北海道美術ネット別館

美術、書道、写真の展覧会情報や紹介。2013年7月末、北見から札幌に帰還。コメント、トラバはお気軽に。略称「ほびねべ」

08年1月のおもな展覧会

2008年01月31日 23時59分55秒 | 主な記事へのリンク
 1月のおもな展覧会の記事へのリンクです。
 書き終わっていないエントリには、まだリンクがはられていません。
 このエントリは随時更新します。

 ■■は、更新時に開催中の展覧会、■はすでに終了した展覧会です。

現代美術
カナコ雪造カンパニー

絵画
久野志乃と齋藤周展 かるいからだ
道彩展会員会友展
特別展誠忠義士傳(せいちゅうぎしでん)
北翔大学大学院・研究生6人展 
中村哲泰-高みを求めて
第25回大洋会北海道支部展
永野曜一個展
森万喜子展
小松志津江日本画展
木路毛五郎展
第2回にかわえ展

版画
たぴお所蔵版画展

工芸・クラフト
おおいえのりこフェルト個展 真冬のピクニック
菊地勝太郎作陶展
第29回北海道陶芸作家協会展

写真
谷口能隆写真展「Paris」
松田健作写真展 そこに生きる人々■長南寿志写真展「生命力」
「アラスカ北極圏」河内牧栄・河内真樹子写真展

複数ジャンル
愛する美術 Part1
第5回高文連石狩支部美術部顧問展
田園都市のコンテンポラリーアート 雪と風の器
道教大札幌校美術科3年に属する10人の学生による絵画・版画作品展■立体展 作業着の女の子
KYOCYO展
Born in HOKKAIDO 大地に実る、人とアート
コレクション物語1977-2007 第Ⅲ章 北海道の美術 小玉貞良〈松前江差屏風〉から神田日勝〈室内風景〉まで
札幌大谷大学短期大学部美術科 第43回卒業制作展・第41回終了制作展・(同時開催)専攻科1年展・美術科1年展

たぴお記念25th + 13th異形小空間
第38回北海道教職員美術展
07→08
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■「Born in HOKKAIDO 大地に実る、人とアート」の全体について (1月24日で終了)

2008年01月31日 23時59分26秒 | 展覧会の紹介-複数ジャンル
承前)

 現代美術の端聡さんや鈴木涼子さん、絵画の福井路可さんといった面々は、この展覧会で新境地をひらいたというよりは、いつもの高水準の作品なので、とりたててここでは述べないことにします。

 さて。
 この展覧会全体のこと。
 開催されたこと自体は歓迎したいと思いますが、これまでの10年余りの間、道立近代美術館が「道内美術の現在」をフォローする作業をしてこなかったことに対しては厳しい評価を下さざるを得ません。

 同館は以前、「北海道-今日の美術」と題して、道内在住・出身の美術家数人をとりあげた展覧会を隔年で開催し、道立の他の美術館にも巡回させていました。
 それ以前は毎年「北海道現代美術展」などをひらき、審査の結果優秀作を買い上げていた時期もありました。同館が岸本裕躬さんや鵜川五郎さんの絵を所蔵しているのは、そういう事情があったのです。

 「北海道-今日の美術」は、出品者が「北海道現代具象展」を発足させるなどの副産物を生みながらも、1997年を最後に終了します。
 そのあとは、北海道の美術の現在を追いかける展覧会は、ほとんどおこなわれなくなってしまいます。
 この10年、同館が北海道関係の現役作家を個展でとりあげたのは、一原有徳、片岡球子(故人)、小川マリ(故人)、米谷雄平、安田侃、伊藤隆道…(敬称略)ぐらいしか思い浮かびません。
 とりわけ若手・中堅の評価という点で、同館にとっては「失われた10年」になってしまったことは否定できないのではないでしょうか。
 函館や帯広の美術館が毎年のように実力ある地元関聨作家の個展を企画し、札幌芸術の森美術館が意欲的な展覧会シリーズ「北の創造者たち展」を1年おきに開催してきたのとは対照的です。

 今回、美術館のグループ展としては多人数の出品をあおいだ上に、「北海道生まれ」ということ以外にはなんら共通点のない人選になってしまったのは、まさに「失われた10年」のツケがまわってきたということなのでしょう。
 
 道立近代美術館の学芸員は、この10年は展覧会を企画できなかっただけで、この間の動きもきちんと追っているのであれば、まだ救いはあるでしょう。
 もし、10年ぶりに道内の若手・中堅の展覧会をひらくことが決まって、やおら準備を始めたのだとしたら…。この期間中にデビューした若手作家にとっていちじるしく不公平になるのではないでしょうか。

 後者でないことを望んでいます。


07年11月1日(木)-2008年1月24日(木)
道立近代美術館(中央区北1西17 地図D
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夕張市役所にギャラリー*空いたスペース活用

2008年01月31日 23時02分56秒 | 新聞などのニュースから
 1月26日の北海道新聞空知版より。

 【夕張】財政再建団体移行に伴う市職員の大量退職で空きスペースが目立つ市役所2階を活用し、市教委は25日、展示ギャラリー「あずましい」を開設した。当面は市所有の美術作品を展示し、今後は一般にも開放する。

 「来庁者にゆったりしてほしい」という思いを込めて、「落ち着く」などの意味を持つ北海道の方言「あずましい」にちなみ、命名した。

 四季折々の夕張の炭鉱住宅を描き続けた夕張出身の画家、故畠山哲雄さんの作品のうち、遺族が市に寄贈した約400点から21点を展示。このほか、ベトナムの農村風景などを鮮明な色づかいで表現したベトナム人の作家ディン・ルックさんの版画5点も飾っている。

 市教委は「市役所に気軽に足を運んでほしい」と話し、今後は市内の児童・生徒や各サークルなどの作品も展示していく考えだ。


 おなじ話は朝日新聞道内版にも出ていました。
 それによると、ギャラリーの発案者は、以前夕張市美術館で働いていた源藤隆一さんだそうです。

 市美術館は加森観光の手で、閉鎖はまぬかれましたが、なんと冬期間は休館中なのです。
 つぎの記事をご覧ください。


 31日の北海道新聞空知版から。

書道と絵画 見事な作品*合同展、2日まで

 【夕張】42回目を迎える夕張書道連盟(原田青琴(せいきん)会長)と夕張美術協会(土屋千鶴子会長)の書道・絵画合同展が2月2日まで、市内清水沢の市民研修センターで開かれている。

 例年この時期に市美術館で開かれてきたが、市の財政破たんで美術館が冬季閉鎖され、今年は会場を同センターに移した。ただ、センター使用料が昨年から値上げになり、従来2週間の開催期間を6日間に短縮した。

 展示作品は新北海道美術協会展で昨年、協会賞を受賞した市内の桜井亮さんの新作「でっち」など絵画19点と書道27点。(以下略)


 ただの展覧会の記事ではなくて、使用料値上げで会期が短くなったことや、昨年の新道展で最高賞に輝いた桜井さんの新作が出品されていることなど、いろいろ話題がありますね。
 土屋さんは全道展会員、独立展会友として活躍しています。

 ちなみに、夕張には「連盟」を名乗る組織が、文化関係に限らず、いくつかあります。
 これは、本町や清水沢、南部など市内各地区にある「協会」の上部組織という位置づけのようです。もっとも、「協会」がかならず地区ごとに設立されているわけでもないようですが。
 人口が10万人以上いた時代のなごりなのでしょう。
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■特別展 誠忠義士傳(せいちゅうぎしでん)=1月28日で終了

2008年01月30日 23時18分09秒 | 展覧会の紹介-絵画、版画、イラスト
 幕末の浮世絵師で美人画を量産した三代豊国こと歌川国貞(1786-1864年)が晩年に手がけた「誠忠義士伝」の特別展。
 これが54枚そろって保管されているのは珍しいという話ですが、なんと、同博物館が公開するのは初めてとのことです。

 この浮世絵のシリーズは、有名な忠臣蔵の登場人物をひとりずつ描いたもので、かるたのようにいろは文字がひとつずつ添えられています。討ち入りが四十七士なので、数の近いいろはがるたの趣向にあっているのでしょう。
 たとえば、
大石内蔵助は「」、
堀部安兵衛は「
です。義士側だけではなく、いわば「番外」扱いで、高師直などの肖像もあります。

 さすが人物画は手なれているだけに、多くの人物の個性をていねいに描き分けています。
 長槍を持つ者、刀を振りかざす者・・・さまざまです。
 顔は、当時の歌舞伎役者のものです。たとえば、堀部安兵衛は八代目市川団十郎です。
 そのためか、文学的な悲壮感までは、表情からは感じ取れません。
 筆者は忠臣蔵の物語に明るくないのですが、見る人が見たら、どうして三村治郎左衛門が太い縄を束ねて背負っているのか、岡野金右衛門が頭に花束のようなものを載せているのか等々がわかって興味深いことでしょう。
 印刷状態はきわめて良好です。

 絵に添えられた言葉をぽつぽつ読んでいくと、10代から70代までいろんな人物がいたんだなあとか、ひとくちに赤穂浪士というけれど他国の人間がけっこう多いなあとか、いろんな発見がありました(というか、俺が知らないだけか)。

 それにしても、せっかく近代美術館に国貞の絵がたくさんあるのだから、2館の所蔵品をあわせてうまいこと展覧会はできないものでしょうか。
 筆者は小樽の博物館がこんな展示をしているとは、つい先日まで知りませんでした(知っていたらもうすこし早く行っていた)。ひっそりと公開して終わり-では、もったいないと思います。


          


07年11月7日(水)-08年1月28日(月)9:30-17:00
小樽市総合博物館(手宮1)
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■北翔大学大学院・研究生6人展 (1月19日で終了)

2008年01月30日 23時17分19秒 | 展覧会の紹介-絵画、版画、イラスト
 
 アップが遅れて申し訳ございません。
 この春、大学院修了などで北翔大を旅立つ6人のグループ展です。(長文です)

 こう書くとさしさわりがあるかもしれませんが、北翔大は旧浅井学園大時代から、札幌の美術シーンでは、道教大や大谷短大などと比べ、作家養成機関としてそれほど目立つ存在ではなかったように思います。
 公募展などをにぎわし始めたのはここ数年のことです。なかでも、ここに顔をそろえた6人の活躍は、めざましいものがあったといえるでしょう。

 今回は特別サービスで(?)、大きな画像で作品を紹介します。



 大学院2年生の石川潤さん「生命の旋律」(F200)です。
 これまでは、色のついているまるい「図」と、着彩のほどこされていない「地」が劃然と分かれていましたが、今度は全面に着彩され、より生命感のようなものがあふれる作品になっていると感じました。
 そのぶん、昨年のグループ展で見られたような、だまし絵的な効果は減退していますが、それはそれでいいと思います。

 石川さんは2006年、全道展、新道展、道展すべてに入選。昨年は道展で佳作賞を得るとともに、行動展でも入選を果たしています。




 大学院2年の大道雄也さん「つづくVII」(F100)。ほかに「つづくVI」(F150)も出品しています。
 20世紀の絵画の歴史は「脱・遠近法」「脱・透視図法」の歴史だったと言っても過言ではない側面がありますが、大道さんの絵はそれを逆手にとって、透視図法を前に押し出し強調することで絵画空間を成立させています。
 かくも「これが遠近法だっ!」と力んでいるみたいな労作を見ると、むしろユーモアさえ感じてしまいます。
 しかし、現実にはこんな空間はありえないわけで、遠近法を用いながらも純粋抽象画であるというおもしろい作品になっています。
 もう1点のほうでは、いちばん描出のむつかしい消失点附近をうまく処理することで、あらたな展開をみせています。

 大道さんは06年から2年続けて道展に入選しています。
 また04年の学生美術全道展で奨励賞を得ています。




 大学院研究生・小川豊さんの「もく0710」(P150)です。
 画面上方にライトが当たって見苦しい写真になってしまいました。ご容赦ください。
 今回の目録には、それぞれの生年は記されていませんが、小川さんが6人の中でいちばん年上ではないでしょうか。
 経歴をみても、2000年のサッポロアートアニュアルが最も古く、2005年の道展佳作賞、翌06年には小樽文化奨励賞、小樽市展北海道新聞社賞などに輝いています。新道展には2002-05年、道展には昨年まで3年連続入選しています。
 また、ことし8月20-24日には市立小樽美術館市民ギャラリーで個展をひらくそうです。

 小川さんの絵は、フクロウなどのデフォルメとして見ると、北方の森が持つ叙情性をたたえているようですし、抽象画として見ると、暖色のリズミカルなパターンが目を引きます。
 いずれにしても、どこかにあたたかみを感じる絵です。




 これから取り上げる3人はいずれも芸術メディア学科研究生です。
 草野裕崇さんの「夕暮れ」(180×180)。
 草野さんは近年の若手ではめずらしいぐらい、直球ど真ん中の抽象です。
 マスキングを駆使し、シャープな画面をつくっています。直線で構築された冷たさと、飛沫の生む熱さとが同居しています。
 そこには、ポロックをはじめとする抽象表現主義や、ポップアートなど、さまざまなアートの歴史がこだましているようです。

 この姿勢が評価されたのでしょう、2006年には北海道抽象派作家協会展に推薦されました。
 また、2005年には道展で新人賞を受賞、06年以降も入選を重ねています。




 2006年の新道展でみごと協会賞に輝き、昨年には会友に推挙された藤本絵里子さん「飛翔」(180×180)。
 これまでもっぱら海底の世界を描いてきた藤本さんですが、今回は海から大空へと飛び出しました。
 技法的にも、丸い板を並べるとともに格子状の箱を随所に導入し、集大成的な感があります。
 丸い板に星座図を描いているのがおもしろいです。ちょっと拡大してみます。
        
          

 かに、わし、おおぐま、水がめ、りょうけん、うしかい、しし(小じし含む)、いて、はくちょう、ペガサス、おおいぬ、さそり、うお、ケフェウス、ペルセウス…。
 見ていて飽きません。
 遙かな世界へのあこがれが具現化しているといえましょう。




 最後は、宮下佳菜未さん「かみさま…」(180×180)です。
 これも画面に光沢があるため、ライトが反射して見苦しい写真になってしまったことをおわびします。
 宮下さんの作品は、人物へとアリの群れがびっしり進んでいくという、一種神経症的な絵で見る人に強い印象を与えますが、今回は、アリの群れが反対向きです。アリは、中央にいる女性から遠ざかっているように見えます。
 さらに目を引くのは、中央の少女の手をしばっているのが米国旗であることです。
 そこに着目すると、地平線の下にうごめくのは、虐げられているイランの女性のように見えなくもありません。
 これまでひたすら自分の内部を見続けてきた宮下さんの表現世界が、広い外部へと目を向けていくきっかけの1点といえるのかもしれません。

 宮下さんは2006年に道展と新道展に、07年には道展に入選しています。


 6人は大学を巣立ちますが
「今後も何らかのかたちで表現は続けていきます」(藤本さん)ときっぱり。
 働きながらだとタイヘンだと思いますが、健闘を祈っています。


08年1月14-19日 10:00-18:00(最終日-17:00)
札幌時計台ギャラリー(中央区北1西3 地図A


□美術サークル 米-yone- http://www.hokusho-u.net/artyone/

新道展企画 第52回展受賞者展(07年12月、藤本さん出品)
第5回学生STEP-なんでもアリの学生アート展(07年11月=石川さん出品)
北翔大学美術サークル米-YONE- 夏休み直前追い込み美術展(07年7月=石川、大道、藤本さんら出品)
第34回北海道抽象派作家協会展(07年4月、草野さん出品)
学生STEP主催 卒業展(07年3月=藤本さんら出品)
浅井学園大学卒業記念3人展(07年2月=藤本、宮下さん出品)
新道展企画 第51回展受賞者展(06年、藤本さん出品、画像なし)
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■KYOCHO展 (2月2日まで)

2008年01月30日 00時27分36秒 | 展覧会の紹介-複数ジャンル
 展覧会の名は「協調会館」という建物に由来しています。

 この建物は、岩見沢市朝日町(旧栗沢町)にあり、以前は画家・彫刻家の田村宏さんがアトリエとして使っていました。
 さらに以前は、炭鉱で働く人の集まる会館だったので、こういう名前がついています。映写機置き場などがいまでも残っているそうです。

 田村さんが2005年に亡くなったあとは、いろいろな作家の作品置き場として使われており、数キロ離れた美流渡(みると)地区に住む美術家の林教司さんが管理しています。

 2001年の「永遠へのまなざし」展(道立近代美術館)の、岡部昌生さんの展示ブースで使用された頑丈な仕切り壁もあるそうです。
 これは、後に夕張の「創作の館」で保管していたあと、広島県でひらかれた岡部さんの個展で使われ、協調会館に引き取られました。
 林さんが昨年末に「たぴお」を引き継いだことから実現した展覧会だといえそうです。

 「たぴお」のサイトによると、出品作家は次のとおりです。

泉修次/伊藤零児/今荘義男/岡貞光/佐々木けいし/高田稔/高橋靖子
田村佳津子/田村宏/仲嶋貴将/野又圭司/森本三郎/横山隆/渡辺伊八郎

 このほか、林さんの絵画もありました。

 会場を見渡すと、こんな人も作品を預けていたのかと、ちょっと驚きです。
 林さんによれば、伊藤零児さんと渡辺伊八郎さん(いずれも故人)の絵は、大量にあるそうで、遺族も「扱いは任せる」といっているらしいです。

 冒頭画像の右側にある絵は伊藤さんの「死の旅路」です。
 伊藤さんは1925年(大正14年)札幌生まれ。自由美術協会会員として活躍しました。
 97年、自由美術北海道グループ展の飾り付けが終わったあと、行きつけの居酒屋で打ち上げの最中倒れ、そのまま帰らぬ人となりました。
 作品は、きれいか汚いかと問われれば、汚い画面の絵ばかりです。しかし、そこに、人間の真実を見据えようとする画家の厳しい視線がみなぎっていると思います。


           

 こちらは道内の抽象画をリードし、そのアトリエは若手画家の梁山泊として伝説化している渡辺伊八郎さんの大作。
 多くの作品を遺した伊八郎さんですが、これほど大きいのは初めて見ました。

 ほかにも力作ぞろいで、意外な組み合わせという魅力もあります。足を運ばれてはいかがでしょうか。


08年1月28日(月)-2月2日(土)
ギャラリーたぴお(中央区北2西2、道特会館 地図A
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■札幌大谷短大美術科 卒業制作展・修了制作展・専攻科1年展・美術科1年展(1月27日で終了)

2008年01月29日 23時51分43秒 | 展覧会の紹介-複数ジャンル
 正式名称は
札幌大谷大学短期大学部美術科 第43回卒業制作展・第41回終了制作展・(同時開催)専攻科1年展・美術科1年展

 おおむね毎年見ているはずなのですが、なぜか「北海道美術ネット」と別館に、見た感想を書いていることがほとんどありません。
 意図してないがしろにしてきたつもりは、まったくないのですが、道内では道教大に次いで美術家を数多く輩出してきた教育機関を、結果的に無視してきたことについては、申し訳ないと思います。

 会場で気になった作品について述べます。
 なお、出品者は全員女性です。2年生、専攻科、研究生などは区別せずに書きます。


 川嶋みゆき「風の旅」
 白い靴の片方を手にした少女が遠くを見つめ、足元には大きくタンポポの綿毛が飛び散る様子を、ややあおり気味の角度で描いた作品。綿毛の飛散には、絵の具の飛沫が効果的に用いられています。
 三角形の安定した構図、白や茶などにしぼり込んで統一感を出した色調など、まさに青春の旅立ち、卒展にふさわしい1枚だといえるでしょう。

 岩佐麻由「湿度」
 下半身をピンクのドレスで包み隠した女性が風呂場で髪を洗っていますが、その髪の泡が、水色や薄いピンク、黄緑などにわかれて著しく膨脹した情景を描いています。胸もあらわにした女性がおどろいた表情をしているのはもちろんですが、端が溶けかかったドレス、ひび割れの見える鏡、古池のような濁った緑を帯びた浴槽の湯、まるで水気のない床など、入浴中にしてはふしぎなことがいっぱい。しかも右手の窓には謎の手が見えています。

 渡邊ゆかり「通過点」
 青い服を着て立っている女性の腹を貫通しているレールと3輛編成の赤い列車がモティーフ。女性の周囲には、びんとも原発ともつかぬものが林立して、その頂上や、女性の首筋から白い煙が立ち上っています。ものの大小がいびつになったふしぎな世界を破綻なく描写しています。

 畑明日美「concert」
 3枚組み。綿のようなかたちをした造形物がぼーっと浮かび上がり、それぞれには窓がならんでついています。夕闇のようなふしぎなあたたかみに満ちた作品。

 加藤夕季「思い出」
 秋の日暮れ時、公園でしゃがむ女性を横から描いた、写実的な作品。女性の顔はうまく隠れて見えません。遠景は色とりどりの紅葉で明るいのに、近景の石がころがる道と女性は、青系を中心にまとめ、めりはりのきいたうまい仕上がりになっています。

 戸田遥「Tonight Tonight」
 胴体が鳥かごになっている少女と骸骨のツーショット。

 中田絵美「結(むすび)」
 表面を焦がした立方体30個を一列に床置きしています。

 水村春花「夕方の牧舎」
 最近の若い人にはめずらしい、泥臭いまでのリアリズムが、かえって新鮮に感じられます。

 津崎絵里「夕暮れ」
 踏切が水没しかかっているような一面の水の上で、カバにまたがる少女。頭の上には水道の栓がついています。発想は面白いので筆力を上げてくれればなおよくなるでしょう。

 林由希菜「夢想」
 単色の版画2枚組。海底都市にキノコのビル群、「ア・バオア・クー要塞」のように水中に漂うもの、海獣、ペンギンの群れ、漂うクラゲ…。イマジネーションにみがきがかかっているようです。おもしろい。

 折目桃子「garden」
 空想の家々による世界は昨年の会場でも異彩を放っていました。ことしは架空の家の群れは空中に浮かび上がり、地上の風景とふしぎな対照をなしています。

 奥平千春「千本桜・骸」
 古いスーツケースに入った和服の人形としゃれこうべ。人形の顔が吉井和哉に見えるのは筆者だけ?

 山崎沙弥花「生」
 緑の庭で、紫色のいすにすわっている赤のTシャツ姿の女性の肖像。背後には石や熱帯植物、木の柵、ピンク色の花などが見えます。なぜか記憶に残る作品。線路際の電柱をモティーフにした「戒」も出品。

 橋本祥子「無題」
 白石膏による、人間の立像ともなんともつかぬ異様な物体をおびただしく床の上にならべたインスタレーション。

 福井理絵「蘭鋳人形」
 見せ物小屋に行って着想した作品。顔にできものができた関節人形2体と旭日旗、ポスターからなっており、おどろおどろしさはかなりのもの。かわいらしいデザインのならぶ会場では異色です。


08年1月22日(火)-27日(日)
札幌市民ギャラリー(中央区南2東6 地図G)
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卒業制作もっとつながれ委員会

2008年01月29日 23時49分00秒 | アートに関するインターネット・ブログなど
 ことし、札幌でおこなわれる数々の卒業展を、まとめて売り出そうという動きがあることを、うすうす察知してはいたのですが、具体的にどんな取り組みなのかはわかりませんでした。
 北海道新聞1月24日朝刊を読んで、疑問が氷解しました。

ツアー気分で芸術を 卒業制作発表 札大谷短大で第一弾

 道内の芸術系大学など14校の卒業制作展と卒業演奏会を一つのツアーに見立てた催し「偉大なる未知のアーティスト展」(実行委主催)が23日、始まった。第1弾は札幌大谷短大の作品展(札幌市中央区・札幌市民ギャラリー)で、3月下旬まで順次、各校の展示や発表会が続く。

 各校の卒業生の作品・発表を見比べてもらい、併せて学校間の交流も深めようと、北翔大芸術メディア学科4年の佐藤綾香さん(22)ら学生有志9人が初めて企画した。

 従来、各校独自に行ってきた卒業生による作品展や発表会をまとめて外部に紹介し、ツアー感覚で楽しんでもらおうという趣向。大学8校、専門学校5校、高校1校をとりまとめた。企業スポンサーを募り、パンフレット5000部、ポスター100枚を作製、インターネットのブログも開設した。

 佐藤さんは「学生が全身全霊で取り組んだ作品ばかり。入学希望者や企業関係者も、ぜひ来てほしい」と、呼びかけている。日程や会場など詳細は実行委のブログhttp://so2sei.blog29.fc2.com/へ。


 学校は、道教大各校、北翔大、大谷短大、北海道芸術デザイン専門学校、北海道造形デザイン専門学校、CAIアートスクール、市立高専、専門学校札幌デザイナー学院、道都大、札幌大谷高校。
 筆者が注目している「専門学校札幌ビジュアルアーツ」は入っていません。

 冒頭画像は、そのパンフレットです。

 
 で、せっかくの学生の頑張りに水を差すようなことを書くみたいで、わるいのですが…。

 若者たちが全身全霊を込めて作った-というのは、確かにその通りです。
 卒展ならではの良さはそこにあるでしょう。

 ただ、出品者のうち8-9割は、卒展と同時に札幌のアートシーンから姿を消してしまうことは、確実なわけです(道教大は別。あそこは、何らかの形で制作を続ける人が多い)。
 残った作家の卵たちも、30歳あたりを境にして発表をやめてしまう例がほとんどです。
 ここにならんでいるうち大半は、作家としてやっていくつもりのない人たちの作品なんだと思うと、すこしさびしくなります。
 一生懸命にやっている出品者のみなさんには申し訳ないのですが、そういう作品を、熱を入れて見るのは、なかなかキビシイものがあるのです。

 なので、卒業後も制作をつづけるつもりの人は、卒展に力を入れてそれでオシマイ-というのは無しにしていただきたい。
 おびただしい作品群のなかの1点なんて、そうかんたんには、人の目にとまりません。
 ぜひとも個展で勝負してほしいのです。

 なお、言わずもがなですが、なんだかんだいって筆者は毎年可能なかぎり、各種の卒展に足を運んでいます。
 もちろん、ことしも見に行きます。
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無縁坂・池之端・本郷かいわい (東京08 ハ)

2008年01月29日 11時29分16秒 | つれづれ写真録
  
 「無縁坂」に文京区教委が設置した案内板や、あちこちのサイト、ブログでは、この坂は、文豪森鴎外「雁」で、主人公・岡田の散歩コースであったために有名である-という説明がなされています。

 しかし、散歩の道順だったというぐらいでそんなに知名度が上がるでしょうか。
 疑問を抱いた筆者は、むかし読んだ「雁」を書棚に探しましたが、見あたらなかったので、市立小樽文学館の古本コーナーで日焼けした岩波文庫を買いもとめ、再読しました。

 その頃から無縁坂の南側は岩崎の邸(やしき)であつたが、まだ今のような巍々(ぎぎ)たる土塀で囲つてはなかつた。

 土塀というよりは、石垣のようですが・・・。

 ともあれ、この坂の上に、主人公の岡田と、小説の語り手である「僕」の下宿があったのです。




 坂の北側はけちな家が軒を並べてゐて、一番体裁の好いのが、板塀を繞(めぐ)らした、小さいしもた屋、その外は手職をする男なんぞの住ひであつた。店は荒物屋に烟草(たばこ)屋位しかなかつた。中に往来の人の目に附くのは、裁縫を教へてゐる女の家で、昼間は格子窓の内に大勢の娘が集まつて為事(しごと)をしてゐた。(中略)その隣に一軒格子戸を綺麗に拭き入れて、上がり口の叩きに、御影石を塗り込んだ上へ、折々夕方に通つて見ると、打水のしてある家があつた。(中略)そして為事物(したてもの)師の家の賑やかな為めに、此家はいつも際立つてひつそりとしてゐるやうに思はれた。

 この家こそ、悲劇のヒロイン「お玉」が、高利貸しの末吉に囲われて(=「妾」となって)ひっそりと住んでいた家だったのです。



 だから「散歩コース」というのは間違いではないにせよ、この坂を岡田が行き来するうちに、お玉と顔見知りになり…という筋書きなのですから、「雁」は、この坂なしでは成立しない小説なのです。
 お玉の家は、作中「無縁坂の家」とよばれています。

 「雁」には、ほかにもいろいろな東京の地名が出てきますが、無縁坂は、単なる散歩の道順ではなく、まさに「雁」の舞台なのです。

      

 「雁」は薄い本で、読み終わるのに2時間かかりません。
 値段も安く、文庫本で300円ほどです。
 その程度の手間を惜しんでつづられたブログの多いことに、あらためて驚きました。そして、なんでもかんでも安直にコピペで済まさぬよう自戒したいと思いました(もちろん、ちゃんと小説を読んで書かれたサイトもありますが)。

       

 「雁」は、運命の残酷さを、簡潔な筆致で見事に描いています。
 だからこそ、さだまさしは歌の舞台に選んだのかもしれません。
(なお、この曲は元々さだまさしのレコードではなくて、「グレープ」の曲として発売されました)




 無縁坂を上り詰めたところに、東京大学の鉄門があります。
 ここをくぐると医学部はすぐです。
 岡田や「僕」は学校にずいぶん近いところに下宿していたのですね。






 キャンパスの中は古い建物が多く、散歩していて気分が落ち着きます。とても良い風情です。


           

 本郷かいわい。
 もうすこし散歩したかったです。


           

 薄暮の不忍池。


           

 ここで夕食を取りました。
 上野公園の中といってもよいロケーションにあり、日本で最も古い洋食店のひとつだと思います。
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■『カナコ雪造カンパニー』~除雪原風景へのオマージュ~ (1月26、27日)

2008年01月28日 22時42分45秒 | 展覧会の紹介-現代美術
 
 「除雪」は、北国に住む人間にとって大きな悩みの種です。
 筆者も、雪かきをするたびに
「シジフォスの神話」
ということばが頭をよぎってむなしい気持ちになり、あわててそれを打ち消します。(だって、いくらどけても、4月にはきれいさっぱり消えているんですからね)

 除雪にそそぐエネルギーのうちの一部でも、もっと肯定的な方向にふりむけられないだろうか…。
 今回、2日間にわたって繰り広げられた「雪造カンパニー」には、そういう思いや願いが込められていたのではないかと想像します。
 家にとじこもりがちな冬を楽しく-。これは、さっぽろ雪まつりなど、多くの冬のイベントの出発点です。ただ、今回の「カンパニー」が、あえて「雪像」と銘打たなかったのは、もっと幅広い「造形」に取り組んでみよう-というねらいがあったのでしょう。
 雪の造形を、会社組織に見立てたメンバーで行い、「社長」や「秘書」などの肩書きをつけたのも、遊び心の現れです。
 社員は、秀岳荘が提供した赤い防寒ユニフォームに身を包んでいます。目立つ!(社長だけ青)

 冒頭の画像は、燃える雪の実演。
 ティッシュボックスのかたちに整えた氷に、アルコール度95%という酒を浸らせて、火をつけました。
 なかなかきれいですねー。
 こういうのがあるので「雪造」なんですねー。


 筆者は夕方に現地を訪れたため、この画像に限らず、いずれもアンダー気味に撮影しています。そのほうがかえって雰囲気が出ると思われたからです。ご了承ください。




 「社長」ならぬ「車掌」のウリュウユウキさんは、雪でつくった額縁に、モノクロ写真を飾りました。
 この近所で撮った路面電車などの写真を即座に焼いて、持ち込みました。
 雪の白とモノクロ写真は、とても合っているようです。

 ウリュウさんのblogには、夜になってあかりをともして展示している情景が出ています。


 ケータイで撮った写真のアーチを、すでにアップしましたが、これは北大と道都大の学生がエイヤっとこしらえたものだそうです。
 北大の学生は土木専攻だそうで、さすが土木。
 アーチの中には芯などは入っていません。


          

 雪に、色とりどりの風船を埋め込んでいるのは、トリッキーな立体作品で知られる藤本和彦さん。
 あとで、この風船群を割って、その衝撃でできるくぼみが作品になるのだと聞きました。
 風船を割るパフォーマンス、見たかったです。


          

 「走る雪造」にとりくんでいるのは、「秘書」クッシーさん。
 この季節になると、車の屋根に雪を積んだまま走っている無精者をよく見かけますが…。


                

 「役員待遇」ニシダくんが作った「雪の繭玉」。
 かわいらしいですね。

 遠藤社長によると、となりの医院の駐車場の雪かきを買って出たり、近所の雪かきをしてあげて造形の素材の雪を調達(おお、一石二鳥!)したりといった、附近を巻き込んだ動きもあったそうです。
 歴史の古い山鼻地区らしい、イイ感じのとりくみだと思います。
 
 現地ではきょう28日に撤収作業がおこなわれたはずで、このエントリを読んで行ってみても、跡形もなくなっているでしょう。
 もったいない話ではありますが、この潔さも、現代美術ならではという気がします。
 変なたとえかもしれませんが、関根伸夫「移相-大地」が現存しないからといって、あの作品の意義が薄くなるとは思えません。
 「いま-ここ」を際だたせる面が、雪の造形にはあるのではないでしょうか。


08年1月26日(土)・27日(日)
PRAHA2+deep sapporoと近隣住宅の玄関前(中央区南11西13)


●2月14日(木)-17日(日)、ナカノタナ市場前・ぷらっとパーク(岩見沢市4西2)でも行われます。






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「カナコ雪造カンパニー」を見ていて、「ヒロケンズ」を思い出した

2008年01月28日 22時42分15秒 | 街角と道端のアート
 雪を題材にしたアートは、あちこちで手がけられています。
 筆者にとってわすれられないのは、99年の冬、若手コンビ「ヒロケンズ」がプラハ周辺で行ったプロジェクトです。

 当時の北海道新聞(札幌市内版)から引用します(記事は筆者による)。

 札教大3年生の谷口顕一郎さんと長谷川裕恭さんのユニット「ヒロケンズ」が「Fruits Study」と題した展覧会を企画。札幌のフリースペース・プラハ(中央区南15西17)の庭など市内20カ所の街角に同じ形の小さな雪像を配置した。

 雪像は、高さ約40センチほどの木枠に雪を詰めて制作。果物にヒントを得た絵をかいた紙を入れ、オレンジに着色した小さな氷を載せた。プラハを中心に、山鼻、伏見地区の路上にこっそりと設置。「地図の上で設置個所をつなげるとリンゴの形になるんです。すぐに壊れちゃったのもあるけど、歩いて全部の所在を確かめた人もいました」と長谷川さん。「全体の形は見渡せなくても空間的な広がりがある造形作品が可能だと思ったんです」

 時間とともに消える彫刻の意味、都市空間と作品のかかわりなど、思考を促す試みだ。プラハでは28日までだが、街路の作品は解けるに任せる。


 けんちゃんこと谷口さんがまだ「凹み」に取り組む前の話です。
 ただ、地面へ向かう視線という点では、いまと共通しているのかもしれません。
 また、長谷川さんは道内の地方の学校で教壇に立ち、道展にはユニークな彫刻を出品しています。「チープな素材を生かす」という点では、いまと同じです。

 あと、2001年の「ART MEETS 2001」もなつかしいですね。
 古幡靖さんや、当時の高専の学生が、雪を用いた作品を手がけていました。
 昨年のMOERE SNOW SCAPEも興味深かったです。

 でも、問題意識の広がりという点では、この「ヒロケンズ」をしのぐ作品は思い当たらないのです。 
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■久野志乃と齋藤周展 かるいからだ (1月27日で終了)

2008年01月28日 21時44分06秒 | 展覧会の紹介-絵画、版画、イラスト
 
 小さなキャンバスやドローイングを組み合わせる展示方法で、非常に精力的な制作・発表活動にとりくんでいる齋藤周さんと、現代美術的なパフォーマンスと絵画双方のフィールドを自在に行き来し、昨年末には台湾でアーティスト・イン・レジデンスを終えたばかりの久野志乃さん。
 札幌在住の若手画家による2人展です。

 展覧会タイトルは「かるいからだ」。
 2人とも個々の絵に題はついていません。
 画風に近いものがあるためか、2人の絵が相互に浸透しあい、まるで個展のような雰囲気すら感じられます。

 齋藤さんは、昨年11月に京都で、ことし1月上・中旬に東京で個展をひらいたほか、札幌でも昨年11月には「500m美術館」にも大規模な平面インスタレーションを発表し、春にはライブドローイングを展開するなど、非常に意欲的です。
 このあと、2-3月には札幌・ポルトギャラリーで、ベテラン抽象画家の後藤和子さんと会期をあわせて個展をひらくそうです。
 もっとも、ご本人はひょうひょうとしていますが…。

                 


 今回は、500m美術館のときなどにくらべると、キャンバスの密度が薄めというか、キャンバスとキャンバスの間隔がやや離れています。

 その代わりといってはなんですが、これまで、さわやかに少女の姿態を描いてきたドローイングの画風が、変化しています。
 ご本人のことばをふまえると、フェティシズム的というか、のぞき見的なところが感じられます。


          

 「最初のころの個展に戻ったというか…。あのころ(1999年ごろ)は裸婦ばっかり描いてたんです」
 ひとつひとつの絵が「濃く」なったので、キャンバスを減らして密度を薄くしたとのことでした。
 ちなみに、今回は38枚がばらばらに配置されています。紙に描かれたドローイングは、出品されていません。


          


 一方、久野さんも、「記憶」をテーマとしたパフォーマンスに取り組む一方で、昨秋の「絵画の場合」展に大作を何点も並べるなど、活発に活動しています。
 レジデンス先の台湾のスタジオがとても広く、絵をかきたくなって現地でロールキャンバスを購入し、それをじかに壁に貼って描いていたとのこと。帰国後に枠に貼るつもりでしたが「このままでもいい」と思い直し、キャンバスをそのまま展覧会場の壁に貼るスタイルの展示になりました。

 この上の画像は、ビルの屋上をモティーフにした1枚。
 ビルの下側は省略されていますが、それがかえって作品に快い浮遊感をあたえています。


          

 下半身しか登場しない少女。あるいは、木の枝にぶらさがってあそぶ少女。
 久野さんによれば「自画像ではない」とのことですが、どこか、過去の作家自身がだぶっているような印象を受けます。


          

 暖色が多くなり、見違えるほど明るくなったことは、まちがいないところです。
 モティーフもあいまいさを増しています。久野さんの絵は、大きく変化している途上といえるのかもしれません。

 アップが、会期中にまにあわず、どうもすいません。


08年1月19日(土)-27日(日)10:00-18:00、火曜休み
茶廊法邑(東区本町1の2)


□artscapeの、昨年11月に京都でひらいた個展のレビュー http://www.dnp.co.jp/artscape/exhibition/review/071201_04.html
□コミュニティFM「さっぽろ村ラジオ」で齋藤さんを紹介したエントリ http://blog.livedoor.jp/obi813/archives/51188952.html(06年11月)

PLUS One Groove(07年8月)
齋藤周「3月の次から」(07年3月)
06年6月の個展
06年2月の個展
絵画の場合2005アーティストトーク
札幌の美術2004(画像なし)
個展「横移動の座標軸」(03年)
個展「細かい情感のイメージ」(03年)
個展「NEXT STEP」(02年、画像なし)
個展「多面に存在していくこと」(02年、画像なし)
01年の個展(画像なし)


久野志乃個展(05年)

□久野さんの台湾での活動(エスエアブログ) http://sair.exblog.jp/6953338/

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08年1月26日。雪。27日、晴れ

2008年01月27日 23時44分38秒 | つれづれ日録
 
 1日おいてまた大雪になった。

 朝5時起床。
 原稿を1本書いて、6時半から雪かき。
 7時20分に出て、某所に立ち寄ってから小樽へ。
 岩内行き高速バスに乗ろうとすると、運転手さんが
「高速が吹雪で通行止めなので、国道経由で行きますが」。
 一瞬足が止まったが
「さいきん、JRも雪に弱いしなー」
と考え、そのままバスに乗る。

 結果的に、この判断は誤りだった。
 小樽まで2時間あまりもかかってしまったのだ。

 窓の外をいくら眺めていても飽きない筆者ではあるが、さすがに長かった。

 唯一の収穫は
渋滞の始まりはどうなっているか
という、あの歴史的難問の解決を見たことだ。

 つまり、渋滞の先頭は、事故現場だったのだ。
 それも、2度も。

 小樽から市内線に乗り換え、手宮へ。
 旧手宮駅にある小樽市総合博物館で特別展 「誠忠義士傳(せいちゅうぎしでん)」を見る。
(28日まで)


          

 総合博物館の前庭は、交通博物館になっていて、いろいろな列車の車輌が保存されている。
 夏はSLの運転もおこなわれ、子どもたちでにぎわうが、いまはひっそりしている。 


 雪に埋もれた手宮の町は古びて美しく、カメラを持って歩きたいという欲望にかられる。ここから小樽駅までは、時間さえ許せば歩ける距離ではある。
 だが、きょうはいかんせん寒すぎる。
 近いうちに、防寒をしっかりして、再訪することを誓う。

 なつかしい手宮のバスターミナルから市内線に乗り、花園十字街で降車し、古屋ギャラリへ。「新春展」を見る。



 写実的傾向の小品の油彩、水彩がならんでいる(1点だけ漆絵)。
 そんななかでも、三宅悟さんや松田孝康さんは、小さい画面に個性を見せている。
 27日終了。

          

(画像は、花園の歓楽街)


 坂を下りて花園のラーメン店でしょうゆラーメンを食い、サンロードを通って、市立小樽美術館と文学館に寄る。
 文学館では、「小林多喜二の投稿時代」と題して、若い時代の多喜二に焦点を当てたコーナーができていた。
 このほど見つかった多喜二の第一作「老いた体操教師」については道新にも出ていたが、これは、すでに昨年、講談社文芸文庫の一冊に収録されて刊行されている。道新の扱いが意外と小さかったのも無理はないだろう。

 さすがにバスはもうこりごりで、JRの快速に乗る。

          

 琴似でおりて、北都館へ。

 筆者は1969年まで琴似に住んでいたが、当時のおもかげをのこしている街角はほとんどない。
 バス停の前にある家具屋「リビングのごとう」は、ほとんど唯一の例外である。なつかしい。

          


この項続く
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08年1月26日。雪。27日、晴れ(続き)

2008年01月27日 23時42分32秒 | つれづれ日録
承前。画像と文章は直接関係ありません)

 東西線で西11丁目へ。
 コンチネンタルギャラリーで「スペインスケッチ展」。
 東急観光が、版画家の渡会純价さんを講師役にした欧洲ツアーを1996年から毎年企画していて、人気のツアーだったのだが、昨年を最後に終わってしまったのだ。
 以前渡会さんにお会いしたときに
「ぼくが定年になるまで続けてくださいよ」
とお願いしたのだったが、むりだったか。ざんねん。
 渡会さんもことしで72歳。いつまでもお若い方だが、さすがに毎年の欧洲はきつくなってきたのかもしれない。
 ことしは、例年になく銅版画の展示が多かった。

 地下鉄を、さっぽろで降車し、鉄道病院前からバスに乗ろうとしたが、いつになく待たされた。
 北26東1で降りて、まもなく陶芸展の終わろうとしている「粋ふよう」へ。
 いそじ陶房としろくま陶芸舎の合同展。かわいらしい置物やあかりがあった。
 ふたたび北26東1。こんども10分近くバスが来ず、寒い。
 北15東1でおり、北13条東から東豊線に乗って、環状通東駅へ。茶廊法邑でかるいからだ展。27日で終了。

 ここでくたびれきって、ギャラリー回りを打ち切り。
 ほんとは、たぴおに用事があったし、カナコ雪造カンパニーにも行きたかったのだが・・・。




 27日。
 寝坊。午後から出かけて、市民ギャラリーの札幌大谷短大卒業・修了制作展と、praha2+deep sapporoでのカナコ雪造カンパニーを見る。
 ここで、家族と合流し、藻岩山のふもとにある回転ずし「H」へ。
 なにを食ってもうまい。とくに、花咲ガニの鉄砲汁が280円台というのは、ありえない!

               
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カナコ雪造カンパニー続き

2008年01月27日 17時25分10秒 | 展覧会の紹介-現代美術
会場のライトアップも始まりました。
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