読書など徒然に

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アップル、アイパッドミニで離れ業 ,難点は解像度

2012-11-02 09:07:13 | パソコン
wsj日本版から

米アップル AAPL -1.44% のタブレット端末「iPad(アイパッド)」はテクノロジー市場に一大現象を巻き起こした。当初はスマートフォン(高機能携帯電話)とノート型パソコンの中間に位置する500ドルの端末の必要性を多くが疑っていたが、発売からわずか2年半で販売台数は1億台に上る。競合機種はいずれも市場に大きな影響力を与えることはできていない。だが、アイパッドにも問題がないわけではない。ノート型パソコンよりはずっと小さく、重さはわずか652グラム、厚さは9.4ミリだが、電子書籍を読むときなど長時間持っているには重すぎるし、通常両手が必要だ。9.7インチの画面は使用感はいいが、持ち運ぶには大きすぎてカバンを選ぶ必要がある。

 そこでアップルは11月2日、さらに小さい別の機種「iPad Mini(アイパッドミニ)」を発売することにした。アイパッドミニは、アイパッドと全く同じように機能し、同じアプリを実行できる。タブレット向けに最適化された27万5000種類のアプリに加え、アイパッドとアップルのスマホ「iPhone(アイフォーン)」とに共通の基本ソフト(OS)「iOS(アイオーエス)」向けに開発された70万を超えるアプリだ。

 アイパッドミニは、重さはわずか308グラムで、厚さは134.7ミリ。標準のアイパッドよりも53%軽く、23%薄い。幅はアイパッドが185.7ミリであるのに対して、アイパッドミニは134.7ミリだ。

 代表製品のアイパッドを縮小するにあたってアップルは離れ業をやってのけた。7インチ画面搭載の主要なライバル機種と比較して明らかに薄くて軽く、それでいて画面は7.9インチと大きいタブレットを見事開発した。さらに本体は、サイズがもっと小さいライバル機種に使用されているプラスチック材ではなく、アイパッドと同じしっかりとしたアルミニウムとガラス材が採用されている。

 小型タブレット市場の2大ライバル機種、米インターネット検索大手グーグル GOOG +0.76% の「Nexus(ネクサス)7」と米ネット通販大手アマゾン・ドット・コム AMZN -2.24% のタブレット端末「Kindle Fire(キンドル・ファイア)HD」とは異なり、アイパッドミニは背面にもカメラが搭載されている。また、キンドル・ファイアHDとは異なり、Wi-Fiだけでなく、携帯電話通信にも対応したモデルも用意されている。バッテリーの持ちも非常にいい。

 ただし、ネクサス7とキンドル・ファイアHDと比較して2つマイナス点がある。1つは、両機種が199ドル(約1万6000円)であるのに対して(注:キンドル・ファイアHDはスクリーンセーバーにうっとうしい広告がつかない機種は214ドル)、アイパッドミニは最も安い機種で329ドルだ。2つ目は画面解像度が、ライバル2機種が1280 x 800であるのに対して、アイパッドミニは1024 x 768と劣ることだ。筆者がアイパッドミニを数日試用してみたところ、期待どおりに動作した。小型でありながらアイパッドの使用感がそのまま実現されている。標準のアイパッドで使用しているアプリはミニでも完璧に動作した。片手で使用することもできるし、長時間持っていても疲れることはなかった。唯一の不満は、ポケットに入れるにはやや幅が広すぎることだ。また、画面解像度は標準のアイパッドに使用されているディスプレー「Retina(レティナ)」と比較して大きく後退している。

 だが、厚さはネクサス7やキンドル・ファイアHDよりも約30%薄い。重さも、ネクサスと比較して約9%、キンドル・ファイアHDと比較して約22%軽い。幅はキンドル・ファイアHDよりはやや小さいが、ネクサスよりは約11%広い。筆者は片手でラクに持つことができたが、もっと手が小さい人にとってはやや幅がありすぎるかもしれない。

 アイパッドミニはライバル2機種よりも薄くて軽いにもかかわらず、書籍やウェブページなどのコンテンツの閲覧に使用する画面は約35%も大きい。コンテンツを見たり、読んだりするのも、タップ(指で画面を叩く)やスワイプ(指を画面上で滑らせる)操作も筆者はラクだと感じた。唯一の不満はキーボード。画面を横向きにしているときは問題ないが、縦にしているときは、ちょっと窮屈な感じだ(標準のアイパッドと比較して、ミニは縦向きに持つことが多いことに気づいた)。

 厳しいバッテリー駆動テストも行ってみた。画面輝度を75%に設定し、動画を連続再生したまま、Wi-Fiに常時接続して電子メールを受信したところ、アップルがうたっている10時間という駆動時間を超え、10時間27分持った。キンドル・ファイアHDよりは約1時間長いが、ネクサス7よりは約17分短い。

 カメラの性能は非常にいい。120万画素の前面カメラを使用して数回ビデオチャットをしてみたが音声も映像もクリアだった。また、500万画素の背面カメラは写真も動画も非常にきれいに撮れた。ステレオスピーカーの音質も筆者の耳にはいいと感じられた。

 なのになぜアップルはミニの画面解像度を低くしてしまったのか。標準のアイパッドにも、アップルのパソコン「Mac(マック)」の最新機種にも高解像度のディスプレーが使用されているというのに。

 アップルによると、標準のアイパッド向けアプリを改良せずにミニでも実行できるようにするには、2種類の解像度から選ぶしかなかった。1つは標準のアイパッドに使用されている極めて高い解像度だが、それを選択した場合、コストが高くなり、バッテリー駆動時間は短くなる。もう1つがミニに採用された解像度で、これは初代アイパッドとアイパッド2に使用されていたものと同じだ。両機種とも大ヒット商品であり、アイパッド2はいまだに399ドルで市販されている。

 妥当な理由ではあるが、これは最大のライバル機種と異なり、ミニでは動画を高解像度で再生できないということだ。アップルは、同社の動画・音楽配信サービス「iTunes(アイチューンズ)」経由で入手した動画であれば、ミニで再生しても標準の解像度よりも鮮明だと主張している。アイチューンズではミニ向けに動画を調整し、標準と高解像度の中間の画質で提供しているからだという。アップルは、他の一部サービスでも同様にする予定だとしている。

 だが、純粋な高解像度再生ができないとなると、動画視聴好きの人にはネクサスやキンドル・ファイアHDの方が有利だ。筆者のテストでは、映像はきれいに表示されていたが、標準のアイパッドほど美しくはなかった。

 携帯電話通信対応モデルは、価格は459ドルで、発売は数週間後になる予定。

 329ドルという価格は、アイパッドを買いたいけれども予算が限られている人にとってちょうどいい値段かもしれない。だがアップルは、ミニの主な魅力は価格ではなく、その小ささと軽さにあると考えている。

 アイパッドを愛用しているか、欲しいと思っているけれども、大きすぎる、または重すぎると考えている人にとっては、アイパッドミニはぴったりの選択肢だ。

(ウォルター・モスバーグは、ウォール・ストリート・ジャーナル(電子版)の「パーソナルテクノロジー」コラム(毎週木曜日掲載)担当の記者。ウォール・ストリート・ジャーナルで40年近く記者および編集者として勤務するほか、米CNBCネットワーク制作のテレビ番組でテクノロジー関連のコメンテーターも務めている)

記者: Walter S. Mossberg


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