銀座などに出かけると、正に、中国人旅行者による爆買いの凄まじさをあっちこっちで見かける。
1980年代の、欧米を闊歩していた日本人旅行者が、高級ブランド店や百貨店などに殺到して、ブランド物や高級品を買いあさっていた姿を、まざまざと、思い出させるような光景だが、時代は繰り返すのであろう。
ところで、東京の百貨店は勿論、コンビニまで、外人観光客の利便性を考えて、店舗に免税カウンターを急ごしらえで設置して、対応し始めたと言う。
昔、ヨーロッパに居た頃、観光や観劇などそっちのけで、買い物だけを楽しみに来たと言って、パリとロンドンにやって来ていた新婚夫妻に会ってびっくりしたことがあるのだが、聞いてみると、中国人旅行者の中にも、買い物と日本食だけを目的に来日したと言う人たちも居るようで、舶来品を現地で買うと言う旅行の魅力は大変なようである。
さて、今回話題にしたいのは、先にブックレビューしたスティーブン・ローチの「アメリカと中国もたれ合う大国」で、ローチが論じていた、今後中国が、輸出主導型から消費者主導型の発展戦略に、経済運営を大きく切り替えようとしており、消費革命とも言うべき大きなビジネスチャンスが、アメリカの輸出産業に生まれる、と指摘していることについてである。
正に、萌芽期にある中国の消費市場は、需要源として大きな潜在力を秘めており、アメリカの輸出産業を再興させる完璧な呼び水になる。消費文化自体が中国にとって究極の輸入品となり、世界に冠たる大消費国アメリカから、製品・サービス・システム・経営の専門知識を獲得して大いに活用すれば、更に、経済社会の高度化に貢献して一石二鳥だと言うのである。
典型的な消費者社会であるアメリカを考えてみれば、住居、家具・器具、自動車、電子製品、近代消費者社会のその他の飾り物等々、それも、アメリカンブランドの高級品や奢侈品に対するモノやサービスが、未開拓の開かれた中国の消費者嗜好を開拓できることは間違いない。
更に、中国のサービスのGDP比は43%で、異常に低く、サービス産業化は必須であり、また、雇用の面からも、例え経済成長が鈍化しても、旧モデルの資本集約型・労働節約的な製造業から、新しい資本節約型・労働集約型のサービス業主導型にシフトすることによってカバーできるので、中国経済のサービス化への移行トレンドは間違いない。
サービス貿易と言えば、通信・金融・運輸・卸売小売り・専門サービス等々、
アメリカのサービス企業は、断トツで、中国の萌芽的なサービス産業に欠如しているプロセス設計、規模、専門知識・経営ノウハウなどに優位性を持っているので、大いにビジネスチャンスはある。
アメリカの消費財産業やサービス産業にとっては、この中国経済の消費主体産業化への大転換は、千載一遇の大チャンスで、これを見逃す手はないと言うのである。
さて、以上は、ローチによるアメリカ産業に対する所見だが、このことは、そっくりそのまま、日本の産業・企業に当てはまることで、同じアジア人の嗜好から言っても、日本の方がはるかに有利で、ビジネスチャンスは、多いと考えられる。
私が注目するのは、中国人の日本における爆買い傾向で、正に、上方志向の本物への消費者革命が始まったと言うことは間違いない。
今現在は、近くて円安傾向が幸いして、旅行費用も安いので、中国人が大挙して日本に押しかけて来ているが、これを逆手にとって、中国へのビジネスチャンスを拡大できないかと言うことである。
日本人が、欧米に、爆買いに殺到していた時には、日本の百貨店が、ロンドンやパリに大挙して進出したが、日本のバブル崩壊で下火になると退却してしまった。近視眼も甚だしく、日本人客だけを相手に商売していただけであったからである。
今回の場合、中国企業の進出がなく、中国人は日本の百貨店など日本人店舗に殺到して爆買いをしているので、この傾向はなかったが、これは、中国の小売など商業やサービス産業の貧困ゆえであって、事情が違っている。
さて、中国の消費者市場やサービス産業市場において、今後商機が拡大の一途を辿るとすれば、どのような戦略が有効なのか。
ローチは、輸出市場拡大のチャンスだと言うのだが、尋常な輸出や進出戦略では、通用するようには思えない。
日本人観光客が、欧米に買い物に殺到していた時には、進出した百貨店は、品揃えに注意して世話するだけで良かったが、
今回の中国の消費者革命に対処するためには、ただ、店舗をオープンして日本製品を並べて販促するだけではなく、トータルパッケージで、消費生活を提案するなど、コトを売り込み、メインテナンス・サービスも含めて、顧客の開発と維持管理に注力するなど、息の長い生きたビジネス展開をするなど工夫することが、大切ではなかろうかと思っている。
私は、やはり、中国には、カントリーリスクがあると思うので、中国での出店は、パイロット・ファームやショップ程度に収めて、提案型のビジネス展開、すなわち、生活の質を提案販売サービスする知的価値創造型のビジネスが良いのではなかろうか。同時に、徹底的にICTを駆使して時代の潮流に乗ったビジネスモデルを構築することである、と思っているのだがどうであろうか。
ローチの言うように、中国経済が、生産主体経済から消費主体経済へ、急速に変革しなければならないことは事実であり、豊かになった中国人が、更に豊かな消費生活を志向して行くことは確実であろう。
しからば、どのような戦略戦術で、中国市場を攻略すれば良いのか。
一説によると、ブランド志向はそれ程でもないが、身内などの口コミを重視するなど、中国人独特の消費財へのアプローチがあるようなのだが、十分リサーチするなど勉強して、
中国人の爆買いトレンドを商機にして、如何に中国人の消費革命を起爆剤にするか、日本企業の経営姿勢が試されていると言うことかも知れないと思っている。
1980年代の、欧米を闊歩していた日本人旅行者が、高級ブランド店や百貨店などに殺到して、ブランド物や高級品を買いあさっていた姿を、まざまざと、思い出させるような光景だが、時代は繰り返すのであろう。
ところで、東京の百貨店は勿論、コンビニまで、外人観光客の利便性を考えて、店舗に免税カウンターを急ごしらえで設置して、対応し始めたと言う。
昔、ヨーロッパに居た頃、観光や観劇などそっちのけで、買い物だけを楽しみに来たと言って、パリとロンドンにやって来ていた新婚夫妻に会ってびっくりしたことがあるのだが、聞いてみると、中国人旅行者の中にも、買い物と日本食だけを目的に来日したと言う人たちも居るようで、舶来品を現地で買うと言う旅行の魅力は大変なようである。
さて、今回話題にしたいのは、先にブックレビューしたスティーブン・ローチの「アメリカと中国もたれ合う大国」で、ローチが論じていた、今後中国が、輸出主導型から消費者主導型の発展戦略に、経済運営を大きく切り替えようとしており、消費革命とも言うべき大きなビジネスチャンスが、アメリカの輸出産業に生まれる、と指摘していることについてである。
正に、萌芽期にある中国の消費市場は、需要源として大きな潜在力を秘めており、アメリカの輸出産業を再興させる完璧な呼び水になる。消費文化自体が中国にとって究極の輸入品となり、世界に冠たる大消費国アメリカから、製品・サービス・システム・経営の専門知識を獲得して大いに活用すれば、更に、経済社会の高度化に貢献して一石二鳥だと言うのである。
典型的な消費者社会であるアメリカを考えてみれば、住居、家具・器具、自動車、電子製品、近代消費者社会のその他の飾り物等々、それも、アメリカンブランドの高級品や奢侈品に対するモノやサービスが、未開拓の開かれた中国の消費者嗜好を開拓できることは間違いない。
更に、中国のサービスのGDP比は43%で、異常に低く、サービス産業化は必須であり、また、雇用の面からも、例え経済成長が鈍化しても、旧モデルの資本集約型・労働節約的な製造業から、新しい資本節約型・労働集約型のサービス業主導型にシフトすることによってカバーできるので、中国経済のサービス化への移行トレンドは間違いない。
サービス貿易と言えば、通信・金融・運輸・卸売小売り・専門サービス等々、
アメリカのサービス企業は、断トツで、中国の萌芽的なサービス産業に欠如しているプロセス設計、規模、専門知識・経営ノウハウなどに優位性を持っているので、大いにビジネスチャンスはある。
アメリカの消費財産業やサービス産業にとっては、この中国経済の消費主体産業化への大転換は、千載一遇の大チャンスで、これを見逃す手はないと言うのである。
さて、以上は、ローチによるアメリカ産業に対する所見だが、このことは、そっくりそのまま、日本の産業・企業に当てはまることで、同じアジア人の嗜好から言っても、日本の方がはるかに有利で、ビジネスチャンスは、多いと考えられる。
私が注目するのは、中国人の日本における爆買い傾向で、正に、上方志向の本物への消費者革命が始まったと言うことは間違いない。
今現在は、近くて円安傾向が幸いして、旅行費用も安いので、中国人が大挙して日本に押しかけて来ているが、これを逆手にとって、中国へのビジネスチャンスを拡大できないかと言うことである。
日本人が、欧米に、爆買いに殺到していた時には、日本の百貨店が、ロンドンやパリに大挙して進出したが、日本のバブル崩壊で下火になると退却してしまった。近視眼も甚だしく、日本人客だけを相手に商売していただけであったからである。
今回の場合、中国企業の進出がなく、中国人は日本の百貨店など日本人店舗に殺到して爆買いをしているので、この傾向はなかったが、これは、中国の小売など商業やサービス産業の貧困ゆえであって、事情が違っている。
さて、中国の消費者市場やサービス産業市場において、今後商機が拡大の一途を辿るとすれば、どのような戦略が有効なのか。
ローチは、輸出市場拡大のチャンスだと言うのだが、尋常な輸出や進出戦略では、通用するようには思えない。
日本人観光客が、欧米に買い物に殺到していた時には、進出した百貨店は、品揃えに注意して世話するだけで良かったが、
今回の中国の消費者革命に対処するためには、ただ、店舗をオープンして日本製品を並べて販促するだけではなく、トータルパッケージで、消費生活を提案するなど、コトを売り込み、メインテナンス・サービスも含めて、顧客の開発と維持管理に注力するなど、息の長い生きたビジネス展開をするなど工夫することが、大切ではなかろうかと思っている。
私は、やはり、中国には、カントリーリスクがあると思うので、中国での出店は、パイロット・ファームやショップ程度に収めて、提案型のビジネス展開、すなわち、生活の質を提案販売サービスする知的価値創造型のビジネスが良いのではなかろうか。同時に、徹底的にICTを駆使して時代の潮流に乗ったビジネスモデルを構築することである、と思っているのだがどうであろうか。
ローチの言うように、中国経済が、生産主体経済から消費主体経済へ、急速に変革しなければならないことは事実であり、豊かになった中国人が、更に豊かな消費生活を志向して行くことは確実であろう。
しからば、どのような戦略戦術で、中国市場を攻略すれば良いのか。
一説によると、ブランド志向はそれ程でもないが、身内などの口コミを重視するなど、中国人独特の消費財へのアプローチがあるようなのだが、十分リサーチするなど勉強して、
中国人の爆買いトレンドを商機にして、如何に中国人の消費革命を起爆剤にするか、日本企業の経営姿勢が試されていると言うことかも知れないと思っている。