北海道美術ネット別館

アート、写真、書など展覧会の情報や紹介、批評、日記etc。毎日更新しています

■谷口明志展 (2016年2月21日~3月13日、札幌)

2016年03月16日 01時11分11秒 | 展覧会の紹介-現代美術
  
 本年度の北海道文化奨励賞を受賞した記念の個展。
 50代の脂の乗り切った活躍を見せる作家が、新しい展開をみせた。

(会期が終わってからの紹介になってしまい申しわけありません)

 谷口明志さんの近年の作品は「線を描く」ことに注目するとわかりやすい。
 ふつうの画家は、四角形の紙や布に線をひく。
 しかし、谷口さんの線は、そのような制約を飛び越えて、天井や床、さらには空中や床下までも走る。空間全体を線が自在に駆け巡るのだ。昨年の市立小樽美術館での個展も、そういう発想で生まれたものだと思う。

 今回の個展では、線が実際に書かれたものではなく、すべて影で構成されている。昨年までも、一部に影による線が導入されてはいたが、今回初めて、影が主役になった。数センチから約20センチまで高さが異なる針金を、壁に垂直に取り付け、光源からスポットライトをあてる。その針金がつくる影のてっぺんの位置に針金を設置する。
 その作業を何度も繰り返し、ひとつながりの影による線が、壁に書かれているように見えてくる。
 針金の数は合計250から300はあるようだ。



 光源が複数あるので、左からの光源の線と右からの光源の線で、壁には格子模様ができているようにも見える。

 針金の突起は、数は多いとはいえ、小さいから、搬入は容易だろうし、使いまわしもできるだろうが、設置作業は何日もかかって大変だったときく。

 おもしろいのは、今回の展示では、影という「虚」が主役で、実体のある針金のほうが脇役になっていたことだ。
 また、これまで重力や壁面の制約を離れて3次元的な自由を獲得していた線が、壁にぴったりとはりつく形(影なのだから、あたりまえだが)になったことも、谷口さんの創作の系譜の中では先祖がえりしているようで、興味深い。



2016年2月21日(日)~3月13日(日)正午~午後6時(最終日~午後5時)、火休み
ギャラリーレタラ(札幌市中央区北1西28)


関連記事へのリンク
谷口明志 インスタレーション 線の虚構 (2015)
【告知】谷口明志インスタレーション 線の虚構

川上りえ 札幌文化奨励賞受賞記念 Plus1 Group Exhibition (2013年)

JRタワー・アートプラネッツ2012 楽しい現代美術入門 アルタイルの庭 (2012年)
谷口明志・川上りえ Space Abstraction II (2012年)

谷口明志「Drawing」 ハルカヤマ藝術要塞
500m美術館(2010年11~12月)
谷口明志 × 川上りえ (2010年10月)
PLUS ONE THIS PLACE (2010年9月)
第7回北海道高等学校文化連盟石狩支部顧問展 (2010年1月)
水脈の肖像09-日本と韓国、二つの今日 (2009年12月)
PLUS 1 +柴橋伴夫企画 空間の触知へ-連鎖の試み 谷口明志 坂東宏哉 大島潤也 ダム・ダン・ライ(2009年8月)
PLUS 1 Groove (2009年8月)
谷口明志展(2009年3月)
第6回北海道高等学校文化連盟石狩支部美術部顧問展(2009年1月)

40周年小樽美術協会展(2008年6月)

Dala Spaceオープン記念作品展(2007年)
第39回小樽美術協会展(2007年)
絵画の場合(2007年)
PLUS1 groove (2007年)

グループ プラスワン展(2006年)
谷口明志展(2006年)
第3回高文連石狩支部美術部顧問展(2006年)

絵画の場合アーティストトーク(2005年)

5th グループ・プラスワン(2004年)
高文連石狩支部美術部顧問展(2004年2月6日の項。画像なし)

札幌の美術2002(画像なし)

さっぽろ美術展2001(画像なし)


最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。