北海道美術ネット別館

美術、書道、写真の展覧会情報や紹介。2013年7月末、北見から札幌に帰還。コメント、トラバはお気軽に。略称「ほびねべ」

2016年6月の主な展覧会

2016年06月30日 23時59分59秒 | 主な記事へのリンク
 2016年6月のおもな展覧会の記事へのリンクです。
 書き終わっていないエントリには、まだリンクがはられていません。

 ■■は、エントリ更新時に開催中の展覧会を、■はすでに終わった展覧会です。
 カテゴリー分けは厳密なものではありません。


現代美術
鈴木果澄個展 ある神話のはなし


絵画・版画
■■有元利夫展
■■木版の夢―小樽に版画の種を蒔く
■■小樽洋画研究所と中村善策
■Wave 12人展
第17回 グループ環展
生誕100年記念 砂田友治展
永井美智子個展
野口秀子個展
永野曜一個展
森山誠個展
第50回記念白日会北海道支部展
鈴木秀明個展
西辻恵三展 月人―最終章―


彫刻
加藤宏子彫刻展
鈴木吾郎展


工芸
山根広充展 竹藍―CHIKURAN
内山恵利個展 あおい部屋
ひかりとかげの五月 忠村香織(草) 西山雪(硝) 船山奈月(木) 
クリスノゾミ アクセサリー展


写真
Sapporo Section 3 : [記憶と記録の札幌]
東松照明写真展 太陽の鉛筆
Ciao Photo Focus


複数ジャンル
■北海道・いまを生きるアーティストたち ともにいること ともにあること
街 Crossing 中橋修×本田滋
空(クウ)なる水(スイ)は待ち侘びて
つながろう2016 Hard/Soft


団体公募展
第71回 全道展 ■続き
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ここではないどこかへ

2016年06月30日 22時36分43秒 | つれづれ日録
 …などと気取ったタイトルをつけていますが、要は、6月後半は、行ったことのない展覧会場に足を運ぼうとしたわりには、スケジュール管理に失敗し、行かずじまいで終わってしまった箇所がかなり存在する―という反省の弁です。

 「札幌圏には、絵画や写真などを展示する会場が100カ所以上ある」
と以前書いて、多くの人を驚かせたことがあります。
 それは間違いではないのですが、じつは、定期的に展示を行っている会場はその半分に達しません。
 1度行って、再訪したことのない会場もたくさんあります。
 ただ「行ったことのないギャラリー」って、なんだか、ものすごく行きたくなるんですよね。
 その気持ちが、今回の記事のタイトルにこめられています。

 たぶん
「はじめて訪れるギャラリーや展覧会場へ行く」
という行為が
「ここへはないどこかへの、小さな旅」
になっていると思うんです。

 とはいえ、これは、やるべきことをやっていない言い訳ですね。

 こんなことを言うとしかられそうですが、狭い会場で開かれている、人数の多いグループ展(とくに写真やイラスト)は、経験則では、わざわざ忙しい中行かなくても良かったかなあ~と思うことが多いんです。
 ただ、そうはいっても、時間の許す限り、行けるところには行きたい。
 そうして、ウイークデイにあくせく駆け回って、週末に寝坊したり、体調を崩したりして、けっきょく行かなかった展覧会がいくつもあるのですから、自分でもほんとうにバカだなと思うのです。

 もちろん、仕事をしていなかったら、行きたい展覧会すべてに足を運ぶことは可能でしょう。
 だけど、それでは生活できなくなってしまいます。あたりまえですけど…。



 ここではないどこかへの、小さな旅、という文脈で、6月25日のことを書いておきます。

 雨のなかを、真駒内駅から gallery kamokamo へ行き「山根広充展 竹藍―CHIKURAN」を見ました。
 山根さんは北見の出身で、小学校、中学校とも家人と同じであることがわかり、おもわず北見の話で盛り上がってしまいました。

 それから南下し、真駒内川をわたりました。
 降り続く雨で水が濁っています。

 橋をわたるとすぐに、有名ラーメン店の白樺山荘の前まで来ました。
 昼食をとるかどうか、迷っていると、駐車場整理で立っていた男性に「いらっしゃいませ」と声をかけられました。気の弱い筆者は、扉を押して、みそラーメンを食べました。

 さすがにうまかった。
 筆者が入った直後からお客さんが引きも切らず、店内は満杯になりました。

 さらに坂を上っていきます。

 この国道は、左側に真駒内川、右側に真駒内柏丘の住宅地や山林が広がり、札幌芸術の森へバスで行くときにかならず通る道です。
 しかし、歩いていくことはめったにありません。
 筆者は、柏丘の住宅地が、道路際の幅の狭いところだけではなく、かなり奥まで続いていることを、はじめて知りました。
 といっても、山の上の方までずっと続いている道路は2本だけのようですが。

 筆者が向かったのは、その2本の道路のうちの1本に沿った、住宅街のまんなかにある喫茶店。

 「珈琲工房」の看板を掲げているだけに、店内には自家焙煎の香りが漂い、コーヒーはうまいです。

 ここで、写真の2人展が開かれているというので訪れました。
 モノクロのプリントはなかなかのもののようですが、いかんせん展示されている位置が、かもいの上のような高さで、かなり見づらかったです。
 壁には水彩画の大作がいくつも掛かっていて、外すのがたいへんだったのかもしれませんが…。


 ここからさらにバスで、上流側に南下して、見たい写真展があったのですが、この日は仕事に行きました。
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6月29日(水)のつぶやき その2

2016年06月30日 00時53分32秒 | 未分類・Twitterのまとめ・その他
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6月29日(水)のつぶやき その1

2016年06月30日 00時53分31秒 | 未分類・Twitterのまとめ・その他
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■Sapporo Section 3 : [記憶と記録の札幌] (2016年4月2日~6月29日、札幌)

2016年06月29日 16時42分17秒 | 展覧会の紹介-写真
 作家7人が札幌を見つめ直した作品と、「特定非営利活動法人北海道を発信する写真家ネットワーク」が北1条通りの地下通路で展開してきた「北一条さっぽろ歴史写真館」のこれまでの展示をまとめたプリントの2部構成からなる。

 7人は、木村伊兵衛賞を受けた本城直季、オランダ出身で札幌の天神山アートスタジオにアーティスト・イン・レジデンスで滞在するInge Trienekens (インガ・トリネケンズ)、それに札幌ゆかりの山本顕史、北川陽稔、竹本英樹、メタ佐藤、佐藤雅英の5人。山本さんら4人は、どちらかというとアート寄りのフィールドで活躍しているという印象があり、そのカテゴリーで言えば、まさに代表的な創り手といえると思う(これに藤倉翼さんが加われば、顔ぶれがさらに強力になるという感じかな)。
 それに比べると、佐藤雅英さんは1946年生まれのベテランで、札幌交響楽団(札響)の団員や道内芸術家(画家や書家)の肖像写真など、世間一般がイメージする写真家というものに近い活動をしてきた感が、筆者にはあるのだが、個人的にいちばんうならされたのは、その佐藤さんの、旧北大恵迪けいてき寮をテーマとした一連の写真だった。
 寮歌「都ぞ弥生」で知られる恵迪寮の建物は明治期に建てられ、1983年に取り壊されて、現在の建物となった。取り壊しの直前、寮側から委嘱されて、記録写真を撮ったのが佐藤さん。バンカラ学生の日常が詰まった部屋や廊下には、中森明菜のポスターとマルクス、毛沢東の肖像画が、「日本型ファシズムを許すな!」といったアジビラと、おそらくどこかの店先から拝借してきた看板とが、渾然一体となっている。この時代らしいなとも思う。
 寮生がひとりもうつっていない寮の中をとらえたあと、名物行事だった「じゃんぷ大会」の様子を紹介し、幻想的なポプラ並木の1枚で締める構成もあざやか。
 まさに「記憶と記録」というテーマにふさわしい。

 北川さんは旧作だが、「なつかしい未来」の被写体のひとつに、バスセンターがあるのがミソ。展示場所のすぐそばなのだ。
 竹本さんも、プリント自体はすでに発表したものだが、ひとつひとつを古い木箱におさめている。鑑賞者はふたを持ち上げて見る仕掛けになっており、記憶の封印を解くのにふさわしいスタイルといえる。


 なお、500m美術館では「MyCollection」展も開催されていた。
 市内のコレクターが集めた作品が並んでいた。その過半が、ギャラリー門馬、CAI02、cojica cafe、ト・オン・カフェで発表した道内作家の作品である。
 ひねくれた見方をすれば、札幌時計台ギャラリーやギャラリーミヤシタや北海道画廊でも絵画を中心にした美術作品が買われているはずなのにそれらが全くといっていいほど登場しないあたりに、500m美術館かいわいが表象する「札幌の現代アート」業界の狭さが見て取れる。実態はどうあれ「現代アート業界はごく一部の内輪の人のもの」という印象を鑑賞者に与えるのだとしたら、それ自体は決して良いことだとは思えないのだが。

 

2016年4月2日(土)~6月29日(水)午前7:30~午後10:00(最終日のみ5:00まで)
札幌大通地下ギャラリー500m美術館

http://500m.jp/exhibition/3744.html
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■特別展「木版の夢―小樽に版画の種を蒔く」 (2016年4月23日~7月3日、小樽)

2016年06月29日 01時11分11秒 | 展覧会の紹介-絵画、版画、イラスト
 小樽市は人口12万、13万人ほどであるから、そこの市立美術館が地元の美術などをキーワードに企画展を開く場合、地元では有名だが全道・全国的な水準では遜色有り―という内容になっちゃいそうなものなのだが、なかなかどうして、そういうふうにならないのがすごい。
 今回も「小樽と木版画」がテーマの5人展なのだが、棟方志功、斎藤清、成田玉泉、河野薫、金子誠治という顔ぶれで、最初の2人が小樽ゆかりと聞くと、おどろく人も多いのではないだろうか。

 このうち、カギとなる人物が、成田玉泉(1902~80)。
 弘前生まれで、のちに小樽の小学校などで教壇に立った時代があった。その1929年(昭和4年)、同郷で、まだ駆け出しだった棟方志功を小樽に招いて、講演会を開いたという。そこに来たのが、のちに会津地方の雪景色を題材とした版画で著名となる斎藤清、戦後の道内版画界のさきがけとして活躍する河野薫や金子誠治だったのだ。当時斎藤は小樽に住んでいた。
 それにしても、小樽を舞台にこんな出会いがあったとは。

 棟方志功のこのときの北海道行きについては自伝「板極道」(中公文庫)に書かれている。
 彼は、戦後の1947年にも個展開催にあわせて小樽を訪れ、市内山田町の光亭(北海製罐の関連の建物)に滞在したとのこと。
 今回の展覧会は、いわゆる代表作というより、揮毫や油絵などもあって、なかなかおもしろいセレクト。
 と思ったら、これらは同館の所蔵のようである。

 成田は、一般的にはあまり知られていない。
 1931年、横浜に移り、45年に一時小樽と札幌に疎開したが、その後は、棟方が発足した日本板画院で活躍した。知名度が低いのは、戦前の代表作が戦火でほとんど焼けてしまったのも一因らしい。
 こんかいは、新たに収蔵した6点と個人蔵の2点を展示。「オタモイ海岸」は、最近妙に話題になっているオタモイ遊園地の弁天閣が遠景で見える。「札幌大通公園の雪景」も、戦前の創作版画の流れをそのまま受け継いだような、味わい深い作だ。

 斎藤清は19点もあり、同館の4点をのぞき、15点が夕張市教委の所蔵である。
 斎藤は幼少時、夕張に住んでいたため、当時の夕張市美術館は財政的に厳しいなかでもこつこつと彼の版画を買ってコレクションしていたのだ。
 雪の重みで建物がつぶれ、2013年に閉館した夕張の美術館のコレクションは、岩内の木田金次郎美術館などでもその後公開されているが、このようなかたちで活用されるのは良いことだと思う。

 作品としては「会津の冬」シリーズがやはりすばらしい。重たげに積もった雪を簡素な線で表現しており、雪国の静けさまでが伝わってくるよう。
 一方で「朝市 パリ」など軽妙洒脱な作もあり、画風の幅広さを感じさせる。

 河野金子はほとんどが市立小樽美術館の所蔵。河野に1点、個人蔵がある。また河野の「そり」はセリグラフだ。
 河野は縦構図の少女像が良かった。シベリア抑留中に会いたがった娘への思慕が根底にあるのだという。
 小樽での教職を辞して上京後は海外の展覧会への出品も多く、49歳での逝去が惜しまれる。

 5人のなかで、「道内で活躍した」と形容できるのは金子ひとりだけである。
 生まれは砂川だが、5歳で小樽に移って以来、もっぱら拠点は小樽で、80歳になるまで活躍した。
 1940年の「ときのこえ」など、戦時色を感じさせるが、戦後はヒューマニスティックな視点が光る。「或る報道から」は、アフリカ難民を題材にした作品で、版画のシンプルさが説得力を増していると思う。

 筆者が鑑賞中、会場では「お茶とお菓子のおふるまい」なる席が設けられ、参加しませんかと何度も声をかけられた。美術館をもり立てようという市民の善意を否定するつもりはないが、美術品を展示する会場で、食品(とくに色のついた液体)を取り扱うことは、あまり感心しない。BGMも、音量は絞っていたが、茶席に必須のものなのだろうか。
 どうしてもお点前をするのであれば、ロビーで行えば、文学館の客もターゲットにできて、よかったような気がする。
 あと、これだけ充実した展覧会なのに、図録が無いのは残念だった。これも、予算などのいろいろな制約があるのだろうけど…。


2016年4月23日(土)~7月3日(日)
市立小樽美術館(色内1)




・JR小樽駅から約740メートル、徒歩9分
・札幌-小樽の都市間高速バス(中央バス、ジェイアール北海道バス)で「市役所通」降車、約800メートル、徒歩10分
(駐車場があるそうです)
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6月28日(火)のつぶやき その2

2016年06月29日 00時56分52秒 | 未分類・Twitterのまとめ・その他
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6月28日(火)のつぶやき その1

2016年06月29日 00時56分51秒 | 未分類・Twitterのまとめ・その他
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戦前の「生活図画事件」で投獄された旭川の菱谷さんが個展

2016年06月28日 23時13分48秒 | 新聞などのニュースから
 北海道新聞2016年6月27日夕刊から(http://dd.hokkaido-np.co.jp/news/society/society/1-0286752.html)。

 
 【旭川】戦時下の学生の日常を描いた絵が戦時思想に反するとして、治安維持法違反容疑で旭川の教員と学生らが逮捕された「生活図画事件」で、投獄された元美術学生菱谷ひし や 良一さん(94)が28日から旭川市2の8のヒラマ画廊で初の回顧展を開く。作品は、保釈翌年の1943年(昭和18年)に描いた自画像から近作まで48点。菱谷さんは「自由に絵を描ける喜び」を胸に今も絵筆を振るう。

 旭川師範学校(現道教大旭川校)の美術部員だった41年、学生同士の会話や読書を題材にした人物画が「共産主義を啓発した」として特別高等警察に逮捕された。学校は退学処分に。1年3カ月後に保釈されたが、懲役1年6カ月、執行猶予3年の判決を受けた。

 忘れ難い作品の一つが「赤い帽子の自画像」。43年2月11日の紀元節の日、B4ほどの画板に怒りをぶつけた。共産主義者を指す「アカ」呼ばわりされたことに皮肉を込め、かぶったのはあえて赤い帽子。「日本の国は俺をいじめた。無言の抵抗だった」と振り返る。 (以下略)


 菱谷良一さんは、2009年、江別のある会合でお見かけしたことがあります。
 詳しくは、下のリンク先を参照してほしいのですが、この生活図画事件というのが実にいい加減なでっち上げであったことかを、筆者ははじめてこの集会で知りました。
 1941年は、共産党が徹底的な弾圧を受けて壊滅状態になってからすでに長い年月がたっており、若かった菱谷さんは共産主義のことはほとんど知りません。それなのに、アカ扱いされ、起訴されたということです。

 94歳で初個展というのはすごいですね。
 個展は7月4日までの午前10時~午後6時(最終日は午後3時まで)。


 ヒラマ画廊は、旭川駅から買物公園を行き、ミスタードーナツの角を右折してすぐです。
 



関係記事へのリンク
第14回えべつ平和を語るつどい「戦争中こんな絵を描いて捕らわれた 生活図画事件犠牲者の証言」
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6月27日(月)のつぶやき その3

2016年06月28日 00時53分05秒 | 未分類・Twitterのまとめ・その他
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6月27日(月)のつぶやき その2

2016年06月28日 00時53分04秒 | 未分類・Twitterのまとめ・その他
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6月27日(月)のつぶやき その1

2016年06月28日 00時53分03秒 | 未分類・Twitterのまとめ・その他
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チライウシナイトーあるいはトキサ沼

2016年06月28日 00時47分12秒 | さっぽろ川あるき
 アートとは無関係の話です。

 道央道を苫小牧東インターチェンジでおりて、国道36号に出るまでの間、道路の右側にちらちらと見える低地が、以前から気になっていた。

 しかし、ハンドルを握りながらでは、注意して観察することができない。

 今回、バスに乗って、車窓からその姿をとらえることができた。





 「トキサ沼」という名らしいが、由来はわからない。

 地図を見ると、沼の上を道路がまたいでいる。

 苫小牧市美術博物館の展示によると「チライウシナイトー」となっている。

 「チライ」はアイヌ語で「イトウ」の意だから、かつてはあの巨大な淡水魚がたくさんすんでいたのかもしれない。



 札幌とは関係ないのだが、このカテゴリーに入れておいた。



□苫小牧の湖沼を見てみたい! http://www.ne.jp/asahi/snow/office/tanken/tomakomainumatizu/numa04.htm

□ATOK土木用語製作所オホーツク工場&MS-IME土木用語研究所えりも分室 http://plaza.rakuten.co.jp/doboku/diary/201503220001/
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■第17回 グループ環展 (2016年6月21~26日、札幌)

2016年06月27日 21時09分49秒 | 展覧会の紹介-絵画、版画、イラスト
 
 所属団体や画材を超えてベテラン具象画家が集まった「グループ環」展も今年で17回目。
 風景や人物など、分かりやすい絵が多いため、絵画好きが例年大勢訪れます。
 筆者も毎年楽しみにしていますが、今年は最終日の閉幕ぎりぎりになってしまいました。

 そういうこともあって今回は全員ではなく、かいつまんで紹介いたします。

 冒頭画像の右端は、藤井高志さん(北広島、全道展会員)「アッシジからの遠望」(F30変形)。
 これはもう個人的な好みとしか言いようがないのですが、イタリアの何の変哲もない農村風景が、どうしてこんなになつかしく感じられるのでしょう。イタリアには行ったこともないのに。
 手前に家々やイトスギ。遠くに広がる田園。このはるけさが、好きです。

 そのとなりは、合田典史さん(新道展会員)「秋 春採湖」(F50)=右=と「小樽にて」(F30)。
 合田さんらしいおだやかな色合いです。合田さんは輪郭線をわりあい多用するほうですが、それが画面を硬くしているのではなく、やわらかさを演出するほうに作用していると思います。




 左は青野昌勝さん(道展会員)「霧多布の丘にて」(F50)。
 青野さんは、広大すぎてとらえどころのない空間をなんとか描き出そうとして工夫を重ねています。
 もちろん、そう簡単に成功するような課題ではけっしてありません。写真でもむずかしいのですから。
 今作は、海岸の風景を抽象的にとらえて、スケール感を表現しています。

 右は香取正人さん(新道展会員)「能登、黒島にて」(F40)。
 香取さんの風景は、正確に対象を写し取ることよりも、その場の空気感を重視していると思います。
 主要なモチーフの鳥居は、線に勢いがでて、向かって左の脚が手前にあって、いまにも歩き出しそうな印象すら受けますが、その動感こそが香取さんの絵の魅力だと思います。単なる建築パースでは、絵にならないのです。




 中村哲泰さん(恵庭、新道展会員)「とどまることのない生命」(F50)。
 ドライフラワーと自然を効果的に組み合わせることで、題の通り、生命の感覚を表現しているのでしょうか。




 北山寛一さん(札幌)「海峡の光」(F50)。
 北山さんは道教大函館校の出身で、数年前から道南の歴史ある団体公募展「赤光社しゃっこうしゃ」に出品しているそうで、この絵も「函館の人々に見せたかった」というのが描いた動機だそうです。確かに、遠景の函館山がきいています(筆者は手稲山かと勘違いしました。恥)。
 手前に置いてある楽譜はバッハのインベンションとのこと。特に曲に意味はなく、花の実がこぼれて音符になったイメージなのだそう。
 タペストリーのような落ち着いた質感と、磁器の描写にみられる光沢とが、何の矛盾もなく同一の画面で両立しているなど、画格の高さにはあらためて感服させられます。

 最後に中吉功さん(道展会員)の「冬の河畔」(F30)。
 以前から、ラベンダー色を基調に、抽象化をほどこした独特の風景画を描いている中吉さんですが、82歳にして独自の境地を開拓したようで、目を見はらされました。
 以前よりも都市の風景を描き込み、手前には水辺を入れることで、しんとした静けさと広がりのある世界が現出しています。水面に反射する月も、本来はあり得ない位置に置かれていますが、バランスを考えるとこれが最良の構図でしょう。真冬の澄み切った大気の感覚が伝わってくるような快作だと思います。

 他の作品は次の通り。

岩佐淑子(新道展会員)「閉ざされた時間」F30、「ひとひら」P40縦=水彩
北山寛一       「チューリッヒ眺望」F30
中村哲泰       「青い池」F20
平原郁子(新道展会員)「冬の旅」F40、「緑影」F30
猪狩肇基(道展会員) 「土手道の朝」F50、「運河沿いを行く」F30
佐藤光子(新道展会員)「コスチュームの四人」F50、「独り」F30縦
佐藤順一(道展会員) 「サルベージ船」F30 「漁船」F30
藤井高志       「時よ止まれ」F50
青野昌勝       「―とかち逍遙― 高原レストハウスにて」F30
小堀清純(道彩展会員)「漁港の朝」P20、「卓上の静物」P40=水彩
中吉 功       「月明かりの教会」
枝広健二(道展会員) 「冬の日に」F50縦、「冬に待つ」F30縦
池上啓一(道展会員) 「浅春の山」F30 「早春の丘」F30
西澤宏生(新道展会員)今回は出品無し


2016年6月21日(火)~26日(日)午前10時~午後6時(最終日~午後5時)
スカイホール(札幌市中央区南1西3 大丸藤井セントラル7階)

2017年1月11日(水)~22日(日) 
神田日勝記念美術館(十勝管内鹿追町東町3)


関連記事へのリンク
第16回 グループ環(Twitter)
第15回“グループ環”絵画展  ■続き(2014年)

【告知】第14回“グループ環”絵画展 (2013)
【告知】第13回“グループ環”絵画展

第10回
第9回
第8回 ■第8回つづき

第4回
第3回(画像なし)
第2回(画像なし)


青野昌勝個展 (2008)

">池上啓一油絵個展 (2015)
第17回池上啓一油絵個展(2009年)
第15回池上啓一油絵個展(2007年)
第11回池上啓一油絵個展(2003年)
2002年の池上啓一個展
第9回池上啓一油絵個展(2001年、画像なし)

街を描く (2014年4~5月)=香取さん出品
香取正人作品展 (2008)
香取正人作品展(2006)
香取正人油絵個展(2002年11月)
香取正人展(02年8月、画像なし)

15→16展 (2015、画像なし)
北山寛一「追想譜」 (2010、画像なし)
第4回ノルテの作家展(2006、画像なし)
北山寛一展(2003年)

■中村哲泰・川西勝・松本道博 三人展(2016、まだアップしてません)
中村哲泰おやこ展 (2009)
中村哲泰-高みを求めて (2008)
中村哲泰個展 (2006)
ヒマラヤを描く 中村哲泰個展 (2003)

中吉功・和子展 (2006) 
中吉功・和子展 (2003)
※以上画像なし

藤井高志小品展(2014、Twitter)
藤井高志展~夢で見た夢 (2013)
藤井高志小品展 (2010)
藤井高志展 (2009)
藤井高志・西村潤 平面と立体の対話(2003年)
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■小樽洋画研究所と中村善策 (2016年1月30日~7月3日、小樽)

2016年06月27日 09時09分09秒 | 展覧会の紹介-絵画、版画、イラスト
 市立小樽美術館の建物では、2階の企画展示室について語られることが多いのは当然なのだが、1階の「中村善策ホール」も見逃せない。年何度か展示替えをしているので、いつ行っても、新しい発見がある。
 筆者は前回見たとき、たしか「信州」がテーマだったが、今回の展示とは1点もダブリがない(と思う)。これはすごいことではあるまいか。

 2016年上半期の展示は、このホールとしてはめずらしく、中村善策以外の絵も並べている。
 善策が絵筆を執り始めたころの小樽の画壇にあった「小樽洋画研究所」に着目し、三浦鮮冶、兼平英示、工藤三郎、山崎省三、谷吉二郎、大月源二、加藤悦郎、樋口忠次郎、善策の油絵計13点と、善策が小樽を描いた風景画「けむり」(1937)や「張碓のカムイコタン」(1973)など12点を展示している。
 洋画研究所のコーナーにあった善策の絵は1922年の「林檎園の一隅」で、これまで筆者が見た彼の絵で最も古く、後年の鮮やかな善策独特の色彩などは影も形もない。輪郭をぼかすスフマートで、暗い冬の林檎園を描いた1枚だった。

 展示のねらいについては、小樽美術館協力会のサイトから引用しよう。

 小樽洋画研究所は、1916年青年画家三浦鮮治が上京する平沢貞通から石膏像を譲り受けて、翌年後進のために自宅アトリエを開放したもので、ここに三浦の友人で春陽会の創立会員の山崎省三や、洋行帰りの工藤三郎らが加わって、若手の啓発にあたっていました。この小樽洋画研究所を皮切りに、太地社、裸童社など一連の活動が生まれ、北海道美術の発展の大きな原動力となっていきます。


 前半の展示作は次のとおり。
三浦鮮冶  滞船(1926) 静物(39) 岩影(54) 蘭島風景(40)
兼平英示  夏山(34) 少女像(25)
工藤三郎  真昼の街(北京)(1919)
山崎省三  スペインのコスチューム(30)
谷吉二郎  静物
大月源二  初夏(24)
加藤悦郎  坂道(18)
樋口忠次郎 お神威岩風景(63)

 加藤は「北海タイムス」(北海道新聞の前身)で漫画を描き、初期の道展にも出品している。当初は政治風刺も行っていたが、その後は「新日本漫画家協会」に参画して戦時体制を担ったため、戦後は反省し日本共産党に入ったとのこと。
 「坂道」は、題材が、どう見ても岸田劉生「切通之写生」に影響されているようとしか思えない。

 工藤はパリに3年間留学し、「サロン・ドートンヌ」にも出品した経歴の持ち主。
 「真昼の街(北京)」は、パリ留学直前の作。朱色の屋根の建物(倉庫?)、その手前の樹木と木陰に休む人々、往来で手押し車をおしてゆく男や人力車など、生き生きと街角を描いている。

 ところで、三浦と兼平はもともと兄弟で、兼平が小樽で養子として預けられたことために、姓が異なっている。
 ふたりとも、神奈川県鎌倉郡川口村片瀬の生まれである。
 同村は1933年(昭和8年)、町に昇格する際、片瀬町とし、戦後に藤沢市に合併された。

 ちなみに、山崎は、三浦の翌年におなじ神奈川県の横須賀に生まれている。
 地理的に近いところの出身の3人が、小樽ひいては北海道の洋画壇の黎明期を支えていたというのが興味深い。
 山崎は、幼少期に小樽で過ごした。院展に洋画部があったころのホープで、のちに春陽展の創設に参画した。ということは、三岸光太郎の絵の審査なんかも行ったんでしょうね。


 「中村善策の小樽風景」シリーズについても触れておく。

 「アカシアと運河」(1964)は、この年の夏に帰省して小樽運河に赴いた際、アカシアの並木があったはずの場所が材木置き場になっていたことから、別の場所でアカシアを写生して絵に導入したという。
 このように、中村善策は多くの場合、風景をそのまま写生するのではなく、絵として成立するようにさまざまな改変を施す。アカシアを別のところから持ってくるという発想がすごいと思うし、画家にとっては、そのほうが昔の風景に「リアル」だと感じられたのだろう。



2016年1月30日(土)~7月3日(日)
市立小樽美術館 中村善策ホール(色内1)

関連記事へのリンク
中村善策ギャラリーを見る (2014)
中村善策の全貌展 (2008)
中村善策と道一水会系の画家たち (2003)
北の個人美術館散歩-風土を彩る6人の洋画家たち (2002)
=いずれも画像なし



・JR小樽駅から約740メートル、徒歩9分
・札幌-小樽の都市間高速バス(中央バス、ジェイアール北海道バス)で「市役所通」降車、約800メートル、徒歩10分
(駐車場があるらしいです)
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