まり勤務の時に仮眠する際も、子どもの様子を見るため、
廊下に布団をしいて寝るよう指示されるなどの環境で働き続け、それが原因で体調を崩すなど10月12日、
千葉地裁では第1回の口頭弁論が行われ、原告の飯島さんは「勤務の忙しさは想像を超えるものばかりだった。
この訴訟をきっかけに児相の労働環境を、少なくとも法律の最低基準で守ることによって、
子どもたちのよりよいケアにつなげていきたい」と訴えました。
裁判は、2023年1月11日に第2回の口頭弁論が行われる予定です。
一方、県は取材に対し、「係争中の案件なのでコメントは差し控える」としています。し、退職せざるを得なくなったとしています。

 

「長時間労働でうつ、退職」元児相職員が千葉県を提訴 「定員3倍の子ども抱え昼休憩取れず」 
千葉日報 2022年7月22日

児童相談所での長時間労働でうつ病が再発し退職を余儀なくされたとして、
市川児童相談所の元児童指導員、飯島章太さん(28)が21日、県を相手取り、
未払賃金や慰謝料など約1200万円を求める訴訟を千葉地裁に起こした。
飯島さんは県庁で記者会見し、同相談所では過酷な職場環境から休職する職員が相次いでいるとして
「裁判を通して働きやすい職場になってほしい」と話した。

飯島さんは2019年4月に同相談所で勤務を始め、7月下旬に長時間労働から体調を崩し休職。
20年2月に復職するも、3月中旬に再び休職し、21年11月に退職した。

訴状や弁護団によると、20年当時、同相談所の一時保護所は定員約20人に対し、最大60人の子どもを抱えていた。
職員は子どもたちと一緒に食事をするため、実質的に昼の休憩がとれず、宿直中も子どもたちから目を離せないことから、
部屋で眠ることができなかったという。訴状では、昼の休憩なども仕事に当たると主張し、賃金の支払いを求めている。

飯島さんは「裁判を、一時保護所が改善され子どもにも職員にも良い環境になるきっかけにしたい」と訴えた。

県児童家庭課は「訴状が届いていないため、担当課かどうかを含め答えられない」とコメントした。

◆人手不足で過酷労働
2019年1月に起きた野田市の女児虐待死事件で、改めて役割の重要性が認識された児童相談所(児相)。
事件を繰り返さないために一時保護の子どもを増やした一方、慢性的な人手不足は解消されておらず、職場環境は過酷になっているという。

弁護団などによると、昨年度の一時保護の平均入所率は、県が運営する児相6カ所のうち2カ所で定員の2倍を超え、
全国ワーストの4位までを占めた。
満足に休憩がとれないほど業務が多忙なことから、児相の専門職員の10人に1人が精神疾患で長期療養を強いられ、
飯島さんが勤務していた市川児相に限ると、採用3年目以内の若手の2人に1人が療養のため長期の離脱をしていた。

県も職員の確保を進めているが、思うように増えていない。20年度は県全体で129人を採用する予定だったが、
76人にとどまったという。

弁護団の船沢弘行弁護士は「子どもたちを守る最後のとりでの児相が脆弱(ぜいじゃく)な労働環境に支えられている。
裁判で飯島さんの権利回復だけでなく、少しでも県内児相の労働環境が改善されればと思う。
結果として子どもと向き合う時間やサポートする心の余裕が生まれ、子どもたちの支援充実につながる」と力を込めた。

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(参考)秋~冬の心身不調、気づき早く

2022年10月27日 | 情報

秋~冬の心身不調、気づき早く メンタルを考える12選
2022年10月24日 日経

肌寒さを感じる季節になってきました。この時期は心身の不調を感じたり、気分が落ち込んだりしやすいようです。
新型コロナウイルスの感染拡大による行動制限から解除へと生活が変わり、心の不調を感じる方もいると思います。
メンタルヘルスの異変に早めに気づき、対処するにはどうしたらよいのでしょうか。参考になる記事を選びました。
(内容や肩書などは掲載当時のものです)

「ビジネス・クリップ」は日々の記事の中から、ビジネスに役立つ実践的で、よく読まれた記事を集めたコンテンツです。
保存して後から読んでも、取引先に行く前に斜め読みしても。あなたのビジネススキルの向上にお役立てください。

https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC231I30T21C22A0000000/

〇食事やスポーツとの関係

「果物を食べる回数が多い人は、そうでない人よりも抑うつの症状が少ない」「スポーツがメンタルにポジティブな影響をもたらす」。
そんな調査結果があるようです。心の健康やストレスを管理するのに参考になる方法を紹介しています。

・果物食べる回数、多いほどメンタル良好 英国の研究報告

どんな食事が病気の予防になるの? また、どんな習慣がアンチエイジングにつながるの?
今回紹介するテーマは、食事とメンタルの関係について。「果物を食べる回数が多い人ほど、メンタルが良好」という研究です。

・スポーツが心をポジティブに 15分9秒でメンタル改善

気持ちが沈みがちな時には、体を動かすことが気分転換に有効とされる。
実際にスポーツがメンタルにポジティブな影響をもたらすのは間違いないようだ。
では、その効果を得るのにはどれくらい運動を続ける必要があるのか? それは「15分9秒」。
アシックスが先日、こんな明確な数字を公表した。

・心の健康、自然の力生かす 宮崎良文・千葉大学名誉教授

コロナ禍でストレス社会に 木材やせせらぎ音に触れる
長引く新型コロナウイルス禍で、大学生を含む若者のメンタルヘルスが悪化している。
遠隔授業の進展などに伴い、家の中にこもりがちになったこともストレスをためる原因になっているようだ。心の健康...

・メンタルの強さとは 宇宙飛行士のストレス管理術

民間人の国際宇宙ステーション滞在など宇宙が身近になり、月や火星を目指す国際的なプロジェクトが多く進んでいる。
宇宙空間をひとつの職場と捉えると、宇宙飛行士を取り巻くストレスをいかに処理するかが職場環境改善のカギとなる。

米航空宇宙局(NASA)をはじめ世界の関係機関は2008年、宇宙飛行士に必要な8つの能力をリストアップした。
彼らの訓練や思考法は一般の人にも応用できるか、そして心の強さとは何か。
宇宙飛行士の健康を管理するカウンセラーたちにポイントを聞いた。

〇企業も対応求められる

社員のメンタルヘルス(心の健康)への対策は、企業にとっても大事な課題になりつつあります。
退職につながらなくても、仕事への熱意や生産性が落ち込む可能性があります。メンタルヘルスをめぐる問題などをまとめています。

・社員の気分を上げる経営 「メンタルはタブー」の先へ

従業員のメンタルヘルス(心の健康)に気を配っているか。そう問われれば、イエスと答える日本企業は多いだろう。
ストレスチェックやEAP(従業員支援プログラム)があると。それでは足りないと訴えるシンガポール企業が9月、日本に上陸した。
2019年創業のインテレクトだ。

スマートフォンアプリを介し、主に企業の従業員にメンタルケアを提供する。
ストレスや不安への対処法、睡眠の質や自己肯定感を高める方法が学べ、コーチングも受けられる。
アジアを中心に300万人以上が利用する。
科学的な根拠を重視し、大学などとの共同研究にも熱心だが、売りはアプリ経由というカジュアルさだ。

・孤独感40~50代で顕著 リモートなじめず生産性に影響も

新型コロナウイルス禍で40、50代を中心とする働き盛りの「孤独感」が、他の世代よりも深刻さを増している。
テレワークの拡大などに伴いコミュニケーションの手段が変わるなか、対面中心の意識から脱しきれないことなどが背景とみられる。
孤独感に伴う経済損失について英国では年間約5兆円との試算もある。生産性などに与える影響は軽視できず、官民を挙げた対策が不可欠だ。

・コロナ禍で「肩こり」の損失コスト増 病欠よりも深刻

新型コロナウイルス禍が終わらないなか、首の不調や肩こりを訴える人が増えている。
4人に3人が「肩こり」を訴えているとする調査結果もある。
肩こりなどの痛みを抱えて仕事がはかどらないことで生じる労働損失は、病欠コストより大きいともいわれる。
肩こりの背後に思わぬ病気が隠れている場合もあるなど、「たかが肩こり」とあなどれない。

・コロナ下うつ病、重症化しやすく オンライン相談も活用を

新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)は「心理的な感染症」、「社会的な感染症」という側面も持つ。
メンタルヘルスの専門医で、日本うつ病学会理事長の三村将・慶応義塾大学教授に、患者への影響や医療の行方などを聞いた。

〇自分の心と体に向き合う

メンタルヘルスの異変をなるべく早く察知するため、スマホアプリなどのサービスが登場しています。
肌の状態を画像解析したり、人工知能(AI)で心情を推測したり。自分の心と体に向き合うことを習慣づける狙いです。

・メンタルケアのスマホアプリ 心の異変、AIで解析

新型コロナウイルス禍を受け、心の健康が悪化する「メンタルヘルス」の問題を抱える人が増えている。
そうした中、肌の状態を画像解析したり、人工知能(AI)で過去の心情を推測したりするスマートフォンアプリが登場。
自分の心と体に習慣として向き合い、異変を早期に発見するサービスとして利用が広がりそうだ。

・精神不調、時計型機器や遠隔診療で把握 コロナで普及

新型コロナウイルス感染症による行動制限で、気持ちがふさぐなど精神面の不調を訴えた人は多い。
コロナが下火になっても影響は残る。腕などに身につけ心拍などを手軽に測れるウエアラブル機器で症状をとらえ、
オンライン診療なども使って治療する手法に期待が集まる。

・メンタル不調を見える化 コロナで需要、早期発見を支援

企業が社員のメンタル面の不調を発見しやすくするスタートアップの取り組みが相次いでいる。
クラウド経由で健康支援ソフトを提供するiCARE(アイケア、東京・渋谷)はこのほど、職場への不満を数値化する事業を始めた。
長引く新型コロナウイルス禍で在宅勤務が広がり、社内コミュニケーションの難しさは増している。
新興勢は独自技術を駆使して心の健康を見える化する。

・心の不調、アプリでケア コロナで増えたうつや摂食障害

新型コロナウイルス感染症の流行で増えているといわれるうつや摂食障害などの治療を
アプリやデジタル技術を活用して支援する動きが少しずつ始まっている。
コロナ感染への不安から医療機関への受診を迷う人に、セルフチェックをする機会を提供するほか、
医師もこれまで見えにくかった患者の変化などを細かくとらえられることで、治療の精度を上げられる可能性が見えてきた。
デジタルの特長を生かしたアプローチで治療の支援・拡充...

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休職・復職Q&A⑥

2022年10月26日 | 情報

Q; 従業員150人程度の小売業で人事課長をしています。うつ病で休職している従業員が
復職願を提出してきました。主治医の診断書には、元の職場以外の職場への復職、当面の残業禁止等を記載されていました。
主治医の診断書どおりにしなければなりませんか?
当面の残業禁止は理解できますが、「元の職場以外の職場への復職」と云われても会社側の都合もありますので、
対応方法をアドバイスしてください。

A;今回の復職・休職Q&A②でも同様な質問への回答でした。当該質問もそうなのですが、復職先の問題に関する質問が多いようです。

さて、主治医の診断書の「付記」事項について解決しましょう。
会社から主治医に問い合わせても回答は得られません。
顧問の産業医に、主治医の真意について問い合わせてもらいましょう。
おそらく、患者の希望を診断書にそのまま認めたものとの回答があることでしょう。
主治医に企業の内部事情のことまでの理解はありません。なくて当然なのです。
なお、会社側は、この間の主治医とのやり取りを、復職希望者にも伝えることが必要でしょう。

次に、本題の復職先です。職場復帰支援の手引き(7頁)には、「職場復帰は元の慣れた職場へ復帰させることが原則です」とありますので、
元の慣れた職場へ復帰させることを第一義に検討してください。問題は「元の職場」の解釈です。「職場」とは何かです。

中小規模の事業場・企業であれば、「事務職」「製造職」「研究職」「物流職」等の区分で「元の職場」と定義すればよいでしょう。
即ち、元の職場とは、休職前が「事務職」だったのに、復職後は「製造職」にということは勧められないという意味と解釈してください。
一方で、「元の職務」と狭義に解釈する必要はないということでしょう。
なぜなら、通常の場合、人事の欠員が生じれば補充人事を行うでしょうし、組織変更もあることでしょうから、
「元の職務」に拘ることは現実的ではないでしょう。
結論として、「職務」と「職場」の解釈をどうするか、貴事業場の現況を鑑みて検討してください。

復職先の具体的な検討に当たっては、人事権は会社側にあるものの、当事者は疾患からの回復途上にありますので、
会社の人事労務方針を前提にして、当事者の意見や希望も聴取し、慎重に判断することが大切です。

なお、法令でもない「職場復帰支援の手引き」に影響を受けて、なんら根拠を示すことなく
「精神的領域における疾病で休職している場合は、職場復帰するときには新たな業務ではなく、
従前経験していた業務に復職させるのが相当」という判例もありますので、参考にしてください。

 

 

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