仏教の目的は唯一つ、解脱である。初期仏教あるいは原始仏教は後に小乗仏教と言われるが自分の悟りのみを考える自利の立場の仏教であり、衆生を救うなどと言う事は考えなかった。それどころではない、取り敢えず自分が解脱しなければならなかった。大乗は紀元前後に仏教改革のような形で多くのグループが出来、その中に般若経典を保持するグループが有った。このグループは他者の救済を含む自利、利他の立場を取り菩薩の実践を主張した。この初期の大乗仏教において初めて仏が同時に多数出現するようになった。
末木文美士著「仏典をよむ」新潮社より