本と旅とやきもの

内外の近代小説、個人海外旅行、陶磁器の鑑賞について触れていき、ブログ・コミュニティを広げたい。

もうひとりの西郷

2018-01-13 13:27:00 | Weblog
 今年は明治維新から150年目になるという。タイミングよくNHK大河ドラマは『西郷どん』である。
 
 ご存知かも知れないが、幕末にもうひとりの西郷がいた。会津藩家老の西郷頼母である。官軍が攻めてくるとき西郷頼は抗戦に反対したが、主戦派に命を狙われた。それで領内から脱出した。一説には、西郷を評価していた藩主松平容保が逃がしたとされている。
 
 西郷家の人々は頼母の母、妻、妹ほかに召使も含め21人が自害している。次の逸話はよく知られているが、杉本苑子のエッセイ「会津若松」から引用する。

 「…邸内にはいったところ、自殺死体で足の踏み場もなかった。まだ死にきれずにいたらしく、十七、八とみえる美しい乙女がかすかに顔をあげ、「敵か味方か」とたずねるので、事実を告げるにしのびず「味方だ」と答えると、手まねで止めを刺してくれとたのんだ。そこで刀をとり、介錯して外へ出た」
と、西軍に所属していた土佐藩の中島信行は書きとめている」
 
 白虎隊の自刃だけではなく、乙女まで犠牲になった。官軍の名のもとに殺戮、凌辱、略奪をした。それが明治維新の幕開けである。

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