窪田恭史のリサイクルライフ

古着を扱う横浜の襤褸(ぼろ)屋さんのブログ。日記、繊維リサイクルの歴史、ウエスものがたり、リサイクル軍手、趣味の話など。

第10回YMSを開催しました

2011年07月14日 | YMS情報


  2011年7月13日、横浜伊勢佐木町のCross Streetにて、記念すべき第10回のYMSを開催しました。



  会場となったCross Streetは伊勢佐木町商店街と横浜市が最近作ったアートを愛する人たちのためのイベントスペース(同HPより)です。入口を入るとすぐ、ここ横浜・伊勢佐木町からメジャーに駆け上がった「ゆず」の大きなサインが掲げられています。会場も今回のテーマにピッタリであったかと思います。



  さて、過去9回は中小企業経営者の参加者を主体として勉強会を続けてきましたが、今回は趣向を変え、「町興しとビジネスについてのフリートーク」と題し、小林紙工株式会社代表取締役の小林光政様と株式会社エデュイットジャパン代表取締役、シネマ・ジャック&ベティ支配人の梶原俊幸様をお招きし、YMS事務局メンバーである渡邉清高さんと共にパネルディスカッション形式で行いました。

  その内容は、小林社長の「商人といえども自分のフィールド(市場)を自分で耕さなければならない」(これを社長は「商人農耕論」と呼んでおられました)という言葉に表されるとおり、中小企業が立脚しているところの地域を自ら耕し、文化を育て、人が集うことにより結果として自らも発展していくというものです。お話の中で、社長の「文化は消費しない資源である。消費しないどころか、使うことによってむしろ増えていくのである」という言葉が非常に印象に残りました。

  小林社長は、青年会議所時代から横浜版環状鉄道を構想するなど、その構想力と行動力には拝聴しているこちらまで勇躍するものがありましたが、例えば「野毛大道芸」などは今や横浜の一文化としてすっかり定着しています。また、今回のテーマの具体的事例でもあり、良く知られているところでは、かつて青線地帯と呼ばれた日ノ出町・初音町・黄金町界隈の地域浄化活動が挙げられるでしょう。

  これらの地域は元々大岡川を利用した物流により問屋街として栄えた地域でしたが、戦後は「青線地帯」(昭和30年代まで合法の売春街であった「赤線」に対し、非合法の売春街だったので、そう呼ばれました)に変貌し、赤線が廃止された後もつい最近まで売春街として残っていました。特に戦後の街の様子は売春・麻薬取引のメッカとして、黒澤明監督の映画「天国と地獄」でも描かれたほどです。したがって、周辺地域の住民には「怖い街」という印象が強かったのです。

  地域住民と警察が協力し、売春宿の一斉摘発を行ったのは2004年のことです。小林社長曰く、実際には住民と地元警察だけでこのような取り組みを行うことは難しく、地元自治体や入管など関係機関が摘発の実行とその後の処理の問題まで含め一致協力して行なわなければ、このような大掛かりな地域浄化は不可能だったそうです。

  その後、地域再生の取り組みとして、防犯拠点の設置や、武道場による人間教育、空き店舗にアーティストを集め「文化芸術振興の街」を目指すなど、様々なことが行われました。株式会社エデュイットジャパンの梶原社長が横浜に来たのはちょうどその少し前のことでした。



  梶原社長は元々吉祥寺の方でしたが、地域浄化後にゴーストタウン化した黄金町界隈のことを知り、また同地域の歴史を調べるにつれ、興味を持たれたそうです。梶原社長は2006年、「黄金町プロジェクト」というサイトを立ち上げ、この地域のこれからのあり方や、活性化のためのアイデアを自由に構想し発信する活動を始められたそうです。やがて、地元の古い映画館を買取り、シネマ・ジャック&ベティをオープン。昔ながらのレトロな雰囲気を活かしつつ、神奈川県下唯一の独立系映画館として自ら選んだユニークな作品を上映しています。興味深かったのは、古本屋を舞台にした映画を上映した際、お客さんが鑑賞後に地域の古本屋を探訪できるよう、「横浜下町古書店マップ」を作成し、配布したそうです。これぞ文化指向だと感心した次第。



  今回のYMSは、そのシネマ・ジャック&ベティ見学会も行われました。話を聞くだけでなく自分たちの目で確かめに行くことができるというのも地元で行うYMSらしさだと思います。デジタルシネマの時代ですが、貴重なフィルム時代の映写室を見学させていただきました。



  そして恒例の親睦会は映画館に隣接する中華料理店「聚香園」にて。驚くほど安くてボリュームがあり、かつ美味しかったのでこちらも嬉しい収穫でした。


Cross Street

横浜市中区伊勢佐木町4-123



シネマ・ジャック&ベティ

横浜市中区若葉町3-51

中国料理 聚香園

横浜市中区若葉町3-51-3



  繻るに衣袽あり、ぼろ屋の窪田でした
  ブログをご覧いただいたすべての皆様に感謝を込めて。

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