本と旅とやきもの

内外の近代小説、個人海外旅行、陶磁器の鑑賞について触れていき、ブログ・コミュニティを広げたい。

新聞等のへんてこ記事

2005-03-27 09:35:57 | Weblog
 新聞・雑誌のへんてこ記事を挙げてみましょう。
 
「ツポレフ154旅客機が突然爆発し、墜落した。同機に搭乗していた乗客64人と乗員12人の安否は絶望視されている」
 安否とは安全か否かですよね。ならば「安否は気遣われる」となりますわ。絶望視に力点をおけば「生存は絶望視されている」となりますよ。
 深読みすれば「安全かどうかを問われると、絶望的でしょう」という意だろうけど、言葉面では読めませんな。
 最近の新聞に「マラッカ海峡3人誘拐 船長ら安否不明」とあったけど、これが正しい。

 米国のニューヨーク・タイムズ紙が日本の若い女性の厚底靴流行を物珍しげに紹介していたという記事の続きに「米紙の記者はまだ生まれていなかったからご存じないかもしれないが、ルネッサンス時代の欧州で、上流夫人の間で厚い靴底の靴が大流行した…」とある。へぇー、この記事を書いたコラムニストは年齢が4百歳以上かね。だって「米紙の記者はまだ生まれていなかったからご存じない」というからには「わたしはルネッサンスの時代に生まれていたからよく知っている」というニュアンスになりますもの。
「米紙の記者はご存じなかったかもしれないが」でよいでしょうに。余分なことを付け加えてはいけないという見本ですわ。

 かの鈴木宗男元議員の関連で「ソ連・ロシアと舞台裏で闇の関係を築いた政治家たちが、いずれも悲劇的な末路を辿ってきた」とあった。おいおい「悲劇的」とは、本来そうなるはずのない人が過酷な運命に翻弄されることをいうものでしょう。「罪の報いを受けた」、「しっぺ返しを受けた」、「鉄槌を下された」あるいは「自業自得」や「身から出た錆」の結末だろうに。
 その文には、また「金丸信元副総理も脱税や不正献金事件で離党・議員辞職と不遇な晩年を送った」とある。不遇ですかねぇ。不遇とは才能があっても運がなく世間に認められなかったことでしょうに。5億円の札束や金塊を金庫に隠し持っていたあの狸親父は、なにが不遇ですかね。

 次は「文章技術の心得」なる本です。サブタイトルに「誤解できないように書くために」とある。小骨が突き刺さったように感じましたね。「誤解+サ変活用」の複合動詞にして「誤解されないように」とか「誤解しにくいように」とか「誤解することがないように」にするところでしょうよ。
 そもそも「誤解」は動作名詞ですかねぇ。「中」や「~を行う」を付けて意味が通れば動作名詞という。わたしゃ、これに「できる、できない」も加えたい。つまり「食事中、食事を行う、食事できる、食事できない」、「営業中、営業を行う、営業できる、営業できない」ついでに勉強、複製、貸与も意味が通る。でも「誤解中、誤解を行う、誤解できる、誤解できない」は変ですもの。


銃乱射に思う

2005-03-24 21:24:49 | Weblog
 また、アメリカの高校で銃乱射事件。マイケル・ムーアならずともあきれ返った銃社会ですな。
 若い時分にアメリカに出張するとき、上司から「飲む、打つ、買うには近づくなよ」と言われた。これ、隠語でして、飲むはドラッグ、打つはガン撃ち、買うはそのまんまのことですわ。
 ところが禁を破って、実弾を撃ってみた。観光客目当てのそんな店はいくらでもありますよね。なんでも一番のお得意さんは日本の警官と自衛隊員とか。実弾訓練が少ないのですかねぇ。小生が試したのは、セミオートのコルトとリボルバーのスミス&ウエッソンそれにライフル銃でした。結論を言えば、面白かった。人間には狩りをしたい本能があるのでしょうねぇ。つまり、銃は防衛に必要な物ではない。本当にぶっ放したくなる危ないものなんですな。
 そうそう、ロスの夜の街の歩道で、三人の街娼(らしい女性)が両手を挙げていたところに出くわした。その前に警官がピストルを構えていた。わたしゃ、車道に出て、警官の後ろから通り過ぎるつもりだったが、この警官、前を通れと合図する。やむなく、腰をかがめて通りましたわ。
 後ろから通せば、不意打ちをくわされる虞があるということなんでしょうね。警官用マニュアルにあるのかな。それにしても、いきなり抱きかかえられて人質にされたらどうするの。まァ、相手は女性だからということかな。
 次は日本の話。新聞記事に「巡査が一人でパトロール中、男が警棒で巡査を殴った後さらに向かってこようとしたため、「逃げると撃つぞ」と警告したうえ、発砲したという。」とあった。笑いましたねぇ。
 向かってこようとする男に逃げると撃つと言ったんですよ。脈絡が合わないのはともかく、咄嗟に出る言葉は「動くな」か「止まれ」でしょうよ。マニュアル用語でしょうけど、本当にそう言ったのかね。それに、殴ってさらに向かってくる一連の行動継続中に警告できたのかしら。この記事では状況はわかりませんわ。
 つけ足すと、男が警棒を持っていたのですから奪われたのでしようが、その経緯に触れず、やぶから棒に警棒を手にしていた。駆け出し記者のお粗末な記事ですねぇ。           
 
 話変わって、ものの本によれば、戦国時代の日本は、世界で最も大量の鉄砲保有国だったとか。そんな統計があるのかしら、と眉に唾をつけますけど。でも、覇権争いに明け暮れていたわけですから爆発的に普及したでしょうね。
 ところで、徳川時代になって急激に衰退した。大平の世だから必要なかった、と思えない。なにしろあやつは本能を揺さぶるものですから。
 衰退のひとつは「入り鉄砲に出女」の取締りが厳しかった。改め役は火付け盗賊の鬼平だけではありませんな。流通を監視する鉄砲改役がいたんですから。改易や取り潰しがあるから迂闊な管理はできませんわ。  
 それに綱吉は生類憐みの令で、殺傷道具の最たる鉄砲の取締りを徹底したことも功を奏した。これで猟師なんぞまでお手上げ。なんだか、三百年の計を見据えて、銃社会を阻止した名君に思えてきますわ。いずれにせよ、天下泰平だから銃が要らないのではなく、銃がないから天下泰平でしようよ。
 アメリカでは、日本の一般民衆は銃を持たなかったことが不思議で「なぜ、日本に銃は普及しなかったか」という研究書があるという。その内容は存じませんが、銃に厳しい三百余年の歴史があると謳っているのかな。
 もっとも、アメリカに比べるならば、この国は先住民を蹴散らす西部開拓史なんぞと無縁であるということですけどね。