北海道美術ネット別館

美術、書道、写真の展覧会情報や紹介。2013年7月末、北見から札幌に帰還。コメント、トラバはお気軽に。略称「ほびねべ」

あいちアートトリエンナーレ2010・瀬戸内国際芸術祭2010報告(4)

2010年10月05日 20時54分29秒 | 読者からの投稿
承前


9月8日(水)

瀬戸内国際芸術祭 男木島(人口200人)

ジャウメ・プレンサ(案内所)/大岩オスカール/井村隆/松本秋則/川島猛とドリームフレンズ/高橋治希(焼物の花)/北山善夫/漆の家プロジェクト/オンバ・ファクトリー/西掘隆史/谷山恭子/中西中井/谷口智子/島こころ椅子プロジェクトグループ/眞壁陸二/ジェームズ・ダーリング&レスリー・フォーウッド

 男木島は、まずジャウメ・プレンサの案内所が迎えてくれる。急な坂道に寄り添うように家々がある。迷路の様な坂道を巡りながら美しい風景の中アート探索は実に興味深い。過疎化のため空き家を利用した施設がほとんどで男木島の活性化に寄与している。なかでもオンバ・ファクトリーは村人が坂道に使用する台車をリニューアルや制作するプロジェクトを展開して、地域の高齢者に寄与する関わりを見る事ができた。注文が殺到していると聞いた。素晴しい地域貢献の例である。他に、眞壁陸二の家々の壁画や大岩オスカール、谷山恭子、川島猛とドリームフレンズなど地域に取材した作品が多く見所満載であった。9/26に大岩オスカール「大岩島」の作品が火事のよる延焼で消失してしまったのは残念である。地域で開催するとこのようなデメリットがあることを念頭におかなければならない。



瀬戸内国際芸術祭 女木島(人口200人)=写真は女木島からの眺め=

レアンドロ・エルリッヒ/鈴木康弘/禿鷹墳上/愛知県立芸術大学アートプロジェクトチーム/木村崇人/ロルフ・ユリアス/サンジャ・サソ/行武 治美
福武ハウス2010:杉本博司/大塚聡/石川直樹/スターリング・ルビー/ビル・ヴィオラ/ビョルン・ダーレム/チャン・ジュンホ/邱黯雄/ラング&バウマン/ジュン・ヤン/ギャルリー・タデウス・ロパック

 女木島は鬼が島伝説の島である。鷹が峰山頂の洞窟や山頂の作品を見る。頂上は瀬戸内海が一望できる名所である。山道を下り福武ハウスの各ギャラリー選出の作品を見て島内のアート探索をした。金沢や越後妻有での活躍も目覚ましいレアンドロ・エルリッヒの作品はレストランにもなっていて憩いの場として提供されている。枯山水の庭に足跡が付いたり消えたりする作品と二重の茶室で不在の存在を出していた。興味深い作品であった。愛知県立芸術大学アートプロジェクトチームはオオテと呼ばれる防風防潮用の石垣と空き家をうまく利用して庭にと家の床を連動するフラットな床を作り、各種イベントが開催されるステージを作っていた。我が札幌市立大学も参加の場を確保したいものである。鈴木康弘の瀬戸内の海をチャックの用に空けるファスナーの船は出港中で見る事が出来なかった。




9月9日(木)

瀬戸内国際芸術祭 大島(人口100人)

◎ やさしい美術プロジェクト
大島はハンセン病の療養所の島で、永らく強制隔離された悲劇の島である。2008年にハンセン病問題基本法が制定され、偏見を取り除く啓発活動により、今回の瀬戸内国際芸術祭に島が解放された。現在も国立療養所大島青松園として園内にハンセン病の方々が暮らしている。ガイドツアーで島の人々の顔写真を撮らないなどの制約がある。納骨堂やつながりの家、ギャラリーを見る事ができた。当時、ハンセン病の方々は亡くなっても遺骨が出生地に還る事ができなく、患者同士の結婚は許されたが、ハンセン病は遺伝するため妊娠しても堕胎させられこの地に葬られる。納骨堂には人々の悲劇と想いが込められていて感慨深いものがあった。風の舞のモニュメントは魂が風に乗って自由に解き放たれる患者の想いが込められている。高松からのフェリーは国立療養所の職員や患者が利用するためのもので無料である。同船した患者さんは、一同に明るく歴史の中でその呪縛を解き放たれた事を感じる。高松からの乗船時や帰りの下船時において、高松の支援者が笑顔で迎えてサポートする光景を見て歴史の書き換えを感じた。


瀬戸内国際芸術祭回遊美術館

◎坂出:讃岐醤油資料館・四谷シモン人形館
 現代美術家の小沢剛が鎌田醤油の展示施設に醤油で描いた醤油画を展示。美術の歴史を遡りパロディして見応えのある資料館であった。隣の四谷シモン人形館は瀟洒な洋館に四谷シモンの作品が配されて、本人いわく、作品の最高の終の住処が出来たと喜んだそうである。鎌田醤油のオーナーの趣味の良さが品格として現れていた。

◎ 丸亀:丸亀市猪熊弦一郎現代美術館
京都を中心に活動するkyupikyupiと石橋義正の「Sicketel」展が行われていた。映像&パフォーマンスユニットとしての活動はCMや映画、ライブ活動、アートインスタレーションと多岐に渡り、その全貌を見せてくれた。




9月10日(金)

瀬戸内国際芸術祭 高松大巻伸嗣作品

椿昇/大巻伸嗣
 高松は国内有数の海の玄関口であることが理解できる。瀬戸内国際芸術祭の実行委員会の事務所や総合インフォメーションセンター、ボランティアスタッフ「こえび隊」の拠点などがある。高松港には大巻伸嗣のウエルカムゲートが設置され花を添えている。椿昇は旧高松港管理事務所をミラーパネルで覆い、内部に高松港に往来した人々の記憶を映像にして展示した。椿昇のもう一つの作品は「高松うみあかりプロジェクト」は市内各所19カ所に展示され人々と協働して作られた竹と和紙による灯りは高松の町に彩りを添えていた。

 これらの先例を踏まえながら、札幌ビエンナーレや炭鉱遺産を活用したアートによる地域を活性化に取り組みたいと考える。





 以上で上遠野敏さんからの報告は終わります。
 いや~、9日間も費やして何カ所も回ったようで、うらやましい限りであります。

 たいへん密度の濃い、しかし簡潔な報告で読み応えがありました。
 あらためてお礼申し上げます。


幌内布引アートプロジェクト (2009年)
越後妻有アートトリエンナーレ報告
「Interaction」ドイツ展 帰国展(2005~06年)
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あいちアートトリエンナーレ2010・瀬戸内国際芸術祭2010報告(3)

2010年10月05日 20時53分33秒 | 読者からの投稿
承前

9月5日(日)

瀬戸内国際芸術祭2010~アートと海を巡る百日間の冒険~概要(7月19日(海の日)から10月31日)
 第1回「瀬戸内国際芸術祭2010」は海の復権をテーマに、ベネッセの福武總一郎氏がプロデューサー、越後妻有大地の芸術祭などで活躍の北川フラム氏がアートディレクターを努める。直島、豊島、女木島=写真は女木島からの眺め=、男木島、小豆島、大島、犬島の7つの島と高松港周辺で展開されている。18の国と地域から75組のアーティスト、プロジェクト、16のイベントが参加している。美しい海と島の自然。島時間と言う言葉があり都会では味わう事が出来ない贅沢な時間をアートと共に過ごす事ができる好企画である。


瀬戸内国際芸術祭 直島(人口3400人)

◎「家プロジェクト」
 本村地区の「家プロジェクト」は古い家屋を改修してアーティストが家の空間そのものも作品としたものでる。内藤礼の「きんざ」は1日18人、1人15分の限定で予約が取れなかった。地域を巡りながら6カ所を見ることができた。宮島達男「角屋」、ジェームズ・タレル(安藤忠雄設計)「南寺」杉本博司「護王神社」、千住博「石橋」、須田悦弘「碁会所」、大竹伸朗「はいしゃ」がある。2回目の訪問であるが新たな発見もある。

◎「地中美術館」
 地中に作られた美術館の建築は安藤忠雄。この美術館はクロード・モネ、ウォルター・デ・マリア、ジェームズ・タレルの三人のための美術館である。天井から間接的に取り入れられた自然光によってモネの「睡蓮」は神々しい威厳を発していた。ジェームズ・タレルの空を見る「オープン・スカイ」や脳の作用によって補色の反転作用に取り込まれる作品、ウォルター・デ・マリアの大聖堂の内部空間を思わせるインスタレーションなど素晴しいコレクションと空間からなっている。整理券が発券され混雑していた。




◎「李禹煥美術館」
 もの派の巨匠、李禹煥の美術館は今年開館した。建築は安藤忠雄。ものとものの関係項を築く李禹煥の名作や新作が展示され新たな名所になることが期待される。新たな挑戦といえる映像と石を組み合わせての作品や安藤忠雄の空間に李禹煥が作品でコメントするといった真剣勝負が清々しい。李禹煥は来年、グッケンハイム美術館で個展が予定されて、国際的にももの派の再評価の現れであろう。

◎「ベネッセハウスミュージアム」
 ベネッセハウスミュージアムは安藤忠雄によるホテルと美術館、海岸線の野外展示からなっている。美術館には杉本博司、リチャード・ロング、ブルース・ナウマン、ヤニス・クネリス、大竹伸朗、柳幸典などその場に合わせた作品が設置されて質の高いコレクションである。海岸にある野外彫刻は草間彌生、ダン・グレアム、ニキ・ド・サンファル、大竹伸朗など景観と調和した作品が多い。ベネッセパークには本国際展の新作テレジータ・フェルナンデス「ブラインド・ブルー・ランドスケープ」は15000個のガラスキューブがランドスケープを映し出していた。

◎「直島銭湯I〓湯」
 大竹伸朗とgrafの直島銭湯が人々を裸で繋ぐアートとして一番愛される事例を作ったと言える。外装から内装まで大竹伸朗のアートの神髄が注ぎ込まれている。見所も多い。定山渓秘宝館の象「定子」が浴室の壁の上で出迎えてくれる。身体も心も癒される最高のアートを提供してくれた。地域の人の自慢の銭湯で地域貢献度は高い。福武總一郎氏の地域の人々に対する想いが伝わってくる。

(ヤナイ註:〓はハートマーク)




9月6日(月)

瀬戸内国際芸術祭 犬島(岡山市・人口60人)

◎犬島アートプロジェクト「精錬所」
 90数年前に操業を停止した銅の製錬所跡地を保存、再生して2008年4月に犬島アートプロジェクトとして近代化産業遺産を公開した。建築家三分一博志が自然の熱エネルギーを利用した空間に再生し、柳幸典がアートワークを行った。ガイドツアーで往時の状況と現在、アートワークや自然の熱エネルギーのシステムも理解できた。ベネッセの福武總一郎氏の企画で、三島由紀夫の松濤の家を買い取り保存したものが、近代化に対する申し立てとして柳幸典のアートワークとして結実している。産業遺産を保存再生させ活用する所に未来が開ける事例として、美しい海の光景と相まって印象的であった。

◎ 犬島「家プロジェクト」:F邸、S邸、I邸、中の谷東屋
 長谷川祐子がアートディレクターを努め世界的に評価の高い妹島和世の建築と柳幸典による作品とのコラボレーション。「F邸」「S邸」「I邸」の3つのギャラリーと、「中の谷東屋」を制作。そのギャラリーに柳幸典による作品「山の神と電飾ヒノマルと両翼の鏡の坪庭」「蜘蛛の網の庭」「眼のある花畑」がそれぞれ犬島に4つの建物を点在させ島を巡った。


瀬戸内国際芸術祭 豊島(人口1000人)

◎唐櫃浜地区:オラファー・エリアソン/クリスチャン・ボルタンスキー/大阪芸術大学豊島ラボ
◎甲生地区:塩田千春/キャメロン・ロビンス/クレア・ヒーリー&ショーン・コーディロ/スー・ペドレー

 豊島(てしま)は産業廃棄物の不法投棄で問題になり、弁護士中坊公平氏が奮闘し再処理が進んでいる。豊島は時間の関係からまず半分の地区をまわる事にした。地区をオリエンテーリングのように地域の海岸風景や田園風家の中を巡った。クリスチャン・ボルタンスキーは美しい海岸に「心臓音のアーカイブ」は世界中の心臓音をアーカイブする施設である。登録者の心臓音を録音して公開している。誰一人同じ心臓音がないことをインスタレーション作品で見せていた。他に、大阪芸術大学豊島ラボの大学の活躍も目覚ましい。甲生地区の村を巡りながら、その場の空間と対話する塩田千春他を見た。


9月7日(火)

瀬戸内国際芸術祭 小豆島(人口32000人)
安岐理加/河口龍夫/岸本真之/栗田宏一/スゥ・ドーホー/ダダン・クリスタント/丹治嘉彦/豊福亮/王文志

 小豆島の中山から常盤橋までのルートを下って各々の作品を巡った。美しい棚田の田園風景を背景に王文志の「小豆島の家」は存在感を示していた。5千本の竹を編んで直径18メートル、高さ15メートルのドーム状の家は棚田での稲作と対になる米蔵をイメージした。ドーム内は広く来場者は寝転んでくつろぎ隙間から差す光と島時間をゆったり堪能する事ができる。栗田宏一の「土と生命の図書館」は瀬戸内沿岸および瀬戸内に流れ込む河川に沿った町から採取した600種類の土は美しい顔料が並んでいるようであった。土によって風土をあぶり出していた。


瀬戸内国際芸術祭 豊島(人口1000人)

◎ 唐櫃浜地区:戸千世子/青木野枝/安部良(島キッチン)/藤浩志/ジャネット・カーディフ&ジョージ・ビュレ
ス・ミラー
◎ 硯地区:森万里子
◎ 家浦地区:トビアス・レーベルガー/木下晋/横尾忠則

 前日の豊島は半分しか見る事が出来なかったので残りの半分を見る。唐櫃浜地区では湧き水が出る神社を背景に棚田の地域で開催された。戸千世子は水田用の貯水池に風のオブジェを設置。安部良の島キッチンは地元の食材を用い有名シェフと村人が運営するおもてなしの場である。村人に生き生きとした職場を提供している。森万里子はスーパーカミオカンデとリンクさせ超新星が爆発すると光る作品を制作山の中の静かな沼に妖艶な姿を示していた。家浦のトビアス・レーベルガーも食事し語らう場として機能している。


続く
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あいちアートトリエンナーレ2010・瀬戸内国際芸術祭2010報告(2)

2010年10月05日 00時13分38秒 | 読者からの投稿
承前

9月3日(金)
あいちアートトリエンナーレ 白川公園エリア

◎名古屋市美術館:島袋道浩/エクトール・サモラ/オー・インファン/ホアン・スー・チェ/塩田千春/トム・フリードマン/ジェラティン/クー・ジュンガ/フランツ・ヴェスト/ラクウェル・オーメラ

 オー・インファン(韓国)の線香の粉による「人と人とが出会う場所(名古屋)」は事前にリサーチした名古屋市内のゲイバーの名前が、線香が燃えると文字が浮かび上がる。東洋的な素材と物事の心理を浮かびあげさせる手法には感心した。オーストリアのユニット、ジェラティンには大いに期待していたが、今回は金属の箔片を無数に舞わせると言うパフォーマンス作品で、仕掛けが故障しておりそれさえも見る事が出来ずに残念である。島袋道浩は知多の篠島の漁村に暮らす人々をテーマに作品を展開。国際展慣れした展示であった。

 愛知県芸術文化センターも名古屋市美術館もホワイトキューブに無菌化された空間での国際展は、この後に見る地域の中に溶け込んだ芸術祭と比べ、かなり魅力に欠ける事を認識する。美術館やギャラリーでは概ね撮影が禁止されている所が多く残念である。海外の美術館やベネチアビエンナーレなどが撮影可能であり、持ち帰った写真データをブログなどに掲載したものが大いに話題提供となるので、日本でもそのへんの国際化も望まれる。本報告の撮影可の写真以外はネットからの掲載である。

(ヤナイ註:このブログでは写真の大半は転載していません)

◎ベロタクシー:主たる会場への移動は無料のベロタクシーが運行され、ゆっくりながら街並を楽しむ事ができた。あらゆるホスピタリティーが国際展の重要な機能をサポートする。


あいちアートトリエンナーレ 納屋橋エリア

泉孝昭/山下麻衣+小林直人/カーメン・ストヤノフ/小金沢健人/小泉明郎/孫原+彭禹(スン・ユァン+ポン・ユゥ)/楊福東(ヤン・フードン)/ダヴィデ・リヴァルタ/梅田宏明(網膜脳内映像)

 納屋橋会場はボウリング場を綺麗に改修してギャラリーとして使用しているので、場が持っている固有の特性は感じられない。世界的に著名な孫原+彭禹の作品は機器のトラブルによって見る事が出来ず、それを直しもしない中国のおおらかさといいかげんさを見る事になった。ここでもドキュメント的な工夫のない即席な映像が連続して流れる作品が多かった。

◎パフォーミングアーツ(愛知県芸術文化センター):デルガド&フッシュ
 スイスを拠点に活動するダンスユニット、デルガド&フッシュ。わずか1時間程度のダンスパフォーマンスであるが、鍛え抜かれた美しい身体による振り付けや演出に現代アートとして十分の内容を見せてくれた。ピンクと水色の衣装も印象的で、終了後のロビーでの撮影会や炭酸水の振る舞いもあり充実した楽しいパフォーマンスであった。あいちトリエンナーレの柱としてパフォーミングアーツは演目も多く、他の国際展との差別化や特色を出していると思った。イベントも多い。短期間の滞在では総体を見る事ができないのが残念である。



9月4日(土)
あいちアートトリエンナーレ 長者町エリア

◎名古屋センタービル1階:川見俊
◎ 中愛株式会社地下:岡田昭憲/倉田愛実/有吉達宏/戸井田雄
◎ 長者町繊維卸会館:ルシア・コッホ/斉と公平太/淺井裕介/ジュー・チュンリン/ナウィン・ラワンチャイクン/北川貴好
◎ 旧玉屋ビル:石田達郎/山本高之/小栗沙弥子/青田真也
◎ 旧モリリン名古屋支店ビル:KOSUGE1-16/トロロスタジオ+栗本設計所・谷川寛+栗本真壱
◎錦2丁目ビル/メルヴェ・ベルクマン
◎喫茶クラウン/淺井裕介
◎瀧定ビル公開空地:ダヴィデ・リヴァルタ(2頭の馬)
◎万勝S館:市川武史/ジンミ・ユーン/マーク・ボスウィック
◎エルメ長者町:トーチカ/村田峰紀/小栗沙弥子
◎綿覚ビル1階:ルシア・コッホ(スクリーン)
◎吉田商事株式会社:ナタリヤ・リボヴィッチ & 藤田央
◎スターネットジャパンビル:渡辺英司
◎ARTISANビル1階外壁:ジラユ・ルアンジャラス など

 長者町界隈を徘徊しながら見るのは楽しい。長者町繊維街は日本三大繊維問屋街のひとつで、近隣には繊維製造で有名な一宮がある。近年、日本製の繊維は中国産に押されて長引く不況が続いている。空きビル、ビル壁面、空き店舗、公開空地などが会場となり、場と歴史と人々をリンクさせる作品も多く好感の持てる作品が多かった。愛知や近隣の若手アーティストも見受けられ場と機会を得ることによって成長促す雰囲気が感じられた。札幌での国際展もこの視点が望まれる。ただし、地元偏重になり、総花的に作家を揃えるような愚は冒していないようである。今後は継続をすることによって、地域や地元の人々との関わりが大いに増すのではないかと推測される。長者町エリアのなかで傑出していたのは渡辺英司である。図鑑から切り抜かれた無数の蝶のインスタレーションや全館使った作品も充実していた。他にも市川武史、山本高之、ナウィン・ラワンチャイクン、淺井裕介、ジュー・チュンリンなど充実のラインナップであった。


続く
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あいちアートトリエンナーレ2010・瀬戸内国際芸術祭2010報告(1)

2010年10月05日 00時11分59秒 | 読者からの投稿
 札幌の現代アート作家上遠野かとおの敏さんから

あいちアートトリエンナーレ2010・瀬戸内国際芸術祭2010報告

というテキストをいただきました。
 当初は、筆者に読んでもらえればということでしたが、このブログに、ことし大きな話題を呼んでいる両国際美術展についての報告エントリがないのも寂しいため、無理を言って転載の許可をいただきました。

 上遠野さんには、いつも国際展の報告などの原稿をいただいており、あらためて感謝申し上げます。

 4回分に分割して掲載いたします。
 きょう2本、あす2本アップします(あまり間延びしてもいけないので)。





 現代美術による地域活性化の事例を名古屋市の「あいちアートトリエンナーレ2010」、香川県、岡山県にまたがる「瀬戸内国際芸術祭2010」に取材した。アートによる地域活性化の有用性や最新の状況をリサーチすることが出来た。また自らの作品展開においても大いなる啓示を得た。詳細については「札幌デザインウィーク」でのセミナーなどで報告をする。

9月2日(木)
あいちアートトリエンナーレ2010 概要
第1回「あいちトリエンナーレ2010」は名古屋市内の愛知県美術館がある愛知芸術文化センター、名古屋市美術館、繊維問屋街の空き店舗などを使った長者町会場、ボウリング場跡の納屋橋会場などで8月21日から10月31日まで開催している。世界24の国・地域から131組のアーティストが参加。テーマは「都市の祝祭」で多様な現代美術作品とパフォーミングアーツを柱としている。

あいちアートトリエンナーレ2010栄エリア
◎愛知県芸術文化センター
・ 10F愛知県美術館展示作家:松井紫朗/草間彌生/シプリアン・ガイヤール/蔡國強(ツァイ・グオチャン)/ハンス・オプ・デ・ビーク/フアン・アラウホ/張〓(ジャン・ホァン)/三沢厚彦+豊嶋秀樹/志賀理江子/フィロズ・マハムド/アマリア・ピカ/登山博文/ジラユ・ルアンジャラス

・8F愛知県美術館展示作家:オリヴァー・ヘリング/ミケランジェロ・コンサーニ/ヤコブ・キルケゴール/タチアナ・トゥルーヴェ/ヘマ・ウパディヤイ/ソニア・クーラナ/ジラユ・ルアンジャラス/蔡明亮(ツァイ・ミンリャン)/曾建華(ツァン・キンワ)/アマル・カンワル/秋吉風人/ズリカ・ブアブデラ/アデル・アブデスメッド/エクトール・サモラ/宮永愛子

 愛知県芸術文化センターでは松井紫朗の巨大なバルーンが吹抜け空間を占有し国際展を盛り上げていた。気を惹いた作品を取り上げる。三沢厚彦は豊嶋秀樹とコラボレーションをして、巨大の迷路空間に木彫の動物を配して人々の人気を集めていた。ハンス・オプ・デ・ビーク(ベルギー)による演劇的な手法よる手作り風アニメーションは創造性も高く、ローテクな技法ながら感情に訴えものがあった。張〓(中国)の牛革で作られた人物像「ヒーロー」はその大きさに圧倒され具象彫刻の可能性を感じた。ヘマ・ウパディヤイ(インド)は空缶などのチープな素材を用いてインドの貧民街を含めた風景立体で固有のアイディンティティを作り出していた。他の作品を含め分かり易く、愛知との関係を示した作品も多く鑑賞者との距離を縮めている。子供を対象のキッズトリエンナーレでのワークショップなどはその現れである。近年の傾向なのかドキュメント的な工夫のない即席な映像が連続して流れる作品が多いのが気になった。

◎オアシス21:草間彌生=冒頭画像
 オアシス21と言う近未来的な複合施設の屋上庭園には草間彌生の水上に浮くオブジェが展示され、人々の憩いの空間を演出していた。
 草間彌生は他に愛知県芸術文化センターの巨大な花のオブジェや観客を各会場に無料で移送する。ドット柄の車など広範囲に作品展開をしていた。


ヤナイ註:〓は、さんずいに「亘」

続く
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■瀬川葉子展「記憶に沈んだ庭」 (7月11日で終了)

2010年07月14日 00時14分10秒 | 読者からの投稿
 瀬川葉子展「記憶に沈んだ庭」。
 20年ぶりの個展ということで、ご案内はいただいていましたが、異動とぶつかり、見に行くことはできませんでした。

 このたび、「プラスワン」「絵画の場合」などで精力的に作品を発表している札幌の谷口明志さんから個展会場の画像が届きましたので、その一部をご紹介します。

 ただし、画像だけで、テキストはありません。
 マチエールなどは、やはり実物を見たくなりますが、画像だけからでも、良い個展だったんだろうな~という雰囲気はじゅうぶん伝わってくると思います。













 近づいてみます。





 谷口さん、瀬川さん、どうもありがとうございました。

 みなさんから、文章だけ、写真だけでもかまわないので、投稿をお待ちしています。
 撮影の際は、作家やギャラリー関係者の承諾を得てからにしてください。お願いします。


2010年6月29日(火)~7月11日(日)11:00~6:00、月曜休み
コンチネンタルギャラリー(札幌市中央区南1西11 コンチネンタルビル地下)
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マイケル・ケンナ展について

2009年11月17日 22時00分33秒 | 読者からの投稿
マイケル・ケンナ写真展

 上記のテキストを2009年10月27日にアップしたところ、会場である道立釧路芸術館の担当の方から丁寧なメールをいただきました。
 ありがとうございます。

 広くこのブログの読者にも参考になる内容ですので、許可をいただきて、ここに転載いたします。 

 マイケル・ケンナ氏の作品の寸法につきまして、ご指摘の通り、7 1/2インチ(約19cm)四方のプリントサイズは現代の写真作品にしては、いささか珍しい寸法であります。1980年代中盤以降、マイケル・ケンナ氏がもっぱらハッセルブラッドを用いて6×6判の作品を制作するようになってから以降の写真の殆どは、ほぼ同じサイズの正方形のものとなりました。ケンナ氏によると、寸法をほぼ揃えることにより展示の際に制作年代の隔てた作品同士も違和感なく並べることができ「幸せに共存できる」のだそうです。

 また、プリントサイズが小さい理由としては作者ご本人によりますと人間の目が焦点を合わせる際の視界が約35度であり、鑑賞者が作品から10インチ(約25.4cm)離れたところで最もよく見えるよう意図したからだそうです。美術館での作品鑑賞距離にしてはいささか近すぎるように思える距離ですが、彼の卓越したプリントテクニックが生み出した、豊かな諧調表現は、近距離でじっくり見詰める方が伝わり易いようです。


 このあたりの説明は、会場で販売されていた図録にもなかったところで、とても興味深い内容です。

 先のエントリでは書き漏らしましたが、この展覧会場の特徴のひとつに、「このラインよりも下がってご覧ください」というような表示がいっさいなかったことが挙げられます。
 近年では、あるところまで近づくと機械仕掛けでブザーが鳴るような施設も存在しますが、釧路芸術館のこの写真展では、思いっきり作品に顔を近づけて作品を堪能することが可能でした。しかし、いくら近づいても、額にガラスが入っているのかどうか、分からなかったのですが。

 もっとも、主催する側としては、オリジナル作品が傷ついたりはしないかと、気が気ではないと思います。美術館の鷹揚おうような姿勢に敬服しました。
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上遠野敏さんの東京・青森(6 完結) 奈良美智+graf A to Z

2006年10月22日 00時07分51秒 | 読者からの投稿
●弘前 吉井酒造煉瓦倉庫
「奈良美智+graf A to Z」 (2006.7.29~10.22)

青森からの電車の車窓から、岩木山や赤いりんごが見えて嬉しくなりました。
奈良美智の「AtoZ」は展示や小屋など見せ方に工夫が凝らされ、良く出来ていて見応えがありました。若い女性を中心に大人気。満員御礼です。彼は人々のこころを完全に掴んでいます。グッツも長蛇の列で大儲けかな?
弘前における経済効果は抜群かと。奈良美智の作品は図録や写真では分からない良さが実物から発見できるのが嬉しいです。下地づくりや細部の表現が実に良く出来ています。小屋は「AtoZ」まで用意され次になにがあるのか期待させてくれます。
まるでディズニーランドのようでした。
ゲストの三沢厚彦の動物作品などもあり楽しい展覧会です。奈良美智の作品は、どれをみても予想を裏切らない確かさがあります。
会期はあと少しです。あなたも事件に立ち会ってみましょう。
(JR弘前駅から15分程度かかります。駅舎の観光案内所で無料の自転車を貸してくれます。ご利用を)

■関連資料
「奈良美智+graf A to Z」作品集 5,670円 送料800円
11月中旬発売予定。図録がまだ出来ていませんでした。会場で予約しました。サイン入りです。重いので送ってもらったほうが楽です。
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上遠野敏さんの東京・青森(5) 縄文と現代

2006年10月22日 00時07分20秒 | 読者からの投稿
●青森県立美術館
「縄文と現代」 2006.10.7~12.10

青木淳の青森県立美術館は地下にすっぽりとはまった空間構成でなかなかエネルギーを感じさせました。縄文の聖地ですものね。
エントランスから地下へ誘導するのはベルリンのユダヤ博物館みたいでした。
「縄文と現代」展は小谷元彦が良かったです。札幌芸術の森美術館での「ガンダム」展でも秀逸な写真作品を見せてくれましたが、彫刻の作品は初めてでした。造形力の確かさとコンセプトがかみ合って、すばらしい作品を作ります。
岡本太郎の写真はすごい。恐山、オシラさまなど迫真の眼力で切り取っています。やはり、縄文を発見したのは岡本以外に考えられないのであります。
現代と言えど・・東京近代美術館にあるような、戦後の美術系譜を見てるようでした。地元の方の啓蒙としては必要なことなのでしょうが、もう少し新鮮な作家がほしいところでしたが、各地から集められた縄文土器と美しい調和を見せていました。好企画。

常設は地元ゆかりの作家が個展形式であり適度な見応えがありました。
シャガールの緞帳4面もありました。手描きです。
(JR青森駅からバスで25分。1時間に1本程度のシャトルバス:300円があります。お隣は三内丸山遺跡)

■関連資料
図録、こちらも予約受付中。連絡先を書きました。値段等も未定。

 (写真は、青森県立美術館 青木淳設計 地中が展示場)
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上遠野敏さんの東京・青森(4) ビル・ヴィオラ

2006年10月21日 00時06分56秒 | 読者からの投稿
●森美術館
「ビル・ヴィオラ:はつゆめ」(2006.10.7~2007.1.7)

ビル・ヴィオラ・・映像は映画のようでライティング&セットともスゴイことをしております。やはりプロ。文献や写真からでは真意が分かりませんでしたが、やっと彼の作品を認識することができました。
ビデオインスタレーションなればこそ、身をおいてこそです。1分間の映像を81分に引き延ばして見せるなど、悲しみや憎しみを超微細に時間軸で見せてくれます。言いたいことはひとつ!禅的な死生感。そこに深いものを感じました。こざかしいビデオ作品が世に多い中、より孤高で崇高でした。凄い作家でした。

■関連資料
図録:ビル・ヴィオラ:はつゆめ 2,800円 
よりビル・ヴィオラを知る手掛かりとなります。

(写真は、六本木ヒルズ広場 ルイーズ・ブルジョワ「ママン」)
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上遠野敏さんの東京・青森(3) 国宝 伴大納言絵巻

2006年10月20日 00時06分03秒 | 読者からの投稿
●出光美術館
「国宝 伴大納言絵巻 ―新たなる発見、深まる謎―」2006.10.7~11.5

伴大納言絵巻・・3巻勢揃い 小さい人物群なのだが、人間の頭は視覚を増幅させて細かな表現までくっきり見えて、アニメ1本みたような満足観を味わえました。模写が並ぶ日程もありますので、確認されて行ってください。
他に「十王図」がありました。ずらり並ぶ死後の裁判官十王と八大地獄の呵責の様相がダイジェストで盛り込まれています。
珍しく八寒地獄1場面ありました。奪衣婆ちゃんが可愛らしい。地蔵さんが男女を地獄から救済して三途の川を渡らんとする場面など素晴らしい出来です。

■関連資料
今回も図録が出ていましたが、平成6年発刊の「国宝 伴大納言絵巻」を所持しているので買いませんでした。

(写真は、出光美術館からの皇居の眺め)
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上遠野敏さんの東京・青森(2) 東博 

2006年10月20日 00時03分50秒 | 読者からの投稿
●東京国立博物館
「仏像 一木にこめられた祈り」 (2006.10.3~12.3)

これがよかった。結構な名品が出ています。八百万?の仏が大集結して頂けるなんてありがたい。その上めでたい。
壇像が素晴らしい。十一面観音像など小品ながら各部のパーツまで一木で彫る唐の技術に感服。法隆寺(元三輪山のもの)地蔵菩薩や元興寺の薬師如来などは威厳に満ちて素晴らしい仏です。鉈彫りの仏や顔が割れて十一面観音が表れる珍しい仏。

円空や木喰の素晴らしい仏群など楽しいひとときでした。
高名な向源寺(渡岸寺)の十一面観音像は11/7~展示です。妖艶です。

■関連資料
図録「仏像 一木にこめられた祈り」2,500円 仏像の横や後ろの写真もあり研究資料として望ましい。入手。

(写真は、東京国立博物館 平成館)
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上遠野敏さんの東京・青森(1) 大竹伸朗展 

2006年10月19日 00時11分54秒 | 読者からの投稿
 札幌の現代美術作家、上遠野(かとおの)敏さんから、東京と青森の美術展めぐりをしてきたことについて、投稿がとどきました。
 6回に分けて掲載します。

●東京都現代美術館
「大竹伸朗 全景1955-2006」 (2006.10.14~12.24)

 現代美術を代表する作家「大竹伸朗」が少年期から現代までの作品を引っさげて、現代美術の牙城でベールを脱いだ。作品は2000点。札幌芸術の森美術館展示フロアーの5倍くらいはあるでしょうか。(2万点とも3万点とも言われている作品群から厳選。本人を始め関係者の苦労がうかがえる)一人の作品量とは思えない圧倒的な量と質で、改めて造形の持っている力に感動しました。

○まず「宇和島駅」のネオンサインがお迎え。エントランスではワニの「イチロウ」(メタ・アルビノ)と宙づりの「網膜」(零景)が回転しながらギターを
かき鳴らしワクワク感を盛り上げてくれます。

○入場すると濃厚な「スクラップ64冊」が美しく鎮座。場所、時間、思考、行為などがぎっしりとそれぞれの厚みとなって強烈な一撃を喰らわされます。大竹作品の源として、これだけでも見る価値が十分。

○「小学校から大学受験までの作品」。
子どもの作品を見せるほどのお目出たい作家ではない、既に独自な造形言語を有している出発点を確認したかったのであろう。中学で作った、笑う顔面、足付きの彫刻などは、シュワンクマイエルばりの作品で非凡な才能を発揮しているプロ並み。受験期の作品はやはり苦しいが、そんな中でもダイアン・アーバスの写真を絵にするなどの作品は高校生にして既に優れた嗅覚と言えるだろう。

○自己の存在を確かめる「別海時代」の写真とスケッチ。
これは別海の「ウルリ-牧場」(10.8~12.25)と道立近代美術館での「FIX MIX MAX展」(10/10~10/19)でもご覧になれます。無給、無休で牛の糞だしをしながら何をみつめたのか、3ヶ所の会場で軌跡をたどるのもいいのでは。

○貼り込みやノイズの目覚め「ロンドン時代」
マッチのラベルの出会いや収集物との出会いをはじめ、ラッセル・ミルズやホックニーとの出会いなど大きな収穫があった。

○「デビューまで実験時代」紙でつくったボブ・ディランの彫刻やラッセル・ミルズやマックス・エルンストを思わせるコラージュ、ギターや靴箱のボール紙の絵画、版画、ノイズバンドなどの実験が大竹表現の礎となっている。

○ワタリやロンドンICAでの「デビュー時代」
世界の潮流、ニューペインティングの寵児として注目された。
アーティストブック「倫敦/香港」がADC最高賞

○伝説の展覧会「佐賀町エキジビットスペース」1987
画廊とのトラブルから3年間の沈黙を破っての展覧会。「東京-京都」、「ラビュシュマン」「ベルリン」「サンチャゴ」などで名声を高めた。当時の若者から絶大な支持を集め、その後活躍する村上隆などを輩出する母胎とも言える伝説の展覧会。この時代はひとつの頂点としてご覧頂きたいです。ふきのとうのように大地に出てきたようなエネルギーが溢れでています。

○「アメリカ シリーズ」
アメリカの基金の招聘での制作された作品。どこでも移動可能なように綿布を丸めてられるように工夫。オールオーバーな色面やしみ、胞子を思わせる線描などの作品。

○「シップヤードワークス」
宇和島に拠点を移したこともあり、漁船や造船のFRPなどを使った作品群が登場。作らずに創る極意は廃漁船を使った西武アートフォーラムでの「フィシャマンズ・ヘッド」や「漁船窓」「家系図」など、寺田倉庫でのFRPの「隔壁」「船尾と穴」などモノが大きいだけに圧倒的な迫力。
素材との出会い、造船所との出会いが嬉しさとなって作品から喜び溢れています。

○「網膜シリーズ:写真&平面」
写真撮影の際、カメラマンがゴミ箱に捨てたポラを拾い上げ、カラー印画紙に引き延ばしてテープやインク、透明プラスチックで絵画とした作品。この作品に強いショックを受けたことを、今でも残るプラスチック臭が呼び起こしてくれました。

○「立体コラージュ:網膜」
都築響一(「TOKYO STYLE」「珍日本紀行」でお馴染み)とモロッコ旅行。コラージュ魂に発火。箱型の立体にここまで貼れるかって所まで貼った「網膜:ニュートン オブタンジェ」ほか、すざましいエネルギーの放出。

○「モロッコ:カスバの男」
モロッコの取材で生まれた色鉛筆のスケッチ群。色彩感覚が豊で絵がやはり上手い。「カスバの男」は紀行文。

○「絵本:ジャリおじさん」
名作絵本。原画と副産物の絵画。素早い筆致で描かれた顔の連作などは、絵と言うものの良さが最大に引き出されて傑作。家族の肖像も見もの。

○「インクジェットの力 Printing/Painting」
福島県須賀川の現代グラフィックセンターでのイングジェット絵画。コラージュの元ネタをインクジェットでキャンバスに拡大印刷したものを魅力あふれる絵画に作り変えた。このような機会を大竹は鋭敏な感覚で表現をものにしている。

○「既景」
すでにそこにあるものから、インスプレーションを受けて制作された作品群。
これは日本景へとシフトして行く。「ちえりあ」に設置された18点の組替え可能の絵画(鹿の絵)「既景/6402兆3737億572万8000分の1」はこれにあたる。「ちえりあ」緞帳ともに今回出品されています。

○「日本景」
雑誌の取材で日本各地をめぐり、絵描きが見向きもしない絵にならないものを大竹の目で見いだされて、「日本景」として絵画、ネオン作品など広範囲に新たな価値感を作り出した。2000年に「ちえりあ」に設置された緞帳「北の空に浮かぶカタチ
」も展示され、燦然とその美しさを示しております。札幌市の英断を讃えたい。

○「パズルパンクス」
関西のノイズ系アーティスト:ヤマタカアイとのユニット。CDや作品集がつくられた。

○「ダブ平&ニューシャネル(独自の演奏システム)」
ギター、ベース、ドラム、DJタウンテーブル、カラオケ、照明などが遠隔操作で演奏出来るステージセット。ヤマタカアイとのライブはいつも大盛況である。今回は11/27に行われます(予約:チケットぴあ)。1999年時代の体温(世田谷美術館)、2000年大阪キリン、そして今回と益々バージョンアップしています。早くロンドンとかに持って行って世界をあっと言わしたいものである。

○「鼠景(マウス景)」
エプサイトの協力で絵筆をマウスとペンタブレットに持ち替え制作したインクジェットの作品群。バーチャルを超えて創造は力であることが証明されたのがこの作品群である。

○他に「ビルディング」「釣船」「新作」「本」など
最新作は巨大な「女神の自由」が吹き抜けのロビーに鎮座して女神の自由を謳歌しています。

やはり大竹伸朗は抜群でした。横綱登場。村上隆や奈良美智の台頭で沈黙をしていた大竹が露払い宜しく登場した感があります。海外の美術館等でみる巨匠の作品と同じような品格と崇高さを作品が語っておりました。東京まで行って観る価値があります。皆様も是非に。

■関連資料
「大竹伸朗 全景1955-2006」11月下旬刊行予定。会場価格6,300円
会場で予約できます。送料、別途1.000円
展覧会の全作品やテキストなど貴重な資料といえる。他に関連本は多数ありました。

(写真は、東京都現代美術夜景 宇和島駅のネオンと「ちえりあ」の緞帳)
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造形展・風の中の展覧会(10月10日まで)

2006年10月02日 21時31分29秒 | 読者からの投稿
 ことしも後志管内倶知安町の林雅治さんから、野外彫刻展「風の中の展覧会」の作品写真が届きましたので、紹介します。
 まず林さん。

 次は伊藤幸子さん。
       

 小野寺紀子さん
       

 笠原昌子さん
       

 加藤宏子さん
       

 川上勉さん
       
 
 川上加奈さん
       

 橘井裕さん
       

 藤田尚宏さん
       

 こうして見ていると、会場に行きたくなるなあ。

9月6日(水)-10月10日(火)、小川原脩記念美術館(後志管内倶知安町北6東7)。

■05年の様子もぜひごらんください。

※追記(07年9月) 展覧会のタイトルと、藤田さんの名前が間違っていました。おわびして、訂正します
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越後妻有・番外-上遠野敏さんから

2006年09月07日 22時08分06秒 | 読者からの投稿
 札幌の美術家、上遠野(かとおの)敏さんから、越後妻有アートトリエンナーレ大地の芸術祭について投稿がありました。筆者のいつ終わるとも知れぬ文章と違い、簡潔にまとめられていますので、ここにアップします。

菊池歩  「こころの花ーあの頃へ」
3万本のビーズの花がかたくりの花のようにブナ林に美しい光景を見せておりました。村人の協力で2年がかりで作ったそうです。
地域の人々と共につくるのがこの展覧会の良さを引き出しています。作品も美しいが「こころが美しい」と感じました。
今回、NO,1の作品と思いました。

       
レアンドロ・エルリッヒ 「妻有の家」
金沢21世紀美術館のプールの人。新潟の十日町は雪が深く、3階建てこのようなパッチワークの窓を散見する。
彼はそこが面白かったのでしょう。なにより鏡の効果でこのようなパフォーマンスが楽しめます。アートもサービス業。大事なこと。
       
みかんぐみ+BankART1929 「 BankART  妻有」
建築ユニット「みかんぐみ」の空家再生プロジェクト。庭に見えるのは数種類のお風呂プロジェクト。水風呂に腕をひたしてゆったりした気分になれました。
ここは迎える人も気持ちいい。冷たい麦茶をご馳走になりました。内部空間もシンプルに整えられてさりげなくアートと共存していました。
将来セミナーハウスとなるそうです。

          

マーリア・ヴィルッカラ 「TUMARI SU 3持ち上げて-行ったり来たり」
ここも空家。まだ生活の場もなまなましく、それをそのまま見せています。作家はこの家の時間や記憶の「事」を金箔でちょっとだけコメントを入れています。当時住んでいた幼い姉妹が作ってもらったブランコが気配を感じさせます。
神棚、そして6月に亡くなったおばあちゃんの位牌も仏壇にありました。もちろん手を合せさせて頂きました。

          
「儀明劇場 倉」 中村祥二設計 アーティスト中瀬康志+3名
空家から突き出した空中廊下が楽しい。里山とひとつになれました。ここを使い「文楽」などを行うそうです。
入口の旋回するアプローチもよく、内部空間も良かったです。

他に、日大彫刻科の脱皮する家。彫刻刀で彫られた床が足裏で感じられて、その感覚がとてもよかったです。
ここは完全に再生され、どなたかが買い取ったそうです。
ボルタンスキー、アブラモヴィッチ等々も見れました。

越後は米よし、へぎそば絶品、酒よし、棚田(北海道のように平地がありません)の光景よしでした。
今回で終わりの噂もありますが、また行って見たいところでした。
アートは地域の持っている価値を引き出すちからを持っています。
なにより、生き生きと話や挨拶をしてくれる地域住民の方のちからとなっていることがすばらしい。
9/10で終わるのが惜しまれます。
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