北海道美術ネット別館

美術、書道、写真の展覧会情報や紹介。2013年7月末、北見から札幌に帰還。コメント、トラバはお気軽に。略称「ほびねべ」

■(1) ハルカヤマ藝術要塞2017 FINAL CUT (6月11~18日、小樽)

2017年06月23日 21時47分16秒 | 展覧会の紹介-彫刻、立体
 最後の開催となった「ハルカヤマ藝術要塞2017」ファイナル・カットの様子を、6回に分けて紹介します。

 これまで、帯広コンテンポラリーアートの紹介も終わっていないし、ハルカヤマ藝術要塞についても、きちんとアップしているのは第1回だけで、かなり気が引けます。
 しかも今回は過去の「ハルカヤマ」に比べると、人数、作品サイズとも小規模です。
 とはいえ、言い訳ばかりならべていてもしかたないので、さくっと作品の画像をアップしていきます。


 上ノ大作「帰郷」。

 上ノさんは北広島の陶芸家。
 ですが、あまり素材には拘泥せず、地面に穴を掘ったり、木を使った立体を作ったりもします。
 ハルカヤマには2015年も出品。

 今回の作品は、木材の節などをたくみに生かしています。

 ただ、純粋に造形を見るとおもしろいのは確かなのですが、置物とアートを分かつものとはいったいなんだろうと、問いたくなってきます。


関連記事へのリンク
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帯広コンテンポラリーアート2016 ヒト科ヒト属ヒト
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 渡部陽平「ある石からの考察」

 シンプルな石の抽象彫刻をつくる、恵庭在住の渡部さん。

 今回の出品作家ではほとんど唯一、作家のステイトメントが展示してあったので、引用します。

作品解説
 左の丸い石は、伊達冠石という地中で丸い石として形成される石を型取りしたものです。
 この石が自らの力で作り上げた形と対話しながら、右の石を彫り上げました。
 この石という存在を考えながら過ごした時間がこの作品だと思っています。

 右にある池の中や周りにある石を積んだものが、ハルカヤマ芸術要塞で作り上げた過去の作品です。この池との対話の中で生まれた作品です。

この同じプロセスの中で出来た二つの作品から 対話の時間と思考を感じて頂けたら幸いです。


 上の解説で「右にある」とあるのは、2013年の作品だと思います。

 ハルカヤマ藝術要塞が、短いながらも歴史を刻んできたことに、あらためて思いをいたすことになる作品です。
 ハルカヤマには2011年から毎回出品しています。


渡部陽平「石の彫刻」(2015)
さっぽろ雪像彫刻祭2015
さっぽろ雪像彫刻展 (2014)
渡部陽平「カケラ」 ハルカヤマ藝術要塞



 中村修一「Emerge」。

 中村さんは札幌在住。
 陶芸家だが、うつわは展覧会には全く並べず、オブジェやインスタレーションのみを発表するめずらしいタイプ。
 
 似たような大きさの物体を密集させて並べるのは、2015年の個展の際とよく似たアプローチです。
 ハルカヤマは前回に続き2度目。


中村修一展 (2015)
New Point vol.7 (2010)
中村哲泰おやこ展 八子晋嗣 中村修一 八子直子 (2009)
New Point(2004年)
中村修一・前川アキ二人展(2003年)
友野直実・中村修一展(2002年)
お正月展(2002年)




 浅井憲一「軟虫」と、菅原尚俊「Godzilla の卵 ~拝啓アトム様 10万年は無理です!~」。

 浅井さんは金属、菅原さんは石を素材とする彫刻家で、札幌在住。
 2人ともハルカヤマは皆勤です。

 菅原さんは大震災以降、原発や核に対し遠回しに疑問を投げかけるタイトルを有した作品を出品しています。
 また、ハルカヤマでは毎回、ピザ窯を設置して、ピザを振る舞うのが名物になっていました。

 
菅原尚俊「拝啓 アトム様 ここは安全ですか。」 ハルカヤマ芸術要塞
北海道立体表現展’06 (画像なし)
北の彫刻展 2002 (画像なし)


□AZプロジェクト http://www5f.biglobe.ne.jp/~az_asai/

【告知】イキノ アリカ 浅井憲一作品展 (2017年5月)
浅井憲一 トルソー むこうがわの風景 (2015)
浅井憲一作品展 夢の中 (2014)
浅井憲一展-むこうがわの風景 (2013)
【告知】浅井憲一作品展 むこうがわの風景 (2012)
浅井憲一「夢の中」 ハルカヤマ藝術要塞(2011)
浅井憲一さん、東京の個展報告会(2009年)
鉄 強さとやさしさの間で(2007年、画像なし)
春展-浅井憲一・幸子作品展(2007年)
2004年11月の個展
■2004年3月の個展(画像なし)
■03年の個展
■02年の個展

「川」 釧路の野外彫刻



 梅田マサノリ「ココハルカ―ソコトカチ」

 梅田さんは帯広から、ハルカヤマには毎回出品しています。十勝の現代アートシーンを切り盛りする一人。

 今作は、巨石の上にY字型の枝が乗っかっているような部分と、Y字型の枝が自立しているような部分の、二つからなっています。

 梅田さんはギャラリーRetara でドローイング展を開催中です。


防風林アートプロジェクト(2014)
*folding cosmos 2013 「松浦武四郎をめぐる10人の作家達」
置戸コンテンポラリーアート (2012)
【告知】梅田マサノリ展 「記憶を探す通路」 Looking for Memories (2012年6月1~13日、札幌)
梅田マサノリ「透明な風景」 ハルカヤマ藝術要塞
梅田マサノリ展「マニノ・アル・シツナイ」 (2010年)
Scenery of cell 細胞の風景 梅田マサノリ個展(2008年)
アジアプリントアドベンチャー(2008年)
とかち環境アート(2003年)


 楢原武正「大地開墾 2017-6」

 楢原さんは札幌在住。廃品を素材にした巨大なインスタレーションで知られますが、今回は、くぎをびっしりと打ち付けた物体が地面に転がっていました。


楢原武正展  墨による日の出等々の作品発表(2017年1月)
モーション/エモーション 活性の都市 (2016年1~3月、画像なし)
楢原武正展 大地/開墾 黒い種をうえる (2015)
楢原武正展 大地/開墾<2014-1> 大通美術館にて黒い種子をうえる



6月11日(土)~18日(日)午前10時~午後5時(入場~4時)

□公式ツイッターアカウント @chmbunocha3i
□公式 Facebook ページ https://www.facebook.com/harukayama2015/?ref=hl

おもな過去記事へのリンク
【告知】ハルカヤマ藝術要塞2017 〔ファイナル・カット〕
【告知】ハルカヤマ藝術要塞 2015
【告知】ハルカヤマ藝術要塞2013

ハルカヤマ藝術要塞2011


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■加藤宏子彫刻展 (2017年5月31日~6月18日、札幌)

2017年06月19日 22時04分57秒 | 展覧会の紹介-彫刻、立体
(ギャラリーの許可を得て撮影しています)

 先ごろ、第2回「本郷新記念札幌彫刻賞」に選ばれたばかりの、札幌の彫刻家、加藤宏子さん。
 控えめな性格なのか、授賞式の席上でも触れていなかったのですが、じつはギャラリーミヤシタで個展を開いていたのでした。
 案内はがきも、筆者が見た範囲では市内の画廊でも会期後半に少し出回ったぐらいなので、知らなかった人が多いのではないかと思います。


 見ることができずに悔しがっている人たちのために、いくらかなぐさめになるかもしれないようなことを言うと、今回のメイン作品は、ことし1月にギャラリーエッセで開かれた「いのちのかたち…かもしれない展」と同じものです。
 ただし、1月には、会場の中央に立てていたものを、今回は傾けて設置しており、受ける印象はかなり異なります。

 素材は手すきの紙ですが、紙とは思えない強靱きょうじんさを感じさせます。
 花に似た形状の中央と、作品周辺には、小石をちりばめています。


 1階には、メインの作のほか、壁掛けタイプが3点ありました。

 いずれも、題の表記などは見当たりませんでした。


 意表を突かれたのは2階です。
 「あかり」が3点、展示されていました。

 加藤さんのつくりだす有機的なフォルムは、あかりとの相性が良いのです。

 いまは白熱電球ではなく、LED(発光ダイオード)が使われているので、過熱の心配も以前ほどはいらないとのこと。
 ミヤシタさんによると、北海道新幹線の木古内駅にも、加藤さんのあかりが使われているとのことで、これは一度見に行かなくては。

 本郷新賞に決まってますます多忙を極めると思いますが、なにとぞご自愛のほどを。


2017年5月31日(水)~6月18日(日)正午~午後7時(最終日~午後5時)、月曜休み
ギャラリーミヤシタ(札幌市中央区南5西20)


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いのちのかたち…かもしれない展 (2017年1月)
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■國松明日香の今日展 (2017年5月18日~6月13日、札幌)

2017年06月01日 23時08分12秒 | 展覧会の紹介-彫刻、立体
notice : All photographs are permitted by the gallery.


 「三昧ざんまい」という語がある。
 古代インドで用いられたサンスクリット語に由来し、一心不乱に夢中になるような状態をさす。
 道内を代表する彫刻家のひとり、國松明日香さん(札幌)の個展会場で脳裡に浮かんだ語が、この「三昧」だった。まさに「彫刻三昧」と形容したくなるような境地がそこにあると思ったからだ。


 近年になって國松さんは、エスキスを描かなくなったという。
 金属の板や棒をそのつど溶接して、組み立てていく。あらかじめ描いた設計図に沿って作り上げていくのではなく、即興的にくっつけていくのである。

 作風は以前と大きくは変わらない。
 それでも、筆者には
「自由になったなあ」
という感じが、強くある。
 今回の自由闊達さから比べると、以前の作品にはどこか優等生的なところが残っていたのだと思う。
 それが、今回の個展では、仕事を離れ、子育ても一段落し、好きなだけ制作に取り組めているよろこびが、ひしひしとつたわってくる。

 國松さんの彫刻は、抽象といえば抽象だが、水や風の流れ、星座といった自然界のモティーフに着想を得ている。
 自然をそのまま描くのではない。そのエッセンスを、たくみに、線と面のリズムで表現しているのである。
 だから、國松さんの彫刻を見ていると、ゆるやかに流れる花筏や、強弱をつけながら吹く微風を思い出す。そして、いつまでもその中で、たゆたっていたくなるのである。



 國松さんは1947年、小樽生まれ。
 父は、北海道を代表する画家として活躍した国松登であり、また長男の希根太さんも美術家として活躍中だ。
 東京藝大に学び、はじめは版画の分野で海外の賞を受賞するなど頭角をあらわした。札幌に戻ってからは、金属彫刻の分野で活躍。1980年代後半以降は道内各地にパブリックアートが設置された。
 彫刻家集団「CINQ(サンク)」のひとりとして、石山緑地(札幌市南区)の造成に貢献した。
 2008年には札幌市芸術の森美術館が大規模な個展を企画・開催している。 


2017年5月18日(木)~6月13日(火)午前11時~午後7時(最終日~午後5時)
グランビスタギャラリー サッポロ(中央区北1西4 札幌グランドホテル1階ロビー)

http://www.asukakunimatsu.com/
※FLASH Player がないと見られません

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國松明日香展-風、水面ふるわし、そよぎゆく光 ■続き

北海道立体表現展(06年、画像なし)
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関連する記事(パブリックアート)
■国松明日香「DANCING CRANE」
「MUSE」
國松明日香「休息する翼-家族」
國松明日香「四季の詩」
■「雪だるまをつくる人」
■「移ろう月」
■「MUSE」
■「北の翼」



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■畑江俊明個展 swinging with…/揺れるモノたちと… (2017年3月17~23日、札幌)

2017年03月22日 23時40分12秒 | 展覧会の紹介-彫刻、立体
 札幌のデザイナー、畑江俊明さんが、昨年8月のギャラリー門馬アネックスに引き続いての個展を開いています。

 フレームワイヤを熔接したり、折り曲げたり…。
 それらを自立させたり、天井からつるしてモビールにしたりして、いかにも遊び心いっぱいの作品が並んでいます。

 「モダンな会場なので色を塗ってみました。好きな色ですけど」
と、はにかむように笑う畑江さん。
 幾何学的なかたちが並ぶなかに、「サービスで」(畑江さん)雲の形をしたモビールも浮かんでいます。
 自宅に熔接機を買って、次々と制作しているそうです。

 壁際には、さまざまな形を正方形の支持体に取りつけたものも並んでいます。天地左右は自由なのだそうです。


 彎曲した壁には、正方形のフレームを途中で曲げたかたちの作品が掛けられています。
「どこで折るかで(かたちが)変わってくるんですよ」



 シンプルで、わかりやすい畑江さんの作品ですが、見ようによっては高度な問題意識をはらんでいるといえなくもありません。
 たとえば、家のかたちをしたフレームがありますが、奥行きをななめに表現することで、わたしたちはついそこに透視図法を読み取って、家を立体的に見てしまいます。たんに輪郭線がななめになっているだけで、そこに立体の家がないことは明らかなのですが、人間の視覚のおもしろさです。



 会場では、動物をかたどった木の置物や、マッチ箱に収めたマグネット、○△□を組み合わせた「解けない知恵の輪」なども求めやすい価格で販売しています。


2017年3月17日(金)~23日(木)午前10時~午後6時
GALLERY kamokamo(札幌市南区真駒内幸町1)

ワークショップ・マスタード

つながろう2016 Hard/Soft
Six in October (2013)




・地下鉄南北線「真駒内駅」から約720メートル、徒歩10分
・じょうてつバス、中央バス「南区役所前」から約200メートル、徒歩3分 (芸術の森からの帰路、この停留所で降りると近いです)
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■渡辺行夫 イタドリ彫刻展 (2017年2月17日~3月12日、札幌)

2017年03月11日 15時28分08秒 | 展覧会の紹介-彫刻、立体
(3月12日夜、画像を追加しました。ギャラリーの許可を得て撮影しています)

 渡辺行夫さんは1950年生まれの彫刻家。
 地元・小樽市銭函に近い春香山で、2011年から隔年で開かれている大規模な野外美術展「ハルカヤマ藝術要塞」の実行委員長を務めてきました。
 実作面でも、故郷の紋別市にたくさんの野外彫刻(このページ下方のリンクを参照)にあるのをはじめ、洞爺湖ぐるっと彫刻公園に設置された「風待ち」で本郷新賞を受賞するなど、石彫の分野では道内を代表する存在といっていいでしょう。

 その渡辺さんがあらたに選んだ素材が、イタドリです。
 これ、大正解だと思いました。

 渡辺さんはハルカヤマの現場にはえているイタドリを見て、その生命力に目を見はったといいます。
 イタドリは道内の山野や空き地にふつうに生えている草です。
 5月初めぐらいまでは影も形もないのですが、5月末から6月ぐらいになると、すでに人の背丈ほどにも伸びています。
 あきれるほどの成長ぶりですが、9月の声を聞く頃には元気がなくなり、10月にはすっかり枯れて、山火事の跡のような茶色の姿をさらしています。

 毎年これを繰り返しているのですから、無駄なエネルギーとしかいいようがありません。
 同じ「バカ成長エネルギー仲間」としては、フキという植物がありますが、あれは食用になります。イタドリも、じつは食用になるらしいですが、実際にはあまり利用されているとは言えず、今のところは、なんの役にもたたない成長力を発揮しているだけの存在です(少なくても人間にとって)。

 この、無料で手に入り、無尽蔵にあるイタドリを、渡辺さんは当初、数ミリのチップ状にして、素材としていました。
 今回、本物とマケット(小形の模型)が展示されている「Power on Plant B」(手前右)などがそうです。
 この作品は、鹿島建設が主催する「第14回 KAJIMA 彫刻コンクール」の最終選考8点に残りました。

 続いて渡辺さんは、チップをといて粉にして、素材としました。
 昨年の帯広コンテンポラリーアートで発表した「擬態植物」をはじめ、多くの作品がこの素材で仕上げられています。
 ちょっと見た感じでは、コルクボードや厚紙の風合いに似ています。
 書き忘れましたが、チップも粉も、まずはじめに発表スチロールで形を作り、その外側に貼り付けていくという手法です。粉のほうは、パイ生地の上にぺたぺたと塗って整形していくようなあんばいなのだそうです。
 最後にサンドペーパーをかけて、表面を整えます。

 それにしても、こんなユーモラスなかたちをどんどん作っていく渡辺さんは、根っからの彫刻家なんだな~と思います。
 画像の手前は「立ち尽くす記憶」、奥に、床置きされているのは「横たわる記憶」。根のようなものが複雑にからみあっています。
 こういうニョロニョロした形状は自然にできていってしまうらしく、洞爺湖畔や紋別沿岸の作品はむしろ例外的にお行儀の良いものといえるかもしれません。

 加工しやすく、軽くて運搬も容易な、ユニークなイタドリ彫刻ですが、今のところ屋外に出しっぱなしというわけにはいかないとのこと。
 このほか、小品や、イタドリ製帽子、発表スチロールに絵を描いた平面作品もありました。
 ともあれ、渡辺さんの衰えぬ創作意欲には脱帽です。


2017年2月17日(金)~3月12日(日)正午~午後6時、火休み
ギャラリーレタラ(札幌市中央区北1西28)


関連記事へのリンク
渡辺行夫「木漏れ紅」 ハルカヤマ藝術要塞 (2011)
旭川彫刻フェスタの公開制作を見てきた (2012)

渡辺行夫「四角い波」 紋別・ガリヤ地区(2)
石の意
大山山頂園の作品
時空車
ボノボノ
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石・穴・弧・ずれ 
大山山頂園の作品

空中分度器 ? 釧路の野外彫刻(14)

下町のコレクション展 2(2007)
北海道立体表現展’06
北海道立体表現展'03





・地下鉄東西線「円山公園」駅・円山公園駅バスターミナルから約360メートル、徒歩5分
・同「西28丁目駅」から約540メートル、徒歩7分

・ジェイアール北海道バス、中央バス「円山第一鳥居」から約690メートル、徒歩9分
※小樽行き都市間高速バス全便(北大経由除く)と、手稲、銭函方面行きの全便が止まります
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■さっぽろ雪像彫刻展2017 (1月20~22日、札幌)

2017年01月22日 22時52分27秒 | 展覧会の紹介-彫刻、立体
 札幌彫刻美術館の前庭で、毎年3日間だけ開かれている催し。
 テレビのキャラクターなどが並ぶさっぽろ雪まつりにくらべると、彫刻としての造形を意識した作品が並びます。


 児玉陽美(造形作家)「大きな命のたね」



 クジラのようなやさしいかたちをしています。




 佐々木仁美(金属造形作家)「風の通り道」

 ぱらぱらとめくれる本をイメージした作品。
 風を目に見える形にするのはむずかしいですが、これは果敢にチャレンジしていると思います。強度的にも、雪というむずかしい素材に対して、ぎりぎりまで攻めているのがわかります。


 佐藤一明(彫刻家)「雪石」。

 見る角度によって、印象がまったく異なります。
 基本的にはシャープな直線によってかたちづくられています。



 




 さとうゆうき(造形作家)「ゆうのね」

 これは、中に入れるらしいです。
 筆者は壊すといけないので、入りませんでしたが、中から天井を見上げると、何かが見えたのだそうです。 


 清水宏晃(木工家)「AURORA」


 毎年出品していますが、とりわけ今年は、力作。これだけ複雑なかたちを雪という素材でまとめるのは、相当大変だったと思います。

 極北の空に輝くオーロラがかたちとして出現したような、そんな作品です。



 野村裕之(彫刻家)「attachment 愛着」



 二つの部分からなる作品です。
 野村さんも毎年出品していて、作風を変えています。


 北海道芸術デザイン専門学校「不純」



 
北海道芸術デザイン専門学校「expand universe」

 同校からは2点出品されています。


 北海道札幌平岸高校「砦」

 赤い光を発していて、シャープな造形がかっこいいです。




 美術館の右側には、水戸麻記子さんと川崎ゆかりさんによる滑り台や、来場者が製作したペンギンなどもありました。


 なお、公式には22日で終了ですが、その後はライトアップなどは行わないものの、ただちにすべて取り壊すわけではないらしいので、24日以降も一部は見られるかもしれません。
(佐々木さんは壊したみたいですが…)。


2017年1月20日(金)~22日(日)午前10時~午後5時30分
本郷新記念札幌彫刻美術館 (札幌市中央区宮の森4の12)

□さっぽろ雪像彫刻展のFacebook ページ https://www.facebook.com/events/600833253436762/

さっぽろ雪像彫刻展2016
さっぽろ雪像彫刻祭2015
さっぽろ雪像彫刻展 (2014)
札幌雪像彫刻 (2010)
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■野又圭司展 脱出-困難な未来を生きるために (2016年10月5日~12月4日、札幌)=続き。 <ARBEIT MACHT FREI>

2016年12月31日 12時36分12秒 | 展覧会の紹介-彫刻、立体
承前)

 前述したように、野又圭司展の展示点数は8点。
 すでに5点について紹介したので、残るは3点だ。

 奥の、少し低くなったスペースいっぱいに展開されている巨大なインスタレーションが「「経済」という全体主義」(2015)。

 この原型は昨年、リノベーション直前のホテルで開かれた帯広コンテンポラリーアート「マイナスアート」で発表されたものだと思われる。
 建物は、型に入れた砂にボンドを混ぜて固めたもの。一部をマイナスアート会場で販売していたので、欲しい気もしたが、じきに崩れると聞いて、断念したのを覚えている。

 今回の出品作も、おそらく会期中に少しずつ崩れていっているのだろう。
 おなじ形の建物なのに、形状が(崩壊の進み具合が)異なる。
「最初のころにつくったのはもう残っていない。展覧会のたびに作り直さなくてはならないのがつらい作品です」
と野又さん。




 この大きなインスタレーションの、都市の入り口の門には、次のことばが掲げられていた。これは、砂ではなく、銅製。

<ARBEIT MACHT FREI>

 ドイツ語で「労働は人を自由にする」。

 アウシュヴィッツ=ビルケナウ強制収容所の門に書かれたことで名高い。

 この強制収容所に、ナチスの手によってつれて来られたユダヤ人たちは、働かされたが、けっして自由になることはなかった。

 ここにも、社会を強烈に批判するとともに、未来の終末を幻視し予言する芸術家の目が、生きていると思う。




 「レミング(百億の難民)」。

 2014年、ギャラリーRetara でのグループ展「サッポロ・コンセプション」で発表している。

 レミングとは、いうまでもなく、ネズミの一種で、大発生すると集団でがけから飛び降りるなど、自殺のような行動をとることで知られている。

 人類も爆発的に増加している。
 世界人口は70億を超えたが、100億の大台を突破するのも時間の問題だろう。
 しかし地球はそれだけの人間を養いきれないのは間違いない。
 そのとき、食料を求めて難民となった人々を受け入れる土地があるのか。

 城壁の上や帆船の甲板に、おびただしい人の群れが見える。
 野又さんは2千個以上、人のかたちをつくったという。
 地獄のような未来絵図だが、B級ハリウッド映画のような安っぽさはない。
 色彩が省略され、金属で作られているせいか。

 そして、西洋の城のような建物を見ていると、近年大きな人気を得た漫画「進撃の巨人」の世界に似たものを感じてしまう。野又さんは、おそらく読んでいないだろうが。




 8点のうち、この個展のために作られた新作が「EXODUS(脱出)」である。
 
 題は、旧約聖書でも、機動戦士ガンダムでもなく、レゲエミュージシャン、ボブ・マーリィの曲名に由来するという。

Bob Marley - Exodus [HQ Sound]



 また、舟の大きさは一人分だが、これはアトリエの大きさから必然的にこうなってしまったとのこと。

 舟の後部には、稲が植えられている。
 作者なりの、サバイバルと自立の呼びかけなのだろう。
 指をくわえて見ていれば、世界は破滅してしまう。そうなる前に、自らの力で、難局をこぎ抜いていけ。「Fight for survival! (生き残りへ、闘え!)」

 そういう呼びかけだと、筆者は受け取った。


 繰り返しになるが、野又圭司の作品は、いまわたしたちが生きている「世界」ときっちり向かい合いながら制作されたものばかりである。
 身近な人間関係のあたたかさに寄り添いながら作られる「小文字のアート」を、筆者は否定しない。ただ、そういう作品ばかりがあふれる北海道のアートの現状を物足りなく感じるし、このままでは、そもそもそのささやかな幸せの拠ってたつ基盤が根こそぎ掘り返されてしまうだろうという予感も抱く。
 彼の個展は、宮城県気仙沼市と北見市の美術館で行われていたが、札幌・道央では初めてで、このような骨太の作家の個展を企画した札幌彫刻美術館の姿勢も、作家とあわせて高く評価しておきたいと思う。


2016年10月5日(水)~12月4日(日)午前10時~午後5時(入館30分前)、月休み(祝日開館し翌火曜休み)
本郷新記念札幌彫刻美術館(札幌市中央区宮の森4の12)
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■野又圭司展 脱出-困難な未来を生きるために (2016年10月5日~12月4日、札幌)

2016年12月30日 10時01分52秒 | 展覧会の紹介-彫刻、立体
(長文のため、2項目に分けました)

 ことし2016年をふりかえるとき、冬の谷口明志展(市立小樽美術館)と並んではずせない美術展が、野又圭司展だろう。

 野又さんの作品の意義については、考えるところを【告知】の記事に書いておいたが、もう一度繰り返しておくと、半径5メートルの身近な感情に寄り添ったり、大自然と向き合ったりする作家が北海道には多い中で、彼は数少ない、社会と渡り合う美術家なのである。
 たしかに、その社会批判が直球に過ぎて、見る人に幅のある解釈を許さない作品も一部にあるかもしれない。
 しかし、それでも彼の作品が見る者を撃つのは、なにより彼の真剣さ、怒りが、ひしひしと伝わってくるからである。

 野又さんの作品を鑑賞するには、画肌がどうの構図がどうのという面倒くさい知識は必要ない。
 自分が日々生きている世の中を考えるのと同じように、作品に向き合えば良いのだ。
 そうすれば、わたしたちが生きている社会が、このままでは持続不可能であり、滅亡はまぬかれないのではないかという作者の訴えが、感じ取れることだろう。

 彼の作品は、予言でもあるのだ。


 ただし、野又さんの作品が最初からそうだったわけではない。

 この画像は「無力の兵器(自分を撃ち込め!!)」(1997)。

 図録には
「美術家としての無力感にさいなまれていた当時、棺桶のような容器に自身の体を装填し、居場所を与えてくれない世間にぶつけたいという切実な心境を造形化したものだ」
とある。

 11月9日に行われたトークでも
「自分を弾にして敵陣に撃ち込むイメージ。やけくそな、すさんだ心境ですね。特攻を美化するわけではないですが」
などと語っていた。

 これ以前、野又さんがどういう作品に取り組んでいたのかあまり知らないのだが、1989年に新道展で協会賞(最高賞)を受賞し、97~99年には事務局長を務めている。
(団体公募展についてはこの図録ではいっさい触れられていない)
 新道展では、インスタレーション・立体造形の新進作家として期待された存在だったと推測されるのだが、野又さんには正当な評価の声が届いていなかったと感じられていたのかもしれない。

 筆者が個人的に気になるのは、両側についている羽のようなかたちである。

 後年、たまたま見ることができた、この時代のボックスアートでは、天使のようなイメージを描いていた(コラージュ?)のを記憶している。

 思えば、そういう造形上の嗜好を作品に反映させていたのは、この時代までであって、21世紀に入ってからは、野又さんの作品は、その手の「味」のような部分をどんどんそぎ落として、シャープでシンプルなものになっていく。
 直線が主体になるといえるかもしれない。


 2点目は「地球空洞説」(1998)。
 透明な半球の中に、箱庭のように樹木などを取り付けた立体。

(ちなみに、この展覧会には大きな作品が8点出展されている)

 これと似た作品を、2009年の「ハコトリ」で見たことを思い出す。
 あれは、旧作だったのか。


 そのハコトリで同時に展示されていたのが、冒頭画像の「遺跡」(2008)。

 高層ビルと、柵で隔てられた難民キャンプ。

 当時よりも、今のほうが、よりリアリティーをもって迫ってくる。
 この8年間に格差社会がより進行したためだろう。

 「遺跡」という題からは、格差の激化により滅んでしまった社会を想起させる。

 作者によると、イタリアのサンジミニャーノ村(参考リンク)をモデルにしたそう。
 中世に貴族が競いあって富や権力の象徴として高い塔を建て、40ほどもあったらしいが、現在では13か14しか残っていないという。
 


 4番目の作品は「存在の耐えられない軽さ」。
 誰がどうみても、ミラン・クンデラ(チェコの世界的小説家)の代表作から題を借りてきているが、インターネットの「炎上」を風刺している。

 ちなみに作者はインターネットをまったくやっていない由。通信料がもったいないと、トークで話していた。


 5番目は、2012年の「助けて欲しいんじゃないのか。」。

 札幌市白石区で実際にあった、姉妹の孤立死に着想を得て作ったという。

 となりがどんな人々かもわからない、都市の無関心な関係を図示している。

 これは、札幌から岩見沢の山奥にアトリエを移した作者の経験が反映しているようだ。呼び鈴を押す人などおらず、勝手に家の中まで入ってくるような人間関係。お互い助け合って生きている、そういう地区のほうが野又さんは「心地よい」という。

「ネット上の友だちは助けてくれない。実際に隣に住んでいる人がいざというとき助けてくれる人なんだ。高齢化がますます進むのだから、人間関係というものを考え直さなくちゃいけない」

 野又さんはトークでそんな意味のことを話していた。


(長文になったので、続きは別項で)


2016年10月5日(水)~12月4日(日)午前10時~午後5時(入館30分前)、月休み(祝日開館し翌火曜休み)
本郷新記念札幌彫刻美術館(札幌市中央区宮の森4の12)

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500m美術館 (2010年)
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ハコトリ(6)(2009)
立体四人面白半分展 (2009年4~5月)

北海道立体表現展'08
下町のコレクション展 2

北海道立体表現展’06
野又圭司展(2006年)

北の彫刻展(2004)
札幌の美術2004

北海道立体表現展'03

くりさわ現代アート展(2002)
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リレーション・夕張2002
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■創作人形八人展 Chimera [キメラ] 〜幻想詩篇〜 (2016年10月19~24日、札幌)

2016年10月24日 10時23分58秒 | 展覧会の紹介-彫刻、立体
 
 この2、3年ほど札幌では人形の展覧会が盛んになっている。

 筆者は個々の人形のよしあしはあまりわからないけれど、今回の8人展は、展示の仕方がなかなか独創的でおもしろいのでアップします。

(作者、作品名など、もし間違っていたらご面倒でもご教示ください)




 左は青鬼紫杏「マリエル」。ドラマ的、演劇的な感性を漂わせていると思う。
 右は天井からつり下がっている月郎雪「星降る泉」。




 左は桐原ユウ「森淵」。右脚は、欠損というよりも、樹木に化していく瞬間を表現しているというべきか。古代ギリシャ神話を参照しているのかもしれない。
 右は岡本冥音「無題」。意外と珍しいトルソ。胸に止まったチョウがエロティシズムをほのかに感じさせる。




 左はテルイシホ「詩篇」と「grand reche」(eはアクサンテギュ付き)。鉛直性と水平性を同時に感じさせるドラマチックな構成の展示。
 右は北村名緒「karura」。北村さんは向かい側に「和人形」を、花札を交えて展示し、作風の幅が広い。




 左は水月「無題」。ちょっと固めの表情が魅力かも。
 右は青木萌「まどろむ子」「ふたご(金髪)」「ふたご(黒髪)」など。これもインスタレーションみたいな展示の仕方がおもしろい。



 ほかにも、記事を書いていない人形展があるので、なるべく早くアップしますね。すみません。



2016年10月19日(水)~24日(月)午後1:00~9:00(土日午前11:00~午後7:00、最終日も午後7時まで)
OYOYO まち×アートセンター (札幌市中央区南1西6 第2三谷ビル 6階)


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■板東優 透明な闇 (2016年9月13日~10月16日、鹿追)

2016年10月16日 07時29分00秒 | 展覧会の紹介-彫刻、立体
 帯広生まれ、NY在住の彫刻家の個展。
 六花亭福住店の前などに作品が設置されているので、名前を知らずに見ている人も多いだろう。


 冒頭画像は、屋外に展示されている「造形」。
 リストには「ブロンズ」となっているが、水色なのでどうしてもスタイロフォームに見える。
 材質が軽そうだと、どうしても、フォルムのよさとは別に存在感が薄れるような感じがしてしまう。人間は目で重さも感じているのだろうか。

 展示室内には「造形」「破壊」「Life on Life」「Cuore(こころ)」「かはたれどきのピエタ」「Roma」の5点。
 ご存知のとおり、神田日勝記念美術館は空間が広いので、中央部に彫刻を数点置いたところで、所蔵絵画の鑑賞にはほとんど支障がない。
 このうち「Life…」がスタイロフォームと記されている。
 人間の上に人間が覆いかぶさっているようなフォルムだ。

 この6点の多くは、抽象的でありながら、どこか人間像の面影を残しているようなかたちをしているといえる。

 「かはたれどきのピエタ」はリストには「かれはたれどきのピエタ」となっているが、誤植であろう。
 木彫で、ぱっと見には、未完成作に感じられる。チョークであたりのような線もかかれている。三つ、山のように盛り上がっているところがあって、右は十字架、中央は聖母マリアと、抱かれるイエスのように見えなくもない。
 むしろ未完成のようなフォルムだからこそ、見る側が想像力をたくましくする余地があるともいえる。

 「Roma」は高さ2メートル以上ありそうな大作。
 一見、抽象的なフォルムだが、見ているうちにトルソの立像のように、脳のなかで像が結ばれてくる。
 右上の、表面がすぱんと切れているところは、腕の取れた場所のようだし、下部の凹凸は片足をわずかに曲げて前に出す古代ギリシャ以来の人物像の伝統を受け継いでいるようでもある。この形状によって、全体に動きが感じられるのはまちがいないところだ。

 彫刻は版画などに比べると運搬に莫大な費用がかかるので、展示数が7点しかないのは仕方ないのだが、欲を言えばもう少しまとめて見たかった気もする。



2016年9月13日(火)~10月16日(日)午前10時~午後5時(入場30分前まで)
神田日勝記念美術館(十勝管内鹿追町東町3)

http://www.masarubando.com/

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■経塚真代個展 □△○そのカタチにはそれぞれのキヲクがある (2016年9月28日~10月10日、札幌)

2016年10月10日 22時59分13秒 | 展覧会の紹介-彫刻、立体
 
 どこか遠くを見つめているような人形をつくる経塚真代けいづかまさ よさんが、吹き抜けや段差など複雑な構造をもつギャラリー門馬(札幌市中央区)の空間をうまく生かした個展を開きました。



 もともとギャラリー門馬には、故・門馬よ宇子さんや、現オーナーの大井さんがが陶で作った立体が保管してありました。

 ギャラリーの下見に来た経塚さんが、この球や立方体のオブジェを見つけて、個展のテーマはこれで行こうと、□△○に決めた由。

 会場には、陶の四角形と、経塚さんが作った軽い四角形が混在していて、ちょっと見た目にはどちらがどうなのかわかりません。







 会場のあちこちに○△□があります。

 前回にくらべると、頭に何かをのせた人形が減って、めがねをかけた人形が増えたような気がします。

 手書きの趣をのこした明朝体の立体的な文字が会場に貼られているのは、これまでの個展と共通しています。












  ファンが多い経塚さんの作品。なんと初日のオープン前にはすでに数人がギャラリーの前に列をつくっていて、大井さんが
「こんなのはじめて」
と目を丸くしていました。

 もちろん筆者が訪れたときには全点売約済み、完売でした。

 経塚さんの快進撃はまだ続きそうです。


2016年9月28日(水)~10月10日(月)午前10時~午後6時、会期中無休
ギャラリー門馬(札幌市中央区旭ケ丘2 http://www.g-monma.com/


□サイト http://masayokeizuka.com/
 twitter @9kuupi
 Facebook @keizuka.m
 Instagram keizukamasayo

経塚真代個展「いつも言った事と思った事は違っていた」 (2016年3~4月)■別の画像が載っているツイート

経塚真代個展 こんにちは さようなら展 (2014)
九月の旅人 経塚真代
経塚真代 個展 昨日の出来事 (2014年4月)
経塚真代 造形作品展 「ちいさくて見えない星」 (2013)
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■鈴木吾郎展 (2016年6月20~25日、札幌)

2016年06月25日 13時13分13秒 | 展覧会の紹介-彫刻、立体
 鈴木吾郎さんは小樽のベテラン彫刻家。
 数年前から道展や小樽市展をやめ、創作に集中しています。ここ数年もっぱら取り組んでいるのは、テラコッタの少女像です。
 札幌時計台ギャラリーでの個展は2009年以来とのこと。

 人物像というのは、単なる写実に見える人もいるかもしれませんが、なかなか奥の深い世界だと思います。
 ただ、人間から型を取ったみたいな描写をしても、それは「リアル」ではなくて「グロテスク」になりがちです。
 古代ギリシャ彫刻が古来称賛されてきたのは、リアルと理想のあいだで絶妙のバランスをとっているからでしょう。
 鈴木さんの作品も、丸みを帯びたラインがすばらしく、単なるリアルさとも、かわいらしいデフォルメとも異なる、人物彫刻らしさにあふれたものになっていると思います。
 それでいて、宙を飛んでいるような姿勢はユニーク。量塊性が重視される彫刻の世界で、その対極にある軽やかさを追究しているのでしょうか。

 冒頭の端は「試作 トルソー」。
 いまなお衰えぬ作者の実験精神がうかがえます。




 中央は「哀しみの女 2012」。

 取り巻くように置かれている漁網や流木などは、鈴木さんが用意。それらを、搬入を手伝ってくれた人たちが自由に配置して、インスタレーション的な展示にしました。
 木片などは見る人が自由に動かしていいとのこと。
 作者が東日本大震災への思いをこめて作ったというだけに、津波に襲われた海岸を想起させる一角です。




 今回の個展には、彫刻15点のほか、デッサンも13点展示されています。
 すぐれた彫刻家のデッサンは、へたな画家のそれよりもすぐれているとは、よくいわれることですが、鈴木さんのデッサンも線に迷いがなく、的確に対象を捉えています。




 今回の個展には、テラコッタの少女像のほかに、めずらしく男性像も出品されています。
 この画像の作品は「哀しみの男・阿々Q」。
 奇妙なタイトルですが「阿々Q」は、ああ9、という嘆きです。男の持つ頭蓋骨には、憲法9条が死に瀕しているという危機感がこめられています。


6月20日(月)~25日(土)午前10時~午後6時(最終日~午後5時)
札幌時計台ギャラリー(中央区北1西3)


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【告知】鈴木吾郎 彫刻50年展 (2012)
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鈴木吾郎古希・テラコッタ自選展(2009年)
小樽 美術家の現在シリーズ1 鈴木吾郎展

鈴木吾郎テラコッタ新作展(2002年)

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■加藤宏子彫刻展 (2016年6月10~26日、札幌)

2016年06月14日 18時16分11秒 | 展覧会の紹介-彫刻、立体
 加藤宏子さんは札幌の彫刻家。
 もともと石を素材としていたが、2009年ごろから紙による作品に転じた。こうぞで自ら漉いた紙で制作した作品は、紙らしい軽やかさと、紙とは思えないほどの存在感とを両立させている。

 とくに今回のメインの作品は、これまででも最大級で、会場に入った瞬間、圧倒される。
 ガラス張りのギャラリーなので、南9条通からも非常によく目立つ。
 先日、札幌のチ・カ・ホで開かれた「つながろう」展とは別の作品という。

 筆者の目には、天使の大いなる羽ばたきのように見えるのだが、ギャラリーの方いわく
「コンブだとおっしゃる方もいらっしゃいますね…」。
 う~む。
 支持体の、半分に切断した石が、もともと用いていた素材を思い出させる。




 冒頭画像の作品は色がうまく再現されておらず、実際の色合いはこの画像のほうが近い。
 波や水の流れを具現化させたような、ダイナミックな感覚は、加藤さんらしい。

 小品は壁掛けレリーフを含めて4点のみで、非常に潔い個展だ。


2016年6月10日(金)~26日(日)午前11時~午後6時(最終日~5時)、火休み
GALLERY創(札幌市中央区南9西6)


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【告知】交差する視点とかたち vol.5(2012)
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【告知】加藤宏子彫刻展 (2011)

劉連仁生還記念碑
加藤宏子個展(2010)

New Point vol.6(2009)

加藤宏子展(2008)

造形展・風の中の展覧会(2006)

加藤宏子彫刻展(2004)

北海道立体表現展(2003)
加藤宏子彫刻展(2003)
02→03展
リレーション夕張2002





・市電「山鼻9条」から約110メートル、徒歩2分

・地下鉄南北線「中島公園駅」1番出口から約380メートル、徒歩5分

・ジェイアール北海道バス「循環啓55」「循環啓55」「循環啓65」「循環啓66」で、「南9条西7丁目」降車、約210メートル、徒歩3分
(ギャラリー門馬近くの「旭丘高校前」から「循環啓55」で直行できます)

・じょうてつバス「南9条西11丁目」から約750メートル、徒歩10分。(快速7、快速8は通過します)

・中央バス「中島公園入口」から約650メートル、徒歩8分

※ト・オン・カフェから約500メートル、徒歩7分。鴨々堂から約650メートル、徒歩8分。HOKUBU記念絵画館から約1.2キロ、徒歩16分。ギャラリー犬養から約1.9キロ、徒歩24分。れんがギャラリーから約700メートル、徒歩9分
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■コレクション展 ふれる彫刻 (2015年12月5日~2016年4月10日、札幌)

2016年04月08日 01時11分11秒 | 展覧会の紹介-彫刻、立体
 本郷新記念札幌彫刻美術館は、わかっているのだと思う。
 美術館は「いつ行ってもおなじものが展示されている」と思われたらおしまい、ということを。

 だから、所蔵品の展覧会でも、若手作家に焦点を当てたミニ個展のシリーズ「In My Room」を開いたりして、何度も来たことがあるファンにも、あらためて足を運んでもらえるよう、あの手この手を尽くしている。
 この積極的な姿勢には、ほんとうに頭が下がる思いだ。

 今回は、札幌で工房「Zoo factroy」を主宰する木工作家キシモトユキオさんの「月のかけら」シリーズが出品されている。
 すでに、昨秋の個展で、揺らして楽しんだとはいえ、あらためて行ってみたくなる。
 会場の1階奥に、大きなサイズの作品が1点置かれている。2階奥の、「In My Room」がよく開かれている低いスペースには、たくさんの作品が並び、おきあがりこぼしのように、実際に動かすことができる。
 子どもたちに遊んでもらいたいコーナーだ。

 本展覧会のテーマは「ふれる彫刻」。
 このテーマの展覧会は、道立近代美術館でも時折開かれている。
 だが、所蔵品の本郷新作品だけでなく、札幌芸術の森美術館から借りてきたボテロや佐藤忠良などもある。
 個人的にいちばん「おっ」と感じたのは、三木富雄の巨大な「耳」。
 この作品は、1980年代に東京のギャラリーや美術館で何度も目にしただけに、実際に触れることができることに、ワクワクした。

 もう一つ。
 道立近代美術館の前庭にあることでも知られる「嵐の中の母子像」が展示されているのだが、その注意書きに、小さいお子さんは台の上に上がらないよう、見づらいときは抱っこしてあげてください―という意味のことが記してあったことに、ちょっと感動した。
 こういうところまで気を配れるとは。

 すべての美術館が、幼い子どもたちにやさしい存在でありますように。
 
 


2015年12月5日(土)~2016年4月10日(日)午前10:00~午後5:00(入館は4:30まで)、休館日:月曜日(祝日の場合は開館し、翌日休み)、12月28日~1月4日
本郷新記念札幌彫刻美術館(札幌市中央区宮の森4の12)

観覧料:一般 300(250)円、65歳以上 250(200)円、高大生 200(100)円、中学生以下無料
かっこ内は10人以上の団体料金


□Facebookページ https://www.facebook.com/inmyroomsapporochobi
□twitter @sapporochobi


Zoo factory キシモトユキオ展「月のさわりごこち」 (2015)
Zoo factory キシモトユキオ 三日月のさわりごこち (2014)




・地下鉄東西線「西28丁目」駅で、ジェイアール北海道バス「循環西20 神宮前先回り」に乗り継ぎ、「彫刻美術館入口」で降車。約620メートル、徒歩8分

・地下鉄東西線「円山公園」駅で、ジェイアール北海道バス「円14 荒井山線 宮の森シャンツェ前行き」「円15 動物園線 円山西町2丁目行き/円山西町神社前行き」に乗り継ぎ、「宮の森1条10丁目」で降車。約1キロ、徒歩13分

・地下鉄東西線「西28丁目」「円山公園」から約2キロ、徒歩26分

※札幌宮の森美術館から約690メートル、徒歩8分
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■さっぽろ雪像彫刻展2016 (1月22日~24日、札幌)

2016年03月11日 01時01分01秒 | 展覧会の紹介-彫刻、立体
 
 遅くなりましたが、画像だけをアップして放置していたので、簡単に紹介しておきます。
 手短にいうと、本郷新記念札幌彫刻美術館の前庭で、彫刻家や高校生チームなどが雪像を公開制作するもの。完成後はわずか3日間の展示ですが、さっぽろ雪まつりとはひと味異なる、造形力の高い作品が並びます。

 冒頭画像、左は佐々木仁美「繋ぐ」。
 右は北海道芸術デザイン専門学校「凍解―いてどけ―」。
 奥は清水宏章「Phantom」。



 児玉陽美「ぺんぎん」

 児玉さんは絵画、彫刻など多分野で制作する若手です。ペンギンがたくさんいて、にぎやか。




 野村裕之「穴のあいた家 ~雪がすべてをキレイにしていく」

 野村さんは、空知管内長沼町にアトリエを構える彫刻家。最近は「家」というモティーフを中心に、制作を展開しています。




 札幌平岸高等学校「風と水」


 北海道芸術デザイン専門学校「Rebirth」。

 ところで、作品の周囲にたくさんのあかりが点在しているのが見えると思います。
 これは、当日、照明デザイナーの遠藤香織さんとともにLEDライトやキャンドルで雪と光の風景をつくるワークショップが行われたため。
 筆者もひとつ置いてきました。

 遠藤さんは道教大出身で、久野志乃さんといっしょに2人展を大同ギャラリーで開いたこともあります(←古い…)。



 




 


 大泉力也「waltz」

 昨年、ギャラリー創で、いすをモティーフにした版画の個展を開いた若手の大泉さん。
 今回の雪像は、そのいすを、立体に開いたような形状をしています。

 大泉さんの作品を見ていると、向こうから満月が上ってきました。

 冬の満月。凍てつくようです。


2016年1月22日(金)~24日(日)午前10:00~午後6:00
本郷新記念札幌彫刻美術館 本館前庭(札幌市中央区宮の森4の12)

さっぽろ雪像彫刻祭2015
さっぽろ雪像彫刻展 (2014)
札幌雪像彫刻 (2010)
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