昨日に述べた『新選詳図』にある領域に、太平洋戦争によりフィリピンやインドネシアなどアジアの国も占領したため、領域の範囲はさらに膨張した。
そして敗戦。拡大した領土は失って元の木阿弥になった。
ただ、この敗戦は幸運だったとよくいわれる。軍国主義が潰えた、新憲法の下に民主化が進んだ等いろいろあるだろうが、大きな幸運はがむしゃらに増やした領土や占領地を失ったことだという説がある。私もなるほどと思った。ただ、固有の北方領土まで失ったままであるのは痛手だ。
領土の維持管理にはコストがかかるからだ。固有の領土であればまだしも、拡張した領土や植民地にも財政負担がのしかかる。イギリスもフランスも海外領土の支出に苦労したという(日本も朝鮮半島のインフラ整備に莫大な投資をしたものだ)。
それらの国では民族独立のため戦いをしかけ双方に犠牲がでる。あるいは平和的に独立させるにしても「熨斗を付けて」返さないといけない。
ところが、日本は戦争に負けたため、それらの国はなんなく独立を手に入れた。のちに戦後賠償はあったが、敗戦で経済がガタガタの時期では、維持するカネもなければ、独立の熨斗代がままならなかっただろう。身軽になったから高度成長ができ、賠償も可能になったわけだ。